多分もんくえともんぱらを同時起動しながらダメージやらセリフやらを検証して書いてたから体感めっちゃ長く感じちゃったのかな?
「……お腹減った……」
ふと目が覚めて、第一声がそれだった。これじゃまるでアリスかイリアス様みたいだなと思いつつ体を起こすと、そこは貴族の寝室にも負けず劣らず豪奢な部屋。ベッドと布団の感触もふかふかであった。そして、横から漂ってくるのは料理でも割と使うハピネス蜜の香り。
「あむあむ……あまい♪ む、起きたか、ルカ」
そして、同じ部屋にはあまあまだんごを頬張ってご満悦の魔王様がいた。
「ああ、おはようアリス。運んでくれたの?」
「うむ。ここのおかみが泊めてくれると言うのでな。二人合わせて479万9996ゴールドの割引だそうだ」
「……えっ、元の世界の24倍の値段……」
同じ宿な筈なのに微妙な差が有るなと首をかしげる。いや24倍は微妙では無いかもしれないがなどと益体も無い事を考えつつもぞもぞとベッドから這い出す。回復魔法をかけたお陰か、傷は大分塞がったようで動くのには支障が無い。とりあえず自分もあまあまだんごを食べようと手を伸ばすと――凄い速さで皿が遠ざかった。
「……これは余の物だ」
「4ゴールドは僕の財布から出るんだろう。というか、おかわり頼めばいいんだしケチケチするなよ」
「むぅ……」
不満そうに皿を戻すと、ベルで早速店員を呼び出すアリス。自分もパクっと一口食べるがいい味だ。世界が変わっても、美味しいものは美味しい。
チリリンとベルが鳴り響くと、殆ど間を開けずにおかみ自らが皿を下げに来た。どうやらかなりのVIP待遇の様だ。何やらアリスは魔族ならば公爵に取り立ててやってもいいなんて言ってるが……それでいいのか魔王様。と言うかその基準だと僕はあっという間に公爵になれそうだななんて思いつつ、最後の1個のあまあまだんごを口に入れる。
「おや、勇者様もお気に召してくれたかい?」
「うん、凄く美味しかったです。……あと、僕は洗礼を受けてないので勇者ではなくて……」
「洗礼なんて関係ないよ。勇者の資格は洗礼のあるなしじゃない、その振る舞いさ。この街であんたを勇者じゃないなんて言う奴は一人も居ないさ」
「お、おかみさん……」
こちらの世界では、公式には勇者としては認められない。でも、人からは認められたのだ。それがまた嬉しかった。
「それはそれとしておかみよ、余はあまあまだんごのおかわりを所望する」
そしてそれをどうでもいい事の様に無視しておかわりを頼む腹ペコ魔王様。感慨とか色々なものが台無しである。
「はいよ。ただまあ、最近はこのあまあまだんごもめっきり数が作れなくなってねえ……ハピネス村もあんな事になって、男手が足りないから……まあ、仕方ないんだけどねぇ」
「ハピネス村で、男手が足りない……?」
向こうではハーピーが消えたが、男手が足りないとなると……少々考え込み、ああ、何となく、分かってしまった。
「そうなんだよ。そのおかげでハピネス蜜の納品もすっかり減っちまって……あっそうだ。あんた達が行って何とかしてやりなよ」
「はい! どうにかしてみます!」
「うむ、解決の暁にはしっかりとハピネス蜜を使ったデザートを余に用意するのだぞ」
向こうと同じならば、あの村に居るのはクイーンハーピーだ。その辺りの一介の冒険者では手に余るにも程が有るだろう。なら、自分が行かなければならない。クイーンハーピーは優しい人だから、話し合いで済めばいいのだが。
「それじゃあ、ゆっくりお休みよ」
「はい、ありがとうございました」
