原作沿いとオリジナル要素のバランス調整が難しい……
「というわけで、イリアス様に反逆したその堕天使が、魔王と呼ばれるようになりました――と」
「貴様、よくも邪神様を配下などと偽ってくれたな!!!」
「いたいいたいいたい!! た、助けるのですルカー!?」
サン・イリアから逃げ出してシルフの森へと入る前に、丁度いいところで野営をする。今日アリスに聞かせたのは人間に伝わる魔王の成り立ち――なのだが当然の様に偽りの物語であり、邪神様を貶められたアリスは激怒していた。尻尾でぐるぐる巻きにした上でロリアス様のほっぺたをグイグイ引っ張っている。やれやれと苦笑しつつ助け出すと、またルカの背中に隠れてしまうロリアス様。しかし隠れながらこっそり天罰ノートにふくしゅうの天罰の内容をまた書き留めていた。もう何ページに渡るのか怖くてルカは数えていない。
「それにしても邪神アリスフィーズ一世か……どんな感じなんだろう?」
「そこの魔王を数倍の大きさにして、100倍悍ましくした様なものですね。認めるのは癪ですが、その力は私よりほんの少し下です」
「いーや、絶対に邪神様の方が上だ!」
「何を言っているのですか! 私ですよ私!」
そしてデリケートな話題だからか口喧嘩が絶えない二人。騒音を尻目に想像するのは邪神の姿。アリスの母親であるアリスフィーズ15世は大きかったが、初代である邪神はあの姿より更に恐ろしいのだろうか?まあ何にせよきっと自分も相対する事になるのだろうなという奇妙な確信があった。
「……まあ、いい。兎も角ルカ、今日も技の講義を始めるぞ」
「お願いします!」
暫くして口喧嘩も疲れたのか不毛な話題に飽きたのか、話題を変えてくるアリス。勿論ルカとしても異存は無い。そして、相も変わらずルカの背中でぐぬぬとなるロリアス様。だがしかし魔技では横から口出しする事も出来ないので、悔しそうに見守る事しか出来ないのであった。
「こう、相手の心を鎮めるように訴えかけるような魔力を乗せて――」
「……こうだね!」
ルカは睡眠の魔眼を覚えた!
「相変わらず筋が良いな。貴様はあまり相手を傷つけたくない場合も多いだろうし、きっと役に立つだろう」
「うん、ありがとうアリス!」
そして今日覚えたのは睡眠の魔眼。どちらかと言うと戦闘外でとても役に立ちそうな魔技である。
「それにしても、別の世界の余が教えた剣技といい、余が教えた魔技といい、よくよく魔の技を覚えたな……これはもう一流の魔剣士を名乗っても誰も文句を言うまい」
「あぁ……まあ確かに魔剣士の職になった事も有るけど……」
「それは許しませんよルカ!! あなたは私に仕える光の勇者になるのですからね!!」
「ふんっ、天界でアレも禁止コレも禁止と退屈な暮らしで飼い殺しにでもするのか? それに比べて魔族は良いぞ。余計な教えに縛られず好きに生きられるからな」
激高するロリアス様と、悪い顔で誘惑してくるアリス。構図がまんま脳内でささやく天使と悪魔だ。だが、そんな前後からの板挟みもすぐに終わりに向かう。
「ではルカよ。この所ちゃんと支払って貰ってなかったからな。今日の分の報酬はたっぷりと支払ってもらうぞ」
ジュルリ、と舌なめずりしてこちらを見てくるアリス。非情に淫靡だが見惚れる前に後ろからロリアス様がぎゅーと抱きついてきて所有権を主張しつつふしゃー!と威嚇する。
「そんなの認めませんよ魔王! これ以上魔姦の禁を破らせるつもりはありません!」
とは言いつつ、この女神様直々に
「うるさい。貴様の意見なぞ聞いてない」
だがそんな物は当然無視するアリス。カッ!と目を光らせるとそのまま眠らせてしまった。
「よし、これで明日の朝までは起きないな。さて、ルカよとっととそいつをテントに放り込んでこい。今夜はじっくりと楽しませてもらうからな……♪この花も最近養分を取ってない事でもあるし」
「お、お手柔らかに……」
もはや逃げ場無し。恐怖半分、期待半分を胸にルカは魔王の罠へと恐る恐る近づいていくのであった。
