河童に紛れた磯女   作:銀ちゃんというもの

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鯖癌を自分がやりたい欲が爆発して書いたお話の一つ目。
続く気はしないけど、四話目くらいのまでは考えてあるのです。
ノリと勢いで書いただけなので短いですゆるちて。

性転換タグはサンラクくんが十割です。この二次創作の主人公ちゃんは真っ当な女の子よ。


本編
噂の妖怪は岩の上


 一人の男が岩肌が見える海岸を歩いている。

 装備に拳銃を持っているあたり、まともな人間には見えないが、ここがゲームの内ということを含めれば別段おかしなことは無い……かと思われる。しかし、男が今歩く土地はκ(カッパ)鯖。より正確に表せば、サバイバル・ガンマンというフルダイブVRのゲームのギリシャ文字サーバーが一つ、κ鯖である。つまり、ここにいるのは疑いようもない異常者だけだ。

 

 ただ、彼はκ鯖の河童(じゅうみん)ではない、『β民』と呼ばれるプレイヤーで、彼らは基本流浪の民だ。

 

 今朝、早朝とも呼べぬ日が登る寸前よりここにログインして、筏に乗ってサーバー間移動をしてきたそのわけとはこのκ鯖の海岸にあった。

 

 誰が言ったか、『κ鯖は河童のサーバーである』という言葉通り、水泳ガチ勢が揃った異色の仮想空間では、ある噂がある。

 それは、κ鯖のヨコヅナ程有名なわけでなく、それどころか風の噂とも呼べぬものから伝えられるあるプレイヤーの話。

 

 曰く、彼の者は岩の上で海を眺めている。

 曰く、呼びかけると振り返って、その血の引いた面を向けてくる。

 曰く、………………。

 

 そこまで思考をしたところで即座に男は携えた拳銃を構えた。

 

 眼前の岩の上、静かに佇む黒髪の女の影。

 

(……間違えねぇな。異様に長い黒髪に、被りもんだけ取った海女の装束……『磯女』だ……)

 

 どれ、磯女の逸話通り、(こえ)撃って(かけて)やろうかと照準を向けた……途端。

 

 磯女がぐるんっと男の方を振り向いた。

 些か、体調が悪そうな青白い顔に浮かぶ二つの瞳で男を凝視する。

 

 幾ら、異常者と名高いギリシャ文字サーバーの住人でも、これには一瞬怯えてしまう。

 だが、すぐに寒気を振り払って引き金を引こうと……気付けば、ぱららら、と軽快な音が海岸に響いた。

 いつの間にか磯女から無数の影が伸び、岩肌で跳ねるように男へ向かってくる。

 

 曰く、吸血の髪で襲ってくる。

 その意味を、吸血の髪が、乱列された岩を利用した跳弾の結果、即ち無数の銃弾だと気付いたのは、全身をその弾丸の先で刺されてからのことである。

 

 ……男が最後にその目で見たものは……蜂の巣にされた男を見て嗤う、正しく妖怪、磯女そのものだった。

 

 

 

 

 

 今日も今日とて、『毎朝数殺』のルーティーンをこなした私は岩肌から飛び降りる。

 ちなみに磯女の名前で呼ばれたから岩場にいる訳ではなく、私が元から岸と海の境界の岩場を狩場にしていたからこう呼ばれるようになったわけである。

 

 ふぅ……と伸びを済ませて、頬を叩いて気合いを入れる。既に朝日が登って時間が経過しているため、ログアウトまでに済ませる用事を素早くこなさなければならないのだ。

 

 即ち、死体漁り。

 

 これを一日数度しないと算数の時間に身が入らない不具合が体に起こる禁断症状を抱えてしまっている私は仕方なくしているのだ。

 私は何も悪くない。

 

 それにしても今のβ民さんはまだまだである、このギリシャ文字サーバーにおいて、いや、サバイバル・ガンマンというゲームにおいてプレイヤーを見たら既に撃っている、そういう状態でなければ上位勢には抵抗すらさせて貰えないのだ。私が彼がこちらに気付く前から気付いていたことにすら気付かずのんびりと照準を構える遅さ、伸び代はあると思うが、これからβ民として各地を巡るうちに相当な苦難に会うだろというのは、火を見るより明らか。

 ギリシャ文字の括りに入れられた奴らは私を除いて変人だらけ、さすがにその程度の苦難で折れることはないだろうが、是非ともこのゲームを辞めずに頑張っていただきたい。過疎るのは獲物が減って勘弁である。

 

 前にとっても愛らしい可愛い少女……そうだ、μ鯖のサンラクと言ったか。あの子に奇襲を仕掛けた時は、海辺が遠かったとはいえ、向こうの体力を恐らく半分も削れぬままにこっちが殺されてしまった。

 可愛らしくて強いとは、あの時は本当に興奮したものだ。彼女の頬に弾をぶち込んで肉をちぎった時は快楽すら怯えた。

 あれ以来、日にここの潜る時間を増やし、彼女の部位を壊す日を夢見ているのだ。

 勿論、学校を休むようなことはしていない。

 

 跳弾の制度が上がってきたとはいえ、創作のように跳ねて跳ねてという代物ではなく、平らな壁に斜めから入れて弾丸を壁沿いに滑らせるような、そんなことを繰り返して逃げ場を無くすための技術。

 まだまだヨコヅナさんに勝てない私も、ヨコヅナさんやサンラクちゃん……各サーバーの有名人からしたら私とさっきのβ民さんは同じように見えることだろう。

 もっともっと戦って学ばなければ。

 

 ああ、もう時間も時間だ。

 早く朝を食べなければ、小学校に遅れてしまう。

 

 そうして、ログアウトに必要な諸々を終えた私は孤島から消えたのだった。




河童に紛れた磯女……いや、作者が鯖癌に小学六年生サディズム少女を書いただけのお話。
一話目でありました。
続くとは言っていない。
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