ビョーゲン三人娘の戯れ   作:早乙女

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今回はその1とその3の両者の因縁に続いて、この戯れです。
クルシーナ、ドクルンと来れば、わかると思います。
時系列的には、すこやかフェスティバルの後なので、アスミが登場する前になります。


その5「遊戯」

 

すこやか市にある、平光アニマルクリニック。そこは動物を愛する男性、平光てるひこが獣医として経営している動物病院である。

 

そして、その側には娘の平光めいが開いているワゴンカフェもある。

 

そんなワゴンカフェにある一人の人物が訪れていた。

 

コンコンコン。

 

その人物はカウンターをノックするように叩いた。

 

「いらっしゃい。あら、また来たの」

 

「・・・・・・なんか文句あるの?」

 

気づいためいがワゴンカフェから顔を出すと、そこには彼女にも見知った人物であった。

 

顔を顰めているゴスロリの少女ーーーーイタイノンが不満を垂れる。

 

「いいえ、むしろ来てくれて嬉しいわ♪」

 

「・・・・・・いつものやつ、なの」

 

めいの笑みを浮かべながらの言葉には答えず、イタイノンはいつもこのワゴンカフェで注文しているものを要求する。

 

「はいはい♪ ちょっと待っててね」

 

めいはいつも彼女に作っているものを用意すべく、ワゴンカフェの中へと引っ込む。その間、イタイノンはテラス席の方を見渡していた。

 

イタイノンはビョーゲンズの幹部の一人で、キングビョーゲンの娘、そしてビョーゲン三人娘の一人だ。今日は地球を蝕みに来たのではなく、プライベートで地球へと降りてきたのだ。平光めいにもすっかり顔を覚えられていて、今ではここの常連になっている。

 

数分後、めいが注文したものを持ってワゴンカフェから顔を出す。

 

「お待たせ。特性ジュースとパンケーキよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

イタイノンは何も言わずにお金を過不足なく置くと、めいからジュースとパンケーキを受け取るとテラス席の方へと歩いていく。

 

「無愛想な子ね・・・でも、可愛いかも♪」

 

めいはワゴンから離れていくイタイノンを見つめながらそう言い、笑いをこぼした。

 

イタイノンはテラス席について、テーブルに買った二つを置くとまずはパンケーキをつまみ始めた。

 

「・・・・・・美味しいの」

 

落ち着いた雰囲気から伝わりづらいが、イタイノンは微笑みながらそう呟いた。プライベートはいつもここに来ているが、あの女の作るおやつは変わらず美味しい。

 

そもそもイタイノンがここにしか来ていない。その理由としては、彼女の落ち着ける場所だからだ。

 

グミが入っているというかなり個性的なミックスジュースを啜りながら、イタイノンは一人の時を過ごしていた。

 

「美味しそうネム〜、私も欲しいネム〜」

 

・・・・・・カチューシャになっている相棒のネムレンを除けば、だが。

 

「・・・・・・ん」

 

羨ましそうに呟いたネムレンに、イタイノンは無表情ながらも嫌な様子を一つ見せずにパンケーキをちぎって差し出す。

 

「え・・・いいネム?」

 

「・・・・・・さっさと食べろ、なの」

 

「ありがとうネム〜」

 

イタイノンは頭の上にパンケーキを乗せると、ネムレンは嬉しそうな声を出し、頭の上に置いたパンケーキがカチューシャに吸い込まれていく。

 

「おいしいネム〜」

 

「・・・・・・ふん」

 

ネムレンはカチューシャの色を赤く染めるほどに美味しかった模様。イタイノンは特に答えることなく、ジュースを再び飲み始める。

 

周りから見ても和むようなひと時を一人と一匹は過ごしていた。

 

・・・・・・その時だった。

 

「あぁぁぁぁーっ!!??」

 

「っ・・・・・・」

 

