ぱらルカさんのくえっぽい世界の冒険   作:両生金魚

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ある意味アリスの一番のやらかしだと思っているイベントです
そしてまさかランキング入りしてるとは。R-18のニッチな同人ゲー原作で入れるとは本当にびっくりです。こんなに同士が居たとは……w


魔王様、叱られる

 グランベリアとの激闘の後、即焦らしプレイからのお仕置きで搾り取られてしまったルカは、一通り休憩が終わるとサン・イリア王に呼び出された。

 

「ど、どどどどどうしよう……弁償しろ言われたら今持ってるお宝全部使っても払いきれないよ……」

 

「くくくくく……勇者が賠償金を支払えず牢屋行きというのも面白そうだな。それとも脱走してみるか?」

 

「そ、そんなの嫌だよ!?」

 

 動揺するルカをからかうアリスは実に上機嫌そうだ。まあイリアス教の中心地が無茶苦茶になったのでさぞ愉快なのだろう。だが、そんな心配は無用だったようだ。

 

「おお、祝福なき勇者ルカよ、よくやってくれた。なんとあの四天王を一騎打ちの末に追い払った様ではないか」

 

「え、ええ。でも、城が滅茶苦茶に……」

 

「なに、形ある物はいずれ壊れる。全ての命が等しく死からは逃れられぬ様に。確かにイリアス様の像は壊れてしまったが、それはまた作り直せる。だが命だけはどうにもならぬのだ。その生命を、凶悪な魔物から守ってくれた事に感謝こそすれ、守ろうとして壊れてしまった物に対しての責任など問えぬよ。人々を守った結果ならば、イリアス様も強くお咎めはすまい」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 膝を付いて礼を述べるルカ。優しく諭してくれるその姿はまさしく賢者そのものだった。アリスも「ほぅ……」と、評価を少々上方修正した様だ。

 

「……」

 

 しかし、微妙に気まずげなのは横のイリアス様。もうとっくに怒って懲罰も与えた後なので暗に無慈悲と言われたようで冷や汗を流していた。その様に更にアリスがくくくと笑う。

 

「さて、勇者ルカよ。本来ならば四天王を退けたとの事でその武勇を称え女神の宝剣を渡したかったのだが……破壊されてしまったのでな。代わりに何か望みはあるかね?」

 

 いやまあアレは武器としてはガラクタだったんですけどとの言葉は勿論胸にしまい込み、少々悩む。サン・イリアでやる事……まさかラダイト村の無いこちらにマキアの研究所は無いだろうし……いや、そう言えば図書館が迷宮化していたなと思い出す。

 

「それでは、図書館に入ってみてもいいでしょうか?」

 

「おお、既に相当の武を持っているのに更に知の探求も怠らぬとは、流石イリアス様に認められし勇者よ。勿論、すぐに許可を出そう。お主なら、いつでも好きな時に好きなだけ入ってくれて構わぬ」

 

「ありがとうございます」

 

 また頭を下げて礼をして、王の間から退出する。

 

「くくく、どこぞの女神と違い随分と寛大な王であったなあ、アイリス?」

 

「ぐぎぎぎぎぎぎ……」

 

「相変わらず仲が悪いなあ……」

 

 こんなやり取りももう慣れたなと思いつつ、図書館へと向かう。グランベリアと激闘を繰り広げたのはもう城中に広まっているのか、衛兵や騎士はこちらを見ては礼を述べたり敬礼をし、婦人の方々からは熱い視線が注がれる。

 向こうの世界でも似たような扱いをされていたが、こっちでも勇者として認められてくるのかな?と思いつつ、地下の大図書館への階段を降りていく。

 

「それで、こんな所に何用なのです?」

 

「向こうの世界だと魔物がうろつくダンジョンに変わってたんですよ。だからひょっとしたらこっちでも何か異変が起きてるんじゃないかって思って」

 

「……迷宮とは化してないが魔物は居るようだな」

 

 アリスがその辺の本に腰掛け、ひくひくと鼻を鳴らす。

 

「なんと……我が聖都まで穢れた魔物が身を潜めているとは何たる不遜! ルカ! 一匹残らず誅するのですよ!」

 

「は、はい……」

 

 戦わず穏便に済ますのは無理そうだなあと苦笑する。まあ、何とか封印で済ませて貰おうかと二人で魔物の気配を探り始める。だが、沢山住み着いてるわけでもなく、更に一箇所に集まっているのか場所はすぐに見つかった。

 

「えーと、この本だ。題名は……【四精霊信仰とその源流】!?」

 

「なんと、あの忌まわしき四精霊の本がこの聖都に残っているとは……今すぐに焼き捨てるのです、ルカ!」

 

「ま、待って下さい!? これは、向こうの世界で父さんが読めって言ってくれた本なんですよ!?」

 

「マルケルスが……!?」

 

 これに魔物が挟まっているという事は、やはりこれを見つけるのが運命という奴なのだろう。内容が変わっていないか開いてみると、おもむろに一体の魔物が飛び出した!

