ぱらルカさんのくえっぽい世界の冒険   作:両生金魚

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コラボ作品を全部クリアしたので初投稿です
明かされる衝撃の真実が多すぎる!(白目)


魔王様と女神様の弱いもの

「それでは、焚書はもう行わない様なので城に帰らさせて頂きます」

 

「…バイバイ」

 

「ここにいた間に出た本、全部チェックしないと」

 

 長い間続いた説教もようやく終わり、本を守っていた三人はようやく魔王城へと帰れるようだ。

 

「う、うむ、皆大義であった……」

 

 それを足を震えさせながら見送る魔王様。慣れない人間形態でずっと正座していたのが効いてる様で、上半身は腕を組んで泰然としているのがせめてもの意地だろうか。ロリアス様は隙を見てしきりに足をツンツンしてイタズラをして煽っているのはご愛嬌と言ったところ。

 

「そして勇者ルカ、こんな魔王様で苦労をするとは思いますが、是非これからも旅の面倒を見てあげて下さい。見ての通り、色々と世間知らずなところが有りますので」

 

「ええ、任せて下さい!」

 

「ぐぬぬ……」

 

 そしてちゃっかり仲良くなってるルカ。人と魔物との共存をしたいと願う魔物もそれなりには居るのである。だがそれを肯定すると今度は横のロリアス様のほうが不機嫌になるのが困りものだが。とりあえず、用事も済んだのでバレないようにパーフェクトメイドのスキルを十全に使って後始末をして、後はサン・イリア王に挨拶したり衛兵たちに声をかけられながら、城の外に出る。謁見まで時間がかかると思っていたので、先に申し込んだのだが予想外に早く呼び出されてしまったから街はこれから探索だ。

 

 街全体が掃き清められ、美しい水路が張り巡らされた都はそれだけでも人を大勢呼べそうな観光の名所だが、その分屋台などは厳しく制限されているのか見かけることが出来ずにアリスはつまらなそうにしている。

 一方ロリアス様は、設置されているイリアス像を見ては「ここの造形が甘いですね」とか、「私の身体のラインはもっとこう、美しく……」だの一々寸評をしていた。だがまあ、不機嫌にならないのはこれを作った職人の熱意が感じられて、なおかつきちんと毎日磨かれているのか分かるからだろうか。

 

 適当に噂話を拾いながら街を散策していると、人だかりが見えた。人垣の奥の広場に大きな掲示板が張り出されていてそれに集っていたようだ。

 

「む……あれはなんだ?」

 

 何枚もの紙片が、画鋲で留められていて、冒険者や少数の商人など、職種の偏った人間が代わる代わる眺めている。

 

「これは、不特定多数に色々と依頼するための掲示板だよ。特に、冒険者なら必見……なんだけど、そう言えば僕たち向こうで掲示板から依頼を受けたことは無かったな……」

 

 代わりにポケット魔王城の掲示板には様々な依頼が張り出されていたものだが……あれは実質リーダーのルカに向けた指名依頼であった。その他の依頼も国王や女王など上の人間の直々の依頼が多く、こうやって眺めるのはルカにとっても非常に新鮮だ。

 

「ふむ、そう言えば下々の祈りや願いは沢山届けられてきましたが、この様な方式で見るのは初めてですね」

 

 と、ロリアス様も興味津々で三人揃って覗き込む。

 

【腕が立つ冒険者の方、三ヶ月ほど警備の仕事をお願いしたい。報酬はずむ、面接あり】

【腕利きの鍛冶屋求む、鎧職人は特に優遇】

【ノースセントラ草をお持ちの方、400ゴールドで売って下さい】

【かわいいこいぬがほしいです】

 

「う~ん、手を付けられそうな依頼はなさそうだな」

 

「民の願いを聞き届けるのも悪くは無さそうですが、あまり長い間それにかかりきりになるわけにもいきませんね」

 

 ちょっと残念そうなロリアス様。片手間で出来る仕事であれば良かったのだが、旅をしながらこなせる依頼は中々無い様子。

 

 一方アリスはバッサバッサとやってきた掲示鳩の説明を受けて何やら感心している。こういう見た事のない技術やら文化やら生活の知恵やらは本当に新鮮に映る様で、統治にも活かせないかと思案する姿をそれなりに見せたりもするのだ。