騒がしい声がこちらに響き、イタイノンは顔を顰めると声がしたほうへと視線を向ける。そして、目が驚きに見開かれる。そこにはここの病院の院長の娘である、平光ひなたが同じようにびっくりした様子で自分を指差して立っていたからだ。

 

イタイノンはすっかり忘れていた記憶を思い出す。

 

そういえば・・・この病院はあの憎っくきキュアスパークルというプリキュアに変身するこの女の家だった。ワゴンカフェの隣の建物には興味がなかったが、そもそもはパンケーキの甘い香りに誘われてこのワゴンカフェに訪れ、その美味しさに感服した結果、気がついたらプライベートはいつもここに通うようになったのだ。

 

ここには誰もいない・・・一人の時間を過ごせる・・・・・・そうとも考え、おいしいジュースやパンケーキを食べられるということもあって、いつもここに来ている。

 

それに夢中になって、この病院がこいつの家だということをすっかり忘れてしまっていた。

 

そういえば時間は夕方前、この近くにある学校の下校時間だ。その家へと帰ってきたひなたと運悪く鉢合わせしてしまったのだ。

 

イタイノンは心の中で舌打ちをしながら、相手をしないようにパンケーキをつまみはじめる。

 

「な、ななな、なんであんたがここにいんの〜!!??」

 

「・・・うるさいの。とりあえず落ち着いたら?なの」

 

「あ・・・ご、ごめん・・・!!」

 

動転して叫ぶひなたに対し、イタイノンは冷静な声で諭す。

 

「っ・・・じゃなくて!!なんでビョーゲンズのあんたがここにいるんだって聞いてんの!!」

 

「見ればわかるの。おやつを食べてるだけなの」

 

一瞬流されそうになったひなたは我に帰り、近づいて問い詰めると、イタイノンはパンケーキを食べながらそう言い、ジュースを飲む。

 

「んなこと言って、なんか企んでないでしょうね・・・!?」

 

(うざっ・・・・・・)

 

明らかに一目瞭然なのに疑いをかけてくるひなたに、イタイノンは目を逸らしながらそう思った。

 

「あら、ひなた、帰ってたの? 騒がしい声がしたと思ったら・・・・・・」

 

そこへ騒がしい声を聞いて、何事かとやってきためいが姿を現した。

 

「お、お姉!! こ、こいつ・・・!!」

 

「ああ、この娘? いつもうちの店に来てくれている常連の子よ」

 

ひなたがどういうことなのかと聞こうとすると、めいはそう説明する。

 

「だ、だってこいつ・・・!! ビョ・・・あ・・・」

 

(忘れてた・・・! お姉の前ではこいつがビョーゲンズって言えないんだった・・・!!! 危ない危ない・・・!!)

 

ひなたはつい言いそうになって口を塞いで押し留める。イタイノンがビョーゲンズであっても、自分の姉であるめいに言ってはいけないのだ。

 

「? どうしたの? もしかして・・・・・・この娘・・・・・・」

 

「っ・・・・・・」

 

めいがひなたの行動を訝しげに見始め、ひなたは緊張からか汗をダラダラと流す。

 

「・・・・・・ひなたのお友達?」

 

「はぁ? そんなわけーーーーむぐっ!?」

 

「っ!!」

 

めいがそう言うと、イタイノンは不機嫌そうにしながら否定をしようとしてひなたに口を塞がれる。

 

「そうそうそう!! あたしたち、仲良しなの!! SNSのチャット友達!! ビョーキンズっていうグループのネット友達で、待ち合わせしてたんだ!! 初めて顔を見るから驚いちゃったー!! あははは〜!!!!」

 

「むぐぅぅぅ!! んぐぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

 

ひなたが誤魔化すべくめいにそう説明し、イタイノンは口を塞ぐひなたの手を外そうともがいていた。

 

「あら、そうなの。随分とひなたが騒がしくしゃべってたから、何なのかなと思っちゃったわ♪」

 

