東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第百十二話

葵が宴会会場に戻ってみると、既に酔い潰れている者が何人かいた。

 

「は、早いですね……」

 

その酔い潰れる速さに若干引き気味な葵であったが、直ぐに戻すとそのまま台所の方へと向かった。

 

……その際、凛華と幽々子が大食い勝負の様なことをしていたのを記載しておこう。

 

***

 

葵が台所の所までくると、歩が立っていた。

 

歩は自身の能力のお陰で疲れることが無い。その為、宴会の料理を作る役を引き受けてくれたのだ。

 

「歩さん」

 

「あ、葵。どうしたんだ?」

 

葵が歩に声を掛けると、歩は一度作る手を休め、葵を見た。

 

「手伝いに来ました。一人だと大変ですので」

 

「大丈夫だ。だから、葵は宴会の方で楽しんでてくれ」

 

「しかし、それだと歩さんが楽しめません」

 

葵は『絶対に意見は変えない』という様な顔で歩を見た。

 

歩はその顔を見て、少し呆れた顔をするも、その手伝いを受け入れた。

 

「さて、次は何を作るかな?」

 

「そう言えば、此処に来る時に凛華さんと幽々子さんが料理を沢山食べてましたけど、お団子が既に無くなってましたね。多分、凛華さんが全て食べたのではないでしょうか?」

 

「そうか。なら、団子作るか」

 

「そうですね」

 

葵と歩はそう話すとさっそく料理を作り始めた。

 

……歩は同時進行で別の料理も作っていたが。

 

〜少年少女料理中〜

 

料理を作り終えると、まだ作らなければならない歩の代わりに葵が料理を運んできた。

 

「あら?来たわよ、凛華」

 

「な⁉︎それは団子ではないか⁉︎早く持って来るのじゃ‼︎」

 

「食べてもらうために持って来たんですから勿論ですよ」

 

葵は少し苦笑しながらも団子を凛華達の前に置いた。

 

すると、不思議な事に、その料理は一瞬にして無くなった。

 

「……え」

 

「やはり、団子は良いの〜。しかし、まだ足りんな」

 

「そうね〜。私もまだ食べ足りないわね〜」

 

この二人の胃袋はブラックホールか何かなのだろうか?

 

「葵、小唄達が来たぞ」

 

「⁉︎」

 

葵はその名前を聞くと、『遂にこの時が来てしまったのか……』という様な雰囲気を醸し出した。

 

葵からしてみれば来て欲しくない時間。他からしたら来て欲しかった時間である。

 

「ほら葵‼︎私達はあんたの歌を楽しみにしてるんだから歌いなさい〜‼︎」

 

「霊夢、もう酔ってるよね?絶対」

 

「酔ってないわよ‼︎」

 

葵は霊夢からのそんな反応を見て少し溜息を吐くと、また台所へ移動し、作られた料理と共に酔い覚ましの水を持ってきた。

 

「凛華さん達、どうぞ。それから、はい、霊夢。お水だよ」

 

「おお‼︎来たのじゃ来たのじゃ‼︎」

 

「ありがとう」

 

そして、葵はもう覚悟を決めると、全員の目(幽々子と凛華以外)が集まったのを期に、歌い出した。

 

勿論、小唄の演奏で。

 

「〜♪」

 

その歌声は、その場にいた者全てを魅了し、全員が聞き惚れるほどの歌だったのをここに残しておこう。

 

***

 

場所は変わって守矢神社の屋根。

 

そこにはレティシアが一人、座っていた。

 

「……やっぱり、余計な光が無いと、夜空もちゃんと見えるわね」

 

レティシアはそう言うと、結界を張り、此方もまた歌い始めた。

 

勿論、結界を張っているために、誰にも聞かれていないが。

 

ただ、聞いていたものがいたら、その歌の感想を聞かれるときっと言うだろう。

 

『寂しそうな、それでいて悲しそうな歌声』だったと。

 

「……クスクス、紫、居るのでしょう?」

 

レティシアはそう言って、自分の背後へと声を掛けると、隙間が開いた。

 

中にはお馴染みの紫がいた。

 

「……貴女、今「忘れなさい」……分かったわ」

 

それから少しの沈黙の後、紫が口を開いた。

 

「レティシア。私ね、新しい式を得たのよ」

 

「クスクス、そうなの?今度、機会があれば会いたいわね♪」

 

「ふふ、貴女なら何時でも会えるじゃないの」

 

「クスクス、まあね♪」

 

紫とレティシアはそんな風に話しながら、何時の間に出したのか日本酒を一緒に飲んでいた。

 

そして、宴会は終了した。

 

***

 

次の日の神無月神社。

 

「如月さん、また来てね」

 

あの後、結局はタメ口になったのはいいが『さん付け』だけはどうしようもないらしく、形的にこれで落ち着いた葵。

 

それでも、まだ固い様に見えるが。

 

「ああ、また来るな」

 

「その時には凛華の為に団子でも用意しておこう」

 

「なんか、ごめんな」

 

如月は本当にすまなそうな顔をして謝るが、葵が構わないと言った。

 

「それじゃあ、また来るな」

 

「うん、待ってるよ」

 

「待ってるからね。如月さん」

 

「ああ」

 

そして、如月は天羽々斬を使って次元を斬り裂き、元の幻想郷へと戻って行った。

 

「……さて、少し寂しいけど、また会えるから大丈夫だよね」

 

「ああ」

 

葵はルカにそう質問し、そんな返答が返って来たのを聞き、そのまま神社内へと帰って行った。

 

***

 

「……」

 

「?どうしたの?レティシア」

 

「……いえ、気にしないで。パチュリー」

 

「……分かったわ」

 

紅魔館の図書館。

 

その中にある椅子に座って少し考え事をしていたレティシア。

 

その考えて居る内容は、彼女にとっても、そして紫にとっても感化し難い問題であった。

 

(もし、この先この未来通りになるなら……私、殺しかける事になるかもしれないわね。出来れば、もう一つの方の異変から来て欲しいのだけど……)

 

レティシアが見た二つの未来。

 

一つは、空が緋色に染まる異変。

 

一つは、地底での異変。

 

彼女が望む異変は後者だが、このまま行けば先に来るのは前者である。

 

「……最悪、私が未来を変える必要があるわね」

 

レティシアはそう呟くと、読書に集中し始めた。

 

……この先の未来は、まだ決まらない。




はい!これで本当に『風神録』は終了です!

ちなみに、歌詞は載せれなかったので、どんな歌を歌ったのかだけ此処に載せます。

というか、曲の題名を載せます!

葵→『月見桜』

レティシア→『Opposite World』

興味があったら聞いてみてくださいね‼︎

それでは!さようなら〜!
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