東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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今回は何時もより長いです。長文です

……三つの戦闘を考えると変ではないですね。うん

それでは!どうぞ!


第百三十話

如月と葵を連れて勇儀の元へと戻ってきた凛華は、葵達に早く結界を張るように急かしていた。

 

「如月‼︎早く結界を張るのじゃ‼︎」

 

「だあ‼︎もう、分かったよ‼︎葵も頼む」

 

「わ、分かりました」

 

凛華の執念に苦笑気味な葵も如月と一緒に結界を張った。

 

それを確認した凛華と勇儀はお互いを見据え、獰猛な笑みを浮かべた。

 

「ふふ、ようやく妾も戦えるの〜。本当に久し振りにじゃ……くくく」

 

「あんた、強そうだね〜。私も楽しみだよ」

 

そうして、お互いを見ることたった数秒、二人は同時にぶつかり合った。

 

その勢いからなのか、結界が震えた。

 

「凛華のやつ……やり過ぎないと良いが……」

 

「うぅ、私も戦いたい……」

 

「……え⁉︎」

 

葵は自分の後ろから急に声がしたことに驚き、直ぐに振り向くと、そこには陽炎が立っていた。

 

しかし、その陽炎自身は本当に戦いたい様で、ソワソワとしている。

 

だが、そこは鬼。約束事は破らない。戦いたくとも、どれだけ羨ましくとも見ているだけに留まっている。

 

「か、陽炎さん……何時の間に?」

 

「ん?勇儀達がぶつかり合った瞬間にだが?」

 

「あ、そうだったのですか……」

 

そんな会話をしていると、またもや結界が震えた。しかし、壊れる様子は見えない。

 

二人が張った結界は強固の様だ。

 

そして、勇儀と凛華の様子を見ると……お互いの拳をぶつけ合っていた。

 

どうやら、お互いに殴ろうとした結果、拳同士が当たった様だ。

 

そして、そのまま一度距離を取る両名。

 

「ふふふ、勇儀との戦闘は本当に楽しいの〜♪妾はずっとこの時を待っていたのじゃ‼︎」

 

「そうかい。私も嬉しいよ。陽炎と同じぐらい……いや、それ以上かもしれないね〜。これ程強い奴と戦えるのは‼︎」

 

そう言うと、勇儀は足に力を込め、踏み込み、凛華の方へと一直線に向かっていく。

 

その手は勿論、拳の形を作っている。

 

それに対して、凛華は避けもせず、かと言って引もせず、またもや拳をぶつけ合った。

 

それによってまたもや震える結界。それはまだ壊れる様子を見せない。

 

「結構強固に出来たな。結界」

 

「……」

 

「?葵?」

 

如月は結界が割れる心配をしていたのか、安堵した顔をしているが、葵は訝しげな顔をしてその結界を見ている。

 

そして、何を思ったのかその結界に近付いた。

 

「お、おい⁉︎結界が有るからって危ないぞ‼︎」

 

如月のそんな声は聞こえていないのか、歩みを止めずに近付く葵。

 

そして、結界に手の平を合わせると、目を閉じて集中し始めた。

 

「……葵?」

 

そして数秒経つと、目を開け、元の位置へと戻り、陽炎の方へと顔を向けた。

 

その顔は先程の訝しげな顔とは違い、寧ろ尊敬に近い顔をしている。

 

「?」

 

「結界を張るの……陽炎さんも手伝って下さったのですよね?」

 

(あ、成る程)

 

如月は多少なりとも気付いていたことであるため、そこまで驚きはなかった。

 

「……まあ、な。あの二人が戦うと本当に地底が危ないと思ったからな。私も力を使ったんだ」

 

「凄いですね‼︎私、結界とか補助が得意……と言うよりもそれに特化してるのですが、彼処まで強固な物は出来ないんです。陽炎さんは本当に凄いですね‼︎」

 

「なっ⁉︎わ、私はす、凄くなんかないぞ‼︎///」

 

そんな事を言うと、赤い顔をそっぽに向ける陽炎。しかし、褒められた事に嫌な気分はない様で、何方かと言うと照れているようだ。

 

「如月さんも凄いです‼︎私もまだまだと言うことですね」

 

そして、如月の事も褒めると、自分はこの二人に結界の事で負けていると思ったのか、負けないように努力を怠らないことを心に決めた葵。

 

対して如月はというと、

 

「いや、俺よりも葵の方が……これ、聞いてないな」

 