めいはそう納得した。ひなたの友達であれば、明るい彼女の仲良しになってくれるだろう。めいは一切疑わなかった。

 

「二人、仲良くね♪」

 

「うん!! うん!!」

 

めいはそう言うとワゴンカフェへと戻っていく。ひなたは首を縦に振りながら頷き続けていた。

 

「んぐうっ!!!!」

 

「グフッ!!?」

 

そんなひなたの脇腹にイタイノンの肘打ちが突き刺さる。ひなたは痛みに手を離し、思わず尻餅をついてしまった。

 

「いつまで口を塞いでるの!!!!」

 

イタイノンは声を荒げながらそう言う。苦しかったのもあるが、何よりもこいつに触られるのが不快だらけでしょうがない。

 

「お前と私が友達? バカも休み休み言えなの。お前みたいな騒がしくて、バカで、アホそうで、頭のにぶそうな考えなしの友達なんか、断固お断りなの・・・!!」

 

「バ、バカって言うなぁ!!!!」

 

イタイノンは不快感を隠さずに罵詈雑言をブチまけ、ひなたは涙目になりながら怒り出す。

 

「あたしだって、あんたみたいな根暗で、地球を苦しめるようなやつの友達なんか嫌だし!!」

 

「根暗で結構なの・・・!! 騒がしいバカよりはマシなの・・・!!」

 

「あぁー!! またバカって言ったぁー!!!! バカっていう方がバカなのに!!!!」

 

「バカなのは本当の話だろ、なの!!!」

 

「「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」」

 

ひなたは言い返してやるが、イタイノンにあっさりと打ち負かされる。終いには・・・火花を散らしながら睨み合う二人。

 

「「・・・ふんっ!!!」」

 

ひなたとイタイノンはお互い鼻を鳴らして、そっぽを向き合うのであった。

 

落ち着いた頃・・・・・・パンケーキとジュースを食べ終えたイタイノンはテラス席の上でピコピコと携帯ゲーム機をいじっていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

その様子を家に戻って私服に着替え終えたひなたが疑いの眼差しで見つめていた。こいつが何かをやらかさないか、心配だからだ。

 

イタイノンはゲームをしつつも、視線が気になってチラチラとひなたの方を見ている。

 

「・・・・・・用がないなら、とっとと家に帰ればいいの」

 

「いや、ここあたしのうちだし!! あんたも食べ終わったなら帰ればいいじゃん!!」

 

「ここにいくらいようと私の勝手なの。視線が鬱陶しいからどっか言って欲しいの」

 

イタイノンはゲームをピコピコと動かしながら淡々とそう言うと、ひなたがツッコミを入れる。

 

「嫌だよ!! だって、あんた、目を離したらなんかする気でしょ!!」

 

「だから・・・何もしないって、そのバカの頭で何回言えば理解できるの?」

 

「あぁー!! またバカって言ったぁー!!!!」

 

「・・・・・・うるさいの」

 

イタイノンの冷淡な態度にひなたがムキになって反論すると、イタイノンの苛立ちが増してくる。正直言ってゲームの邪魔だ。本当にどっか言って欲しい。

 

「・・・・・・・・・」

 

それから数時間後、相手にしたくないイタイノンはひなたを無視してゲームをピコピコと続けていると・・・・・・。

 

「ねぇ〜、お願いだから帰ってよぉー!! あんたがいると気が気じゃないんだってば!!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

ひなたが疲れたように叫んでいる。イタイノンは無視しようと思ったが、いい加減鬱陶しく感じてきた。こうなったら、プリキュアになっていないが、電撃を放って大人しくさせるか、それとも黙るまで殴るか。

 

でも、それだと何だろうか・・・・・・自分の心が満たされないような気がする。

 

イタイノンはゲームをやりながらどうしようかと考え、しばらくするとイタイノンは不敵な笑みを浮かべると、ゲームを動かす手をやめてポケットにしまう。

 