 

17ページが現れた!

 

「この書を読むことを禁ずる……」

 

「――確か、向こうでも魔物が魔王の意志で守ってた……!」

 

 本を放り出して、剣を構えるルカとすぐさま弓を構えるロリアス様。

 

「そう、魔王様の意志により――「邪魔ですっ!」なっ」

 

 だが話の途中でロリアス様、怒りの矢を射掛ける。余程魔物が住み着いてる事に腹を立てているのだろう。殺される前に慌てて封印するルカ。エンジェルハイロウで斬ると、1枚のページになってしまった。

 

「えーと、これが封印された姿なのかな?」

 

 平行世界では封印なんてしたことがないので、一々確認しなければわからない。落ちたページをつまみ上げると僅かな魔力を感じるので、どうやら生きてはいるようだ。

 

「まだ死んでいないようですね。それではルカ、さっさと焼き尽くすのです」

 

「そ、それは勘弁してあげて下さい……って、何だか焦げ臭いな……?」

 

 とりあえず焼き殺されないように守っていると、パチパチという音となにかが焼けるような香り。ロリアス様と二人揃って振り向くと、なんとそこではアリスが本を燃やして芋を焼いていた。

 

「おいおい、なんてことをするんだ!?」「その焼かれている本は、私に関する物ばかりではないですか!!」

 

 イリアス様、怒りのエンジェルアローを放つも全て芋を焼く片手間ではたき落とされる。

 

「当たり前だ、だからこそ気兼ねなくこうして焼き芋を作る燃料に出来るのだ。貴様の下らん妄想を保管しているより余程有意義な使い方だぞ」

 

「ええい、ルカ、今すぐにこの女に天誅を――「そら、まだその本に残っているようだぞ」なんですって!?」

 

257ページが現れた!

 

「ふふっ、ようやく開いてくれる人が現れた……しかも可愛い男の子。私、男の人のおちんちんに興味があるのです。少しだけ、いじらせてくれませんか……?」

 

「だ、ダメだよそんなこと!?」

 

「初対面でいきなり破廉恥な頼み事をするとは魔物とは本当にふしだらな存在ですね! 今すぐに天誅を下してやります!」

 

 と、またしてもすぐさまぶすぶすと矢で蜂の巣にしてしまうイリアス様。とどめを刺そうとするので再び慌てて封印するルカ。

 

「全く、同じ本から魔物が出てくるなんて……って、そう言えばアリス、魔王の命令とか言ってたんだけど……」「何故、都合よく私が禁書しようとしていた本から魔物が出てくるのですか?」

 

「よ、余は知らんぞ……」

 

 じーと2つの視線を受け、気まずげに目をそらして芋の焼き加減を見るアリス。まさか本人もすっかり忘れてましたなどと聞かれたら魔物の忠誠心も吹っ飛んでしまいそうである。

 

「……あくまで余の勘だが、その本には後1体の魔物が潜んでいる。そこの女神はどうでもいいが、お前は油断するなよ、ルカ」

 

「「…………」」

 

 更に冷たい視線を送る二人。だがまあ、魔物が後1体いるならまずそちらからどうにかせねばなるまい。イリアス様を少々離れさせてルカが本を開くと、最後の魔物が飛び出してきた。

 

65537ページが現れた!

 

「魔王様の命により、この本を人間に読ませるわけにはいきません。特に、勇者なる下劣な連中には……おや、更に天使も。尚更に読ませるわけにはいきませんね」

 

「なんと生意気な! あなたなど、この本ごと燃やし尽くしてやります!」

 

「本を焼くなどなんと野蛮な! 例えどの様な本であっても、無闇矢鱈に焼いてはいいものでは有りません! 悪書と呼ばれようと、その本が書かれた背景、知識、伝えたい事……様々な物は後世に残せるのですよ!」

 

「ふんっ! 悪しき歴史など残さずともいいのです! 私が不要と感じた歴史など全て消し去ってくれます!」

 

「なんたる傲慢さ……あなたの様な存在は……ん? この香り……既に焚書を初めているとは……絶対に許せません!」

 

 その焚書を絶賛凶行中なのはあなたの上司の魔王様なのですが。

 

「……えーと、どの様な本であってもって事はイリアス様に関する本でも?」

 

「当然です! 例え憎きイリアスに関する本でも、焼かれていい道理などありません!」

 

「……」

 