 

「えーと、新しい依頼は、と。【サン・イリア北の屋敷の幽霊騒動の究明】か……」

 

「……ふん、馬鹿な人間め。幽霊など迷信、恐怖心が生み出した幻想に過ぎん。そんなものを大真面目にどうにかしてくれとは、馬鹿も大馬鹿、ドアホの極みよ」

 

「いえ、普通にいますが幽霊」

 

「えっ」

 

 女神様の真顔のツッコミに思わず素が出るアリス。

 

「人の魂は、肉体が死ぬと身体から離れて輪廻の輪へと戻っていきますが、強い未練などがあるとそのまま残ります。それが幽霊ですね」

 

「……………」

 

 何やら顔が真っ青になる魔王様。そう言えば二人共幽霊苦手だったっけかなと思い出す。

 

「……ま、まあ、どうせこんな物ただの噂だろう。別に行く必要は無いぞ、ルカよ」「ええそうです、こんな根も葉もない噂など無視してとっとと次へ進むのです」

 

「…………」

 

 案の定二人は全力で幽霊屋敷をスルーしたい様だ。だが、街の噂を聞く限りどうやらクロムはこちらの世界でもあの屋敷を根城にしている様なので、流石に無視はできない。

 

「えーと、ごめん、行く予定だけど……」

 

 それを聞いたとたん、二人共がびーんっ!?と擬音の付きそうな表情で同じ様にショックを受ける。何度でも思うが本当にこの二人は割とそっくりな所が有るなとちょっと笑いそうになってしまう。

 

「大丈夫だよ、実際にはあそこには幽霊は居なかったよ。ネクロマンサーがゾンビ作ってたり、ゴースト娘みたいに魔物化してるだけで」

 

 あれだけゾンビが溢れていたのに、逆に幽霊を見ないとは不思議な事もあったものだ。

 

「ほ、本当だな!? 本当なんだな!?」「嘘をついたら罰を下しますからね!?」

 

「(なんて必死なんだ……)」

 

 何となく不安になったが、流石にクロムをほっとく訳にもいかない。どうせネクロマンサーの研究をしているのならその内実験内容がエスカレートしていきそうだし、さっさと止めねばと決意する。それに、ゾンビ術と降霊術を頑張って学んでいる限り、絶対アリスフィーズ16世の御世では復権は出来ないだろうし……

 

「それじゃあ、行こうか――って、あれ?」

 

 さあ出発だというところでいつの間にかどこかへ行った二人だが、視線をキョロキョロとさせるだけですぐに見つかった。なんと道具屋で二人揃って聖水を買い込んでいる。

 

「物凄いシュールだ……」

 

 まあ屋敷の魔物退治が終わった後に振りまけば浄化の助けになるかもしれないと、その無駄遣いを見守ることにしたルカであった。

 

 

 

 しばらく歩き、時刻は夜。そろそろ野営するかと思ったら屋敷が見えてしまったので二人共渋々、そして恐る恐るといった感じに付いてきている。

 

「っ……墓地が有るな」

 

「っ!?……屋敷も長い間手入れをされていない様ですね」

 

 恐怖でキョロキョロしてかえって自分たちで怖い要素を見つけ出してしまう二人だ。しかし意地が有るのか横並びで震えつつも下がらないようだ。

 

「あっ」

 

 ルカも外から何か分からないかと様子を窺うと、ルカが一方的に見知った顔と目が合った。間違いなくポンコツマッドサイエンティストなクロムだ。

 

「な、何かいたのか!?」「いたんですね!?」

 

 そしてルカの声に反応して思わずルカの後ろに隠れる二人。苦笑と共に悪戯心も湧き上がってくるが苦労してその衝動を抑える。

 

「う、うん。幽霊じゃなくてネクロマンサーだけど」

 

「そ、それは一大事です早く天誅を下してくるのですルカ!」「う、うむ、元凶は早く取り除くに限るな!」

 

 二人共怯えつつ後ろからグイグイと押してルカを中に入れようとする。まあルカとしても異存は無いし、三人揃って中に入ると外見と同様にすっかり荒れ果ててしまった屋敷の光景が目に入ってきた。

 

「ど、どどどどどどどうやら幽霊はいないようだな!」

 

「そ、そそそ、そうですね! ルカの言った通りでした早く用事を済ますのです!」

 

 二人共ようやく怯えが抜け出してきてルカの背中から離れだし「うらめしやー」

 

「「ひゃあああああああああっ!?」」

 

たと思いきや再び背に隠れてしまった。

 

ゴースト娘が現れた!

