東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第百三十七話

無縁塚から紅魔館まで走って移動して来た如月は、肩で息をしており、汗も尋常じゃない量を流していた。

 

「はぁ、はぁ……冬なのに……こんなに汗出るとは……風呂入りたい……」

 

如月は口からそんな言葉を出して、前を見据えた。

 

今彼の前に見えているのは紅い悪魔の館『紅魔館』。

 

その館はもう目と鼻の先である。

 

「……だけど、そう簡単には入れてくれなさそうだな……」

 

「さあ!私達からの‼︎」

 

「お題を受けやがれ‼︎」

 

紅魔館の門番の美鈴と、中華風の袴にボサボサな髪をした誰とも分からない男がいた。

 

「いや、美鈴は分かるけど、お前誰だよ」

 

「俺は『劉 風陽(リュウ ファンヨウ)』だ‼︎」

 

劉は闘気を収めぬまま、そう名乗った。

 

「……で?何をするんだ?弾幕ごっこか?」

 

もう諦めの雰囲気を醸し出している。また弾幕ごっこだと思っている様だが、それは違う。

 

「俺達からのお題は『俺達を肉弾戦で連続で相手すること』だ‼︎」

 

「……俺は肉弾戦は何方かと言うと苦手だから、凛華、頼む」

 

「しょうがない奴じゃの〜」

 

如月からの頼みで出てきた凛華。しかし、やはり闘気は出ていた。

 

「……へ〜?面白そうな奴が出て来たな?美鈴」

 

「そうですね。ですが、最初は私からですので、手を出さないでくださいね?風陽」

 

「誰が出すかよ……全力で行け、美鈴」

 

「はい‼︎」

 

美鈴はそう言うと、凛華と対峙した。

 

***

 

凛華が美鈴と戦っている間、如月は近くの湖畔で体を休めていた。

 

勿論、動くのを辞めれば寒さは感じるもので……、

 

「……寒っ」

 

現在進行形で寒さを感じていた。

 

しかも、汗も流していた所為で余計に寒さを感じている。

 

「お〜、大丈夫か?」

 

「あ、ああ、大丈夫だ。問題ない」

 

「問題あるんだな」

 

風陽は如月にそう話し掛けながらも、美鈴の様子を見た。

 

そこには、互いに互いを殴り合っている凛華と美鈴がいた。

 

美鈴の場合は蹴りもあるが。

 

「くっ!凛華さん‼︎貴女の拳は中々に重いですね‼︎」

 

「それはお主もじゃろ‼︎レティシアにでも鍛えられたか?」

 

「紅魔館に住むものは全員レティシア様から鍛えられてますよ‼︎」

 

「そうか!ならば妾をもっと楽しませてみるのじゃ‼︎」

 

そんな話をしている中でも殴り合いをやめていなかった二人。

 

しかし、それは唐突として終わった。

 

「なっ⁉︎」

 

美鈴は突如として脚を崩し、崩れ落ちた。

 

「え……ち、力が……入らない?」

 

「美鈴‼︎」

 

「ふむ、これで終いか。なら、次はお主か?」

 

「ああ、そうだぜ。ただ、先に美鈴を移動させる」

 

「良かろう」

 

凛華からの言葉を聞くと、美鈴をお姫様抱っこの様の形で如月の元に移動させた。

 

「なッ⁉︎ふ、風陽⁉︎///」

 

「美鈴、休んどけ。こっからは俺のターンだ」

 

美鈴をその場に降ろすと、今度は劉が対峙した。

 

「『劉』か……『龍』と同じ名か……」

 

「ん?誰だ?そいつ」

 

「お主が気にする事ではない。さあ!やるぞ‼︎」

 

そうして第二回戦が始まった。

 

劉は美鈴と同じ様に、殴り、蹴りを繰り返す。

 

しかし、その際に劉が感じ取っていた。

 

(俺の力が……此奴に『吸い取られてる』だと⁉︎)

 

実際は『吸い取る』ではなく『喰う』という言葉が凛華の種族には合ってるのだが、劉は凛華の種族を知っている訳ではない為、この言葉しか出てこない。

 

「闘いの時に思考するとは余裕じゃな‼︎」

 

「へ‼︎まだまだ行けるぜ‼︎」

 

劉はそう言葉にするも、ドンドンと力を喰われ、一瞬でも気を抜けば足が崩れてしまう。

 

今の今まで勇儀や美鈴が足を崩して負けたのは、そもそもコレが原因だ。

 

凛華は喰龍として、無意識のうちに相手の『力』を喰っているのだ。

 

そして、遂に劉は足を崩してしまった。

 

「チッ‼︎」

 

「コレで終いじゃ‼︎」

 

そんな劉に対して最後に拳を入れ、劉は思いっきり飛ばされてしまった。

 

その勢いは止まらず、湖へと落とされてしまった。

 

「ふぅ、二戦は流石にキツイの〜」

 

「嘘付け。堪えてる様子がどこにも無いぞ」

 

「中々に楽しかったの〜♪」

 

凛華はその言葉を最後に、如月の中に戻って行った。

 

「……さて、劉を引き上げてから入るか」

 

如月はそう言葉にすると、湖の中へと入って行った。

 

***

 

劉を湖から引き上げた如月は、そのまま紅魔館へと入っていくと、玄関ホールにはペスとユニが居た。

 