久々に感じる、イリアスヴィルの高級宿のふかふかのソファーの感覚。似たようなソファーには王宮などで座った事も有るが、今のようにゆっくりは出来なかった。なのでじっくり堪能しようと体重を全て預ける。
「……しかし、あの剣だけでよもやグランベリアと互角に打ち合うとは……あんなに楽しそうなグランベリアは初めて見たぞ」
「えっ、アリスも?」
はて、それなりに長い付き合いでは無いのだろうかと首を傾げると、アリスも微妙な表情だ。
「――あやつは剣に生を捧げているからな。その類稀なる才により急激に強くなりすぎて剣で打ち合える者など魔物の中にすら居なくなってしまっていた。余や他の四天王では戦い方が全く違う……。現状、餓えを満たせるのはお前だけなのだろう」
「そっか……」
向こうの世界では、常に剣に迷いが有った。だが、こちらのグランベリアにはその様な物が無く、むしろ嬉々として迷いのない剣が向かってくるのだろう。とても苦戦しそうだ。まあ技量は自分が努力すればいいのだが問題は……。
「今の僕に相応しい武具、か……何とか用意しないと」
隕鉄とまではいかないまでも、出来れば虹、最低でもオリハルコンの装備は欲しいところだ。だがそれを手に入れるには腕の良い鍛冶師や結構な大金も必要では有るし――などと思索に耽っていると
「ところで、余は腹が減った」
「何だよ、夜食も頼むのか?」
唐突に邪魔をされた。この魔王、体が大きくなったか更に腹ペコが酷い。
「うむ、お前の体に頼むとしよう」
しゅるしゅると尾が足元から這い寄ってきて――拘束された。普段より余計に力が強い。
「……夜食ってやっぱり……」
「最近人間の精を取っていなくてな。その上で貴様の極上の香りが四六時中漂ってみろ、正直辛抱が堪らんのだ」
そう言うと、ルカの体がぽいっとベッドに投げ出された。覚悟を決めるルカ。
「さて、剣の腕は一流だが、こちらの方はどうかな……?」
「くっ! 僕だって、歴戦のバトルファッカーなんだ……そう簡単に屈したりしないぞ!」
もぞもぞと服を脱がせてくる。だが、ルカとて散々にポケット魔王城で絞られ、バトルファッカー達との戦いを制してきたのだ。易々とは、負けない!
「ほほう、それは楽しみだ……」
既に大きくなった物を前に、舌なめずりしながら笑う魔王。以下ダイジェストでお送り致します。
「ふふふ、これならどうだ?」「くくくくく……それなりに耐えるではないか」「バトルファックで勝ってきた? 相手をイかせたことは有るのか? 耐えるだけで勝ったとは情けない。それを勝ちとは言わんのだ♪」「ほらほら、もう余裕がなくなってきたな?」「人間にしてよく耐えたと褒めてやろう。だが、もう終わりだ♪」「ほぅ、1回程度では萎えもしないか……これは一晩中楽しめそうだ♡」「こんな美味な精、初めてだ……これは止まらぬ…♪」「んくっ……たまもめ、余にこんな楽しみを教えぬとは……後でやつのあぶらあげを全て激辛にすり替えねば」「ほらほら、もっと出せ♪快楽なら幾らでも与えてやるぞ♪」「こんなに出しても全く薄くならぬとは……ふふふ、これからが楽しみだ♪」
もし、ルカのHPが低くすぐに逝ってしまったならそれなりの回数で終わっただろう。だが、今のルカは耐久力もとても高く、嫐りがいの有る獲物でありなおかつ、精の味は極上なのだ。なので――
「ふ、ふわぁああああああっ!?」「勇者は……ま、魔王なんかには絶対に負けない…ああぁぁぁぁ……」「だ、だめぇ……」「あひぃぃいいいいいいっ!」「ゆ、許してぇ……」「もう出ないぃ……」
アリスが初めて餌食にする楽しさと興奮も相まって、日が高くなるまで散々に犯され空っぽになるまで搾り取られてしまったルカであった。
「…………昨日はお楽しみだったね」
