ぱらルカさんのくえっぽい世界の冒険   作:両生金魚

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よくよく考えるとエンリカの服も間違いなく強化してるよなあって事で、最大強化品であるパンデモニウムを装備していることにしました。
しかし、服の最上位装備でも、服ってカテゴリ自体が弱いから他にも劣ってしまうのが悲しみ


サン・イリアの忙しい一日

 今度こそナタリアポートでの用事を終えて、サン・イリアへ向かう一行。その道中でも当然様々な魔物に出会っていく。イリアスはロリな姿にされた時に相当弱体化された分、それなりに強いセントラ大陸の魔物と一戦する事に確実に強さが向上し、新しい技も覚えていく。

 

「卑しき獣……滅びなさい!」

 

イリアスは獣を狩るための矢、ビーストキラーを放った!

 

「う、うがーっ!?」

 

グリズリー娘をやっつけた!

 

「毒婦たる草花……滅びなさい!」

 

イリアスは植物を狩るための矢、フラワーハントを放った!

 

「あたしがやられちゃうなんて……」

 

ウツボカズラ娘をやっつけた!

 

「氷の矢、悪を凍てつかせなさい!」

 

イリアスは氷を宿した矢を放った!

 

「そんな……この私が……」

 

ラミアをやっつけた!

 

「炎の矢、悪を焼き払いなさい!」

 

イリアスは炎を宿した矢を放った!

 

「ゆらり……ぱたん」

 

わかめ娘をやっつけた!

 

 

 と、道中に出てくる魔物に合わせて手を変え品を変えて次々と撃破していった。

 

「なるほど、これが強くなっていく感覚ですか……一部の人間が夢中になって鍛えるのも分かりますね」

 

 生誕してからずっと並び立つ者が邪神しか居らず、それ以下の相手はただ雷を撃つだけでその生命を終わらせられてしまう女神イリアスにとって、この様に努力して成長していくというのはそれだけで未知で楽しい経験だった。

 

「相手が強いからかそれにしても成長速度が凄いですね……」

 

「当然です、私は女神なのですよ」

 

 と偉そうにするが、ちびっこがえっへんと胸を張っているようにしか見えなくてとても微笑ましい光景だ。もっとも、それを言うと間違いなく怒るので言わないのだが。一方不機嫌なのは魔王様。立場上共闘なぞ出来るはずもなく、バリバリとその辺に生っていたくるみを殻ごと噛み砕いていた。もっとも、夜になると逆にロリアス様が教えられる技術は何もなく、逆にぷぅと頬を膨らませているのだが。

 

 

 

 そんなこんなで3日後、サン・イリアに到着する。元の世界と変わらぬ、美しい水の都だ。だがしかし、当然魔物の姿は一切見えない。

 

「やっぱり魔物はいないか……」

 

「当然だろう、こんなイリアス臭い場所に魔物が寄り付くか」「穢らわしい魔物などこの聖都には不要です」

 

 と二人からツッコミを入れられる。それがこちらの世界の当たり前なのだろう。だがしかし

 

「僕の世界だと、普通にサン・イリアにも旅の途中の魔物が寄ったり、シスターになった魔物が教会で働いていたりしたからね……」

 

 それはルカにとっての当たり前ではなかった。

 

「なん……」「ですって……!?」

 

 ものすっごいびっくりする二人。まあ当然だろうか。

 

「待て待て待て、向こうでは30年ほどイリアスが消えていたのだろう!? 何故それなのに魔物がシスターなどになる!?」

 

「魔姦の禁が忘れられちゃった代わりに魔物との交流が増えたからね。人間の信仰心は薄れていったけど、逆にイリアス教に傾倒する魔物が増えたみたいなんだよ。弱肉強食の掟に疲れて、神の元の平等なイリアス教惹かれちゃうんだって」

 

「なんたる……なんたる……」「まさか人の代わりに魔物が私を崇めるなど……」

 

 二人共相当なショックの様だ。もっとも――

 

「まあ、僕としても、魔物を全く見ない町や村が多いのはショックなんだけどね……」

 

 世界によって違う常識に、ショックを受けているのは同じだった。

 

「……私が30年見守らなくても人間は平気だったのですか?」

 

 少し寂しそうな顔で聞いてくるイリアス様。

 

「は、はい。色々と世界に問題は起きてるけど、それでも元気にやってます。天使たちも、天界が地上に落ちてからは畑を耕して動物を飼って、ご飯を食べてそれなりに充実して暮らせていました」

 

「…………」

 

 寂しいような、少しうれしいような複雑な表情。向こうでも見た事がある。

 

「ふんっ。当然だろう。人も、魔物も、その天使とやらだってそこまで弱いわけでもあるまい」

 

 そして珍しく口を挟むアリス。女神の過保護を指摘しているのか、ひょっとしたらフォローしているのだろうか?

