ありふれてない黒と器   作:銀煌

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オルクス大迷宮+グランツ鉱石+トラップ=あれ


やってきましたオルクス

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ、"螺炎 "」」」

 

 三人同時に発動した螺旋状に渦巻く炎がラットマン達を吸い上げるように巻き込み燃やし尽くす。

 亜墨達は現在、【オルクス大迷宮】に潜っていた。とは言ってもまだまだ低階層のここは、光輝達召還組にとっては弱すぎるようだが。

 

「ああ〜、うん、よくやったぞ! 次はお前等にもやってるからな、気を緩めるなよ!」

 

 生徒の優秀さに苦笑いしながら注意するメルド団長。その後は魔石の回収の事や「明らかにオーバーキルだ」と魔法支援組に言っていた。

 

 そこからは順調に進み、一流の冒険者か否かを分けると言われている二十階層にたどり着いた。

 ここまでの亜墨とハジメの戦闘と言えば、亜墨は持ち前のスピードを駆使して何度も斬って倒し、ハジメは地面を錬成して魔物を動けないようにしてから腹部めがけて剣を突き出して串刺しにしていた。まぁ、お互い、騎士団がけしかけてきた弱った魔物に、だが。

 しかし、騎士団達は、二人の戦闘を見て感心していた。

 亜墨はスピードで翻弄しながら、フェイントを織り交ぜて魔物を倒していること、ハジメは騎士団達も見たことがない錬成の使い方で魔物を倒していることに。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

 今日の実戦訓練の最後、二十階層の奥に着くと、メルド団長の声が響き、壁が変色してゴリラの魔物が出てきた。

 今は光輝達のグループが相手しており、ロックマウントは攻めあぐねていると感じたのか後ろに下がり仰け反りながら大きく息を吸った。

 

「グゥガガガァァァアアア────!!」

 

 直後、部屋全体を振動させるような強烈な咆哮が発せられた。

 

「ぐっ!?」

 

「うわっ!?」

 

「きゃあ!?」

 

 ロックマウントの固有魔法"威圧の咆哮"により、光輝達前線組が一瞬硬直してしまった。

 気を取り直して香織達が魔法を放とうとした時、投げられた石がロックマウントだと気づき、近ずいてきた。それには思わず「ヒィ!」と悲鳴を上げて魔法の発動を中止してしまう。

 

「こらこら、戦闘中になにをやってる!」

 

 メルド団長がダイブ中のロックマウントを切り捨てる。

 そして、まだ顔が青褪めていた香織達をみてキレる天之河。

 

「貴様......よくも香織達を......許さない!」

 

 怒りをあらわにした光輝。純白の魔力が噴き上がり、それに呼応するように聖剣が輝き出した。

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ、"天翔閃"!」

 

「あっ、こら、馬鹿者!」

 

 メルド団長の声を無視して放たれた斬撃はロックマウントの抵抗を許さず部屋の奥へ奥へ吹き飛ばし止まった。

 やってやったぜ感を出してイケメンスマイルで香織達に近ずいた光輝は近くにいたメルド団長の拳骨を食らった。

 

「この馬鹿野郎が。気持ちは分かるがな、こんな狭いところで使う技じゃないだろうが!崩落でもしたらどうするんだ!」

 

 メルド団長のお叱りにバツが悪そうに謝罪する光輝。亜墨はそれを見てゲラゲラと笑っていた。

 その時、ふと香織が崩れた壁の方に視線を向けた。

 

「......あれ、何かな? キラキラしてる」

 

 香織が指さす方には、青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。香りを含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。

 

「ほぉ〜、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

 

「綺麗......」

 

 メルド団長の簡単な説明を聞いて頬を染めながら更にうっとりする。そして、誰にも気づかれない程度にチラリとハジメに視線を向けた。もっとも雫や亜墨、それともう一人だけは気づいていたが。

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

 そう言って檜山は動きだした。メルド団長は慌てて止めようとするが、グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登ってく。

 

「団長! トラップです!」

 

「ッ!?」

 

 騎士団員が警告するが。一歩遅かった。

 檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。

 

「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」

 

 メルド団長の言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かう。しかし亜墨は既に間に合わないと見切りをつけて、ボソッと呟いた。

 

「転移系のトラップの予感...」

 

 次の瞬間、亜墨達の視界を真っ白に染める。それと同時に、一瞬の浮遊感が襲った。

 一気に気配が変わったのを感じる。亜墨は周囲を見渡すと、メルド団長や騎士団員達、光輝達など一部の前衛組の生徒は既に立ち上がって周囲を警戒していた。

 

「お前達、今すぐ立ち上がって、あの階段まで行け。 急げ!」

 

 しかし、両サイドのおびただしい程の魔法陣が現れ、そこからは大量のトラウムソルジャーが出現する。

 ただ、一番危険なのは反対の通路だ。

 誰もが足を止め呆然としている中、メルド団長が呻くような呟きがやけに明瞭に響いた。

 

「まさか......ベヒモス......なのか......」

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