若干、苦笑いしていた。

 

そんな会話をしていると、一際大きな音が鳴り、何事かと全員が音がした方……凛華達の方に顔を向け直すと、そこにはお互いの顔を殴った状態の二人がいた。

 

しかし、その二人はその状態でも笑みを消さず、また殴り合いになっていた。

 

お互い、全く防御をしていない。本当にただの殴り合いを。

 

「……」

 

これを見た葵は心配より先に、こんな光景を初めて見たからなのか、ポカーンとして見ている。

 

口も半開きである。

 

そんな時、ピシッと言うような音が鳴った。

 

「あ、結界が……」

 

「⁉︎な、直しましょう‼︎」

 

葵のその言葉に陽炎は待ったを掛けた。

 

「大丈夫だ。もうすぐ終わる」

 

「え?」

 

そして、陽炎の言葉は直ぐに分かる事となった。

 

結界の罅がドンドンと酷くなっていく。

 

それでも、凛華と勇儀は殴り合いを辞めない。

 

……しかし、途中で勇儀の足が少し崩れてしまった。

 

「なっ⁉︎」

 

「妾の勝ちじゃ‼︎」

 

「……そうだね。私も久し振りに楽しかったよ」

 

凛華の楽しめたと言うような顔に、勇儀もまた笑みを浮かべて見ると、凛華からの強烈な一撃(思いっきり殴っている)を喰らい、そのまま飛ばされた。

 

そして、勇儀はそのままボロボロな結界に当たり、結界は割れてしまった。

 

「だ、大丈夫ですか⁉︎」

 

葵はそれを見ると勇儀の方に駆け寄ると、能力を使い、治し始めた。

 

「あ〜、有難うね、お嬢ちゃん。……あんた、凛華って言ったね?」

 

「ん?そうじゃ」

 

「久々に楽しい勝負が出来たよ。またやりあおうじゃないか」

 

勇儀は先程負けたと言うのに、まだ好戦的な笑みを向ける。

 

対して凛華も好戦的な笑みを浮かべた。

 

「ああ、勿論じゃ」

 

そこで二人は互いの拳をぶつけた。

 

「……ふぅ、これで一応終わり「……何ですか?先程の大きな音は」……(やばっ‼︎)」

 

如月はその声を聞くと、ギクっと肩を震わせた。

 

そして、まるでブリキの人形の様にゆっくりと振り向くと、そこには薄紫の髪と三つ目な目が特徴的な少女が立っていた。

 

***

 

魔理沙と夢幸は少し手こずっていた。

 

相手が魔理沙達より強いのか?と問われると、それは違うと答える事になる。

 

なら、何故手こずっているのか?それは、相手の『素早さ』にである。

 

「あー!こいつ、速すぎて当たらん‼︎」

 

さっきから角に弾幕を当てようと頑張っている魔理沙はそんな事を大声で言った。

 

「それはそうっすよ‼︎なんたって俺は『雷獣』なんすから‼︎」

 

対して角は、魔理沙達に自分の種族を明かした。

 

『雷獣』

 

この種族は日本の伝承の中でも有名は方だろう。

 

漢字の通り、『雷の獣』なのだ。

 

その体からは何時も雷が帯電しており、その雷には毒があると言われている。

 

……角には毒は無さそうだが。

 

「魔理沙、落ち着け」

 

「でもな〜、夢幸。これだと全然当てられないぜ?」

 

「魔理沙、俺達はタッグを組んで相手をしているんだ。一人でやってるわけじゃない。言いたいことは分かるな?」

 

夢幸が魔理沙に対してそう言うと、魔理沙も意味が分かった様だ。

 

「‼︎そうだな‼︎よっし‼︎やるぜ‼︎」

 

「その息だ。手加減はするなよ、魔理沙」

 

「私が手加減?そんな事はあり得ないぜ‼︎」

 

魔理沙はそう言うと、箒に跨り、角を後ろから追いかけながらも弾幕を撃った。

 

「うわ!危ないっすね‼︎」

 

角は後ろからの攻撃に対してそんな事を言うと、電気を帯びた弾幕を魔理沙の方へと撃った。

 

それに関して、魔理沙は特に何もせずに避けた。

 

「うわ〜、当たったら痺れるな。アレは。だったら、当たらなかったら良い話だぜ‼︎」

 

「そんな上手く「光天『ジャッジライトセイバー』」ッ⁉︎」

 

角はその先の言葉を言わず、右へと避けた。

 

