東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第百三話

〜葵side〜

 

私達が弾幕ごっこを始めて約一分。

 

短いですが、どちらかというと、此方が不利かもしれません。

 

……私が弾幕の才能が無いので、鬼灯ばかりに弾幕を撃たせる型ちになっています。

 

「葵!」

 

「‼︎」

 

そんな考え事をしていたために弾幕が来ていることに、鬼灯に呼びかけられる迄気付きませんでした。

 

でも、それでも何とか避けることには成功しました。

 

「あ、危なかった……」

 

「むー!当たると思ったのにな〜」

 

「なら、当たってみるか?私の弾幕に!」

 

「「え?」」

 

「火符『狐火』!」

 

鬼灯の弾幕が秋姉妹に向かって撃たれました。

 

それを、秋姉妹は叫び声を上げながらも何とか回避出来ていました。

 

「あ、危なかった……当たる所だった……」

 

「次は此方からです!葉符『狂いの落葉』‼︎」

 

すると、赤と黄色の米型の弾幕が、まるで落ちるようにしながら、それぞれ別々の方向へと打たれました。

 

それは、どう見てもランダムな撃たれ方で、私達を狙う弾幕は一つもありません。

 

けれど、隙間が狭く、中央から離れると、どう考えても弾幕に当たってしまうため、此処で、まだ隙間が広い所を見つけては避けるを繰り返すことになりました。

 

そして、その弾幕全てを避けることには成功しました。

 

「あー、避けられちゃいましたか」

 

「ああ、避けた。次はなんだ?」

 

「私のスペルです!秋符『秋の空と乙女の心』!」

 

今度は、静葉さんの弾幕とは色が違い、赤と青の米型の弾幕が円形状に放たれました。

 

これだけだったら、まだ避けるのは簡単ですが、中には中くらいの大きさの丸型の弾幕が私達を狙って撃たれていました。

 

私達はそれも避けて、そのスペルをブレイクしました。

 

「さて、あまり時間も掛けたくないからな。……まあ、あの式神を使うのは今は絶対に嫌だから、これにしておこう。式神『二尾狐』」

 

すると、くおんさんと同じく二匹の二尾の狐が現れました。

 

……ただ、その狐の口からは涎が垂れている気がするのですが、これは気のせいでしょうか?

 

「ひっ‼︎そ、その狐、涎垂らしてるよ⁉︎」

 

「穣子‼︎あんたの甘い匂いの所為でお腹を空かせたんだよ‼︎きっと‼︎」

 

「えぇぇえ!」

 

ああ、やっぱり、あの涎は気のせいじゃなかったんですね。

 

「……なんか、済まん。だが、これも『遊び』。私だって『遊び』で負けたくはない。だから、済まん」

 

それが合図になったのか、二匹の狐は秋姉妹に口を開けた状態で襲いかかりました。

 

「「きゃぁぁあ!嫌ぁぁぁあ!食べないでぇぇぇえ!」」

 

秋姉妹は叫び声をまた上げて気逃げ回りました。

 

その際、「もう負けで良いからこの子達、なんとかしてぇぇえ!」と言う声が聞こえたので、鬼灯が式神を元の場所に返し、弾幕ごっこが終わりました。

 

……私が参加する意味、無かったですね。

 

***

 

「はあ、はあ……た、食べられるかと……思った……」

 

「……すまん」

 

穣子さんの言葉に、二人に謝罪をする鬼灯。

 

「え?何故、鬼灯様が謝るのですか?」

 

「いや、何か罪悪感が……」

 

「鬼灯様が謝ることではありませんよ。それに、あんな事があったとはいえ、私達はとても楽しめましたから!」

 

静葉さんが笑みを浮かべてそう言うと、鬼灯も笑みを向けました。

 

「そうだな。確かに、私も楽しめた。ありがとう、二人とも」

 

「「どういたしまして!」」

 

その後、私達はまた先に進むことにしました。

 

「それにしても、アレには驚いたな……」

 

「ですね。まさか、襲うとは思ってませんでしたよ……」

 

私と如月さんがそう話していると、私達の後ろを歩いているルカの足音が止みました。

 

「?ルカ、どうし……ルカ⁉︎」

 

私が後ろを向いてみると、目を瞑って、頭を押さえて座り込んでいるルカが目に入りました。

 

「ルカさん⁉︎大丈夫⁉︎」

 

私と私達の前にいた想起さんはルカに近付き、容態を見ました。

 

「ああ、大丈夫。……ちょっと、目眩がしただけだ」

 

「それは大丈夫じゃないから⁉︎今から治すからじっとしてて‼︎」

 

