「あれ?僕、主人公の一人なの?」
まあね。葵さん達の近くに入て、しかも異変も解決してるんだから『主人公』の一人でしょ
「そっか」
それでは!どうぞ!
第百十三話
想起が幻想郷に戻って来てそれなりの時間が経っている。
そんな想起の朝は、何時も葵の家事の手伝いから始まっている。
「葵、ほうれん草切ったよ」
「あ、ありがとうございます、想起さん。それをおひたしにするのでお皿に入れた後、だし醤油をかけてくれませんか?そのあとに鰹節もお願いします」
「分かったよ」
想起は了承すると、葵の指示通り、切ったほうれん草を器に盛り付け、だし醤油を掛け、最後に鰹節をあしらった。
「葵、次は何をすればいいの?」
「あ、もう大丈夫ですので鬼灯を呼んで来ていただけませんか?」
葵からの言葉にまた了承すると、裏庭の方で剣の練習をしている鬼灯を呼びに行った。
その途中には、ずっと咲き続ける桜がある縁側を通ることになる為、必然的に見ることとなる。
「……やっぱり、この桜はずっと咲き続けてるんだね」
(鬼灯達の考察だと、これは『幻想となった桜』だったな)
「うん。外の世界に『咲き続ける桜』は無いからね」
その桜は、花弁が風によって散ってしまうが、その度に新しく花弁が咲き、一生散ることのない桜となっている。
だが、その為か庭が少しピンク色に染まり始めている。
「……そう言えば、葵がいつか大掃除するって言ってたよね」
(ああ。確か、三日後だったな)
普段、葵は霊夢の方に行って境内の掃除をしたり、他の所へ行ったりしているため、此処まで手が回らず、放ったらかしにする結果となっている。
ただ、葵の性格ではそれがあんまり良い気分ではない様で、時々ではあるが大掃除をすることとなっている。
大掃除の内容が桜の花弁を掃く事だが、それは仕方のないことだ。
「……」
(……おい、想起。葵から頼まれてたことがあるだろ?)
「あ!鬼灯を呼んでこないと‼︎」
「ん?私がどうかしたのか?」
「⁉︎」
想起が砕牙からの指摘を受け、ようやく目的を思い出した時に、後ろから目的の人物である鬼灯が呼び掛けてきた。
それも急にである。
その所為か、少し鬼灯から離れてしまった想起であった。
「び、吃驚した……驚かせないでよ、鬼灯」
「む?驚かせるつもりはなかったんだが……すまん、今後は気を付けておこう」
鬼灯の今の姿は、修行の所為でかいた汗を洗い流す為にお風呂に入っていた様で、少し頬が赤くなっており、姿もいつもの陰陽服ではなく、白の着物を着ていた。
「あれ?鬼灯も持ってたんだ。着物」
「お前、持ってないと思ってたのか……ちゃんと持っていたさ」
鬼灯は苦笑しながら答えた。
「あ、ごめん。だって、何時もは着てないから……」
「まあ、そうだな。大抵は朝食が出来上がる前に風呂に入って汗を流して、一時だけ着物を着ている状態だからな。あまり見ることもないだろう」
「そうなんだ」
想起は、葵が何故今回、鬼灯が何時もより遅れるのか気付いていたのかという疑問を心にしまった。
何故なら、何と無く分かるからだ。
能力、それから勘だということに。
〜少年少女移動中〜
「……ようやく来たか」
想起と鬼灯が居間に来ると、そこには既に葵とルカが座って待っていた。
「あ、やっぱり今回は遅めに入ったんだね。鬼灯」
「ああ。ちょっと修行の方に集中しすぎた所為でな」
「そういえば、何で最近修行をよくしてるの?」
想起が何気ない質問をしてみると、鬼灯は少し嬉しそうにしながら、
「剣で試合をしてみたい奴がいるからだ。この前来ていたが、それ所じゃなかったからな」
と言った。
「そっか。あ、食べようか」
「そうですね、それじゃあ……頂きます」
全員が揃った所で葵が言うと、全員、食べ物に対して感謝を込めて言った。
***
「さて、今日はどうしようかな?」
想起はさっきまで、葵の手伝いとして川魚を取っていたが、今はもう終わっている。
そして、葵達はそのまま神社の方へと行ってしまったが、今回は何と無く一人で行動しようと考えていた想起は着いていかなかった。
「砕牙は何処か行きたい所はある?」
(ない。想起の好きな様にしろ)
想起は砕牙にそう問いかけるが、砕牙からはそんな返事が返ってきた。
「そうだな。……それじゃあ、ちょっと行ってみようかな。『紅魔館』」
そして、想起は行き先を決め、紅魔館の方へと飛んで行った。
〜少年移動中〜