「・・・いいの。私とゲームをして、一回でも勝てたら帰ってやってもいいの」

 

「え、本当・・・? って、ゲーム!?」

 

「その代わり、ゲームは私が選ぶの」

 

イタイノンはテーブルに頬杖を付きながら言うと、ひなたは二重の驚きに叫ぶ。イタイノンはひなたのリアクションを無視して、ポケットからカードの束を取り出して地面に置く。

 

「うぇ? トランプ・・・??」

 

「テーブルゲームではトランプが常識なの。これだったら、不公平さもなしでできるの」

 

ひなたは出されたものに戸惑っていると、イタイノンは不敵な笑みを浮かべながら言う。

 

「・・・・・・わ、わかったよ。勝てばいいんだよね?」

 

ひなたがそう問うと、イタイノンは頷く。

 

「ただしお前が負けたら罰ゲームを受けてもらうの」

 

「ば、罰ゲームって・・・??」

 

イタイノンのその言葉に、ひなたは途端にビビったように声を出す。

 

「それはやってのお楽しみなの。さあ、どうするの? やるのか、やらないのか。私は別にどっちだっていいの」

 

「うっ・・・・・・」

 

イタイノンは必要以上には語らず、ひなたにそう迫る。ひなたはその罰ゲームを怖がっていたが、こいつに勝たないといつまで経ってもここに入り浸るだろう。それをされてもうちの病院やワゴンカフェの迷惑になるだけだ。

 

「いいよ、相手になってあげるし!!」

 

「・・・キヒヒ♪」

 

ひなたは意を決してそう主張すると、イタイノンは笑い声をあげるのであった。

 

「じゃあ、シンプルにババ抜きで勝負なの♪」

 

そう言ってトランプの束を持つとシェイクして、ひなたと自分に配り始めた。

 

その後は同じ2枚のカードを捨てた後、お互いの手札のカードを引いて同じカードがあれば捨てるだけ。しかし、その中にはジョーカーと書かれた『ババ』と呼ばれたものがある。それを最後まで持っていた方が負けというゲームだ。

 

ひなたはたかがゲームだから、勝てばいいんだとそう思い込んでいた。

 

しかし、このゲームが普通じゃないと知るのはこの後だった。

 

「ふん」

 

「あぁ〜!!??」

 

「私の勝ちなの♪」

 

イタイノンは手札のカードを全て捨て終えて、勝利を宣言する。

 

「あぁ・・・・・・負けちゃったぁ〜・・・悔しい〜!!」

 

「じゃあ、約束通り罰ゲームなの」

 

テーブルに突っ伏して悔しがるひなたに対し、イタイノンは嬉々した様子で宣告する。

 

「もぉ〜、好きにしてください・・・・・・」

 

「っ!!」

 

好きにしてください、これを聞いたイタイノンはニヤリと笑みを浮かべる。

 

ひなたはこの一言を言ったことが、後悔の始まりになるとは思ってもいなかった。なぜならイタイノンの出した罰ゲームは・・・・・・。

 

「じゃあ、身につけているものを一枚脱いでもらうの」

 

「・・・え? そんなことでいいの?」

 

「いいの。まずはその上の一枚を脱ぐの」

 

「わ、わかった・・・・・・」

 

「キヒヒ♪」

 

よくわかっていないひなたは戸惑いながらも上に羽織っているカジュアルコートを取る。その様子を見てイタイノンは声に出して笑った。

 

「っていうか、悔しいし〜!! もう一回!!」

 

「わかったの。じゃあ、もう一回ババ抜きをやるの」

 

イタイノンはトランプを集めるとシェイクして、自分とひなたに配り始める。

 

今度は慎重にあいつのカードを選ぼうと、そう思うひなたであったが・・・・・・。

 

「なんでぇ〜!!??」

 

「・・・・・・お前、弱すぎなの」

 