「あひぃいいいいいいいいいいいいいいいいっ!?」
翌朝、最早言うまでもないのだがげっそりしたルカが更に女神様の八つ当たりを受けまくったのであった。
「ここが、精霊の森か」
ほう、と興味深げに見渡すアリス。そして精霊の力を借りる事に不満気なロリアス様。鬱蒼と木が生い茂っていて先が見えない深い森は精霊の力が濃いお陰か他の森よりも一層生命力やマナが強く感じられる。ルカにとっては二度目の訪問だが、微かな差異を敏感に感じ取っていた。
「あれ? ちぃぱっぱが少ないな……?」
「はて、あの不愉快な小精霊がどうしたというのです?」
ルカの感じる差異や違和感は軽視すべきではないと理解している二人は訝しげにルカを見る。だが、ルカとしてもよくわからない。
「向こうの世界だとちぃぱっぱがあちこちに沢山居たんですけど……アレも世界の異常によって起きた現象だったのかな?」
「まあ、検証が出来ぬ事を考えても仕方あるまい。ここでは危険は無いのか?」「アレが大量発生するとは……」
「向こうでは、とんでもない化け物がうろついていたんだけど……その気配は無いみたいだね」
少し考え込むも、どうやら危険が増している様子は無さそうだ。幽霊も出ない様だし、ロリアス様はルカに付いていくことにした。
「そうか。では今回は貴様らだけで行って来い。この辺りのフェアリーたちを余がうろついて驚かす訳にもいかんからな」
「分かった。暇だからって変なものを拾い食いするなよ?」
「食うか!」
ふしゃー!という威嚇を背に、森に入る二人。人は通わないがエルフや森の獣が通うようなか細い道を主に進み、木々をかき分けて奥へ奥へと進んでいく。羽も仕舞い、体も小さいロリアス様の方が楽に進めている様だ。空からはよく見下ろすが、この様な視点は初めてだろう。興味深げにキョロキョロと辺りを見渡しては、自分の創造した植物をしげしげと観察していた。
「やはり長い間放っておくと植物も大分進化するようですね。――おや」
そして、注意深く観察していたお陰で、その小さな姿を見つけることが出来た。妖精である。
「妖精ですか。絡まれても面倒ですしさっさと「あっ、人間だ」遅かったです……」
無邪気にふよふよ近づいてくるフェアリー。いたずらっ子なので警戒しつつもとりあえずは挨拶から入る。
「こんにちは」
「こんにちは~。ねぇ、お兄ちゃん。私とあそぼ?」
「えーと、今急いでるんだけど何の遊びをしたいの?」
「このサキュバスフラワーでね、お兄ちゃんのおちんちんにいたずらするの。そうするとね、白いオシッコがいっぱいもれちゃうんだよ。気絶するまでいたずらするととっても楽しいの♪」
「だ、駄目だよそんな事!」
予想以上にろくでもない悪戯に全力拒否するルカ。そして怒るロリアス様。
「おのれ、やはり姿は小さくても魔物は魔物、何たる悪辣な……! さっさと消えなさい! さもなければ矢を打ち込みますよ!」
怒った表情で複数の鏃を向けると、ビクビクと怯えて「ひゃああああんっ! こわいよ~!」と逃げ出してしまった。
ルカもやれやれと苦笑するが、妖精が逃げた先から今度は足音が聞こえてきた。
「何ということを……妖精に矢を向けるなんて!」
エルフが現れた!
「私は、この森の守り手。あなた達のような狼藉者は、絶対に許さないわ!」
「何が狼藉ですか! いたいけな少年を気絶するまで犯してやろうとか抜かす妖精が純粋とでも言うつもりです!?」
その言葉に、うぐぅと言葉に詰まるエルフ。だが再び表情を整える。
「だ、だからって矢を向ける事は無いでしょう! 危ないのよ!」
「魔物はこの程度じゃ死にはしないでしょうに! とにかく喧嘩を売るなら買いますよ!」
「勝手に踏み込んだ癖に! この森の平穏を乱すものは排除するわ!」
「わーっ!? もう、二人共やめてー!?」
お互い弓を構えて向き合い、一触即発どころかすぐに撃ち合いが始まり、ルカは止めるために叫びつつ間に割り込む。
「あーもう! だから少しは血の気を抑えてくださいよアイリス様ー!?」
ルカは烈風剣を放った!