 

「……そう言えば、こちらでも私はしばらく姿を見せていないのですよね。教会の上層部は混乱しているでしょうし、様子を見てみましょう」

 

 と、観光もせず真っ先へ城へと向かうイリアス様。アリスと同じ様に人里などでは背中の羽を隠しているので、特別扱いもされずに法皇様と謁見する為に3日も待たされる様だ。ルカにしても今度の旅は勇者として登録されていないので特別謁見許可なども当然出てないようだった。

 

「ぐぬぬぬぬ……この私を3日も待たせるとは……真の姿さえ見せられれば……」

 

「天使が降臨したとか間違いなくとんでもない事になるでしょうし止めて下さいね……」

 

「しかし、こんなイリアス臭い街で3日も過ごせだと? 余を暇殺す気か?」

 

「迷惑をかけない下水にでも一人で行って野垂れ死んでいなさい……と言いたい所ですが、確かに私も暇ですね」

 

 ぶーぶー文句を言う二人。まあ、ルカとしても初めて訪れた時は豪華絢爛な建物に感動したものだが、今はもう何度も出入りしたので見慣れてしまっている。

 

「この辺にはカジノも無いし貿易都市って訳でもないし……あ、でもイリアス教関連のお土産なら沢山有るよ」

 

「何が悲しく魔王がその様な物を買わねばならん」

 

 まあ当然の如く約一名からの大ブーイングで却下されるのだが。とまあ、三人が本当に暇そうに城をぶらぶらしていると、衛兵隊長が大慌てでこちらへやってきた。どうやら最優先で会ってもらえるらしい。

 

 そして、王の間へと呼び出され、目にしたのはこちらの世界の法皇様。じーと見るが、特に不自然な所は見当たらず、動きに合わせて微かな機械音もしない。どうやら完全な生身の様だ。そして、自分が祝福を受けて無いと言うと、イリアス様のお告げの通りだと喜ばれた。

 

「……そう言えば、ルカの旅立ちの日に法皇に告げていましたね」

 

「まあ、こちらとしては優先して手伝ってくれそうでありがたいんですけど」

 

 法皇が道を示そうやら三賢者を尋ねるのやらと話しているなか、こそこそ話をする二人。なんだかんだ、サン・イリアとイリアス教会の力は侮れない。さてどんな支援を貰えるかなと思ったら――

 

「三賢者に認められた者にのみ、私はこれを授けよう――!」

 

 と、玉座の隣りにあるやたら綺麗に装飾された剣を見せられた。金銀宝石が散りばめられて確かに宝物としての価値は高そうだが……

 

「……あの、イリアス様。あの剣、やたら弱そうなんですけど。女神の宝剣なんて名前のくせに。向こうだとミスリルで出来てたらしいので向こうの世界のほうがまだ普通に使えそうなんですけど」

 

「……あれはあくまで象徴なのです。本来なら別のところであなたに隕鉄の武器を渡す予定だったのですよ」

 

 気まずそうに目をそらす女神様。しかし、まさか女神様の宝剣を疑うことなど法皇の身では想像だに出来ないのだろう。あらゆる魔物はひれ伏しだの、魔王さえ逃げ惑うだのと誇らしげに語る法皇様があまりに不憫だった。

 

「……あの、イリアス様、後でフォローしてあげて下さい、ホント」「……ええ勿論、信心深い信徒には天界での素晴らしい暮らしが待っていますから」

 

 流石の女神様も地上でも一、二を争う位に熱心な信徒に対しては良心が痛む様子である。冷や汗をかきつつ実に気まずそうにその姿を眺めている。

 

「さあ、三賢者から証を手に入れてまいれ! そうすれば、お主にこの剣を授けよう――」

 

「下らん茶番だ、付き合っていられるか」

 

 そしてそんな中、おもむろに剣に近寄ってあっさり砕いてしまうアリス。あまりの事態にサン・イリア王は顔面蒼白、口を開けたままガクガクと震え、目は虚空を向いて、しまいには「ああ、イリアス様、刻が見えます……」と見えてはいけないものまで見えてしまっているようだ。正直ものすっごくいたたまれない。

 

「アリス……やりすぎだよ……」

 

「うるさい。こんなガラクタに余が逃げ惑うと言われたら腹も立つに決まっておるわ」

 

「ああ、魔王の暴虐を止められないとはなんと嘆かわしい……」

 

 精神ダメージが凄まじいことになっているサン・イリア王。当然、衛兵隊長が慌てて駆け込んできて、無残な姿の王と宝剣の姿に血相を変える。

 

「ル、ルカ殿……これは……!? いったい何が……!?」

 

「えっと、魔王がいきなりやってきて宝剣を砕いたんです」

 