イタイノンにババではないカードを取られてしまい、先に上がられてしまった。

 

「じゃあ、上に着ているその黄色いのを脱げ、なの」

 

「わかったよ・・・・・・もぉ・・・・・・」

 

イタイノンに罰ゲームを要求され、ひなたは悔しがりながら黄色いトップスを脱ごうとして・・・・・・ふと手を止めた。

 

「・・・・・・え?」

 

ひなたはトップスの下をよく見てみた。これを脱いでしまうと・・・・・・上半身は下着姿になってしまうわけで・・・・・・。

 

「どうしたの? さっさと脱げなの」

 

「あ、あんた・・・もしかして、初めっからこのつもりで・・・!?」

 

服を脱ぐように要求するイタイノンに、ひなたは抗議の声を上げようとする。

 

「何のこと?なの。私は何にも言ってないの」

 

イタイノンは悪い笑みを浮かべながらとぼける。

 

ひなたはようやく理解した。このゲームで負け続ければ、服を全部脱がされて最終的に丸裸にされてしまうことを・・・・・・。

 

「ほら、さっさと脱げなの」

 

「い・・・嫌だ・・・・・・」

 

ひなたはイタイノンの要求を拒否する。この外で裸にされるなんて、ひなたに到底耐えられるものではなかった。

 

それを聞いたイタイノンが笑みを消して、不機嫌そうに顔を顰める。

 

「・・・・・・は?」

 

まるで聞き捨てならないものを聞いたイタイノンはいつもよりも低い声を出すと、立ち上がってひなたに近寄る。

 

「うぇ・・・ひぃっ!?」

 

ひなたは明らかに怒っているイタイノンに顔を強張らせ、思いっきり顔を近づけたイタイノンに小さく悲鳴をあげる。

 

「ゲームに負けたお前に拒否権はないの。大人しく罰ゲームを受けろなの。大体、お前言ったの。好きにしてくださいって・・・!!」

 

「え・・・い、いや、それは言葉の綾で言っただけで・・・!!」

 

「問答無用なの!!!!」

 

イタイノンはそう叫ぶとひなたのトップスに手をかけて上へと引っ張る。

 

「ちょ、ちょっとやめて!!」

 

「いいから脱げなの!! お前はゲームに負けたんだから、受けるのが当然なの!!」

 

「嫌だ!!嫌だぁ!! やめてぇ!!」

 

「ぬーげーなーのー!!!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ひなたは抵抗も虚しく、イタイノンにトップスを脱がされてしまい、上半身は下着姿になってしまった。

 

「うぅぅ、うぅぅぅぅ・・・・・・」

 

「キヒヒヒヒヒ♪ いい眺めなの」

 

ひなたは体を隠すようにして恥ずかしそうに顔を赤らめる。その様子を見ているイタイノンはケラケラと笑っていた。

 

「うぅぅぅぅぅ、酷いよぉ・・・こんなの・・・!!!!」

 

「弱いお前が悪いの。脱がされたくないんだったら、勝てばいいだけの話なの」

 

ひなたは涙目になりながら抗議の声をあげるも、イタイノンは笑みを浮かべながらトランプのカードをシェイクしていた。

 

「じゃあ、次は何して遊ぶの? キュアスパークル?」

 

「うっ・・・・・・」

 

イタイノンは次なるゲームの要求をしたが、ひなたは迷っていた。もし負けたら、また服を脱がされてしまうからだ。今度は身につけている下着を外されて、胸を露出させられてしまうと思うと気が狂いそうだった。

 

「・・・・・・お前がやらないなら入り浸るだけなの」

 

イタイノンはトランプをテーブルに置くと、ポケットからゲーム機を出してやり始めた。

 

負けるのが怖いが、このまま何もしなくてもこいつに好き勝手をさせるだけだ。

 

そう考えたひなたは口を開く。

 

「もう一回!!」

 

「??」

 