神速の剣が烈風を生み出し、両側から複数放たれる矢を纏めて薙ぎ払いエルフはその剣の冴えに思わず身震いする。
「な、なんでこんな腕の剣士がわざわざこんな所に……ここには平和に暮らしている魔物や動物しか居ないわよ!」
「シルフと契約しに来たんだよ。目的さえ果たせれば別に危害を加えるつもりも無いし……最低限身を守らせてはほしいけど」
むすーっと不満顔なロリアス様の射線を遮るように立ちつつ、剣を鞘に収めて害意は無いとのアピール。エルフも訝しげだが、鏃を地面に向ける。
「シルフと契約? そんな人間が来るなんて一体いつ以来になるのかしら……。まあ、確かにあんたは敵意は無さそうね。そっちのちびっ子を抑えてくれるなら文句は無いわ」
「ちびっ子とはなんですか!」
またまたふしゃー!と怒るロリアス様を、またまたまあまあと宥めるルカ。
「こんな事を頼むのも悪いんだけど、あんた腕が立ちそうだし、もし森で得体のしれない怪物を見たら退治してくれない?」
「得体のしれない怪物!? ひょっとして、全身変な色をしてこんな恐ろしい剣を持ってない!?」
と、エンジェル・ハイロゥを引っ張り出すルカ。その剣にビビりつつも首を横に振るエルフ。
「さ、流石にそんな不気味な剣は持ってなかったけど……でも、そいつも間違いなく不気味な化け物よ。見ればひと目で分かると思う」
どうやら自分の知っている化け物では無いようだが、それでも油断は出来ない。
「うん、分かった。そんな化け物に出会ったら退治しておくね」
「お願いね。あいつは、人間も魔物も関係なく取り込んでしまうの。私達の言葉も全く通じないし、そもそも意識や感情があるのか怪しいくらい」
どうやら予想以上に質の悪い怪物らしい。向こうで出会ったアレは天使への憎悪を滾らせていたし、エルフや妖精には手を出していなかったのでまた別の魔物だろう。
「はて、そんな魔物はいましたかね……?」
そしてロリアス様も覚えがないと首を傾げる。どうやら更に用心したほうが良さそうだと警戒レベルと更に一つ上げたルカ。
「それじゃ、僕たちはもう行くよ。エルフさんはこれ以上他の魔物が犠牲にならないように気をつけてね」
「そのつもりだけど、中々悪戯が止まなくてねえ――って、きゃああああっ!?」
エルフも去ろうとして歩き出してすぐ、落とし穴に落ちてしまった!
「やった♪」「やったね♪」
そして、穴の上から覗いてキャッキャと喜んでいるフェアリーツインズの二人。
「このっ! こんな悪戯ばかりして! もう怒ったわよ!」「わーい♪」「逃げろ~♪」
「怪物を退治しないとますます犠牲が増えていきそうですね」「……大丈夫かな?」
そんな光景を、ため息を付きつつ心配そうに見送るルカであった。
マナの濃さを頼りに森を奥へ奥へ。途中フェアリーズと友だちになったり、ジャックオーランタンの笛を直してあげたりしつつ進み続けて、とうとうルカは見知った気配を見つける。
「あれれ……? 人間と……天使? ここに何の用……?」
シルフが現れた!