私が能力を使ってルカの容態を治すと、ルカも普通に立てるようになりました。

 

「大丈夫か?ルカ」

 

「ああ、もう平気だ」

 

「それよりも……体調が悪いなら早く言ってよ‼︎何で言ってくれなかったの⁉︎」

 

私がルカを怒鳴ると、ルカは……

 

「それが、朝までは別に体調は悪くなかったんだ」

 

と、言いました。

 

「……え?」

 

「ただ、今イキナリ目眩がしたんだ。体は怠くなかったのは幸いだな」

 

「……あんた、もう帰った方が良いんじゃない?」

 

霊夢がルカにそう言うも、ルカは首を振って帰らないという反応をしめしました。

 

ルカが心配ではありますが、そのルカの言葉を信じ、先に進むと……

 

「あれ?魔理沙?」

 

「お?何だ?霊夢達もこの先に行くのか……って、誰だ?お前。なんか、どっかで見た顔だな」

 

魔理沙がいました。

 

「魔理沙もちゃんと見てるよ。……紅魔館の図書館で」

 

「……あ!あの時の奴か⁉︎」

 

魔理沙は思い出したのか、如月さんに指を指しました。

 

「おい、人に指差すな」

 

「おっと、悪かったな」

 

「それで?お前はどうして此処にいるんだ?」

 

鬼灯がそう聞くと、魔理沙は笑いながら、

 

「何かお宝があるかもしれないだろ?」

 

と、言いました。

 

「お宝……ですか?」

 

「ああ!ま、無かったとしても、霊夢が此処にいる時点で私には着いて行く理由が出来たがな!」

 

魔理沙はその笑みのまま、霊夢を見て言いました。

 

それを聞いた霊夢は溜息を吐いていましたが。

 

魔理沙は霊夢にライバル心を燃やしているためか、この様に良く異変解決に乗り出して来ます。

 

私達はそれを別に咎めたことがないですから、今回も何も言いません。

 

「ということで!行くぜ!」

 

魔理沙はそう言いながら作った拳を天に突き上げると、先に歩き始めました。

 

私達はその後に続く様に歩いていると……

 

「そこの人間達、止まりなさい」

 

静止の声が聞こえてきました。

 

「……あんた誰よ」

 

(あれ?この人の姿、もしかして……)

 

私がそう考えていると、その緑髪の巫女さんとはまた違う、どちらかというと暗いのが印象的な服を着ているその女性は、ルカを見ると真っ先に近付き、額に手を翳しました。

 

「⁉︎」

 

「はい、コレで良いわ。それにしても、貴女、この厄、何処で貰ったのよ。今回に関しては、私と会った事は幸運よ?……『厄神』である私が言うべきことでもないけれど」

 

「え、『厄神』⁉︎」

 

想起さんはその一言に驚いたという様な顔を見せました。

 

「やっぱりですか……」

 

『厄神』

 

八百万の神の一人で、『人間達に厄を降りかからせる神』、またはその逆で『人間達の厄を除く神』とされています。

 

でも、この方は何方かというと後者であり、『厄神』というよりも『厄神様』なのでしょう。

 

何方にしろ、神様なのですが、意味合いとしては違います。

 

『厄神』と呼ばれるよりも、『厄神様』の方が人には好かれるでしょう。

 

「さて、では本題といきましょう。貴女達、この先に行くのは危険よ。今すぐ去りなさい」

 

「どうしてよ」

 

「危険だからよ。それに、この先は神の領域。行ってはならないわ」

 

「私は神なんだが?」

 

「妾も龍神じゃが?」

 

厄神様の言葉に反応した鬼灯と、いつの間に出て来たのか分からない凛華さん。

 

「貴女達はまだ良いわ。でも、他は駄目。神ではないものが立ち入るのは危険よ」

 

厄神様は私達にそう忠告してきましたが、霊夢と魔理沙の反応は違いました。

 

「妖怪なんかに言われたくないわよ。良い?妖怪は全員敵よ。だから、此処で倒させてもらうわ」

 

「そうだぜ!此処を通らせてもらうぜ!」

 

「私は人間達の味方よ」

 

「なら、えんがちょ!」

 

魔理沙がまるで本当に縁を切ったかの様な真似をしました。

 

「ほら!これで良いだろ?」

 

「良くないですから‼︎」

 

私はそこでようやく二人にそう言いました。が、その言葉は聞こえてないのか、二人は無視し、厄神様もまた、「なら、仕方ないわ。全力で止めるわよ!」と言いました。

 

「私は『厄神』である『鍵山 雛』!貴女達を全力で止めるわ!」

 

そして、雛さん対霊夢と魔理沙の弾幕ごっこが始まりました。

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