 と、純度100%の真実を告げると今度は城内が大騒ぎになってしまった。ドサクサに紛れて、脱出する三人。最初のうちこそドタバタドタバタ大騒ぎだったが、あまりに静かなのでだんだんと冷静になってくる兵士たち。

 

「げっ、完全に落ち着く前にさっさと逃げよう――」

 

 と走り出そうとした瞬間、今度は凄まじい轟音と衝撃が城に響き渡る。

 

「しゅ、襲撃だー!?」「それは分かっている!!」「ち、違う、襲撃してきたのは四天王のグランベリア――ぐはっ!?」「な、なにが……がはっ!?」

 

 激しい騒ぎも兵士たちの声も、すぐに小さくなっていく。そして、騒ぎの中心人物が目の前に現れる。

 

「まさか……」

 

「おのれ、我が聖都に襲撃を仕掛けるとは……!」

 

 そして、他の兵士や騎士には目もくれず、真っ直ぐとこちらへやってくるのは、四天王のグランベリア。

 

「おのれ、グランベリア……イリアスヴィルのみならず、この聖都までをも己の手中に収めようとするとはなんと不遜な……!」

 

「……貴様がルカにくっついている天使か。退け、お前では相手にもならん。それにこんな虚飾の城などに興味は無い。私が興味があるのは――お前だけだ、ルカ」

 

 今にも戦いたくてうずうずしている様だ。「お、おのれ――!」「一斉にかかれーっ!」と攻撃してくる相手を、今度は纏めて弾き飛ばした。ロリアス様も言い様が我慢ならないのか矢を幾つも射掛けるも、その全てが軽く弾かれてぐぬぬとしている。

 

「……まだ、装備は整えられてないんだけどね」

 

 とりあえず、イリアス様にも攻撃が行かないようにとすっと射線を遮って前に出るルカ。剣もカスタムし始めてきているし、防具もエンリカの服を強化してもらい、パンデモニウムと呼ばれるまでに引き上げたが――それでもあくまで服だ。グランベリアを相手にするなら、どうしても硬い鎧や重鎧が欲しいのだが……

 

「……ふんっ。他の四天王とも楽しくやっている様ではないか。アルマエルマにも目をつけられ、たまもとは宜しくやったそうだな? ……魔王様とも。それにあちこちで魔物に手を出している様ではないか――少し私にも付きあえ」

 

 何だか微妙に目が怖いグランベリア。どうやら引いてくれる気は無いようだとルカはため息をつくと、エンジェルハイロウとカスタムソードを構える。

 

「ほぅ――二刀流か。随分と堂に入った構えだ。面白い」

 

「みなさん、グランベリアは僕が相手をします! 負傷者を連れて、どうか下がって!」

 

「し、しかし……」「ほら、あなた達は邪魔なのです!」「とっとと下がれ、巻き込まれたら死にかねんぞ」

 

 一人にしてはおけないと渋る衛兵たちを、無理やり下がらせるロリアス様とアリス。

 

 

「さて、これで邪魔者はいなくなったな。では、いざ尋常に――」

 

「勝負!」

 

 豪剣の使い手と、二刀流の使い手――全く異色の剣士同士の戦いの火蓋が切っておとされた。

 

 

「其れは英雄の物語。世界を巡り、精霊と心を通わせ、終には魔を打ち破るに至った彼の名は――」

 

ルカは英雄譚を語った!仲間に勇気が漲ってくる!

 

「くっ! 阻止はできんかっ!」

 

 初めは完全な初戦の再現だ。疾く攻撃を突きこんでも、その前にルカの自己強化が完了してしまう。

 

ルカに889のダメージ!

 

 だが、ダメージは確実に減っている。そして何より、武器が大幅に変わったのだ。

 

「地に堕ちし剣、天を仰ぎて是を裂く! 東天に輝け! 裂空堕天斬!」

 

ルカは聖波動を込めた剣戟を放った! グランベリアに98863のダメージ!

 

 天使殺しが使い続けた剣と、天使の祝福を受けた剣による、堕天使の斬撃。その聖なる力がグランベリアを薙ぎ払う。自己強化までして放ったその一撃は、過去に相手をしてきたどんな剣士の一撃よりも更に鋭く力強かった。その身に攻撃を受けているというのに、グランベリアからは愉悦の表情が見て取れる。

 

「炎に舞え! 覇竜の刃! 皇竜九炎陣!」

 

グランベリアは皇竜九炎陣を放った! ルカに2881のダメージ!

 

 返すグランベリアが放つのは、竜族の秘奥義。刃に宿した炎が、凄まじい連撃となってルカを襲う。防具を新調したせいか、グランベリアの斬撃は前回よりも更に容赦が無くなっている様だ。

 

「ふっ、その服は、下手をすればオリハルコンの鎧にも匹敵するのではないか?」

 

「まだ、グランベリアを相手にするには不足だと思うけどね!」

 

 前回の戦場は広場、今回は城の中の通路。壁も天井も近い。ならば、自分の強みを活かすのみ――!