「君と契約したくてここに来たんだ」「私の正体を見破るとは腐っても風の属性を司る者ですか……」
ちょっと不満気なロリアス様を後ろに隠しつつ、交渉を始めるルカ。この無邪気さに何だか懐かしさを感じてしまう。
「何の為に? 悪い人には力を貸せないよ?」
「人と魔物が仲良く暮らせる世界を作りたいから、そして世界の平和のためにだね。その為にはどうしても力が必要だから」
「ふ~ん、そうなんだ……」
しげしげとルカを眺め、そして風の囁き声にも耳を傾け、瞬間目を大きく開いてルカが隠しているロリアス様の方を見た。
「えっ……そのちっちゃい天使が、イリアス!?」
「様を付けなさい、様を! それと頭が高いですよ!!」
ふよふよ近付いて、上から下からしげしげと眺める。
「あははっ、そんな体じゃ怖くないよ~♪」
「むきぃいいいいっ! そこに直りなさいこのあーぱー精霊!」
怒ってシルフを追いかけるも、すばしっこいので当然追いつけないでドタバタと、そんな騒動を尻目に凄まじくびっくりしているのはルカである。
「えっ!? そんな事まで分かるの!?」
「そうだよ。風はいろんな事を教えてくれるの♪」
ふわふわ浮いてロリアス様をからかいつつ、ルカに笑いかけるシルフ。
「だからね、精霊の力は弱い人間には貸せないの。……っていうより、弱い人間には力を使いこなせないの。だから、キミがあたしの力を使いこなせるかどうか、確かめてあげるね」
「ルカ、ルカ! この魔物に天誅を加えるのですよ! いいですね!」
「だから力を借りに来たんですってば!? まあでも、試練が戦いなら受けて立つ!」
そう言うと、剣を構えて対峙すると同時に速攻で目にも留まらぬ疾風突きを繰り出すルカ。風の障壁を突破できるように、しかしあくまでもシルフ本体には当てないように。その絶妙な加減は、シルフの目の前ギリギリに剣先を突きつける結果となって現れ――シルフがぷるぷると震えだした。
「ふええええええええんっ! 怖いよおおおおっ! 酷いよぉおおおおおおっ!」
シルフをやっつけた! 2000ポイントの経験値を得た!
「えっと、ごめんね……?」
向こうでも戦闘力自体は弱かったし、そもそも戦い慣れてなかったのだ。こちらも同じだろうと思ったら案の定だ。当然、風の障壁を突破して迫る刃は物凄く怖かったようだ。
「ぐすっ……ふぇぇぇぇぇぇん……あたしね、本当は戦いなんて苦手なの……風を戦いに使ったことなんてなかったの……」
「う、うん……」
まあ今では向こうの世界ではすっかり恐ろしい風使いと化してしまったが、どうにもそっちのイメージに引っ張られすぎていたらしい。と、ルカは反省しているが泣いているシルフを見てロリアス様はご満悦の様だ。
「これで力の差というものが分かりましたか? これからはルカの元で馬車馬のように働くのですよ」
「ふぇえええええん!」
「そんな酷い事しないですって!?」
ぐすぐす泣くシルフを宥めつつ、時間をかけて落ち着かせる。
「酷いことしない?」
「しないしない」
「キミなら、その力はちゃんと使いこなせてくれそうだね……。じゃあ、力を貸してあげる!」
そう言ってにっこり笑うと、シルフがまばゆく輝き、そしてルカの中へと入っていく。その途端に、全身に広がる、忘れていた懐かしい感覚。再び、風の息吹を己の中に感じる。
「どうやら契約は果たせた様ですね。では、とっととこんな森を抜けますよ、ルカ」
「その前に怪物を片付けないと……って、この気配は!?」
近付いてくるアリスの気配とは別に、もう一つ。全く感じたことの無い得体の知れない感覚――いや、キメラモンスターが近いか? そちらの方を向き、カスタムソードとエンジェル・ハイロゥを構える。
「ルカ、どうやらシルフと契約は出来たようだな……だが、何だこの気配は?」
森の中の悍ましい気配に気がついて、アリスも中に踏み込んできた様だ。
「知らない。僕も、初めてだ」
警戒心を強める二人と、その後ろに退避するロリアス様。流石にこの姿ではまだ分が悪いと感じたようだ。そしてすぐに現れたのは、全身を植物に寄生されたかのようなモンスター。その人間部分は、全く感情の覗えない虚ろな目をこちらへ向けている。確かに、これはエルフの言った通り化け物だ。
「アリス、こいつの正体を知っているか……?」