「うぐはっ!?」
ルカの精神に会心の一撃! まあ、横の魔王様がつやつやニコニコ上機嫌で、男の方が幽鬼の如くげっそりしていれば誰にでも分かろう。横ではちゃっかり幾つもの風呂敷包みを受け取っている。まだまだ食い足りないらしい。
「じゃあ、また来なよ。あんたらなら、何時でも大歓迎だからね」
おかみの見送りを受けて、街中へ繰り出す。さて、物資の補充に情報収集もしなければ。
グランベリア襲撃の翌日だけ有って、街中はその話題で持ちきりだった。道を歩けば何度も声をかけられ、店に寄れば大幅に割引をしてくれた。それにかこつけてアリスがあれこれ味見をしまくったのはご愛嬌と言ったところか。まあ、食材は良いのだ。問題は装備だ。昨日の戦いで、服は完全に駄目になり靴もボロボロで捨てる羽目になった。
とりあえず武具屋に入ると、品揃えは向こうの世界より余程良かった。まあRPGで無いのだから当然なのだがいきなり龍鱗の鎧さえ売っているが……体格が合わない。
「……僕だと特注サイズになっちゃうのかぁ……」
地味に体格にコンプレックスが有るルカだ。重鎧や重盾重兜さえ余裕で着こなせるとはいえ、サイズが合わないのはどうしようもならない。
「ふむ、だがこの手の鎧だと動きが阻害されないか?」
「まあその辺は何とか出来るよ。色々な職業も経験したし」
「……器用な奴だ」
呆れ半分感心半分なアリスを横に、色々と見て回るが、良さそうなのは――
「あっ、これは……」「むっ」
見覚えのある作りの品。生産地はエンリカ。
「おっ、さすがは勇者、見る目があるねぇ。それは特別な製法で作られた服さ。……地味だけど」
「まあ、僕は勇者じゃないので見た目よりも性能で選ぼうと思います」
苦笑しながら、服やら靴やら、エンリカ産で一式揃える。これならば、激しい動きをしても破損することは無いだろう。
「まいどあり! これかもぜひご贔屓に!」
武器の方は、鍛冶屋で応急修理をして貰う。さて、とりあえずで使える武器は無いかと探すがまあそこまで凄い物は無い。
「おい、ルカ。武器の事だが、後で渡すものが有る」
「えっ、アリスがくれるの?」
こんな事初めてだなと思いつつもそれに従う。準備は完了、さて次は何処に行こうかと街の出口へ行くと……
「ふふふ……見付けたわ、私だけの勇者様……!」
「こ、この声は……!?」
残念なアミラが現れた!
向こうの世界でもおなじみ、残念モンスター筆頭残念なラミアである。役には立つが残念なので彼女との会話は省くと、この辺りで魔物の盗賊団が暴れているらしい。しかもヴァンパイアやドラゴンも参加しているのだとか。西のイリナ山地に居るらしい。
「妙だな……ドラゴンにヴァンパイア……その様な強力な魔物がこの不愉快な名前の大陸で活動しているとは知らんぞ……?」
「僕の知ってる流れなら訳が有るんだけど……って、そういえばあの子達はどうやって流れてきたんだろう……」
疑問に首を傾げつつとりあえず西へ向かうとするルカ。
「ドラゴンやらヴァンパイアやらが居るそうだが……まあ今の貴様なら平気か」
「うん、クイーンクラスが一斉にでもかかってこない限りどうとでもなるよ」
正体は既に知っているし、クイーンヴァンパイアやら黒の三貴やらも撃破している身。仮にちびっこたちが全員大人な状態でも恐らく軽くいなせてしまうだろう。
「まあ先程の話の続きだが……貴様にこれをやろう」
と、荷物から取り出したるはあまりにも禍々しい姿の剣。
「うげっ!? 何だこれっ!?」
「堕剣エンジェルハイロウ――この世に一本しか存在しない、極めて貴重な剣だ。今後の戦いではこれを使うといい」
