東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第百三十二話

お空からの弾幕をずっと避けている如月と想起。

 

時たま、弾幕で撃ち落としたりもするが、殆ど避けてばかりである。

 

しかし、此処は灼熱地獄跡。跡とはいえ、したには残ったままの灼熱地獄。

 

その熱は想像していたよりも遥かに熱いのだ。

 

「如月さん、これだと僕達の方が……」

 

「……そうだな。早々に決着をつけないといけないな」

 

二人はそうやって相談すると、早く決着をつける為に、動こうとした。

 

しかし、それはお空がスペル宣言をする形で制限された。

 

「早く撃墜されちゃえ‼︎核熱『ニュークリアフュージョン』‼︎」

 

すると、お空が力を溜め出した。

 

お空のスペルを知ってる蜷局は、二人に対してアドバイスしなかった。いや、出来なかった。

 

この弾幕ごっこに蜷局が参加をしていたのなら、蜷局はアドバイスをしていただろう。しかし、今は蜷局は参加をしていない。

 

だから、助言をしてしまうと、この弾幕ごっこの邪魔をする事になってしまう。

 

声を出してしまえば、集中が途切れてしまう可能性があるのだ。

 

お空が力を溜め終えたと同時に何かが爆発した様な音がした。

 

その直ぐ後、超巨大な丸型弾幕が如月達に狙いを定めながらも放射状に飛ばされた。

 

「うっわ、避けにくい」

 

想起のその言葉は如月の内心にもある言葉だ。

 

しかし、それでも避けることに成功した二人に待っていたのは……、

 

「大量の弾幕かよ……」

 

お空が放った大量の青色の丸型弾幕。それも先程と比べると結構な小型だ。

 

それは流石の二人も手間取らずに避けていたが、またお空から放たれた超巨大弾幕が襲って、その小型の弾幕もあるのだから、避けるに若干苦労している。

 

しかも、それに加えて熱さもある。二人の体力は大幅に削られていった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「あれ?どうしたの?もう限界?」

 

「これぐらい……凛華の修行と比べたら……」

 

そう言いながら思い浮かぶは凛華との地獄の特訓。

 

如月にとって、それと比べるとこれはまだまだ楽な様だ。

 

「ど、どんな特訓をさせられてたんだろ……」

 

そんな如月に若干同情の視線を向けた想起は直ぐにお空に視線を戻した。

 

想起は自分がまだまだ未熟なのは分かっている事だ。

 

となると、弾幕ごっこを自分より経験している如月にお空を倒してもらった方が良い。

 

想起はそう考えると、一つだけ作戦を思い付いた。

 

「如月さん」

 

「ん?何だ?」

 

「僕に一つだけ考えがあります。それが出来たら、もしかしたら……」

 

「分かった。で、どんな方法だ?」

 

如月はそう承諾すると、想起は如月の耳に手を当て、お空に聞こえない様に気を付けながら説明した。

 

それを聞くと、如月は、

 

「……それ、他の奴にも被害が出ないか?」

 

と、心配した。

 

しかし、それは想起が首を横に振って否定した。

 

「まあ、確かに出るかもしれませんけど、そこは大丈夫です。ちゃんと加減をしますから」

 

「……分かった。なら、頼む」

 

如月はそう言うと、天羽々斬を構えた。

 

「ん〜?何をするかは知らないけど、やらせない‼︎」

 

お空はそう言うと、二枚目のスペルを宣言した。

 

「焔星『十凶星』‼︎」

 

すると、またお空から超巨大な弾幕が十個飛ばされた。

 

如月と想起は勿論、それを避けようとするが、

 

「おっと」

 

「これ……時計回りに回ってるね」

 

今二人がいる場所にもその超巨大弾幕はあるが、それらは時計回りに回っていた。

 

それもよく見ると、その数は五個だけで、残り五個はお空の近くで反時計回りに回っている。

 

そして、まだそれだけではなく、二人にはまた小型の弾幕が襲ってきた。

 

まあ、二人は前へ前へと進みながらも横を気にしながら避けるだけなので、そこまで難しいスペルでもないと感じていた。

 

そして、結局そのスペルは二人に当たらず、スペルブレイクされてしまった。

 

「あ〜、結局当たらなかったよ〜」

 