 

「ってただの魔物じゃないですかややこしい! とっとと浄化されなさい!」

 

 キレたロリアス様、渾身のさばきのいかづちを放つ。どうやらLVアップにより天使の技の威力も向上してきたようで、「う、うらめしやー……」との断末魔を残してあっという間に浄化されてしまった。

 

「まったく。ですがこの様な魔物だけなら問題ないでしょう。さあ、この屋敷を残らず浄化してしまいますよ、ルカ」

 

「はーい……ってあれ? アリスはどこだ?」

 

「はぐれてしまいましたか。まあ腹を空かせれば戻ってくるでしょう。次は2階を探しますよ」

 

「そうですね。じゃあ、行きましょうか」

 

 酷い言い草だがアリスの場合それで納得出来てしまうのが困ったものだ。

 

 2階への歩みを進めると、調度品としての人形やら絵やらが目に入る。これも魔物かなとイリアス様に注意を促そうとする前に、先に動き出した。

 

「おにいちゃん……おねえちゃん……あたしと……あそぼうよ……」

 

呪いの人形娘が現れた!

 

「うひぃいいいいいいいっ!? ……ってまた魔物ではないですか!」

 

 キレたロリアス様、渾身の以下略。こころなしかさっきよりも電撃の威力が強くなっているのは気のせいでは無いのだろう。電気でぴりぴりして髪の毛が乱れてしまった人形を戻しつつ2階へ行くと、アリスが隅っこで縮こまっているのが見えた。

 

「えーと、アリス、何かあったの?」

 

「ふっ、こんな所で縮こまっているとはなんと情けない魔王なのでしょうか!」

 

 イリアス様、指差してバカにするのはいいですけど僕の背中に隠れたままだと説得力がゼロですよ。と、あとでお仕置きされそうなツッコミは心の中にしまいつつアリスに近づこうとすると、廊下の方から不気味な呻き声が聞こえた。

 

「ひゃあああああああ……」

 

 腰を上げ、よたよたと逃げ出そうとして、転んでしまうアリス。そしてその尋常でない様子に引っ張られて怯えて背中にぎゅうとしがみつくロリアス様。様々な物を床に撒き散らしながら、アリスがそのうちの一つの絵画を指差す。

 

「ひゃあっ! こ、この子! この子が……」

 

「この子が……って、あ」

 

 どれどれと覗いてみると姿はすっかり変わってしまった仲間の姿が。クロムの相棒とも言っていいゾンビのフレデリカ、その生前の肖像画であった。

 

「そっか、生きてた頃はこんな姿だったんだ……」

 

 仲間のかつての姿に感慨深くなっているルカとは対象的に、アリスはまだ怯えたままだ。そのままふらふらと部屋から逃げ出そうとして――次の瞬間、部屋の入口から現れた人影とぶち当たってしまった!

 

ゾンビ娘が現れた!

 

「ひゃぁぁぁぁぁぁぁ……!!」「ぴぃいいいいいいいいいっ!!」

 

「おぉぉぉぉぉぉ……!」

 

「「ってただのゾンビ(か!)(じゃないですか!)」」

 

 アリスとロリアス様、怒りのツープラトンパンチを放つ。

 

「ええいっ! しかもまだまだこんなにいるではないか!」

 

「このまままとめて浄化してやります!」

 

 奥に更にいるゾンビの群れを見て、怒りのままに突撃する二人。ルカとしては楽で良いのだが……

 

「二人共、ここは古い屋敷だしそんなに暴れると「「へ? あ、うひゃあああああああっ!?」」 遅かったか……」

 

 大暴れした衝撃で床が抜けて、落下してしまった。

 

「……まあ、あの二人なら大丈夫か」

 