「もう一回、ババ抜きで勝負してよ!!」

 

「・・・・・・キヒヒ♪」

 

ひなたは意を決してそう言うと、イタイノンは不敵に笑いながらトランプのカードを切り始める。

 

次は相手のペースに乗せられないように、ババを押し付けるように務める、そう考えながらカードを引いていくひなた・・・・・・。

 

ところが・・・・・・。

 

「嘘・・・・・・なんで・・・・・・?」

 

「キヒヒ♪」

 

結局はイタイノンにババでないカードを引かれてしまい、また負けてしまった。

 

「なんで勝てないのぉ〜!?」

 

ひなたは頭を抱え始めた。今度は気をつけるようにゲームをしていたはずなのに、どうして勝てないのか?

 

「だってお前、顔に出てるからわかりやすいの」

 

「え・・・・・・?」

 

イタイノンは不敵に笑みでそう言うと、ひなたは呆然とした様子で声を漏らした。

 

実はひなたはよくわかっていなかったのだが、最後の2枚の時、イタイノンはひなたの表情を伺っていた。ババを触った時に嬉しそうな晴れやかな顔をし、ババでないカードを触った時には悲しそうな顔をしていたのだ。

 

こんなわかりやすい表情をしているなんて、こいつはなんてバカなんだろうとイタイノンは心の中で心底そう思っていた。

 

「さてと、それじゃあーーーー」

 

「ちょ、ちょっと待って!!」

 

「・・・・・・何?なの」

 

イタイノンはどれを脱がそうか指定をしようとした時、ひなたが静止する。また無駄な抵抗をする気なのかとイタイノンは不快そうな顔をした。

 

「脱ぐけど・・・脱ぐのはこっちで指定させて!! お願い!!」

 

「・・・・・・脱いでくれるんだったら、別に構わないの」

 

ひなたはそう懇願すると、イタイノンは不満な顔をしながらも許可を出した。ひなたは紫色のショートブーツを脱いで、靴下になった。

 

「ババ抜きは飽きたの。別のゲームにするの」

 

イタイノンはそう言いながら、次のゲームを始めるべくトランプを切り始めた。

 

その後も、大富豪、七並べ、ブラックジャックといろんなトランプゲームをする二人。その度にひなたは負け続けて身につけているものを脱ぐことになり、靴下を脱ぎ、髪留めを解いてツインテールをなくし、挙句にはウグイス色のスカートを脱ぐことになってしまう。

 

そして、遂には下着姿とパンツのみのほぼ裸同然の姿になってしまった。

 

「は・・・ハクション!! うぅぅ・・・・・・」

 

今、やっているトランプゲームはポーカーだ。今はカードをチェンジしているところなのだが、ひなたはルールもよくわかっていないのに加え、春の風に当てられたのかくしゃみをし始め、体をブルブルと震わせていた。

 

「私は2枚捨てて、2枚引いたの。さあ、お前の番なの」

 

「うぅぅぅぅ・・・あ、あたしは・・・・・・」

 

ひなたは体が冷えて震える中、考えた末にカードを3枚捨てて、山札から3枚引いた。イタイノンは頷くともう一度、自分の手札を見た後、ひなたの顔を見る。

 

「じゃあ、結果を出すの。まずはお前から」

 

イタイノンは先にひなたからカードを出すように要求する。

 

「うぅぅぅ・・・か、勝ってる、のかな・・・・・・?」

 

ひなたは震える手で自分の持っている手札をテーブルにオープンする。イタイノンはそのカードをよく見る。

 

「スリーカード・・・・・・」

 

ひなたの手札は同じ数字のカードが3枚揃っているだけの役であった。

 

「そ、そっちは、どうなの・・・?」

 

「・・・・・・キヒヒ♪」

 

今度はひなたがカードを出すように言うと、イタイノンは不敵に笑った。

 

「・・・・・・フラッシュなの」

 