すると、その逆に左から光の剣が振り下ろされた。

 

「危なかったっす……」

 

「あー!惜しい‼︎」

 

「……避けられたか」

 

角は今の攻撃に冷や汗を流し、魔理沙は夢幸の攻撃が当たらなかったことに対して悔しがっていた。

 

「ならお返しっす‼︎スペル‼︎抗符『アブリュートブレッド』‼︎」

 

そう宣言すると、角の周りに弾幕が十個現れ、そのまま魔理沙と夢幸の方へと撃たれた。

 

魔理沙と夢幸は一度その場を離れるが、それぞれ五個の弾幕が二人の後を追った。

 

「追尾弾幕か‼︎」

 

「言っておくっすけど、それからは逃げれないっすよ‼︎」

 

「そんなのこれ見たら分かるぜ‼︎」

 

魔理沙はそう言うと、星型の弾幕をその弾幕に当て、撃ち落そうとした。

 

しかし……、

 

「げ⁉︎」

 

撃ち落とすことは出来なかった。

 

「……撃ち落とすことは不可能と言うことか。なら……魔理沙‼︎」

 

「‼︎」

 

魔理沙は夢幸の目を見ると、何を言いたいのか分かった様で、夢幸がいる方へと向かった。

 

(?何をする気っすか?)

 

角のそんな疑問は直ぐに晴れることとなる。

 

魔理沙と夢幸の後を追っている弾幕全てが集まったのを見計らい、夢幸はその場に立ち止まり、サーフボードの中心を弾幕の方へと向けた。

 

その中心には段々と魔力が集まっていく。

 

「魔砲『カイザースパーク』」

 

夢幸は本日二度目の『カイザースパーク』を撃った。

 

普通はそう何度も何度も撃てるものではないのだが、この弾幕ごっこの前にルカからの力の受け渡しによって、また撃つ事が出来たのだ。

 

そして、その砲撃の結果は……、

 

「やはりな」

 

見事、撃ち消す事に成功した。

 

まあ、この場合、撃ち消すと言うよりも消滅の方が正しいのかもしれないが。

 

「あ〜、やられたっすね」

 

「凄いぜ‼︎夢幸‼︎」

 

「当たり前だ。俺は天才だぞ」

 

夢幸はそんな自画自賛をする。

 

しかし、そんなのを相手が待ってくれるはずがなく、

 

「じゃあ、次行くっすよ‼︎」

 

そう言うと、最初から持っていた刃が付いているランス二つを強く握ると、

 

「帯電『サンダーバズーカー』‼︎」

 

スペル宣言をした。

 

すると、角の角に雷が落ちた。

 

……遠くから音に反応して小さな悲鳴が聞こえた気がするが気の所為だろう。

 

そして、そのままランスの方へと電気を流し、それを纏わせた。

 

その状態を確認し終えると、角は魔理沙達の方へと突進していった。回転しながら。

 

勿論、ただの突進と言うわけでもなく、結構速いのだが、魔理沙と夢幸はそれを回避した。

 

「さて、決めさせてもらう。スペル、風車『トルネード乱舞』」

 

そう宣言した後、夢幸はサーフボードを角がいる方へと蹴り飛ばした。

 

それも、ただ蹴り飛ばしたわけではなく、回転させる様に工夫をして。

 

すると、そのサーフボードの回転は段々と早まり、対には竜巻が発生した。

 

「ええ⁉︎」

 

外だとこんな事は出来ないが此処は幻想郷。常識など通じない。

 

角はその竜巻に飲み込まれてしまった。

 

実はこのサーフボードには鋭利な刃が付いており、その刃が角を襲う形になっている。

 

「これぐらいじゃ、俺は倒せないっすよ‼︎」

 

しかし、角はまだ倒れていない。

 

それに対して、夢幸は返した。

 

「いや、魔理沙が終わらせる」

 

「え?」

 

角は少し惚けたが、直ぐに自分の真上から力を感じ、上を向いて見ると、魔理沙がミニ八卦路を角の方へと構えていた。

 

「魔砲『ファイナルスパーク』‼︎」

 

そして、そのまま極太レーザーを撃った。

 

その極太レーザーと竜巻が収まると、そこにはボロボロとなった角が倒れていた。

 

「やったな!夢幸‼︎」

 

「だから言っただろ。魔理沙となら負けはないと」

 

二人はそんな会話をしていた。

 

***

 

霊夢は弾幕を撃つのが苦手な歩に変わり、お燐に対して弾幕を撃っていた。

 