 曲がりなりにも魔王と女神である。クロムの研究室は一番上の奥の方だったなとルカは一人足を進める。まだゾンビも幾らか残っていたが、聖技で対応すると綺麗に浄化されていった。高位天使としての種歴も有るルカは、この手の浄化もお手の物となっていたのだ。

 

「あ~! 儂の実験体達が~!!」

 

「あっ、君は」

 

「わわわっ……!」

 

 そんな屋敷の浄化を繰り返していると、見知った顔がこちらを見て、脱兎のごとく逃げ出してしまった。慌てず騒がず、冷静にその背を追うルカ。部屋を飛び出し階段を駆け下りると、そこではクロムがフレデリカを従えて待ち構えていた。

 

「なんなのだ、お前は!? なぜ、儂の研究所で暴れておるのじゃ!?」

 

「僕は勇者ルカ。勇者として、天に還れなくて彷徨っている魂も救ってあげようとここに来たんだ」

 

 とりあえずは表向きにも通じそうな理由を出す。いきなり君を止めるためと言われても戸惑うだろうし。

 

「な、なんじゃとー!? そんな事をされたら儂の研究が滞るではないか! 折角こんな絶好の土地と屋敷を見つけたというのに!」

 

 確かに、元処刑場で墓場で更に屋敷も建っていてと、ここまでネクロマンサーとして都合のいい場所は早々は見つかるまい。

 

「僕としてはこんな死体を玩具にするような研究は止めて欲しいし、その方が君の為にもなると思うんだけどね」

 

「ええいっ! 何も知らん奴に止めてほしいと言われて止める訳が無いのじゃ! この研究は儂の……いや、アルテイスト家の悲願! 邪魔をするなら容赦はしないのじゃ! ゆけい! フレデリカ!」

 

「了解しました……ご主人様……」

 

 だが、当然言葉だけで止まるはずもない。そして襲ってきたのは向こうの世界での仲間のフレデリカ。身体はゾンビだが、魂は人間。この恐ろしい剣(エンジェルハイロゥ)でも斬って良いものかと逡巡している間に、豪腕が上から振り下ろされた。

 

「おおっと!?」

 

 だが、その攻撃は空を切り床へと突き刺ささり、それに合わせて無意識にカウンターで殴り飛ばしてしまい、フレデリカが吹き飛ぶと同時にガラガラと音を立てて床の穴が広がっていく。

 

「ああああああ~っ!? フ、フレデリカアアアアアッ!?」

 

「…あっ。ま、まあ大丈夫だよね頑丈だし」

 

 冷や汗を流しつつ華麗に階下に着地しつつ周囲を確認すれば「ひゃああああああああっ!?」「いやああああああああっ!?」と、よく知った叫び声が2つも飛び込んできた。

 

「あはははは~っ♪」「まてまて~♪」

 

 緑と紫の幽霊が、それぞれアリスとイリアス様をそれはもう楽しそうに追いかけている。

 

「…………」

 

 魔王と女神がたかが幽霊に追いかけられて怯えきっている姿に何だか頭が痛くなってきたルカ。ついでにその後ろでは「ふははははははは! 思い知らせてやるのじゃ!」と高笑いしているクロムが見える。

 

「そこの勇者よ! 貴様の仲間はもう使い物になるまい! そしてお前はこの儂が直々に相手をしてやるのじゃ!」

 

 と、二人の醜態を見て気を良くしたやる気満々のクロムがこちらを指差してくる。

 

「……」

 

 とりあえず、吹き飛ばそう。そう決意すると、ルカは胸の前で十字を切る。

 

「どうした? 今更女神に祈っても遅「聖なる光よ、闇を払え!」いのじゃあああああああっ!?」「きゃーっ!?」「いやーっ!?」

 

 聖なる光の奔流に吹っ飛ばされるクロムと、逃げ出した幽霊二人。そしていい笑顔を浮かべてクロムに近寄りつつ、お供二人に声をかける。

 

「二人共、もう終わったよ! 元凶を捕まえたし!」

 

クロムをやっつけた!

