地底から出た葵達、それから地底で戦った一行。
本当は蜷局は湖からそんなに離れることは出来ないが、そこは夢幸が何とかしてくれた。
そして、現在その一行が向かっているのは、こんな事態を発生させた元々の原因である山に移住した神の一柱『八坂神奈子』の元である。
「巫女って、私から聞いた容姿を簡単に信じるんだね」
「信じちゃ悪いわけ?」
「悪いわけじゃないけどさ、嘘ついてるかもしれないよ?」
お空からのそんな質問に、霊夢は即答した。
「あんたが嘘付いてたらルカが分かるし、その時は葵にでも聞いてたわよ」
「おい、私を嘘発見機みたいな使い方するな」
「あ、あはは……」
だが実際、そういう能力なのだから仕方ないと割り切っているルカである。
「お?霊夢!見えてきたぜ‼︎」
他の皆とは違い、箒に乗って飛んでいた魔理沙がそう言った。
「ようやくか。これでようやく愚かな神達に制裁を下せるわけか」
「この場合、神『達』じゃなくて神だけで良いと思う気がするな〜。ね?ソロモン」
「キュルル〜!」
想起がそう言うと、その直ぐ近くを飛んでいたソロモンが返事をした。
あの弾幕ごっこの後、ソロモンを帰らせ様としたが、ソロモンが寂しそうな顔をしたのを見て帰せなくなり、今現在に至っているのである。
だが、帰らされなくなったからなのか、とても嬉しそうに、それでいて楽しそうな反応をしてくれているので、想起としてはこれでも良いかと割り切ることにした。
常に力を使い続けることにはなるが、今の姿なら微量の力だけで済むため問題はないのだ。
そして、守矢神社に着いて最初に出会ったのは、境内を掃除している早苗だった。
「あれ?皆さん、どうしました?」
「早苗、今すぐ神奈子を呼んで来なさい」
「命令形⁉︎な、何するつもりですか‼︎霊夢さん‼︎」
「いや、神奈子がね、ちょっと問題を起こしたからそれを叱りに……」
歩がそう言うと、早苗は「神奈子様、何をしたんですか〜」と少し泣きながら霊夢達を案内した。
その後、広間に着くと、一度、全員をそこに待たせ、早苗は一人、神奈子を呼びに行った。
それから少しして、足音が聞こえてきた。
その足音は部屋の襖で止まると、襖を開き、目的の神である神奈子が立っていた。
「あんた達、私に何か用かい?」
「あんた、よくもまあそんな白々しい事が言えたもんね」
地底の者と葵以外の全員は霊夢のそんな声と共にその場を立ち上がった。
しかし、雰囲気は何時もとは全く違う。
それには流石に気付き、霊夢達の直ぐ近くにいたお空を見て、何を言いたいのかを瞬時に判断すると、自分の身の危険を察知した。
だからこそ、その場から飛んで逃げようとしたのだが、逃げれなかった。
「こ、氷⁉︎」
そう、神奈子の足は既に凍らされていた。
「お前が理解したら逃げることなんてお見通しだ」
怒気を含んだルカの声は何時もよりも声音が低い。
「さあ、私達のスペカを受けなさい‼︎」
その後、守矢神社では花火の様に綺麗な光が光っていたらしいが、詳細を知るものはその場に居た者しか分からない。
***
そして、現在は夜。
何時もなら異変解決祝いは博麗神社でやるのだが、霊夢が「異変を起こした元凶がいる此処で宴会を開く‼︎というか開かせる‼︎」と言った事により、宴会は守矢神社でやることとなった。
「……」
そして、宴会だというのに一部静かな場所がある。
その場所は如月と守矢一家がいる場所である。
しかし、その周りは何故か騒ぎ、あるものを見ていた。
何を見ているのかと言うと……、
「モグモグ……あら?もうなくなっちゃったわよ〜?お代わりは〜?」
「妾のもじゃ‼︎早く次を出すのじゃ‼︎」
何故か大食い競争をしている幽々子と凛華。
この二人が守矢神社の食料をドンドンと消費していっているのだ。
そんな二人の周りにはもう数えるのも億劫な程に積み上げられた皿。それも綺麗に積み上げられている。
「あぁ、うちの食べ物達が……」
「早苗〜、これどうするの?」
早苗は嘆き始め、諏訪子は口元を引くつかせながらもそう聞いた。
しかし、その質問にそんな状態の早苗が答えれる筈がなく、ましてや周りの連中も答えれない。
しかし、凛華達の食欲は止まらない。
