妖艶な銀髪と死の向こう   作:よしりゅー

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おーちたおちた、なーにが堕ちた

どれほどの時間が経っただろうか。

 

いつの間にか、気絶していたようだ。銀髪の女性は、俺の胸で眠りこけている。

よく見たら、綺麗な顔をしている。細くて、壊れそうに見えるけれど、意外と強そうな…不思議なオーラを感じる。

 

「………起き、タノ?」

銀髪の女性が目を覚ますと同時に、問いかけてきた。

そして、答える暇もなく彼女はキスをした。今度は短く、すぐに開放された。

そして、首筋を指でなぞられる。次に、舐められる。そして、噛まれる。痛みは感じなかったが、生温さから血が出たのだと分かった。

 

血を飲んでいるのか、飲み込む音が聞こえた。

「お前は、一体何者なんだ。」

 

銀髪の女性は飲むのを辞め、少しの間考えたあと、言った。

「コ、龍。」

 

こりゅう…古龍?

 

「古龍?」

「ウ、ん」

古龍…ギルドにはクエストがいくつも出ているので、存在は知っている。しかし、人型の古龍なんて見た事も聞いた事もない。

「こコ、最近、人、落ちてクる。た、食べル。人、なレタ。」

古龍は規格外の力を持つというので、そんなこともあるのかと無理やり自分を納得させる。

 

銀髪の女性はいつの間にか血を飲むのを再開していた。

 

…もう、考えるのをやめた。

 

 

徐々に絆され、身体が溶けていくようだ。

 

 

…また、眠っていた。

 

「逃がさナイわ。」

 

目が覚めるなり、銀髪の女性から訳の分からない宣告をされた。

 

 

だいぶ落ち着いてきたので、思考を整理する。

 

まず、俺は縛られている。

 

武器は?恐らく、山を転げ落ちた時に落とした。

装備は?一応着ているが、ボロボロだ。

帰る方法は?どうやらここは深い谷のようで、多分自力では帰れない。

銀髪の女性は?人に成った古龍らしい。

 

…まずは銀髪の女性について謎を解かなければ。

 

 

「お前は、誰なんだ。」

「ヴァルハザク…よ。アナタの前に落チタ人が私を見てソウ言ったわ。」

「何故、言葉を喋れる?」

「その人から色々聞イタから。言葉が上手くなッタのは、アナタの血を頂イタからよ。」

「いつからここにいる?」

「ここで生マレて1500年は経ったカシら。」

 

…もう少し踏み込んでみるか。

 

「何故、俺は縛られている?」

「アナタを逃がさないタメ。」

「どうして、そこまで俺に執着する?」

これは個人的に一番聞きたい事だ。

「アナタに興味がアルから。」

 

…言ってることが滅茶苦茶だ。

 

「何故そう思っているんだ?」

突然、銀髪の女性は黙った。そして、キスをされた。前のよりも激しく、堕とされる様な感覚さえ覚えた。

 

「アナタはワタシのモノ。」

 

 

……気持ちイイ。美しい。

 

妖艶な彼女は、俺から全てを奪うには、十分過ぎた。

 

「アナタの未練は、滅ぼしテアげる。」

 

つっかえていた嫌悪感はいつの間にかなくなり、何のために生きていたのかも、わからなくなってきた。

 

身体中を噛まれ、血が吹き出す。それは、一滴残らず舐め取られる。痛みはなく、快楽があるだけ。

そこには、ただ、一人の男を貪る異形がいるだけだった。正確には、異形ではなく、屍肉に映える美しい女性。

 

 

全ては、歪なナルガクルガとの邂逅から始まった。

 

彼女は、ナルガクルガに瘴気を流し込み、使役していた。フィニシを見つけると、戦闘を経て少しずつ瘴気を流し込み、その男の身体を瘴気に適応した身体に作り替えた。

その事を知らないフィニシは、黄土色の煙の中でも生きられることに違和感を感じず、冷静でいられた。冷静でいられたことこそが、すでに策略の内だったのだ。

 

そして、彼女に思考までも作り替えられ、堕ちていった。

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