 

「何……?」「元凶……ですって……!」

 

 ルカの言葉と共に正気に戻ると、この旅路でも最大級の怒りの表情を見せる二人。凄まじい勢いでクロムに近付くと、二人がかりでクロムをフクロにする。

 

「貴様のせいで、余がこんな目に!」「この邪悪なネクロマンサーよ! 地獄に叩き落としてやります!」

 

「べふっ! あうっ! や、やめんか……あうっ! や、やめ……もう許して……」

 

 尻尾や平手や女神のおみ足やらでボコボコにされ、泣きが入ってきた様子に、そろそろルカも見てられなくなってきた。

 

「ふ、二人共そろそろ止めて穏便に穏便に!」

 

 ふーっ!と息を荒くしている二人をなだめつつ、クロムに向き直る。涙目で怯えつつこちらを見ていて、もうすっかり心が折れたようだ。

 

「それで、此奴がこの幽霊屋敷騒動の元凶か」

 

「うん、そんな感じ。まあゴーストとかは自然発生したものっぽいけど」

 

 なにせ場所が場所である。アンデット系の魔物が発生する要因には事欠かないだろう。

 

「それで、どうするのです? 売るなり殺すなり犯すなり食べるなりあなたの自由ですよ?」

 

「なにアリスと同じ提案してるんですかアイリス様!? しませんよそんな事!」

 

「こ、こやつと同レベル……」「ま、魔王と同レベル……」

 

「へ? ま、魔王?」

 

「うん、こっちのラミアが今代の魔王様。アリスフィーズ16世だよ」

 

 目をまん丸くしたクロムに、非情な現実を突きつけるルカ。途端に、クロムから冷や汗が吹き出る。

 

「ま、魔王様……クロムのゆかいなアンデッドとゴーストショーは楽しんで頂けましたでしょうか……?」

 

「……ふざけるな、ドアホが! 貴様は今後五百年間、魔王城に立ち入り禁止だ!」

 

「わわわ……」

 

 必死に三大魔芸の一つを磨いていた訳だが、その内の一つがよりによって魔王様の大嫌いなものだったとは。

 

「うううう……そんな……アルテイスト家の復権が更に遠のいてしまったのじゃ……」

 

 両膝から崩れ落ち、両手を床につけて泣き出すクロム。元の世界と同じく家の事を大事にしているようなのでかわいそうかなとルカがとりなそうとした時、アリスが思い出したかのように呟いた。

 

「アルテイスト家……そうか、貴様は姉妹の妹の方か。姉が起こした例の事件で、一族共々永久追放されたのだったな……」

 

「……ね、姉様は……」

 

「えっと、昔にクロムのお姉さんって何をしたの?」

 

 そういえば向こうでは何をやったか聞いていなかったなと、ルカの興味が向く。ただ、その問いかけを聞いてクロムの身体がビクリと跳ねたのが気になった。何かとてもまずい事をやったのだろうか?

 

「うむ、シロム・アルテイストの犯した過ちとはな――」

 

 そして語られるはかつてのシロムの犯した過ち。聞いていってあまりのやらかしの大きさに思わずルカもポカンと呆ける。えっ、なに、そこまで非道な事をしたの!?

 

「あんな強力なクイーン級をどうやって集めたのかと思ってたら暗殺って……ロザさんとか海賊団丸ごとだしいくら化学兵器を使ったとはいえ……」

 

 今でこそ彼女の作品の数々は向こうの世界で頼もしい仲間になったのだが、追い出されるのも当然だろうと言うかよくその場で処刑されなかったものである。――いや、処刑されなかった事こそ魔物の弱肉強食の掟がまかり通っていることの証明か。

 

「貴様、そのゾンビたちの事も知っていたのか?」

 

「うん。助けられもしたし戦いもしたよ。流石に強化されたクイーン級同時6体は物凄く辛かったけど」

 

「しかしそれでも勝つとは流石は私のルカですね」

 

 自分のしもべが大活躍したと聞いてご満悦なロリアス様。だが、その会話を聞いて血相を変えたのがクロムである。

 

「ちょ、ちょっと待つのじゃ!? ひょっとして姉様と顔を合わせたことが有るのか!?」

 

 もう何年も出会ってない姉に目の前の勇者が出会ったと聞いて、大慌てでルカに詰め寄る。そして、その必死さを感じ取って下手な事は言えないなと覚悟を決めるルカ。

 

「突拍子もない話なんだけどね……」

 

