まあ、レティシアさんがアレなもので、中々説明出来ないんですよね、これ……
それでは!どうぞ!
ミコトは幸多に連れられて神無月神社へとやって来た。
「はい!此処が葵お姉ちゃんが住んでる所だよ!」
「そうか。ありがとうな、幸多」
ミコトは幸多の頭を撫でながらお礼を言うと、幸多は嬉しそうにしながら帰って行った。
それをミコトが見送っていると、後ろから気配を感じた。
ミコト自体は自分に近付く『命』を感じていた為驚くことはなかった。
そして、その『命』から強く出ている警戒心と困惑も。
「……おい」
ミコトは声がした方に体ごと向けると、そこには金髪紅眼の少女がいた。
「……お前は?」
「……ルカだ」
その少女はやはり困惑しながらも答えた。
ミコトはその少女が困惑しているのは分かったが、なぜこんなに困惑しているのかまでは分からなかった。
ルカが困惑している理由、それはミコトの雰囲気が葵と似ている事にある。
だから、ルカは困惑している。まるで葵の二人目を見ている気がして。
だからなのだろう。何時もは警戒して相手から名乗らせるルカが自分から名乗ったのは。
「……そうか。それで、俺は会いたい奴がいるんだが……」
「あ、ああ。それで、会いたい奴と言うのは誰だ?」
「いや、名前まではちゃんと聞いてないんだ。『会って欲しい人がいる』って言われただけだからな。……すまない」
嘘は言っていない。ルカはそれがすぐに分かった。
「……そうか。……まあ、何と無く分かった気がするが」
「ん?そうなのか?」
「ああ。多分、葵だろうな」
「……」
「着いてくると良い。案内してやる」
ミコトはルカに案内してもらって神社へと入った。
〜少年少女移動中〜
ルカが案内したのは桜が無い方の縁側だった。
そこには狐姿で昼寝をしている鬼灯と、その横に座ってぼーっとしている想起、本を読んでいる葵がいた。
「おい、鬼灯、想起。しっかりしろ」
「……んっ?……⁉︎」
「?どうしたの?鬼灯……えっ」
その二人もまた、ミコトを見て困惑した。
やはり雰囲気からすぐ近くにいる葵を連想させたのだろう。
……その本人は本に集中してしまっているが。
「……何で俺はこんなに驚かれてるんだ?」
対してミコトはよく分かっておらず、首を傾げていた。
「……すまない。お前と雰囲気が似てる奴がそこにいてな。それで驚いたのさ。私は此処『神無月神社』の神の鬼灯だ。そして、こっちが……」
「想起です。この神社に居候しています」
「……そうか」
ミコトは想起達と自己紹介をし、次に葵の方を見た。
(もしかして、この子か?)
ミコトは葵を見ると、まだ本を読んでいた。
「あ、葵。本に集中するのは良いけど、お客さんだよ」
「……あ、すみません」
葵はそう謝ると、縁側から立ち上がり、
「初めまして、葵と言います。どうぞよろしくお願いします」
頭を下げてそう挨拶した。
そして、顔を上げた時に、ミコトの顔……と言うよりも目を見た為にミコトの過去を見た。
その内容は余りにも自分の昔の環境と『似ていた』。
ただ、『似ていた』だけで、少し違う。
何故なら、ある時までミコトに味方をしてくれる者はおらず、ミコトにとって自分の味方になってくれた愛しい人は亡くなっていた。
ちゃんとまだ他に味方がいるのも見えていたが、そこは今は問題ではない。
その過去を見た葵はというと……、
「…………」
「⁉︎お、おい……葵?」
「葵、どうした?」
目から涙を流していた。
「……葵」
「……ひっく……うぅ……」
葵は鬼灯から名前を呼ばれたのにも気付かず、ただ泣くばかり。
ミコトはこの時、葵がどれだけ『優しい子』なのか理解した。
葵の『命』から感じ取れるものにも理解できた。
普通は誰もそうではないだろう。他人の過去を聞いて泣くのは、それだけ親しくなった間柄だけだ。
だが、ミコトと葵は今が初対面だ。ミコトの過去を考えると同情して終わりだろう。
しかし、そんな相手に葵は泣いていた。
ミコトの過去を悲しんでいた。
それは葵が『優しい』から。
「……ひっく……ひっく……」
「……葵、泣かないでくれ」
ミコトは葵の頭に手を載せて、落ち着かせる為に撫でながらそう言った。
「……ひっく……でも……でも、ミコトさんはっ‼︎」
葵はまだ泣きながらミコトを見た。
「葵は優しいんだな。俺の為に泣いてくれる。……でも、泣かないでくれ」
「ですがっ‼︎」
「俺はもう大丈夫だ。『過去』を見たなら分かるだろ?俺は俺を受け入れてくれる人に出会えたんだ……それに、周りを見てみろ」
「……」
葵は涙を少し拭いて周りを見てみると、全員が心配そうな、そして葵が泣いているのを見たからなのか、悲しそうな顔をしていた。
「……」
それを見た葵は顔を俯かせてしまった。
ミコトはまだ葵の『命』から感じる悲しみをどうにかしたいと考えていた。
自分の為に泣いて欲しくない。そうミコトは思っているのだ。
(……レティシアが会って欲しいと言っていた子は絶対に葵の事だ。……何を考えているんだ?)