「知らん。余でさえも。おい、アイリス! 貴様は何か知らんのか!」
「えっと……確か……知っていたような……」
だが、小さくなって記憶容量が少なくなって所々欠落しているロリアス様もはっきり思い出せない。使えん奴だと舌打ちしたが、目の前の魔物からの無差別の攻撃に、揃って慌てて飛び退く。
「どういう事だ……? 余に対して攻撃してくるなど――」
「少なくとも、正気で無い事は確かだ!」
ロリアス様を抱えて安全圏に飛び退く間に、アリスま魔力を凝縮させ炎の渦を怪物に叩き込む。が、なんとその状態でもまだ体力を残している。弱点属性を突いたのに、だ。
「なんだと……!? 余の一撃を受け、まだ余力が有るとは……!」
「普通じゃない、けどアポトーシスでもない。なら、正体を探る――!」
ロリアス様を対比させた後、アリスと入れ替わるように前へと踏み込むルカ。自分の内から「植物系の敵相手には風が相性いいよー♪」との声がしたので、折角なのでシルフの力を発動させる。体の周囲から立ち上る局所的な暴風は、目の前の敵の蔦や葉や花を全て届く前に散らせてしまう。
「シルフ、僕に力を……! 瞬剣・疾風迅雷!」
ルカの動きに、風の力が宿る。瞬きする間に風が舞い、花が散った。後に残ったのは、周囲に広がる異様な花畑のみ。
「何だったんだこいつは……アルラウネでも無いだろうし……」
「どうやら、こいつは寄生型のモンスターだったようだな。あの女の部分は、宿主とされた人間。寄生植物に侵食された、生ける屍といったところか……」
じっくりと観察する二人だが、後ろからひょっこり現れるのはロリアス様。
「ああ、思い出しました。これはプロメスティンが開発していた寄生モンスターですね。流石に生きた人間を直接使ってはいない様でしたが」
「はぁあああああああああああっ!?」
ロリアス様の説明を聞いて、叫び声を上げるルカ。あの、プロメスティンがこんな事を!?
「そんな……そんな……ああでも、クロムと戦う時にも死体を弄るのが何か悪いことなのか? みたいな態度だったし……嘘だろ……」
改めて、向こうの世界との差異を感じる。小さいプロメスティンも相当にマッドな科学者であったが、成長した姿なら一体どれだけのものになっているのか――。
「……余から見ても気分のいいものでは無いな」
「ええ全く、力を取り戻した暁にはまたあの洞窟にでも閉じ込めてやりましょう」
三人の間に何とも言えない空気が流れる中、その空気を壊したのは森の住民達であった。
「あのこわいの、やっつけてくれたの……?」
茂みからおずおずと顔を出した一人を皮切りに、次々とひょこひょこ顔を覗かせてくる。
「あの花のおばけ、とってもこわいんだよ。みつかったら、たべられちゃうの……」「でも、もうやっつけちゃったんだね!」
大勢のフェアリーが、木陰や草陰からわさわさと集まってきたのだ。そして、妖精たち見ていたエルフも顔を出す。
「ありがとう、おにいちゃん!」
「こわそうなおねえちゃんも、ありがとう!」
「こ、こわそう……?」
地味にショックを受けるアリスと、その言葉に、ん?とアリスの方を見て、顔を真っ青にするエルフ。どうやら誰か気がついたらしい。
「ちょ、ちょっとあんた達、あまり失礼なことは「ねぇねぇ。さっそく遊びに行こうよ!」ちょっと話を聞きなさいよー!?」
だがフリーダムないたずらっ子のフェアリー達がそんな事を聞く筈も無い。「近くにねぇ、おっきなお城があるんだって!」「わーい、いたずらしにいこー!」なんて会話が聞こえてきて、ルカも頭が痛い。
「ま、待ちなさいこの悪戯娘たち! 聖なる都に悪戯など許しませんよー!!」
とロリアス様が叫ぶも、大勢のフェアリー達が次々と森を飛び立っていく。
「あああああ……頭が痛い……す、すみません魔王様……。それと、怪物を退治していただきありがとうございます」
「……うむ。まあそれも魔王の務めよ、気にするでない」
怖いと言われたことを気にしてなるべく鷹揚に接するアリスを尻目に、ヒソヒソと会話する二人。
「近くの城ってやっぱり……」「サン・イリア城でしょう。様子を見に行きますよ、ルカ!」
そして、またまた訪れたサン・イリア。そこでは幽霊に加えて更には妖精が街中あちこちで悪戯している光景が広がっていた!