「さて、それじゃあ……」

 

「反撃させてもらうよ」

 

そこで想起はチラッと後ろを見てみると、全員が自分の耳を塞いでいるのが見えた。

 

葵はそれプラス目も瞑っているが。

 

どうやら、さとりが想起の心を読んだ結果を後ろの全員に伝えた様だ。

 

そして、それを見て少し安心した想起は、加減をする事も考えながらスペルを宣言した。

 

「まずこれ‼︎破壊符『黒竜』‼︎」

 

すると、召喚術の様なものが空中に浮かび上がり、そこから出てきたのは……、

 

「へ?」

 

「ち、チビ竜?」

 

子竜だった。

 

如月は想起自身がやると思っていた様で、少し惚けたが、直ぐに意識を戻した。

 

そして、子竜の姿は想起の望んだ姿なので、想起は別段文句を言うことをしなかった。

 

「久し振りの戦いだけど、大丈夫?ソロモン」

 

「キュクル〜」

 

想起が準備は大丈夫なのかと確認すると、そんな鳴き声で返事をした。

 

「そっか。なら良かった。力を貸してね、ソロモン」

 

「キュルル〜‼︎」

 

そして、そこで想起は二枚目のスペルを宣言した。

 

「黒竜符『咆哮』‼︎」

 

そして直ぐ様自分の耳を抑えると、次の瞬間。

 

「Gyaaaaaa‼︎」

 

黒竜が咆哮した。

 

しかし、それにはあまり威力はなく、お空も怯んだだけだった。

 

ただ、それのお陰で勝ちは決定した。

 

「スペル‼︎」

 

「え⁉︎」

 

お空の後ろにはいつの間にか如月が居た。

 

如月に関しては、想起から既に言われていたこともあってか怯みも直ぐに収まり、行動に移ったのだ。

 

「肉体強化『神雷』‼︎」

 

そう宣言すると、如月は雷を纏った。

 

そして、直ぐに二枚目の宣言をした。

 

「龍剣『紫電』‼︎」

 

それは丁度、如月の方に体を向けたお空のお腹に入り、お空はそのまま気絶してしまった。

 

***

 

「蜷局さん、お空さんの様子は……」

 

あの弾幕ごっこでお空が気絶した瞬間、蜷局は直ぐにお空を抱え、助けることに成功していた。

 

如月も気絶させるつもりは毛頭なかったために、やり過ぎたと蜷局に謝り、その謝罪を蜷局は受け入れた。

 

「ああ、大丈夫なようだ」

 

「そうですか、良かった」

 

葵はそれを聞くと、安堵した様子を見せた。

 

「さて、それでは何時迄も此処に居続けるのは不味いでしょう。直ぐに出ましょう」

 

さとりのそんな声が合図となり、全員が灼熱地獄跡から出ると、陽炎が待っていた。

 

「あ、陽炎さん」

 

「その様子だと、異変は終了の様だな。良かった」

 

陽炎は蜷局に抱えられているお空を見て、微笑んだ。

 

その笑みは、普通の一般男性なら惚れてもおかしくないほどの綺麗な笑みだったが、生憎と此処には普通の一般男性はいないので、それも無かった。

 

「……そういえば、陽炎さん。貴女に聞きたいことがあるのですが、宜しいでしょうか?」

 

「ん?何だ?さとり」

 

「妹のこいしを知りませんか?」

 

さとりからのそんな質問に驚きの顔を見せた陽炎。

 

「さとり……何を言ってるんだ?」

 

「……え?」

 

「そこにいるだろ」

 

陽炎がそう言って指を指した場所は……歩の隣だった。

 

「え?」

 

その場の全員が驚き、その場所に視線を向けると、いつの間にか知らない人物が立っていた。

 

その子はさとりと似た様な顔をしており、髪の色は薄く緑がかった灰色のセミロング、そして鴉羽色の帽子を被り、一番の特徴はさとりと似たようなものが有ることである。

 

しかし、その第三の瞳は閉じられているが。

 

「あ〜、やっぱり暴露ちゃってたんだね」

 

その子はそう言って楽しそうに笑うと、全員の前に現れ、自己紹介し始めた。

 

「私は古明地こいしだよ‼︎よろしくね‼︎」

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