かつて、色んな夢を見たものだ。
大きくなったら料理店を開きたい。
大きくなったら結婚したい。
大きくなったらモンスターに乗ってみたい。
ーー大きくなったら、村を守りたい。
*
ここは【ラグドス村】。近くにある山を観光地として成り立つ、小さな村。出来て50年くらいしか経たない、歴史の浅い村だ。
そして、俺はフィニシ・フォエバ。ハンターになって3年目だ。親は小さい頃に死んだそうだ。
「またモンスターが出たぞ!」
ギルドからの依頼を受けた俺は、とある山に出かけている。何でも、麓にナルガクルガが出てきたため、危険なので観光業が成り立たないとの事だ。
山はとても高く、山頂は雲の上に差し掛かっており、全く見えない。辺りは鬱蒼とした森になっており、進みづらい。
そういえば、ナルガクルガは別名〈暗殺者〉とも呼ばれるんだっけな。
*
ガサガサ………
背後から物音がしたので振り向く。しかし、何もいない。前に視線を戻したその瞬間、棘が飛んできた。
…お出ましか。
赤い閃光が鬱蒼とした森に走る。背中の片手剣を引き抜き、構える。
ギャオオオオオ!!!
激しい咆哮と共に、ナルガクルガ…にしてはおかしい、どこか歪な形をした姿のモンスターが現れた。よくモンスター図鑑で目にするような毛並みのいい尖った尻尾ではない。
棘が全体から生えており、ところどころねじ曲がっている。言うなれば、黒いセルレギオスか。辛うじて頭は原型を保っており、その表情はどこか苦しんでいるようにも見えた。
「新種か…?」
動揺しつつも、剣をしっかりと持ち直す。
一瞬の沈黙。
動いたのはナルガクルガだった。猫のようにしなやかな動作で、こちらに飛びかかってくる。すかさず避けるも、何か違和感を感じた。攻撃には当たっていないのに、傷を受けたような感覚がある。
じっくり考える暇もなく、ナルガクルガが再び飛びかかってきた。
それを避け、隙だらけの背中に剣を突き刺す。すると、その傷口から黄土色の煙が漏れ出してきた。すかさず剣を抜き、ナルガクルガから距離をとる。
グ、ガ、ァァアァァァア……
あっけなく終わった。
一撃しか入れていないのだが。
刹那、倒れたナルガクルガから急にさっきの煙が吹き出し、いつの間にか骨だけになってしまった。
「…素材が……」落胆した。
このレイア装備を新調出来ると思ったのに…。ってそうじゃないそうじゃない。
『奴』は明らかに様子がおかしかった。
*
帰還し、村のギルドに報告をする。なんでも、今までに各地で発見された例がないとのことで、厳戒態勢が敷かれることになった。〈狂竜化〉や〈突然変異〉のいずれにも当てはまらず、専門家に任せるしかないそうだ。そのため、村は住民を避難させたあと閉鎖された。
それから、俺を含めた村出身のハンターや各地から派遣されたハンター、学者達が村に調査拠点を構えることになった。
「ウフ、ウフフフフフ…ミ、ツケ、タ。」