「え、えっと・・・・・・?」

 

イタイノンは柄と数字が揃ったカードをオープンして広げた。ひなたはよくわかっていないが、つまりは・・・・・・。

 

「私の勝ちなの」

 

「うぇぇぇぇぇぇ〜!?」

 

イタイノンが敗北宣告をすると、ひなたは驚いた。

 

「そんなぁ・・・・・・また負けたの・・・・・・?」

 

「さてと、それじゃあ・・・・・・」

 

「っ!? い、嫌っ!!」

 

ひなたは地面をバンバン叩きながら悔しがっていると、イタイノンは罰ゲームをしようとする。それを聞いたひなたは離れるようにして後ずさる。

 

「あぁ、あぁぁぁ・・・・・・」

 

ひなたは涙目になりながら体をプルプルと震わせる。それは下着やパンツを脱がされることの恐怖なのか、それとも寒さ故に震えなのか。

 

「じゃあ、私の馬になれ、なの」

 

「・・・・・・へっ?」

 

イタイノンはそう言いながらひなたへと近づいていく。一方のひなたは突然、言われたことに思考が追いついていない様子だった。

 

「え、それってどういう・・・?」

 

「だから、馬になれって言ったの。そこで四つん這いになって、馬らしくするの」

 

「うぇ、い、嫌だよぉ!! こんなところでそんな格好するなんて、恥ずかしいじゃん・・・・・・!」

 

イタイノンが説明するとひなたはまたしても拒否して後ずさろうとする。

 

「ごちゃごちゃ言わずにさっさとやるの!!!!」

 

「嫌っ!! ちょ、ちょっとやめてよー!!! あ、し、下着取ろうとしないでぇ!!!」

 

「馬が嫌だったら下着を取ってやるの!!!!」

 

イタイノンは怒りながらひなたを無理やり四つん這いにさせようとして、ひなたは激しく抵抗する。しかし、今度はひなたの下着を引っ張ろうとし、それにも抵抗の意思を見せる。

 

「嫌ぁー! 嫌ぁぁぁぁ!!! わかったぁ!! わかったからぁ!! 馬になるってばぁ!!!!」

 

イタイノンに下着を引っ張られるたびに、怪鳥のような悲鳴をあげるひなた。それに耐えられなくなって観念したのか、ひなたは大人しく馬をやることを承諾した。

 

「うぅぅ・・・・・・」

 

ひなたは顔を赤らめながら、両手に地面をついて膝立ちの姿勢になる。これではまるで幼児が遊ぶようなお馬さんごっこの馬と一緒だ。

 

「ぐっ!?」

 

その屈辱的な姿勢の背中にイタイノンがずっしりと座るとひなたが苦鳴を漏らす。

 

「馬、早く歩くの」

 

「ぐっ、うぅぅぅぅ・・・・・・」

 

命令されたひなたは手と足に力を入れながらも、ゆっくりと馬のように歩いていく。

 

「うぅぅぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「ほら、もっと早く歩くの、ラバ」

 

ペチペチペチ!!

 

「ぐっ・・・・・・うぅぅぅぅ・・・・・・!」

 

イタイノンはすっかり汗だくのひなたにもっと歩くように要求し、布に覆われていない無防備なお尻を叩く。ひなたは顔を顰めながらも、歩みを進めていく。

 

「キヒヒヒヒ、いい感じなの♪」

 

イタイノンはまるでプリキュアを顎で使っているような感覚に、終始ご機嫌であった。

 

そして、数分後・・・・・・。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、ぐぇっ・・・!?」

 

散々歩き回されたひなたはそのまま疲れ果てて、地面へと倒れ伏してしまった。

 

「あ〜あ・・・もう潰れちゃったの」

 

イタイノンはつまらなそうにそう呟くと、ひなたが降りて立ち上がり、すっかり日が暮れている空を見上げる。

 

「ゲームには勝ったけど、もう満足したから帰るの」

 

