ルカが沙月と共に蔵の方へと向かっている途中、沙月に呼び止められ、歩くのを辞めたルカ。
「?どうした?沙月」
「いえ、ルカに着てもらいたい服がありまして」
「着てもらいたい服?」
この時、ルカは多少なりとも嫌な予感がしていたが、それをあえて無視した。
それがルカにとっては仇となった。
「掃除をするのですからコレを着てください‼︎」
そう言って、沙月が取り出したものは……、
「……おい、ちょっと待て。それは何だ?」
「何って、メイド服ですよ?」
「絶対に着ないぞ‼︎///」
ルカに対してサラッと言ってのけた沙月。
メイド服を着るように言われて顔が真っ赤になっているルカ。
コレがもし、沙月や葵以外の者だったなら確実に能力で氷漬けにしようとしていただろう。
しかし、今回の相手は沙月である。残念ながら、そんな事は出来ない。
「問答無用です!」
「ちょっ⁉︎着せようとするなぁぁぁぁあ‼︎///」
こうして、ルカはあえなくメイド服を着せられることとなった。
***
〜神無月神社の蔵〜
そこで掃除をしているのはアリス、カロード、霖之助である。
「それにしても、ルカ、遅いわね」
「そうだな」
「何かあったんだろうか?」
アリス、カロード、霖之助がそんな事を言っていると、蔵の扉から足音が聞こえてきた。
ただ、一人分多いが。
「どうやら来たみたいね……何故か一人分多いけど」
アリスはそう言いながら扉の方へ向かった。
「ちょっと、ルカ。遅かったじゃない。何かあった……の……」
「?アリス?」
「どうしたんだい?」
カロードと霖之助は何故か黙ったアリスを不審に思い、扉に近付いてみると、
「……」
「ルカ。お前は今まで何をしてたんだ?」
霖之助だけが固まってしまった。
今、三人の目に映っているのは間違いなくルカであるが、その姿に問題があった。
「……た、頼むから、その、見るな///」
ルカは顔を赤くしながら自分の姿を隠そうとしている。
いつものどこか冷たいルカの姿は無い。
そこにいるのは、恥ずかしがっているメイドである。
「ふふ、驚きましたか?」
「‼︎あ、貴女、誰?」
その声によってアリスと霖之助は意識を戻し、その人物を見ると、此方もまたメイド服を着ている人物であった。
「失礼しました。私、如月様のメイドをしております『奈々瀬 沙月』と申します。よろしくお願いします」
「よろしく。私はアリス・マーガトロイドよ」
「俺はカロード・ペインティークだ。よろしくな」
「僕は森近霖之助だよ。よろしくね、沙月さん」
「はい、よろしくお願いします。アリス様、カロード様、霖之助様」
全員がそう挨拶をすると、三人とも何処か微妙そうな顔をしている。
「?どうなされましたか?」
「いや……『様』はやめないか?慣れていないんだが」
「分かりました。でしたら、よろしくお願いします。アリス、カロード、霖之助さん」
沙月が訂正して挨拶すると、それで自己紹介を終え、問題のルカメイドの事に移った。
「それで……何でルカはメイド服を着てるの?」
「それは、沙月に着せられてだな……」
「似合いますよ、ルカ」
「やめてくれ‼︎この姿は恥ずかし過ぎる……///」
ルカと沙月はそんな風に会話していた。
「……珍しいわね。ルカが心を開いてるなんて」
「そんなに珍しいのか?」
「そうだね。珍しいよ。僕の前でも見せない姿だからね」
「……そうなのか」
この中で今日初めて会ったカロードは、アリスと霖之助の話を聞くと少し黙って見てからそう言った。
「と、兎に角だ。掃除をしよう、そうしよう」
「ルカが遅れたんでしょ?」
「……それは悪かったと思ってるさ」
「なら、罰として今日は一日その姿ね」
「なっ⁉︎///」
アリスの言葉にルカは反対しようとするが、自分が遅れたのも事実な為に、結局は反論出来ず、その姿のまま蔵掃除をし始めた。