東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第百二十八話

弾幕ごっこ一発目のスペルは直ぐに宣言された。

 

「恨符『丑の刻参り』!」

 

その宣言後、パルスィは夢幸が居る場所に小型弾幕を撃った。

 

しかし、夢幸はそれを簡単に避けた。

 

まあ、避けたと言うよりもサーフボードに乗って空中へと移動したと言うのが正確なのだが。

 

「……なんだ、そのスペルは俺狙いの筈なのにずっとその場を打ち続けるつもりか?」

 

「うっさいわね。これがスペルなんだから仕方ないでしょう?」

 

それを言うと、弾幕を撃つのを一度辞め、今夢幸がいる空中へと再度放った。

 

しかし、これまた少し位置を変えるだけで避けることに成功していた。

 

「簡単過ぎてつまらないな」

 

「貴方、本当にムカつくわね」

 

「ふっ、そんな言葉は俺に勝ってから言え。まあ、お前では俺に勝てはしないがな」

 

それだけを言うと、夢幸はパルスィの横へと移動し、ゼロ距離で弾幕を撃った。

 

「きゃあ‼︎」

 

勿論、スペル発動中のパルスィは避けることは叶わず、あえなく当たった。

 

しかし、地面に一度倒れたパルスィは直ぐにまた起き上がった。

 

「くっ‼︎まだ私は負けてないわよ」

 

「それが何時まで続くか、見ものだな」

 

夢幸はそれを言うと、一度距離を取った。

 

「次行くわよ‼︎嫉妬『緑色の目をした見えない怪物』‼︎」

 

すると、緑色の弾幕がパルスィの近くに現れ、そのまま夢幸がいる方へと向かっていった。

 

その動きは蛇を沸騰させる動きであった。

 

「まるで蛇の様に俺を追ってくるスペル……成る程、意味としてはこれは『嫉妬』を表しているわけか」

 

『感情』というものは表に出てくるものが多数である。

 

『楽しい』『嬉しい』などと言ったものは笑顔を見せ、『悲しい』『苦しい』などと言った感情は涙を出す。

 

しかし、『嫉妬』と言った感情は表に出ない。いや、出にくい。

 

それが例え表に出ていても気付くものは少ない。

 

そんな『嫉妬』を怪物として例えたスペルだと夢幸は解釈したようだ。

 

「さあ、これはどうするのかしら?」

 

パルスィは笑みを浮かべてはいるものの、油断なく構えている。

 

夢幸が自分より実力が上なのはどうやら分かっているようだ。

 

「ふん、こんなものは薙ぎ払ってやる。光天『ジャッジライトセイバー』」

 

夢幸が此処でスペル宣言をすると、超巨大な光の剣を二つ持ち、その片方ではあるが振り下ろし、弾幕を消し飛ばした。

 

「嘘ッ⁉︎……だったら、これよ‼︎舌切雀『謙虚なる富者への片恨』‼︎」

 

すると、パルスィがイキナリ二人に増え、片方が大型弾幕を、もう片方が小型弾幕を撃ってきた。

 

(舌切雀と言ったか……となると、『彼方』は偽物か。しかし、邪魔だな……)

 

夢幸は何故かスペル名でどんなスペルなのかを予測して行動を考えていた。

 

考えてる最中でも弾幕を避けているが。

 

そして、夢幸は『わざと』大型弾幕を撃っている方のパルスィへと弾幕を放った。

 

そして、一定以上与へ続けているとそのパルスィは消え、それと同時に打ち返し弾が夢幸を襲う。

 

しかし、それさえも持っていた光の剣を薙ぎ払うようにして動かし、弾幕を消し飛ばした。

 

「……消えたか」

 

だが、そこでその剣は消えてしまったようだ。

 

「スペル!」

 

パルスィはそんな夢幸を待つことはせず、次のスペルを放った。

 

「花咲爺『シロの灰』‼︎」

 

すると、夢幸の方へと大玉弾幕が放たれた。

 

その軌道上には六つの桜の花のような形をした弾幕が設置されていた。

 

夢幸はそれを黙ってよけようとしたが、その桜があるためか、避けるのを妨害してくる。

 

「……仕方ないな」

 

そう小さく零すと、サーフボードを持ち、パルスィの方へと向けた。

 

「?貴方、何をする気?」

 

「こうするのさ。スペル……」

 

