ありふれてない黒と器 作:銀煌
翌日から早速訓練と座学が始まった。
集まった生徒達に十二センチ×十二センチ位の銀色のプレートが配られた。その配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが前に出て説明を始めた。
「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。 自分のステータスを数値化して示してくれるものだ。 身分証明書でもあるからな、失くすなよ?」
気安い喋り方やその雰囲気で、亜墨にとっては
周りを見ると、生徒達が針を指先に軽く刺し、浮き上がった血を魔法陣に擦り付けた。亜墨も同じように血をつける。
メルド曰く、その時に出てきた色が自分の魔力の色のようで、亜墨は黒のような薄い灰色の様な色をしていた。
そこで、やっとステータスプレートに視線を落としてステータスを確認する。
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国路亜墨 17歳 男 レベル︰1
天職︰■■
筋力︰3
体力︰5
耐性︰3
敏捷︰100
魔力︰200
魔耐︰3
技能︰■■■■■■■・言語理解
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「は?」
思わず声が出た。明らかにおかしい部分が、というかおかしい部分しかない。
(おいおい、職業が分からんぞ?それに技能も隠れてやがる。つーか、魔力と敏捷以外なんで一桁なんだよ当たったら死ぬの?S○nsなの?)
全員がステータスを確認したのを見ると、メルド団長から説明がなされた。その説明を軽く聞きながら、亜墨はハジメの方を向いた。
「なぁ、南雲。お前はどんな感じだった?」
「あ〜、えっと〜、はい」
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル︰1
天職︰錬成師
筋力︰10
体力︰10
耐性︰10
敏捷︰10
魔力︰10
魔耐︰10
技能︰錬成・言語理解
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「これは......なんとまた」
「いわないで、国路」
イシュタルやメルド団長からの話だと、亜墨達のステータスは少なくとも倍はあると言っていたが、レベル1での平均は10らしい。ハジメはどうやら普通スペックのようだ。
「ステータスプレートの内容は報告してくれ。 訓練の参考にしなきゃならんからな」
その呼び掛けに光輝がまず一番に報告しに前に出た。
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天之河光輝 17歳 男 レベル︰1
天職︰勇者
筋力︰100
体力︰100
耐性︰100
敏捷︰100
魔力︰100
魔耐︰100
技能︰全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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(クソか...チートやんけ勇者)
職業が勇者なだけあって、ステータスは初期値でオール100これにはメルド団長も称賛している。亜墨の様なよく分からん職業と技能や変に偏ったステータスとは比べるまでもない。
「ああ、その、何だ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか......」
いつの間にかハジメの順番になっていたようだ。メルド団長は笑顔のまま固まり、次に歯切れ悪く錬成師について説明した。すると、檜山がニヤニヤとしながら声を張り上げる。
「ぶっはははっ〜、何だこれ! 完全に一般人じゃねぇか!」
「むしろ平均が10なんだから、場合によっちゃその辺の子供より弱いかもなあ〜」
「ヒャハハハ〜、無理無理! 直ぐに死ぬってコイツ! 肉壁にもならねぇよ!」
「おい、檜山っ!」
亜墨が檜山に声を掛けようとした瞬間。亜墨の中で
「南雲君、気にすることはありませんよ! 先生だって非戦系? とかいう天職ですし、ステータスだってほとんど平均です。 南雲君は一人じゃありませんからね!」
そう言って「ほらっ」と差し出したステータスプレートを見たハジメは、死んだ魚のような目をして遠くを見だした。亜墨も愛子先生のステータスをみると、苦笑して空を見上げた。
「魔力は天之河並、技能はそれ以上...別の意味でチートだ...。スローライフ出来そう」
ハジメに対する嘲笑は収まったが、これはこれでどうしたもんかと亜墨は乾いた笑みを浮かべた。
「最後はお前だ報告してくれ」
メルド団長が近づいてきて、そう言った、どうやら亜墨は最後のようだ。どっかの深淵卿が「俺は......?」と悲しそうに呟いていたが、それには誰も気づいていない。
「俺のステータスは......これです」
「!? ......これは、どうしたものか」
亜墨のステータスを見たメルド団長は、ハジメとか別の意味で固まってしまう。天職は不明、技能の一部も不明、敏捷と魔力に偏ったステータスにそれ以外はハジメより下。
しかも、属性の適性が何もないと言う事は、魔力はあるが大した魔法は使えないという事。宝の持ち腐れとはまさにこのことである。
「一先ず...色々やりつつ模索するしかないな...」
「はぁ...やっぱりそうなりますよね?」
メルド団長の言った事に同意しつつ、どうしたもんかと、溜息をついた。