 紡がれるのは平行世界で世界のために戦ったシロムと、絶望に堕ちていたシロムの二人の話。そして、別の世界のクロムに託された『お前の姉は、おそらく道を誤っている筈だ。救ってやれるのは、お前しかいない……』との言葉。

 

「……別の世界の姉様……」

 

「世界の終わりを目の当たりにして正気へと戻りましたか。あなた達を救った事と合わせて賛辞を送るべきでしょうね」

 

「逆に言えば、その様な事でも起きぬ限り狂気に囚われたままだった、か」

 

 俯くクロムは何を思うのか。しばし、四人の間に沈黙が訪れる。

 

「……姉様がああなったのは、きっと儂のせいなのじゃ」

 

 科学に携わる者として、あまりに単純で注意不足により起こされたミス。その後悔はずっとずっとクロムの胸に残っている。

 

「その姉様が救いを望んでいるのなら……絶対に、儂が止めないと! 外道に落ちた求道者を止めるのもまた魔芸者としての務めなのじゃ!」

 

 そう宣言するクロムには、強い決意の表情が浮かんでいた。

 

「――きちんと姉を止めてみろ。その暁には、アルテイスト家の追放も解いてやる」

 

「分かったのじゃ、魔王様!」

 

「……まあ本来ならば即座に罰を下す所ですが、姉を誅する間までは特例として認めましょう」

 

 そして渋々といった感じで認めるロリアス様。まあ再創生計画も発動が無理になった以上はネクロマンサーを放っておくのは間違いなく良からぬ事なのでその始末をクロムにさせようというのだろう。

 

「何だかそっちのちびっ子は随分と偉そうじゃのう……何者なんじゃ?」

 

「ちびっ子とは何ですか!? あなたにだけは言われたくありませんよ!」

 

 羽を隠しているので見た感じは小さい少女にしか見えないロリアス様。そんなこんなでギャーギャー騒いでいると、不意に立ち上る複数の気配。なんと、ゾンビに縛られていた幽霊たちが次々と出てきてはお礼を述べていったのだ。

 

「こんなに囚われていたんだ……向こうの屋敷でもちゃんと天に還れたと良いんだけど」

 

「むぅ……まさかゾンビにそんな作用が有ったとはのう……またまた新発見をしたのじゃ」

 

 勇者として正しい活動が出来てよかったと安堵するルカに、ちょっぴり反省するクロム。そして――

 

「良かったですね、アイリス様――って、あ、あれ」

 

 なんと、アリス共々二人揃って白目をむいて倒れてしまった。

 

「……二人共そんなに幽霊苦手なんだ……」

 

「ひょっとして儂、今魔王に成り上がるチャンス!?」

 

「仮にアリスを倒しても、今度は四天王が襲ってくるよ」

 

 何だか締まらない終わり方だなあとルカがアリスを、そしてクロムにはロリアス様を背負わせて屋敷から出るのであった。

 

 

 そして翌日。

 

「おお、懐かしきサン・イリア。我が魂、落ち着ける場所を見つけました……」

 

「皆の魂も、ここに集まったようですね。私の故郷は南の大陸ですが、ここは確かに良い街です……」

 

 そこには街中幽霊だらけになった聖なる都市の姿があった!

 

「何が幽霊は出ないだ! 街中に溢れてるではないか!?」「よくもこの私を謀りましたね!!」

 

「痛っ!? 痛いっ!? 二人共やめて!? ぼ、僕だってこんな事になるとは思わなかったんだよ!?」

 

 そして慌てて街から逃げてきた二人にボコボコにされるルカ。向こうの世界の知識に頼りすぎてはいけないと、深く胸に刻んだのであった。更には――

 

「……何だかあの二人だけなら幽霊を出せば無力化出来そうだな」

 

「……ええそうですわね。今度試してみようかしら」

 

 その様子をこっそり伺う影が有ったとか無かったとか。




めっちゃ遅くなって本当に申し訳ないです……コラボが出てから迂闊に書けなくなって更にSHRIFTとおふだの方でまで……

ちなみにこの後コラボした記憶にも目覚めさせる予定です。(LVも60から70へ増加)

そしてここでもちょっと改変。フレデリカを浄化しなかったのと、ユーとレイを先出し(降霊術も同時研究)って感じに変えております。
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