想起が紅魔館に着くと、いつも通り、美鈴が立った状態で寝ていた。
「あ、相変わらずだね……」
想起が苦笑しながらその光景を見ていると、美鈴の頭にナイフが数本刺さった。
「え⁉︎」
流石にその痛みの所為で美鈴は起きたが、状況を把握した所為で、今の美鈴は涙目状態である。
「美鈴?貴女、またサボりかしら?」
「い、いえ咲夜さん。私はち、ちゃんと起きてましたよ……?」
美鈴は少し引きつった笑みを咲夜に見せながら言うが、咲夜の黒い笑みが解けることはなかった。
「美鈴。貴女には後でお説教よ」
「そ、そんな〜」
「後になっただけマシと思って欲しい所ね。それよりも……」
咲夜はそういうと、ナイフを自分の脚に着けているナイフホルダーに入れると、想起に対して頭を下げた。
「ようこそ、おいで下さいました。紅魔館へ」
「え?え?」
「……さて、此処までで良いわね」
さっきまでの瀟洒な姿勢はどこへ行ったのか、イキナリ雰囲気を変えた咲夜。
「それで?貴方は何の様で今日来たのかしら?」
「あ、今回は図書館の方で本を読もうと……」
「貴方も神無月の巫女も物好きね。此処に来るたびに本を読んでは借りて行ってるわね。まあ、どっかのネズミと違って、返してくれるから文句は言わないけれど」
「あ、あはは……」
想起はそれが誰のことを言ってるのか知っている為に、乾いた笑しか出てこなかった。
「……でも」
しかし、今回は咲夜の雰囲気が少し違った。
「今の妹様は狂気状態。入ったら殺されるだけよ」
「え?で、でも……」
「ダメよ」
咲夜は想起を行かせまいと止めていると、
「クスクス、咲夜。もう大丈夫だから安心しなさい」
「レティシア様」
レティシアが何時もの笑みを浮かべて咲夜の後ろに立っていた。
咲夜は何時ものことなのか対して驚いた様子を見せなかったが、想起は違った。
「うわ⁉︎」
相当、驚いていた。
それはそうだろう。全く気配がなかったのだから。
想起からしたら、イキナリ声をかけられた時の人間そのものだ。
「もう大丈夫……ということは、妹様の狂気は……」
「クスクス、ええ。ちゃんと戻ったわ。ついでに狂気も封じたから安心なさい。もう出てこないでしょう」
レティシアがそういうと、、咲夜は本当に嬉し涙を流し始めた。
美鈴も同様で、嬉し涙を流していた。
「……」
想起はその光景を咲夜と美鈴より少し後ろで見て、嬉しそうに笑みを浮かべて見ていた。
「あら?レティシア様。もう教えたのですか?」
「クスクス、ええ、もう教えたわよ。マリア」
「……え?」
想起はレティシアから出た意外な名前に、顔を声がした方向に向けると、マリアと同じ白のフワフワな髪をした、不思議の国のアリスの様な少女がいた。
その姿だけを見たらマリアなのだろうが、しかし、雰囲気はマリアとは真逆であった。
「……あら?貴方」
「あ、はは、初めまして!」
マリアは想起の存在に気付き、声を掛けるが、想起からしたら、雰囲気が変わっているマリアに対してどう接すれば良いのかわからず、結局は戸惑った状態で挨拶してしまった。それも、初対面の時に使う挨拶を。
「……私、貴方と初対面というわけじゃないのだけど?」
「う、ご、ごめんなさい」
「……別に謝らなくて良いわ」
マリアはそういうと、そのまま背を向けて紅魔館に戻ろうとしたが、
「クスクス、マリア。折角だから想起を図書館に連れて行ってあげてくれないかしら?」
「……分かりました」
マリアはそれに承諾し、そのまま想起を図書館まで案内することとなった。
***
歩き始めて数分経った。
しかし、その間、何方と話すことはなかった。
つまり、気まずい雰囲気なのだ。
「……あ、あの」
此処で想起が少し勇気を出して質問してみた。
「本当にマリアさんですか?」
「ええ、私はマリアよ。他に誰がいるというの?」
「え、でも、雰囲気が……」
「あっちは私が狼に封印されてる時の『私』よ。本来の『私』は今貴方が話してる私よ」
「……」
想起は何故封印されているのか聞こうとしたが、マリアから拒絶する雰囲気が出ていることに気付き、聞くのを断念した。
その後、パチュリーに許可を貰い、本を借りると神社へと戻って行った。
今回、マリアさん(本性)を出しました!
何故封印されてないかというと、前の異変から時々ではありますけど、封印をといています
ですので、こんな風に出てきている時があるんですよ!
それでは!さようなら〜!