 

「穿け、勇者の槍! 天魔頭蓋斬!」

 

「それは、ハーピーの技っ!?」

 

 身軽な体を活かし跳ね回り、壁も天井すらも足場にして、意識外からの奇襲を狙う。だが、グランベリアもずっと豪剣を振り回し続けてきたのだ。初動が遅れたとしても、致命傷にはさせずに弾き返す。

 

「はぁあああああああああっ!」

 

「でやあああああああああああっ!」

 

 剣と剣がぶつかりあう度に衝撃波が飛び、踏み込む毎に床や壁にひびが入る。一流の戦士でなければ近付いただけで死に至るような戦闘空間と化した城の一角で、二人はひたすら剣戟で語り合う。

 

 地形が変われば、戦い方もまた変わる。武器が変わり、本数が変わり、防具が変わり、前回とは別人のような戦いぶりで、また遥かに手強くなっていた。その事が、楽しくて仕方がない。

 

「はぁっ、はぁっ、やるな、ルカ……」

 

「そっちこそ、はぁっ……流石は四天王……」

 

 もう何十度目かの剣の交差の後、一度離れて間合いを探り合う二人。どちらも傷はそれなりに深いが、まだまだ行ける――と踏み出そうとしたその時。

 

「二人共、そこまでだ」

 

 突然アリスが割って入った。

 

「なっ!?」「ま、魔王様……!?」

 

 幸い、戦いがあまりに激しすぎて話が聞こえる範囲には他の人間はいないようだ。

 

「……楽しそうな所を邪魔して悪いが、何もこんなイリアス教の総本山で決着を付けることもあるまい。それに、もうこの辺りは瓦礫の山だぞ」

 

 見れば、見事な彫刻が施された壁やら、質の良い調度品やら、挙げ句にはイリアス像やらが見事にボロボロであった。

 

「…………」

 

 ルカは冷や汗を流して顔を青くするが、グランベリアは尚も不満顔である。

 

「し、しかし……」

 

「しかし……なんだ?」

 

 ギロリと睨まれてもまるで怯まずジト目で睨み返すグランベリア。

 

「……魔王様ばかり、少々ずるいのではないかと」

 

「はぁっ!? 何故そうなるっ!?」

 

「魔王様はルカとずっと旅をしている様ではないですか……毎日楽しくやっているからそんな事が言えるのでは?」

 

 思わぬ部下からの反撃に「うっ」とたじろぐ魔王様。心なしかグランベリアの威圧感が増えているような……

 

「と、ともかくだ、暴れるのなら他の迷惑のかからない場所ででもやれ!」

 

「………………………了解しました」

 

 たっぷり30秒は気まずい沈黙が訪れ、不承不承に頷いた。

 

「…………では、次はちゃんと鎧も用意しておくんだぞルカ。また会おう」

 

「う、うん……」

 

 なんとも締まらない終わりであったが、ようやく一息が付けたルカ。回復しながら改めて周囲を見渡すと、爆弾テロでも起きたのかという有様であった。

 

「さて、ルカ。少々お話があります」

 

「ひえっ!?」

 

 そして、底冷えのする声と共に肩にポンッとイリアス様の手が置かれる。声色だけで凄まじくご機嫌斜めなのが分かる。

 

「い、一体何をお怒りに……?」

 

「あれです」

 

 と、指差した先を見れば、イリアス像が真っ二つになっていた。他にもイリアスや天使たちの描かれた絵画やらステンドグラスやらもボロッボロである。

 

「えっと……あの……戦いに夢中で、気が付かなくて……ゆ、許して頂けませんか?」

 

 てへっ♪と可愛い顔で許しを請うルカであったが

 

「ダメです♪」

 

 当然許されるわけもなかった。グランベリアとの激闘で休ませなければと強引に城の一番いい一室をもぎ取ると、そこへ連れ込むイリアス様。それからしばらく、ルカの「あひぃぃいぃぃぃいいぃぃいぃっ!?」「そ、そんなぁぁ……」「ふぁあああああああああっ!?」「ゆ、許してぇぇぇぇぇっ!?」「も、もう出さえて下さい……っ!!」

 

 と、結界の張り巡らされた部屋から焦らしプレイの悲鳴は途切れることは無かったのであった。




お話の都合上イリアス様がサン・イリア王に告げた時間をちょびっと変えております
しかし、そろそろルカさんの身体が持つのか心配になってきた……
あと、恐らく現段階で四天王の内の3人の襲撃回数が増えそう(無計画感)
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