歩が作っては持って来るを繰り返す。そして、作られた料理を全て平らげる。さっきからこの繰り返しである。
しかし、誰も止めれない。只々、楽しみ、そして嘆くだけである。
そんな場所から離れて、霊夢達の方はと言うと、
「ほら〜‼︎誰か酒を持って来なさい‼︎」
「れ、霊夢、飲み過ぎだよ?もう酔ってるから水を飲んだ方が……」
「私はまだ飲めるわよ‼︎」
葵が既に出来上がっている霊夢を宥め、
「はは!まだまだ飲めるそうだから飲ませとけって、葵‼︎」
魔理沙はそれを面白がって見ている。
その近くでは夢幸が静かにお酒を飲んでいるが。
「というか、葵‼︎あんた全然飲んでないじゃない‼︎」
「私はお酒が苦手だから、あんまり飲めなくて……」
「そんな遠慮なんてせずに飲みなさいよ‼︎」
「む、無理です‼︎飲めないから……むぐっ‼︎」
葵は必死で飲みたくないと懇願するが、霊夢は持っていた杯で飲ませた。
完璧な酔っ払いである。
「うぅ、だからお酒は苦手って言ったのに……」
葵は結構お酒に強い様で、直ぐに酔い潰れることは無かった様だ。
「しっかし、何でそんなに葵は酒が苦手なんだ?」
魔理沙からの素朴な疑問に葵はちゃんと答えた。
「昔に鬼灯と月見酒をしたことがあって、それでお酒を飲んだんだけど、その時に間違って度数が高いのを飲んじゃって、それ以来苦手に……」
「へ〜?酔ったのか?」
「倒れてたぞ」
魔理沙がまたそう聞くと、丁度移動しようとしていた鬼灯がそう答えた。
「え?倒れたのか?」
「はい」
葵はお酒を飲んで倒れたから苦手となったのだ。
「だから、お前はそんなチビチビと飲んでるのか、酒を」
「まあ、そうですね」
夢幸からのそんな質問に、苦笑しながら答えた葵。
正直、喉が焼けるかの様な感じも苦手となった原因の一つなのだが、それは今回、言わないでおいた。
「そういえば、鬼灯は何処に移動するの?」
「如月の元だ。彼奴に以前、『稲荷寿司を用意したらもふもふさせてやる』って言ったら、本当に用意して来たんだ。だから、約束は守らなければならないだろ」
そう言葉にする鬼灯は仕方がないという様な顔をしていた。
「あはは……」
「そんなに嫌なら最初から約束しなければ良いだろ。馬鹿かお前は」
「本当に嫌な相手にならこんな事も言わなかったさ」
鬼灯はそう言うと、そのまま如月の元へと行ってしまった。
「そう言えば、葵。まだ歌ってなかったよな?」
「⁉︎」
葵は魔理沙からの言葉にギクッと肩を揺らした。
「そう言えばそうだな」
と、葵の近くで静かに飲んでいたルカがそう言った。
「ほらほら‼︎葵の歌は宴会での楽しみの一つでもあるんだから歌ってくれよ‼︎な?」
そんな魔理沙からの必死の頼みに葵は断ることが出来ず、結局歌うこととなったのだった。
***
時刻は少し戻って、宴会が始まり始めて序盤の頃。
霊夢達が入っていた温泉に、二人の人物が入っていた。
一人は八雲藍。もう一人は八雲紫である。
その紫の手には、宴会の方からスキマを使って盗んだのだろう。お酒が会った。
この二人は今回の異変の事で話し合っているのである。
「……以上が調べた結果です」
「そう、ありがとう藍」
「それにしても、今回のこの一件から地底との交流がまた始まってしまいましたね」
「ふふ、良いと思うわよ」
「ですが、地底からまたいつか有望な妖怪が出てくるかもしれません。暫くの間、私が監視を続けます」
「あら?貴女だけじゃなくて茜もでしょ?」
「そ、それはそうですが……」
「それに、私としては時々はデートをして来て欲しいのよね」
「デ、デート⁉︎///」
その言葉に動揺を隠しきれない藍。そして、その様子を楽しんでいる紫。
そんな二人の後ろから、また別の人物が現れた。
「……あら?元の姿で来たの?レティシア」
「クスクス、ええ。あの時、入れてなかったからね。それに、貴女とも大事な話があるし」
そう言うと、温泉の湯に浸かったレティシア。
藍はその光景を目にして、本当にこの二人は体型が瓜二つだなと考えていた。
「……それで、貴女は何を話しに来たの?」
「……それはね」
そして、レティシアは話し始め、話し終わると、紫と少しの間、話す事を楽しんだのだった。