「……兎に角、一旦神社に入ろうよ」
想起がこの空気を払拭する為なのか、はたまた葵を落ち着かせる時間が欲しいだけなのか、その両方か、そう提案した。
***
ルカと想起が一旦、葵を部屋へ送っている間、ミコトは鬼灯と対面していた。
ただし、鬼灯は狐の姿ではなく、人型になっているが。
「……それにしても、何か聞きたそうだな?」
鬼灯はミコトに対してそう投げ掛けた。
そして、ミコトは兼ねてよりの疑問を此処で投げ掛けた。
「……鬼灯の『命』はどうなっているんだ?」
「……」
鬼灯は黙ったままミコトの言葉を待っている。
そして、ミコトも言葉を続けた。
「俺は『命を理解する程度の能力』を持っている。だから、鬼灯。お前の能力も理解できる」
「……なるほど。だから、葵の能力も知っていたわけか」
鬼灯の言うとおり、ミコトは葵の『命』から、能力の性質を大まかにだが読み取っていた。
だから、葵が自分の『過去』を見たのも分かっていたのだ。
「だから、言わせてもらう。お前の『命』は普通の命と比べて何かがおかしい」
ミコトは鬼灯を訝しげに見ている。
「……レティシアから何か聞いたか?」
対して鬼灯はミコトに対してそう返した。
「いや、聞いていない。……そのレティシアもそうだ。レティシアの『命』も普通の『命』と何処かおかしい。……説明してくれないか?」
ミコトは鬼灯の目を見ながらそう聞いた。
その目からは嘘を言うなと言うような目だ。
「……お前はこの幻想郷の紅魔館には行ったか?この幻想郷にある『夢の館』には?」
「いや、行ってないが……それが何か関係するのか?」
「……私の『命』は私の能力と繋がっている」
「⁉︎」
ミコトはそこでようやく違和感が払拭された。
だから、鬼灯の『命』が何かと繋がれているように感じられたのかと。
「……」
「私もつい最近気付いた……という訳でもないが、まあ、大分前から気付いてはいたんだ。それが確実になったのはある異変での事だ」
「……」
「『人石異変』……この幻想郷で起こった異変だ。起こした本人の動機は復讐だ」
「復讐……」
ミコトはその単語に反応した。
別に本人がそうしようとか考えていたわけではない。ただ、その単語は、彼が愛した人が死んだ動機でもあるのだ。
「……私はお前の過去を知らないから何も言わなず、話を続けさせてもらう。その時の異変を起こしたのはメデューサだが……ミコト、お前はメデューサがどんな存在か知っているか?」
「……ああ」
「なら話が早い。そのメデューサは何時もある従者に能力を封じられていたんだ……と言っても二つのうちの一つだが」
「……」
「そのメデューサは一つの能力を封じられただけで……自分の本来の人格と記憶を失った」
「……それは……本当か?」
ミコトからの問いに、鬼灯は頷いて返した。
「これはその本人も言っていたが、『能力との結び付きが強い。だから、封じられた』と。まあ、そんな感じの事をな。それで私は納得したんだ。もしそのメデューサの能力を二つとも……繋がりが強い能力二つを封じるとどうなるか……そうなると待っているのは『死』だ」
「……」
「私ともっとも繋がりが強い能力は私が持っている能力全てだ。『自然を操る程度の能力』を封じられると、私は記憶を失くし、ただの妖怪九尾となって暴れることになる。そして、全部を封じられれば……分かるだろ?」
「……なら、レティシアはどうなるんだ?」
