ありふれてない黒と器 作:銀煌
トータスに召喚されてから二週間が経った。亜墨は自分に宛てがわれた部屋のベットに寝転がりながらこれまでのことを考えていた。
因みに、二週間、訓練をして亜墨のステータスがどうなったかというと......
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国路亜墨 17歳 男 レベル︰3
天職︰■■
筋力︰5
体力︰8
耐性︰5
敏捷︰160
魔力︰210
魔耐︰5
技能︰■■■■■■■・言語理解
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「...これといって上がってねぇ」
著しい成長は見られなかった。例の勇者様はレベルは10になってステータスはオール200だというのに。
ハジメは「自分にできることする」と言って訓練時以外は王立図書館に籠って知識を蓄えている。
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訓練の時間も近ずいてきたという事で、亜墨は訓練施設に向かっていた。施設に到着すると、既に何人か人がいて談笑したり自主練をしたりしていた。
ハジメは居るかと思って辺りを見渡すと檜山率いる小悪党四人組に絡まれていた。
「ほら、さっさと立てよ。楽しい訓練の時間だぞ?」
亜墨が見たのは、風の塊がハジメの腹部に直撃している光景だった。
「............おい、クソ山」
「ヒャハハハ!! あん?誰かと思ったけど国路じゃねぇか、雑魚はでしゃばってくんな」
「は? 誰が雑魚だ、てめぇよりは数倍はマシだタコ野郎」
「んだとコラァ!!!」
蹲っているハジメを庇いながら亜墨は檜山達を睨みつける、亜墨の言葉にキレた檜山は、魔法を打とうと詠唱しようとする。しかし───
「遅せぇよ」
亜墨は地面を蹴って加速していく。確かに敏捷は天之河に劣るが、この中で一番速いのは亜墨だ。
檜山との距離を詰めた亜墨は、檜山の喉を思いっきり突く。
「ふうきゅべっ!!?」
普段は出せないような声を出した檜山は、そのまま尻もちを着いて苦しそうに呻く。
それを亜墨は冷たい目線で見下しながら、
「失せろ、今後なんかしたら潰すぞ?」
「「ひっ!?」」
本気だと思わせる程の口調で告げた。取り巻き達は一瞬で顔を青くして檜山を素早く立たせて去っていった。
「南雲くん!? 大丈夫!?」
入れ替わるように香織がやってきた。香織はハジメの元までくると治癒魔法を使ってハジメを癒していく。
「何があったの?」
「ああ、檜山達が訓練って称して南雲をリンチしててな、ぶっ飛ばして止めたんだ」
雫が聞いてきたので包み隠さず全て言ったら、雫はあからさまに顔を顰めていた。バカ乃河がまた頭のおかしい解釈でハジメに向かって小言を言っていたがハジメは殆ど聞きに流していた。
「明日から実践訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。 必要な物はこちらで用意する。 気合いを入れろよお前ら! 今日はもうゆっくり休め! では、解散!」
伝えることだけ伝えるとさっさと行ってしまった。初めての実践訓練とのことで生徒達はざわざわとしていた。
(さて、と.....どうしようかねぇ...)
そこはかとなく嫌な感じを感じながら、亜墨は自分の部屋に戻って行った。
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【オルクス大迷宮】それは、全百層からなると言われている、七大迷宮の一つである。
亜墨達は、メルド団長率いる騎士団複数名と共に、【オルクス大迷宮】に挑戦する冒険者のための宿場町【ホルアド】に到着した。
二人部屋からなる宿なので、亜墨とハジメは自然と同じ部屋になった。
しばらくして、ハジメが迷宮低層の魔物図鑑を読んでいると、ウトウト眠くなっていたので亜墨も、明日のために十分に体を休めるために少し早いが寝ようとした。
「南雲くん、起きてる? 白崎です。 ちょっと、いいかな?」
扉のノック音で、檜山達が闇討ちに来たのかと警戒した二人だったが、思わぬ来客でほうけてしまう。
ハジメは慌てて扉に向かって、鍵を外して扉を開ける。
「なんでやねん...」
ほどなくして、ハジメのツッコミをしていた。関西弁で。
香織の姿を確認した亜墨はおもむろに立ち上がる。
「ちょっくら外の空気吸ってくるわ。それじゃ」
ハジメの懇願する目線をガン無視して部屋を出る。明日にはハジメも男になっているのか、と全くもって的外れなことを思いながら外に出向いた。
「ふぅ......この世界の夜空も綺麗なもんだな...」
そう言って夜空を見上げる亜墨。少しして、俺は何を言ってんだと羞恥に駆られるが、それが落ち着くと、右腕を掲げて、何かを掴むように拳を作る。
「必ず元の世界に帰ってやる、絶対に、だ」
亜墨はそのまま目を閉じると、香織の話が終わるまで静かに待つのだった。
次回、レッツゴーオルクス大迷宮(タイトルではない)