***
そして、現在。葵が宴会場で歌い始めた頃。
レティシアは姿を何時ものにして、守矢神社の屋根に座り、夜空を見ていた。
邪魔な光も無い、夜空を。
「……」
「お前は何かを悩んでいると、何時も一人に成りたがるよな、レティシア」
「……鬼灯」
そんなレティシアの後ろから鬼灯は声を掛けた。
「……凛華は?」
「此処におるぞ、レティシア」
そう言うと、鬼灯の後ろから出てきた凛華。
その顔は少し不機嫌そうだ。
「クスクス、何でそんなに不機嫌そうなのかしら?凛華」
「当たり前じゃ。食べていた所を邪魔されたのじゃぞ」
本当はそれだけでないことを、鬼灯も、そしてレティシアも気付いているが、それはあえて言わなかった。
「……それで、結界まで張って私達に何を話したいんだ?」
「まあ、隣に座ってよ。それから話すから」
レティシアからそう促され、レティシアから見て左に凛華、右に鬼灯が座った。
「……それで、話とは?」
鬼灯がそう振ると、レティシアは話し始めた。
「鬼灯は知ってるわよね?本来、この異変がもうちょっと先にあった異変だって」
「ああ、お前から聞かされたからな。『運命を変えて、起こる異変を逆にした』と」
「ええ」
「しかし、前から思ってたんだが、だったらお前が先延ばしにした異変を起こさせない様にすれば良かったんじゃないか?」
鬼灯からの素朴な疑問に、レティシアは笑みを浮かべた。
「それでも良かったのだけど、それだと霊夢と葵は成長しないわ。それに、新たな出会いも起こらない」
「……」
「まあ、私が今から話すのはその異変にも関係する事よ」
「?何かあるのか?」
鬼灯からのそんな言葉で少し沈黙してしまったレティシア。
しかし、その目にはまだ迷いがある様だ。
だが、その迷いも直ぐに消え、決意した目となった。
「……私はその異変が起こると、激怒することになるわ」
「……」
「そして、多分、理性がない」
「……私か凛華にそれを止めろと?凛華なら兎も角、私は無理だぞ」
「凛華じゃなくて、貴女に頼んでるのよ。鬼灯」
「……お前、私を殺す気か?」
「殺さないわよ。まあ、止めて欲しいのは本当だけどね。けど、鬼灯が止めに入っても私の理性が戻らず、もう駄目だと思ったら……」
そこでレティシアは凛華の方に顔を向け、言った。
「私を喰らってくれないかしら?凛華」
「……」
「……良いのか?レティシア」
鬼灯はレティシアの言葉に少し驚き、凛華は冷静な声でそう問い掛けた。
「ええ、お願いするわ」
「その判断は妾がするのか?」
「いえ、紫がやってくれるわ。その辺の境界は彼女の方が分かるでしょう」
レティシアはそう言うと、もう説明は無いとでも言う様に、その場を立ち上がった。
「……ふぅ、まあ、こう言うことで私の戒めにもなるでしょ。理性を失ったら私の死と直結するわけだし、レミィ達やこの先、生まれてくるであろう子孫の事もあるから私は早々には死ねないしね」
「……これぐらいやらなければならないと言うことか」
「そう言うこと。あ、凛華。その時は貴女はスキマの中で待機しててくれないかしら?」
「うむ、分かった」
「それじゃあ、その時はお願いね。さて、私はもう帰るわ」
レティシアはそう言うと、結界を解き、そのまま本当に帰ることにした。
「……さて、これで私がどれだけ理性的に動けるか……理性を失ったら、それこそ幻想郷が終わりかねないしね」
唯一の光源が月の光だけと言う夜の中、レティシアはそう呟いたのだった。
はい!これで終わりです‼︎
そして、この前やった人気投票の結果も此処で発表です!
1位 葵さん
2位 鬼灯さん、レティシアさん
4位 想起さん
5位 ルカさん
ちなみに、6位はマリアさんでした!
まあ、他の方はあんまり目立った事はしてませんからね。マリアさんなんて一度異変を起こしてるし……おっと、失礼。
それから、この前の大掃除の時にも歌ったのに曲を書き忘れてましたので、此処で書いておきます‼︎
大掃除……『酔花』
今回……『繰り返す四季模様』
今回のは題名の後に英語が続いてましたか、面倒なんで省きました。まあ、多分、コレでも出ると思いますよ?探す時は
それでは!さようなら〜!