「た、確かに物凄そうな剣だけど……オーバーキルにならない?」
どう見ても禍々しい呪いの剣で有るが何故か聖属性を感じる不気味すぎる剣だ。正直使うのが割と怖い。
「だから、それを解消するための剣だ。その剣には天使の怨念が込められており、聖素の含有率が極めて高いのだ。その効果により魔素を消散し、生骸から引き離すという効果が得られる――」
「え、えっと……つまり?」
「分かりやすく言えば、その剣で致命傷を与えられたモンスターは、一時的に退化した姿、言わば封印状態になると言うことだ。まあ、この剣を使えば貴様の感情が昂ぶった時でも魔物や人間を斬り殺すことはあるまい」
「人間にも効果があるんだ……」
受け取ってしげしげと眺める。手に持った瞬間色々な負の感情が流れ込んできて正直怖い。
「そら、早速試してみろ」
と、アリスがコソコソと姿を消す。地面から出てきたのはミミズ娘だ。話しても引いてくれなかったので試しに速攻で瞬剣・疾風迅雷をぶち込んでみると明らかなオーバーキルなのに、死ぬこともなく小さなミミズになってしまった。
「おおおお……これは凄い……ありがとう、アリス!これなら本気で剣を振るえるよ!」
「喜んでもらえたようで何より……なのだが、もう此奴を止めるには四天王クラスですら二人掛かりでないと確実に止められないのでは……」
悩ましげな顔をしつつ、とりあえず旅路は続く。西へ西へ上機嫌に道中分からず屋な魔物を切り捨てながらずんずん歩いていくとイリナ山地に到着する。
「さて、このだだっ広い山地から盗賊を見つけるのは大変なのだが……場所はわかるのか?」
「うん、北の方に洞窟が有る筈……って、あ」
ダダダダダッと足音が聞こえてくると、アリスも急いで姿を消す。やってきたのは見慣れた顔だ。
「やい! 金目の物を置いていけ!」
ゴブリン娘が現れた!
「キミが、魔物の盗賊団?」
「いかにも! ボクは盗賊団四天王の一人、ゴブリン! 分かったら早く金目の物を出しちゃえ~!」
うん、メンバーは向こうの世界と変わってないようだ。
「うーん、僕は盗賊団を退治しに来たから無理かなぁ」
「えええ……? そんなに弱っちそうなのに……?」
「……」
あ、ちょっとカチーンと来た。ふふふ、どうやって実力の差を思い知らせてあげようか……なんてちょっと考えていると
「ぼーっとしてていいのか!? いくぞ、土の奥義、サンドハリケーン!」
と目つぶしを仕掛けてきた。何の苦もなく避けるルカ。
「…………」
「……それだけ?」
じわぁとゴブリンの目に涙が浮かぶが、何とか気を取り直した様だ。
「ま、まだまだぁ! 行くぞ、必殺アースクラッシュゴブリン!!」
大金槌を振り上げて、よたよたとこっちへ向かってくる。隙だらけでどうとでも出来そうだが……
「てやぁー!」
ゴブリン娘の攻撃!ルカに1のダメージ!
大金槌の一撃を受けても微動だにしないルカ。ゴブリン娘は目をパチクリとさせた後、プルプルと震えて涙目になる。
「ふ、ふぇえええええええんっ! ば、化け物だああああああっ! 怖いよぉおおおおおおおおっ!」
ゴブリン娘を追い払った! 30ポイントの経験値を得た!
「……ひょっとして、全部あんな感じなのか?」
「うん、四天王って言ってたし全部あんなちっちゃい子達で間違いないと思う」
「…………やれやれ」
ため息を一つ付くと、アリスが後ろについてくる。洞窟の入口に立つと、ひくひくと匂いを確かめる。
「……余はここで待っている。とっとと終わらせてくるといい」
「うん、すぐに終わるよ」
「ふふっ、来たわね。このあたし、水のラミアが相手をしてあげるわ!」
プチラミアが現れた!