「レティシアも同様だ。両方の能力を封じられれば待っているのは『死』だ。……まあ、彼奴は私以上に『死』と隣り合わせだが」
「……どういうことだ?」
ミコトはそう言うと、鬼灯は目を瞑った。自分を少し落ち着かせる為だ。
……そして、その状態で話し始めた。
「……彼奴は本来の姿の能力のお陰で生きていられるんだ。彼奴がいつから生きていると思う?月の民……まあ、つまりは永琳達が地上にいた時からだ……そういえば、永琳が誰か分かるか?」
「ああ。輝夜の事を大切に思ってる人だ。……俺もお世話になったしな」
ミコトは自分の左手を見ながらそう言った。
「……何があったのかは聞かないでおこう。まあ、葵はその辺も見ただろうから分かってるんだろうが」
「別にこれぐらいなら良いんだが……」
「話がずれても良いなら聞くが?」
「……なら、いい」
ミコトがそう言うと、鬼灯は本題に戻した。
「本来なら例え吸血鬼といえどそこまで生きていられない。……彼奴は既に寿命を迎えていてもおかしくないんだ」
「……」
「さっきの説明からしておそらくレティシアが不老不死なのは分かってるだろ?アレはレティシアの本来の姿での能力のお陰だ。……つまり、その能力が消えたり、封じられたりすればレティシアは死ぬ」
「……」
「レティシアにももう一つ能力があるが、そっちの方を封印すると記憶を失うだけで済む。私とかだとそれも大問題だが、彼奴は自分の能力で何とでもなるから問題ない」
「……なるほど。それじゃあ、葵とルカ、想起は記憶を失うのか」
「……ルカは違うが、葵と想起はそれだけで済むんだ」
鬼灯はそう言うと、黙った。
「……そのことを、葵達は知ってるのか?」
ミコトはそう問うと、鬼灯は頷いた。
「ああ、私から教えておいた。葵の場合は治す能力が、ルカは氷系の能力が、想起の場合は黒龍の能力が失われると記憶を失くすと、そう話してある」
「……霊夢は、どうなるんだ?」
ミコトはこれが一番心配だった。
例え違う霊夢だとしても、自分を受け入れてくれた存在だから心配なのだ。
ただ、本人は気付いていないが、実はそれだけじゃなかったりするが。
「……霊夢は、命を失うことになるだろう。魔理沙は記憶を失うだけだが」
「…………」
「……魔理沙は、彼奴は確かに魔法使いだが、種族はまだ人間だ。しかし、これで本当の魔女になったら、その時は……」
「……」
ミコトは黙ったままだ。
しかし、それは余りのショックからだろう。
「……ミコト」
「……」
「……ミコト、お前はそっちの霊夢を大事にしろ。こっちの霊夢はそう簡単に死にはしない。補助特化の葵がいるんだ。早々な事が無い限り死なないさ」
「……頼む、霊夢の事を」
「分かっているさ」
そこで話を終え、葵がいる部屋へと向かった。
ミコトさんのキャラが迷走した気がする
こんな筈じゃなかったのにーーーー!
あ、一応補足ですが、能力を失くすと命を失うと言いましたが、それはそれだけの繋がりの強さがなければなりません。能力を失くした時に記憶を失う。これについては誰にでも起こります
もう一つ、心臓を指したとしても能力があるから死なない……ということはありません。妖怪はまあ置いといて、心臓を刺されたら死にます。普通に死にます
多分、これだけかな?
何か疑問がありましたら言ってください。ちゃんと答えますので
それでは!さようなら〜!