ありふれてない黒と器   作:銀煌

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あの例のあれが明かされます!


目覚め

「............んっ」

 

 奈落、水が流れる近くに一人の少年が倒れていた。

 いつの間にか彼を包んでいた〝黒〟はなくなり、内部から破壊され身体中から血を出していたのが嘘みたいに体が綺麗になっていた。

 

「あっ...れ? 俺は...魔物を喰って」

 

 死んだはず...と、消えるように呟いた亜墨は、その場で屈伸したり飛び跳ねたりして体の調子を確認していた。

 

「......全く異常なし、というかすこぶる調子がいい」

 

 前までの苦痛が嘘の様に感じる亜墨は、疑問に思いながらも喉の乾きがあったので水を飲みに行く。すると、必然と水面には自分の顔が映るのだが、そこに映っていたのは。

 

「は? なんでだ?」

 

 髪色は変わっていない、いや、前よりか少し黒くなっているが、そんなものは誤差の範囲でしかない。

 亜墨が驚いた理由は───

 

「紫?」

 

 瞳の色が薄い紫になっていた。

 

「おいおいおい、俺って黒髪黒眼だったよな!? なんで黒髪紫眼(しがん)になってんだ!??」

 

 魔物を喰らった影響か、例の〝黒〟の影響か、よく分からないが、明らかに瞳の色が変わっていた。

 

「はぁ...仕方ない。ここで何言っても仕方ないんだ。 もうここに南雲はいない。別の場所に行くしかねぇ」

 

 そうと決まれば、と思い。 立ち去ろうとすると。

 

「あっ、ステータスプレート落としてんじゃん」

 

 痛みで暴れてた時に落としたステータスプレートを拾った。

 

「なんか変わったんかね〜って、は?」

 

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国路亜墨 17歳 男 レベル14

天職:器

筋力:180

体力:290

耐性:200

敏捷:540

魔力:610

魔耐:300

技能:■■■■■■■[+黒の適性]・魔力操作・胃酸強化・天歩・[+空力][+縮地]・言語理解

=================================

 

(待て待て待て待て待て、うん。上がってんな。今までの訓練が鼻で笑えるレベルで上がってる。 考えられる影響は魔物を喰ったことか?)

 

 ステータスが急激に上がり、技能も増えている。恐らく、これは蹴りウサギの固有魔法だろうと、亜墨は当たりをつける。

 それはいい、しかし、一番の問題は...。

 

「この相変わらず分からねぇやつ。 そもそもなんなんだよ〝黒〟って。.........しゃーね。色々試してみるか」

 

 まずは魔力操作。亜墨は集中すると、黒い線が薄らと浮かび上がった。体全体に感じる感覚を左手に集束するイメージをすると、奇妙な感覚だが黒色の魔力が移動した。

 

「お、おぉ......つまりこれは詠唱いらずってことか? ていうか魔力の色よ、薄い黒から真っ黒になってるやん。墨汁でもぶちまけたんか」

 

 亜墨の墨と墨汁の墨を掛けたのだが、ここには誰もいない、ツッコミを入れるものなどいないのだ。

 

「......悲しくなってきた。 次だ次!!」

 

 次は天歩。一様、蹴りウサギのことは見たことあるのでどれがどんな感じなのかは大体が想像がついた。

 [+縮地]、天歩から派生しているこの技能は誰でも知っている高速移動のこと、初めは加減が難しく顔面から壁にダイブしてしまっているが。要練習すれば大丈夫だろう。

 [+空力]、これが一番難しかった。とりあえず飛んでみたり「空力!空力!」と声に出しながらやったが効果はなし、しかしふと、空中を足場にしていたのでは?と蹴りウサギが[+空力]を使っていた時を思い出して見えない地面を想像しながらなったら。

 

「おっ!成功だぁぁ!!?」

 

 成功した途端、前から思いっきり倒れて顔面を打った。そのまま呻きながら地面を転がり、痛みが引くのを待つ。

 

「うし、大丈夫だ、成功は成功だ。よし次ぃ!」

 

 もはや深夜テンションばりの域に達している亜墨のテンションは誰にも止めることができない。そもそも止める人もいないのだが。

 

「さぁーて。 よく分からん技能の派生[+黒の適性]ってやつを使ってみるか」

 

 まずは集中、魔力操作と同じ要領で〝黒〟というのを出す。

 

 ────ゾワァ

 

 足元から〝黒〟が蠢くように広がる。

 

「なんか...ドロってしているような。 ......よくわかんねぇな、とりあえず。他の魔法の様に...〝黒弾〟」

 

 そう口にしながら、〝黒〟が手に集中すると球体になり、前の壁へと飛んでいった。

 

「おお! すげぇ、他のなんとか弾と同じ威力だけどできたわ!」

 

 魔法という魔法が使えなかった亜墨にとって、これはかなり嬉しいことだった。興奮した亜墨は〝黒〟を操作して、壁にしたり鋭くさせて伸ばしたりと色々なことをした。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「...結局、下に行く階段しかないか」