出てきたのは案の定、ちっちゃいプチラミアだ。思わず生暖かい目をしてしまうルカ。
「な、何よその顔は!? 私に巻き付かれてもそんな顔が出来る!?」
とりあえず近寄ってきて、ぐるぐると巻き付いてくるプチラミア。力も弱いので簡単に振りほどけそうだがさてどうしたものかなと、ルカはとりあえず両手に氷の力を宿して、ピタピタと首筋を撫でる。
「ひゃああっ?! 冷たいっ!?」
ビクビク震えて涙目になりながらも、必死で巻き付き続けるプチラミア。そして、母親譲りの嗜虐心がむくむくと湧き出てしまったルカ。
「へえ、何処まで耐えられるかな……? ほーら、冷たいぞ~」
おでこやらお腹やら尻尾やらをペタペタ触ると、プチラミアの目からポロポロと涙が溢れる。そしてとうとう、ルカの拘束を解いてしまった。
「……ふぇーん! 冷たいよー! 酷いよー! 覚えてなさーい!」
そうしてプチラミアは泣きながら逃げ去ってしまったのだ。
プチラミアを追い払った! 35ポイントの経験値を得た!
「さて、次は……」
こころなしか満足しつつ奥へ進むルカ。ほんの少し奥へ進んでいくと――
「くくく……『土のゴブリン』に続いて、『水のラミア』を倒すとは中々のもの。しかし我は、そうは簡単にはいかんぞ!」
ヴァンパイアガールが現れた!
「我は闇の貴族にして、魔の眷属――そして四天王の一人、『風のヴァンパイア』。くくく……今宵の餌食はお前のようだ……」
「ヴァンパイアの得意属性は雷だよ?」
「……えっと、風の方が四天王みたいで格好いいかなって我は思うのだ」
「それで風の力が使えなかったら逆にかっこ悪いなあ」
「…………ぐすっ」
いきなり涙目になってしまった。
「え、ええい! ヴァンパイアだって風っぽい事は出来るのだ!」
そう言うとヴァンパイアガールは無数のコウモリに変化して、こっちへ襲いかかってきた。だが……
「僕も同じことが出来るんだよね」
ルカも体を無数のコウモリに変えて、ヴァンパイアガールのコウモリを迎撃する。動きの差は明らかで、ルカのコウモリがヴァンパイアガールのコウモリを翻弄し一方的にペチペチといじめている。
「な、なななななっ!? お前もヴァンパイアだったのかっ!?」
お互い元の姿に戻ると、涙目でこちらを見てくる。
「ふふふふふ……僕こそ夜の帝王、フォールエンジェルのルカだ!」
などとヴァニラやクイーンヴァンパイが好みそうな片目を抑え腕を伸ばしのドヤ顔ポーズを決めてみる。
「か、かっこいい! ……じゃなくて、夜の帝王なんてそんな奴に勝てるわけないのだ…… うぇーん! うぇーん!」
ヴァンパイアガールを追い払った! 40ポイントの経験値を得た!
「……ちょっと悪ノリしすぎちゃったかな?」
びみょ~うに反省しつつ、更に奥へ。そして現れたのは予想に違わず……
「わはは、よくここまで来たな!」
ドラゴンパピーが現れた!
「うん、とりあえず盗賊は止めてくれないかな?」
とりあえず断られると分かっていても説得から入る。
「お断りなのだ! がおー!」
まあ当然徒労に終わるのだがそれは相手の攻撃も同じだった。
ドラゴンパピーは口からぼわっと炎を吐き出した! ルカにダメージを与えられない!
「……う、うが?」
炎ダメージ無効のアビリティを先に付けていたお陰で、炎属性のダメージは完全に効かないのだ。そしておもむろにドラゴンパピーに近寄ると、頭にチョップを落とす。
「う、うがぁ……痛いのだ……炎も効かないのだ……」
頭を抑えて、涙目でその場にこてんと転がるドラゴンパピー。もはや反撃する気力も残っていないようだ。
ドラゴンパピーをやっつけた! 45ポイントの経験値を得た!
