妖艶な銀髪と死の向こう   作:よしりゅー

2 / 5
そこは地獄

【ラグドス村】には、1人の英雄がいる。

 

曰く、新たな地の開拓者。

曰く、赤龍を討伐。

曰く、【ラグドス村】の創始者。

 

そんな彼女でさえ、あの山の頂上からは帰らなかった。あの山は、深部へ入り込む者は決して誰も帰さないのだ。

 

小さい頃から聞かされてきたお話。

 

 

心優しい村人がいない。代わりに、ハンターがいる。優しい奴もいれば、野蛮な奴もいる。

…俺は小さい頃、この村に預けられた。俺の親は山の開拓に行き、帰らぬ人となった。

俺を一人前のハンターにまで育てあげてくれた、この村には感謝している。だからこそ、部外者のハンター共には申し訳ないが、出ていって欲しい。

 

…しかし、村を救うためなので仕方なく受け入れている。

 

 

…それでもどこか冷たいところがあるのか、今日まで俺に寄ってくるハンターはいなかった。

 

別に何とも思っていない。

俺は、この優しい村に恩返しがしたい。

この優しい村を作った英雄のようになりたい。

 

ただ、それだけだ。

 

 

翌日、ギルドの召集を受けたハンター達によって編隊が組まれ、山の調査に赴くことになった。どうやら、山頂までくまなく調べあげるらしい。

 

村人たちがそれだけはやめてくれとギルドに押しかけていたが、追い返されていた。

 

山頂まで登ろうとした者は、皆帰っていない。だから、山頂まで登るのは観光地といえども、禁止されていた。それを解禁するのだ。死者が出ると言って村人が止めるのも頷ける。

 

 

俺の編隊は山に入って少し登った後、歪なティガレックスと出くわした。

顎から牙がいくつも生えており、イビルジョーのようだ。また、前足がとんでもなくでかい。元のティガレックスの二倍はあるだろうか。

俺は歪なナルガクルガにも既に出くわしていたので、今更あまり驚きはしなかった。尤も、俺以外のメンバーは驚いていたが。

 

そいつを協力して狩ると、またもやナルガクルガのように黄土色の煙を上げて、骨だけになった。今度は、ナルガクルガより耐久力があったのでそれなりに時間がかかった。

 

 

「なんだ、こいつ…!」

歪なティガレックスを倒した俺の編隊は、既に壊滅。現在、俺は追われている。

 

 

その数分前。歪なティガレックスの骨を乗り越えて、更に進む。今度は、中腹まできた辺りだろうか。

本来森には居ないはずの、オドガロン通常種と出くわしたのだ。

そして、当然のごとく歪な姿をしていた。こいつがとんでもなく強かった。ナルガクルガ以上の速さ…音速の域に足を踏み入れたかと思うほどの動きでハンター達を凶爪で切り刻んでゆく。

ハンター達は一撃も入れられず、倒れる。

 

次はお前だ。

 

真紅の目に睨まれ、身体がすくむ。

全身が尖った鱗になっており、一度触れたら最後、生命を散らすだろう。

 

勝てないと本能が悟っている。

 

 

そうして、俺は逃げた。山を必死に登り、草木の間を進む。しかし、歪なオドガロンは草木を薙ぎ倒しながら追いかけてくる。

 

 

…どれくらい、走っただろうか。いつの間にか、辺りは真っ白になっており、何も見えない。

 

背後から追いかけてくる気配は、消えた。

 

前も後ろも分からぬまま、無闇に歩くのは良くない。だが、ここでじっとしていてはまたさっきの奴に襲われて死ぬだけだ。

 

「ハァ…ハァ…」

 

自分の呼吸がうるさい。

 

 

とりあえず霧から抜けるために、坂道の上の方へ歩くことにした。

「俺以外の編隊はどうなったのだろうか…。」

 

恐らく、全滅。

 

分かりきった答えの返ってこない独り言を呟きながら、歩く。

 

疲れた。きっと、ここで死ぬのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イ、イイエ。ソン、ナ、コトナイ、ワ。」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。