 

 ため息をつきつつも覚悟を決めた亜墨は何も無い所を掴むようにして──

 

「〝黒剣(こっけん)〟」

 

 と、呟いた。

 すると、何も無い所から突如ズズズッと〝黒〟が出てきたと思うと形を変え、剣の形になった。

 

「行くか。 何が来ても、殺して喰らえばいい」

 

 亜墨は不敵な笑みを浮かべると、下への階段を駆け下りた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 下の階層は一言で言うと暗い、ただただ暗かった。緑光石を〝黒〟に軽く巻き付けて、右手には黒剣、左手は何が来ても対応出来るように空けている。

 

「恐れ入るぜ、〝黒〟は想像さえ出来れば大体何でも出来んな」

 

 そんなことをボヤきつつ暗い道を照らしながら歩いていると二メートル程の灰色のトカゲがいた。

 

「ッ!? 〝黒壁(こくへき)〟!!」

 

 咄嗟に黒い壁を出したのは正解だった。〝黒壁〟の表面はパキパキと音を立てて石化していく。石化した所からすぐさま崩れていくのを見て亜墨は舌打ちしながら。

 

「死ね、クソトカゲ!!」

 

 〝黒剣〟をぶん投げた。安易に近づくとまた石化されかねない為、早急に手を打つ必要があったのだ。〝黒壁〟を消した亜墨はすぐさま右手に持っていた〝黒剣〟をぶん投げて灰色トカゲ、もといバジリスクのど頭を貫く。剣とは一体何なのだろうか。

 

「どんどん行くぞオラァ!!」

 

 そう叫んで暗い道をダッシュで走っていく亜墨だった。

 ここからは、亜墨の迷宮攻略をダイジェストにお送りしようと思う。

 

「邪魔だ〝針山〟!」

 

 黒く鋭くした〝黒〟をいくつも発動させて魔物を串刺しにする。

 

「ハーハッハッハッ!!魔物相手に触手プレイとかつまんねぇなオイ!〝黒触(くろしょく)〟!」

 

 空に飛んでる魔物を黒い触手で捕まえて黒剣で斬る。

 

「厨二病と言えばこの技ァ!!〝黒炎(こくえん)〟!」

 

 黒き炎で全てを燃やした。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「.........何やってんだ俺」

 

 五十階層を超えた辺りから亜墨は冷静になり始めた。冷静になり始めた理由は五十階層のよく分からない広場の激しい戦闘の後。大迷宮の特性か分からないが、少しずつ修復されているが少なからず誰かが居たのだろう。

 

(南雲、お前生きてるのか? 五十階層の戦闘跡、お前がやったのか?)

 

 亜墨は親友の事を考えながら85階層を駆け抜けていた。

 現在の亜墨のステータスは、以下の通りである。

 

=================================

国路亜墨 17歳 男 レベル:74

天職:器

筋力:1880

体力:2040

耐性:1920

敏捷:2800

魔力:3140

魔耐:1750

技術:■■■■■■■[+黒の適性]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・念話・言語理解

=================================

 

「ステータスは初めての魔物を喰えばまだ上がるけど、固有魔法があんま増えねぇな」

 

 理屈は知らないが、固有魔法の取得は段々と難しくなるのだろう。亜墨は自分が目が覚めた所を一回層にして数えた時に、五十階層で知らない内に何かがあったのだから百階層にもきっと何かがあるのだろうと思っていた。

 八十四階層を攻略していると、ある意味では聞き慣れた、ある意味では聞きなれない音が聞こえた。

 

 ドパンッ!ドパン!ドパン!

 

(銃の音!? なんでこんな世界に銃なんて...まさか!?)

 

 自分でも信じられない程のスピードで駆け抜ける。段々とその音が大きくなっていった。期待と不安、二つの感情がぐるぐると入り交じり変な汗が出てきた。

 

「ユエ! そっちを頼む!」

 

「んっ、任せて。〝緋槍〟!」

 

 次第に二人の男女の声が聴こえてきた。心臓がうるさく鳴る。少しずつスピードが落ちていき、二人の男女の所に着く頃には歩いていた。そして、ゆっくり深呼吸して目を開けるとそこには───

 

 白髪の少年が銃を片手に、金髪の少女が自分の体の一部ように魔法を扱っている光景が目に入った。

 二人が難なく魔物を倒し終わったを見ると震えるような声で、白髪の少年へと声をかけた。

 

「南雲っ.........生きてたのか」

 

 白髪の少年、南雲ハジメは一瞬驚いた様に目を見開いた。そして、銃、ドンナーを構えると。

 

 

 

 

 

 

 

「誰だ、お前」

 

 

 

 

 

 

 

 その引き金を引いた。




なぜハジメがこんな事を言ったか。
それは次回に分かります(にんまり)
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