 そう言えば、向こうの世界でも彼女は本当に本を大事にしてたよなあと思い出す。……ので流石に居た堪れなくなったので、隠れている本棚の後ろに回り込んで――アリスを引っ張り出した。

 

「わわっ!? 何をするルカ……って、あ」

 

 芋を焼いている最中に唐突に引っ張り出されて怒るも、自分の部下と対面して固まる魔王様。

 

「はっ!?な、何故貴女様がここに…………ってあの、魔王様? 何故魔王様から紙の焼けた匂いと焼き芋の匂いがするのでしょうか?」

 

「……し、知らん……」

 

「この魔王様、図書館で本を燃料に芋を焼いていたんだよ」

 

 それを聞いた瞬間、65537ページのメガネにビシィ!とヒビが入った。

 

「……魔王様、私は貴方様が禁書焚書が行われるのを好かないとの事なので何年もの間遠い地の本の中に潜んでいたのですが……?」

 

 絶対零度の視線が魔王様をぶすぶすと貫く。流石に何も言えずに明後日の方向を向き小さくなる。

 

「……丁度人間の姿の様ですので、そこに正座して下さい」「いや、余はまお「正座です」はい……」

 

 有無を言わさずに正座させられた魔王様。いきなりお説教に入るのではなく、絶対零度の視線で睨み続けているのが余計に怖い。そして、それを見てプークスクスと笑っているイリアス様。ついでにアリスが焼いた芋を食べて更に煽っている。ルカもきちんと消火した後、ロリアス様の横で一緒に芋を食べていた。一瞬アリスがギロリと睨んでくるが「魔王様?」との言葉にまたしゅんとなる。

 

「魔王様、【図書館で】【本を燃料に】【焚き火をし】【芋を焼く】とは一体何を意図してのことか、是非この愚昧なる臣下にお聞かせ願えないでしょうか?」

 

「……いや、その。イリアスの本が気に食わないし、暇だし……」

 

「貴女様は、禁書が嫌いだったのでは?」

 

「……イリアス相手ならば、まあ、よいのではないかと……」

 

「図書館には、それ以外の本も沢山存在するのですが? ああいえ、イリアスの打倒に全力を尽くされている魔王様の事です。その眩しさに目を奪われ他の物が見えなくなっても仕方ないのかもしれませんが」

 

 皮肉やら冷笑やら罵倒やら落胆やら、負の感情をこれでもかと織り交ぜて魔王様にお説教をする65537ページ。面白そうだからとロリアス様は先程封印された17ページと257ページを65537ページに渡し、彼女の魔力で復活させて、魔王を見る冷たい目線を更に2つ増やした。

 

「……魔王様の命令、守ってたのに……」

 

「……新刊も我慢してたんですよ……」

 

「ああ、シャーリー婦人の恋人を初め様々な新刊が出ている頃ですね」

 

「……正直すまなかったと思っている」

 

 と、魔王様が嫌味と恨み辛みとお説教を受けている間に、四精霊信仰とその源流を読むルカ。どうやら内容は変わっていない様だ。これから強敵も増えていくだろうし、是非ともまた契約したい。だがやはりイリアス様は不満顔である。

 

「あなたは精霊と契約せずとも強いでしょう」

 

「でも、これから強敵も増えていきますし……装備が更新できないかもしれないので、少しでも強くする手段が有るなら使わないと」

 

「……仕方有りません、使い潰した上に終わったらボロ雑巾のように捨てるのならば特例で認めましょう」

 

 やっぱり変わらないなあと苦笑しつつ、他に面白そうな本が無いか探す。アリスへのお説教をBGMに図書館を散策して、視線をあちこちに向けると、ふと奥に安置されている一冊の本に目を引かれた。その題名は――

 

「転職の書……こんな所に……」

 

 向こうでもイリアス神殿に行けない時には何度かお世話になった本だ。その内の一冊がここに有ったのだろう。

 

「ふむ、これさえあれば旅の中でも自在に転職ができますね。丁度良いです、貰っておきましょう」

 

 と、すぐさま懐に入れるイリアス様。そう言えばこの女神様、意外に手癖が悪いと言うか、色々とスリ取ったりしてたし絶対にシーフ適性有るよなと思い出す。だがまあ、四天王を退けたのだ。これ位の報奨は貰えるかな?と後でサン・イリア王に許可を貰いに行こうと予定を追加する。

 

 なお、この後はお説教が終わるまでイリアス様は怒ってる魔物3匹の真後ろでアリスを煽り倒したのは言うまでもない。




コーネリアこと65537ページはぱらだと本を大事にしている事が所々見えますからね
恐らく魔王様がこんな事やらかしたと知ったら激怒不可避だと思うのですよ
なおアリスは正座自体はたまもから何度もさせられているとか言う脳内妄想設定が有ります
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