「とても聖なる都とは思えんな」
「あああああ……なんと嘆かわしい……」
アリスの言う通り、混沌とした有様はとても聖都とは思えない。何せ法皇でさえ妖精の悪戯の対象にされているのだ。――だがまあ、何だかんだ共存が始まっているようだ。
「ううう……最早信仰は失われてしまったのでしょうか……」
「いや、そんな事は無いですよ?」
しくしくと泣き出すロリアス様の手を引いて連れて行ったのは、サン・イリア城の教会。そこでは、老いも若きも幽霊も、そしてついでに妖精も女神像へお祈りをしている光景が広がっていた。来る途中の廊下では、熱心な神学者が死して尚信仰に篤い幽霊の神官も交えて激論を交わしていた。
「確かに信仰をする人は減っちゃったかもですけど、こうやって熱心に信じてる人は沢山いるし……。幽霊も、一部の魔物だってイリアス様を信仰してますし」
「…………」
その光景を見て、果たして女神様は何を思うのか。
「えっと、向こうの世界ではイリアス様が消えて30年経ったけど、それでも熱心に信仰している人はまだまだ沢山いましたし……だから、あんまり落ち込まないでくださいね?」
自分を一生懸命慰めてくれているのだろう。思えば、旅を始めて自分が天から見守っていた頃からずっと献身的だった。
「――そうですね。視点が変われば、また見え方も変わるものです。ええ、ルカ。これからもよく尽くすのですよ」
「はい、アイリス様」
帰ってくる返事も迷い無きもので――小さな女神は、嬉しくなってルカの背に向かうのだった。
「……おい、話は終わったか? ならとっとと出るぞ」
「……まあそれには賛成しておきましょう」
「二人共、まだ怖かったんだ……」
なお、魔王共々必死で震えを我慢していたのはご愛嬌といったところか。
夢を見た。兎が呼び出した、異世界の勇者たちとの冒険。恐ろしい、同盟者たちとの戦いの記憶。
微かな夢を見た。異世界で、アリスと、カズヤたちのいる世界に―――
何処かと繋がった。――立ち向かってくるのは……白念……?
「っぁあああ■ぁああ■あぁ■あっ!?■」
とある村の宿の一室で、跳ね起きる。最初の夢は、はっきりと覚えている。あれは夢じゃない、更に先に進んだ自分の記憶。だが、その後の2つが思い出せない。どの様な夢だったかも。そして、思い出そうとすると、頭に痛みが走る――。
しかし、確かに残った物も有る。更なる戦いの記憶、異界の勇者たちと教えあった技の数々、そして何より……
「ラルスさんやノビッサさんやロウラットから教えてもらった性技の数々……これなら、きっと魔物にだって勝てる!(注:勝てません)」
新たな力にも目覚め、更に獲物として美味しくなってしまったルカさんの明日はどっちだ!?
ルカさん、LV60からLV70へと進化するの巻。なお、記憶や技術が残っているのはもんぱらのコラボの物語だけで、SHRIFTやおふだのコラボの記憶は無い感じです。
勇者たちと切磋琢磨しあったのでコラボ先の技をちょくちょく使うかも?(ただしフラッシュカウンターは流石に劣化せざるを得ない)
そして、夢魔という快楽ダメージしか通じない奴らが現れたので、ルカさんもいざという時の為に白念君、カズヤ、レストたち共々性技を覚える事にした模様。折角男のバトルファッカーが3人も居るしね!
お陰で、ルカさんと魔物の性の戦力比が今までは1:100だった所が80:100程度には改善されました(なお結局負けます。NO逆転なのです。おまけに程よい抵抗のお陰で魔物娘側の発情度がめっちゃ上がって自分の首を絞めます)