「うぇ・・・?」

 

イタイノンが背後のひなたにそう言うと、全身汗だくのひなたが朧げな声を漏らす。

 

「・・・・・・・・・」

 

イタイノンは倒れ伏しているひなたを振り向いて見下ろす。そして、口元に笑みを浮かべた。

 

「今日は楽しかったの、キュアスパークル。また会おうなの」

 

イタイノンはそれだけ告げると、その場から姿を消していった。

 

ひなたはゆっくりとその場から立ち上がると、消えた場所をなんとも言えないような表情で見つめていた。

 

「おーい!! ひなたぁ!!」

 

「ニャトラン?」

 

と、そこへニャトランが飛んでこちらに近寄ってきた。そんな彼が見たものは下着とパンツ姿のパートナーの姿だった。

 

「って、うぉぉ!? ひなた、なんだよその格好・・・!?」

 

「え・・・っ!!??」

 

ひなたは自分の格好を見下ろすと、それに気づいて顔をリンゴのように赤くする。そして、ニャトランに背を向ける。

 

「み・・・見ないで・・・・・・」

 

「ひ、ひなた・・・?」

 

ひなたの恥ずかしそうな顔に、察しの悪いニャトランは朧げに呟く。そして、ひなたは頭から湯気を出しながら、体を震わせると・・・・・・。

 

「見ないでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「ぎゃあぁ!!??」

 

振り返りざまにニャトランをパンチで吹っ飛ばすと、自身の私服を抱えたまま泣きながら家の中へと走っていってしまった。

 

「な・・・お、俺が何をしたんだニャ・・・?」

 

地面に転がるニャトランは訳も分からず、そう呟くしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜、昨日はひどい目にあったよぉ〜・・・・・・」

 

「そのイタイノンは、お菓子を食べにきただけなんだよね?」

 

翌日・・・・・・学校に登校中、ひなたはのどかとちゆに昨日の出来事を話しながら、愚痴を漏らしていた。

 

「そうだったけどさぁ〜・・・あいつが地球を蝕まないかなぁ〜って怪しんで見張ってたら、散々いじられたの!! 追い返そうとやったゲームにも全然勝てなかったし〜!!」

 

「それはひなたが、単純だったからじゃないかしら・・・?」

 

イタイノンを擁護するわけではないが、ちゆはそう言うとひなたは体をピクリと反応させる。

 

「ちゆちー、それどういう意味!!??」

 

「え、えっと・・・だ、だから・・・イタイノンはお菓子をゆっくりと食べたかったのに・・・ひなたが単純にちょっかいを出したからそうなったわけで・・・・・・」

 

「うぇぇぇぇ!? それあたしのせいなの!!?? あたし、ビョーゲンズに疑いをかけて見てただけなのに!!??」

 

「ち、近い!! 近いわよ、顔!! え、えっと・・・・・・」

 

ひなたがちゆに怒りながら顔を近づけると、口を滑らせてしまったと感じたちゆが弁明する。しかし、ひなたはさらに顔を近づけて、ちゆは顔に汗を滲ませ・・・・・・。

 

「ほ、ほら!! 早く行かないと遅刻するわよ!!」

 

ちゆはその場から逃げるように学校へと駆け出していく。

 

「ちょっと、ちゆちー!! 逃げないでちゃんと説明してよ!!!!」

 

ひなたは腕を振り上げながら、問い詰めようとちゆの後を追いかける。

 

「ま、待ってよ〜・・・ちゆちゃん、ひなたちゃーん!!」

 

すっかり置いてけぼりを食らったのどかは彼女たちを追いかけるべく、駆け出していったのであった。

 

そして、その3人の様子をイタイノンがパンケーキをつまみながら見ていた。

 

「・・・・・・キヒヒ♪」

 

イタイノンは不敵な笑みを浮かべると、その場から歩いて何処かへ向かっていくのであった。

 

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