それに対してお燐もまた弾幕を放ち、撃ち落としていた。

 

そして、最初に動いたのは……お燐であった。

 

「スペル‼︎呪精『ゾンビフェアリー』‼︎」

 

すると、何体か青白い妖精が召喚された。

 

数としてはそこまで多くはない。

 

「何?あれ」

 

「死んだ妖精?妖精は死なないわよ?」

 

「いやいや、お姉さん、そこはツッコんだら駄目だよ」

 

お燐は霊夢の発言に苦笑いを浮かべる。

 

そして、そのまま弾幕を時計回りに乱射し始めた。

 

霊夢と歩はその弾幕を回避するために動くが、

 

「うわ⁉︎危なかった……」

 

ゾンビ妖精が接近してきた。

 

歩は襲われるかと思い回避行動を取ったが、どうやらただ接近して来るだけの様で、それ意外には別段襲って来る様子を見せない。

 

「……これ、どうすればいいの?」

 

このゾンビ妖精の対応をどうするべきかと悩んでいる歩。

 

歩は旧地獄に何回か足を運んだ事があるが、その時はキスメやヤマメ、そしてもう一人の妖怪と弾幕ごっこで遊ぶ意外には弾幕ごっこをしたことがない。

 

勇儀に関しては数えれない。何故なら、弾幕ごっこではなく肉弾戦をしようと言うからだ。

 

陽炎との関係も結構友好である。

 

 

閑話休題

 

 

霊夢はゾンビ妖精に対して少し苛立ち始めてきた。

 

このゾンビ妖精、接近してくる事もあるが、弾幕から回避する時にとてつもなく邪魔なのである。

 

「こんな奴‼︎」

 

霊夢は遂にそのゾンビ妖精に弾幕を当ててしまった。

 

その瞬間、ゾンビ妖精は後ろへと後退すると同時に打ち返してきた。

 

「しまった⁉︎」

 

「霊夢‼︎」

 

霊夢はそう言いながらも出来るだけ撃ち落として、スキマを作り、そこへと逃げ込んだ。

 

「……成る程ね、これは厄介ね」

 

霊夢の先程の様子をちゃんと見ていた歩は何事も無かったことに安堵の溜息を零した。

 

その後、先程の事でゾンビ妖精を撃つのは危ないと判断した二人は結局回避に専念し、ようやく時間切れとなった。

 

「あー、終わっちゃった」

 

「そうね……さて、あんた」

 

「ん?何?お姉さ……ひっ⁉︎」

 

お燐は霊夢の方へと顔を向けるとそこには……修羅の顔をした霊夢が立っていた。

 

「あんた……よくもまあ、こんな面倒臭いスペルをしてくれたわね?」

 

「れ、霊夢……落ち着こう。な?」

 

歩は霊夢の顔を見て冷や汗を流しながらも止めるが、霊夢は止まらない。

 

「さっきのお礼に……私のラストスペルを撃ってあげるわ♪」

 

「お、お姉さん……怖いよ?」

 

「あんなスペルをやったあんたが悪い‼︎スペル‼︎『夢想天生』」

 

「うわぁ⁉︎」

 

霊夢はお燐に対して、お情けなど一切出さず、結局は最強技を撃ったのだった。

 

……結果?言わずともお分かりになるでしょう?

 

***

 

「うわぁぁん‼︎角〜‼︎怖かったよ〜‼︎」

 

「ど、どうしたんすか?お燐……」

 

弾幕ごっこが終わり、意識を取り戻したお燐は直ぐに角に抱き着き大泣きし始めた。

 

何時もなら嬉しいと思う角だが、今回ばかりはお燐がこんなな為にその感情は後回しとなっている。

 

「霊夢、お前、何したんだ?」

 

「魔理沙……そんなに気になるなら受けてみる?」

 

「遠慮しとくぜ」

 

魔理沙は霊夢に何があったのかと聞くが、その霊夢からの黒い笑みを見ると、直ぐに断った。

 

「……それで、さっきからそこにいる薄紫の髮は誰だ」

 

夢幸はこのままだと話が進まないと即座に判断し、如月の隣に立っている薄紫の髪をした少女に話し掛けた。

 

そして、少女もそれに対して自己紹介をした。

 

「初めまして。私は『古明地 さとり』。種族は『覚』です。『地霊殿』の主をしております」

 

そう言って、さとりは礼儀正しく頭を下げるのだった。

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