「さて、と」
勇者の仕事はただ戦いに勝つだけではない、その後の始末もきちんと付けないといけないのだ。どうするかと考えてる最中、後ろに気配がしたので振り返るとそこには後ろにちびっこ3匹を引き連れたアリスが来ていた。
「あっ、連れてきてくれたんだ」
「うむ。下手に散り散りになって逃げられたら他の魔物に食われるかもしれんからな」
後ろの様子を見れば、みなぐすぐす泣いている。どうやらこっぴどく怒られたようだ。
「えーと、一応聞くけど他の団員はいないよね?」
「いないのだ……」「全部で4人だけ……」
ぐずぐずと鼻を啜りながら答えるちびっこたち。4人縮こまって逆らう気力も無いようだ。
「それで、どうするのだ? 売るのか?殺すか?犯すか?食うか?」
「そんなの……やだぞ……うわーん!」「……ひぐっ……うぇぇぇん!」「うぇーん、うぇーん……」「わーん、わーん……」
アリスのあんまりな提案に大泣きしてしまう4人。
「……ひょっとしてアリス、今まで叩きのめしてきた魔物相手にそんな事を……」
「しとらんわドアホ!」
「僕だってしないよ! そんな事したら勇者失格じゃないか!」
やれやれと、泣いてる少女たちに向き直ってあやす。
「とりあえず、イリアスベルクの人たちに謝りに行こう。いっぱい迷惑をかけたんだから……分かったね?」
こくこくと頷く4人だが、アリスは訝しげだ。
「……大丈夫なのか?」
「僕も一緒に謝ってあげるから。アミラとか、普通に受け入れられてたでしょ? それに、乱暴されそうになったら僕が守ってあげるし」
「……まあ、貴様がそう言うのなら」
そして、それからの流れは元の世界の歴史と同じ。広場の真ん中で謝ると、街の人達も許してくれたようだ。それぞれが働ける場所に引き取られていく。
「ふむ……意外だったな。人間の心にも、まだまだ魔物を受け入れる隙間はあったと言うことか」
「うん、良かった。向こうと状況がぜんぜん違うようだから。でも、アミラが受け入れられてたから何とかなるかなって」
「ならなかったらどうするつもりだったのだ?」
「……その時は面倒をみようかなって。時魔法で、後から魔物への偏見が少ない地域に送るとか」
「……何とかなって良かったな。子供の御守りは真っ平だからな」
「うん」
最悪罵倒されながら街を出ていく展開も考慮に入れていただけに無事に終わって一安心だ。さて、次はハピネス村へ行こうかと補充する物資を考えていると、くいくいとドラゴンパピーに腕を引かれた。
「お前には、とってもお世話になったのだ。だから、これをあげるのだ」
そして差し出されたのは……なんとレッドオーブだ!
「うええっ!? こ、これ、一体どこで……!?」
「まさかこんな所に有るとは余も想像をしていなかったぞ」
何やら、数ヶ月前に大富豪の荷馬車から転げ落ちたらしい。これは偶然なのか、それとも……
「ありがとう。大切にするよ」
手を振って見送るルカ。とりあえず、この街でやることは終わっただろうか。
「……別の世界とやらでも、あやつらが持っていたのでは無かったのか? だから退治しに行ったのでは?」
「向こうだと、ヤマタイの村の近くのエルフの姫が持ってたんだよ。その大富豪が、エルフの姫に売ったのかな?」
「ほう、エルフの姫……ん? 確か酷いひきこもりだと余は聞いたのだが……」
「なんか、僕が気に入られちゃったみたいで」
あれは凄かった。とんでもない量のお宝を貢がれてしまって流石にたじたじだった。そして微妙なルカの表情を察して何も言わないアリス。
「では、次はハピネス村に行くのだな?」
「うん。問題が起きてるのなら放ってはおけないし」
「ハピネス蜜の産地か……問題を解決すれば、当然礼も出るだろう。くくっ、楽しみだ……」
早速、次の食べ物の事を考えているアリス。相変わらずだなあと苦笑しつつ、東へ歩み出す。色々と有るけど今回もまた楽しい旅になりそうだと、そんな予感がした。
ルカさんがアヒるのはもはや宿命(確信)
いくら耐久力が高くても攻撃力が0では勝ち目など無いのだ……
コラボでバトルファック系の主人公たちから技を教えてもらえればあるいは……?
イリアス様は……
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ずっと空の上でいいよ
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大人な分身で地上に来る
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ちっちゃくなって地上に来る