そう言うと、夢幸のサーフボードの中心に魔力が集まり始めた。

 

そして……、

 

「魔砲『カイザースパーク』」

 

まるで魔理沙のスペル『マスタースパーク』の様なスペルを放った。

 

此処で違いを言うなら、それは魔理沙のよりも威力があり、その分、燃費が悪い事だろう。

 

その砲撃はそのまま弾幕達を飲み込み、遂にはパルスィさえも飲み込んだ。

 

***

 

「大丈夫ですか⁉︎」

 

弾幕ごっこが終わると、直ぐに葵はパルスィの方へと向かった。

 

夢幸からではなくパルスィなのは、外見的にはパルスィの方が酷いからである。

 

「夢幸がアレを使うなんて珍しいな。燃費が悪いって言う癖に」

 

「ああ。もし一枚目のスペルが残っていたのなら、アレを使うことはなかったんだがな。まあ良いだろう。魔理沙、ちゃんと見ていたか?」

 

「ああ、勿論だ!良い勉強にもなったしな‼︎それに、夢幸のカッコ良い所も見れたから私としてはプラスな事ばかりだ‼︎」

 

「ふっ、そうか」

 

そう言うと、また魔理沙の頭を撫で始めた。

 

「……アレ、今日何回目?」

 

「いや、二回目だよ」

 

霊夢の言葉に対してそんな事を言う想起である。

 

「……で?燃費が悪いのを使ったが、魔力は大丈夫なのか?」

 

「ふん、心配される事などない」

 

ルカの言葉に対してそんな返しをする夢幸に、ルカは溜息を吐くと、夢幸の肩に手を置いた。

 

「おい、何をするつもりだ」

 

「多分、この先私が戦うことはないかもしれないのでな、力の受け渡しさ……種類は全然違うが」

 

ルカはそう言いながらも力を流し、夢幸は燃費の悪さからきていた怠さが和らいだ。

 

「……礼は言わないぞ」

 

「礼を言ってもらうためにやってないからそれで良い。というか、そこで言ってもらっても私が困る」

 

そんな会話をしていると、パルスィへの治療が終わった様で、今度は夢幸への治療に入ろうとしたが、それは夢幸本人に断られた。

 

「さて!じゃあ行くぜ‼︎」

 

「といっても、何処へ行けば良いのよ」

 

「そこは霊夢の勘で……」

 

「私の勘が万能だと思うな」

 

「え?違うの?」

 

「違わないわよ」

 

そんな風に話していると、

 

「待ちなさい」

 

またパルスィが話し掛けてきた。

 

「……邪魔はしないんじゃなかったか?」

 

如月がそう問うと、パルスィは肯定した。

 

「ええ、そうね。邪魔はしないわ。……で、何処へ行こうというのかしら?」

 

「……地上で異変が起こってるんだ。イキナリ間欠泉が噴き出すは怨霊が蔓延るはで……」

 

歩がそう説明すると、パルスィは少し逡巡した後、口を開いた。

 

「多分だけど、それは『地霊殿』で起こってる異変だと思うわよ……そういえば、なんか彼処、最近忙しなかった様な……」

 

「忙しなかった?」

 

「ええ、地霊殿で飼われてる『鹿』と『猫』がなんか慌ててたのを一度目撃したことがあるわ。だから、多分彼処で……」

 

「案内を頼めませんか?」

 

パルスィがそんな事を言っていると、葵がそう頼んだ。

 

「は?なんで私が……」

 

「お願いします」

 

パルスィからそんな言葉を受けながらも、葵は頼むのをやめず、頭を下げた。

 

それを見たパルスィは少しばかり沈黙すると、溜息を吐いた。

 

「はぁ、分かったわよ。案内すれば良いんでしょ?すれば」

 

「‼︎ありがとうございます‼︎」

 

葵からの笑顔を見て、パルスィは少し驚いた様な顔をしたが、少し頬を染めた後、顔を横に逸らした。

 

「べ、別に……これ以上頼み込まれても迷惑だったからよ」

 

「パルスィさんは優しいんですね」

 

「だから違うわよ‼︎」

 

そう反論した後、そそくさと歩き出した為に全員がパルスィについて行った。




夢幸さんってこれで大丈夫かな?戦闘描写とか、今回が一番不安になりました……

さて、何時もなら言わないけど、次回!あの鬼が出ますよ‼︎

それでは!さようなら〜!
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