〜桜がある縁側付近〜
魔理沙の叫び声はこの場にいた夢幸、龍、慧音、如月の所にも届いていた。
その叫び声から魔理沙が何をしたのか大体想像出来た夢幸と如月は嘆息した。
「はあ、またか」
「また彼奴はくだらないことをしたのか」
「?魔理沙は何かしたのか?」
「今の声からして、したんだろうね」
慧音と龍が何事かと首を傾げていると、その問題である魔理沙が丁度、縁側を通った。
その時に、慧音は目敏くも見つけることが出来た。
魔理沙が持ってる本を。
「……成る程な。そういうことか」
「え?け、慧音先生?」
龍は隣にいる慧音から怒りオーラが出ていることに気付き、少し焦り出した。
しかし、もっと焦るべきことが出来た。
夢幸が自分の物であるはずのサーフボードを魔理沙に投げたのだ。
「……え?」
「うお⁉︎やべぇ‼︎」
魔理沙は全速力で逃げ……様とするが、魔理沙の進行方向の反対からルカが現れ、逃げ切ることは叶わず、サーフボードが後頭部に当たることとなった。
***
あの後、魔理沙を追っていた想起は、魔理沙の現状を見て少し同情した。
何故なら、現在、魔理沙はというと、
「……」
ガクガクと震えながら正座をさせられているからだ。庭で。
そして、その脚の上には氷塊が乗せられている。
そんな魔理沙の周りにいるのは4人の鬼。
「魔理沙、貴様はまたくだらないことをしたのか」
一人は時雨夢幸。
「魔理沙。お前にはまだO☆HA☆NA☆SHIが足りない様だな」
一人は如月翔。
「魔理沙。それが鬼灯の物だと分かっていながら盗んだだろ」
一人は霜月ルカ。
そして、最後の人物は魔理沙の頭を両手で固定した。
「……へ?」
「魔理沙、お前にはお仕置きが必要だな」
「ちょっ⁉︎まっ……」
「問答無用だ‼︎」
その人物は魔理沙の頭に頭突きを食らわせた。
その結果、魔理沙は気絶してしまったが。
「……相変わらずの威力か。慧音の頭突きは」
「これぐらい当然だな」
最後の一人、上白沢慧音は腕を組みながらそう言った。
「しかし、どうするべきか……」
「ん?何がだ?」
「魔理沙の掃除区域の事さ。確か、道場の方を任せてたはずなんたが……これだと、向こうも大変だろうしな」
ちなみに、道場を掃除することになっているのは岩槻、妖夢、永久、鬼灯である。
「ふむ、どうするべきか……ん?」
如月は境界が開く気配を感じ、自分の後ろを見た。
「ん?どうした?如月」
「いや、境界が開く気配が……」
その言葉とほぼ同時に境界が開き、その中から現れたメイド服を着た二人の人物は、如月とルカの見知った人物だった。
「‼︎沙月‼︎夏希‼︎」
「沙月、久しぶりだな‼︎」
如月とルカは直ぐに二人に近寄った。
「如月様、レティシア様の言う通り、本当に此処にいらっしゃったのですね」
「翔様〜!私達も手伝うよ〜!」
「そうか。ありがとう二人とも」
「頼むな、二人とも」
「ええ、勿論。ルカ」
ルカは沙月の登場によって、少しテンションが上がった様だ。
現に、普段からあまり見せない笑顔を沙月に見せている。
「……珍しい。ルカが笑うなんて」
「何を言っている。人であるのだから笑うのは当然だろう」
「そうだよ。それが普通だよ」
「まあ、そうなんだが、ルカの場合、普段から笑顔を見せることは少ないんだ。だから、珍しいんだよ。それに、アレだけ心を開いているのも、葵を除外して考えてもいるかどうか……」
「……そこまで信用出来ないんだね。他人を」
「……」
龍は少し悲しそうだが、夢幸は変わらずであった。
「それで、私達は何をすれば?」
「あ、それなんだが……今丁度、魔理沙が気絶しててな。だから、夏希は道場の方を、沙月は私と一緒に蔵の方の掃除をして欲しいんだ。良いか?」
ルカはそう頼むと、二人は了承した。
そして、夏希は道場がある方向を聞くと、その方向へと歩いて向かった。
「それじゃあ、沙月。行くか」
「うん、そうですね。それでは、如月様。お互いに掃除を頑張りましょう」
「ああ」
沙月は如月にそう言うと、ルカと共に蔵の方に向かった。
そして、その場に残った者達は落ちている沢山の桜の花弁を掻き集めてはビニール袋に入れる作業を続けていた。