「ようこそ、紅魔館へ」

 

「先ずは私からのお題だよ‼︎」

 

「……何方かじゃないのか?」

 

如月はそう聞いてみると、ペスが答えた。

 

「私達も最初は一緒のお題を出そうと考えておりましたが、二人の意見が噛み合いませんでしたので別々に出すことにしました」

 

「そうか……それで、ユニのお題は何だ?」

 

「お饅頭‼︎」

 

「……は?」

 

ユニからのお題を聞いた如月は惚けてしまった。

 

だが、これは仕方が無いだろう。

 

何かキツイお題が来るかと思ったら饅頭を請求されたのだから。

 

「……饅頭がどうした?」

 

「お饅頭を作って私にpleaseすれば良い‼︎それだけ‼︎た・だ・し‼︎私が満足したものを作れなきゃもう一回作ってもらうからね‼︎」

 

「はぁ……ペス。キッチン借りて良いか?」

 

「……それよりも先に私のお題から解決してください。この子のは後でも解決出来ますから」

 

「そうするか。で、お題は?」

 

「アレ?私のお題は放置?」

 

「当たり前でしょ」

 

ペスからのそんな言葉を聞き、少し落ち込んでいるユニ。

 

しかし、それを見て見ぬ振りをしてペスはお題を出した。

 

「私からのお題は『星座を正確に説明すること』です」

 

「……星座なら何でも良いのか?」

 

「そう言う様でしたら私が指定しても良いのですよ?」

 

「辞めてくれ」

 

如月はそう言葉にした後、何の星座の説明をするかを考え始めた。

 

「……『いっかくじゅう座』」

 

そして、如月は冬の星座の一つを出した。

 

それに対して、ペスは頷いて続きを促した。

 

「由来から説明すれば、旧約聖書に出てくる『一角獣』……まあ、この場合はユニの事と捉えても良いと思う。それをモチーフとしている星座で……」

 

そこからはとても長い説明だったが、ペスは止める事をせず、聞いていた。

 

そして、如月の説明を聞き終えたペスは拍手した。

 

「お見事。よく知ってらっしゃいますね」

 

「まあな」

 

「それにしても、その星座は何方かと言うとマニアックな星座です。それを本当によく知っていましたね。私は嬉しいです」

 

「喜んでくれたなら良かったよ」

 

如月は本当に嬉しそうな顔をしているペスを見てから、キッチンへと走って向かった。

 

ユニからのお題である『お饅頭』を作りに行ったのだ。

 

それからキッチンへと着くと、お饅頭を作り始めた。

 

〜少年料理中〜

 

「ほら、出来たぞ」

 

如月はお饅頭を作り終え、ユニ達がいる玄関ホールへと戻ってきた。

 

「わ〜い♪」

 

「ユニ、貴女実はタダで食べたかっただけでしょ」

 

「そ、そんな事はないよ〜?」

 

ユニはそう言うが、目が思いっきり泳いでいる。

 

「……後で掃除追加ね」

 

「メイド長じゃないからその権限は使えない‼︎」

 

「後で咲夜に言っておくから安心しなさい」

 

「辞めてよ〜」

 

ユニはそう言った後にお饅頭を食べると満足がいく味だった様で、合格を言い渡した。

 

その後、如月は図書館の方へと向かった。

 

が、その途中でマリアと狼に会った。

 

「あ!如月だ‼︎」

 

マリアはもう既に何回か会っている為に慣れていた。

 

狼も警戒している様子は無い。

 

「となると、俺達からもお題を出さないとな」

 

「ああ、頼む」

 

「狼、どうしよっか?」

 

マリアがそう言うと、狼は如月に向かって言った。

 

「今から図書館に行こうとしてたんだ。其処でお題を出す」

 

この言葉で大体どんなお題を出されるかを察した如月は、狼達に着いて行った。

 

***

 

図書館に着くと、狼は早速如月にお題を出した。

 

「今この図書館、其処ら辺に本が散らかってるだろ?」

 

「そうだな。何でこんなに散らかってるんだ?」

 

「パチュリー様が本を読む事に熱中して、其の後魔法の実験をしたりしてて、小悪魔もそれに付き合ってる所為か中々片付かないんだ。光冥やシュロム様も時々やってくれるんだが、それでも中々終わらないという現状だ」

 

「……俺にその全てを片付けろと?」

 

如月がげっそりとした顔でそう問い掛けるが、狼は首を振って否定した。

 

「全てじゃなくて良い。そうだな……目標三十冊。それぐらいは片付けろ」

 

「分かった」

 

如月はそれを聞くと、早速片付け始めた。

 

先ずは本の題名を見て、それを正しい位置へと戻した。

 

別にイカサマをしても良いのだが、如月はそんな人物では無いし、そもそも出来ない。

 

如月の近くにはマリアが着いていた。

 

時折、転けたりもしているが、それを除けば立派な監視役だ。

 

……如月と世間話もしているが、それは除いておこう。

 

それから約三十分後、如月は目標の数の本を片付け終えた。

 

……普通は其処まで掛らないかもしれないが、コレだけ掛かったのは主にマリアが何回も転けた所為である。

 

「さて、パチュリーは何処に「パチュリー様達の所へ案内しましょうか?」こあ」

 

如月がパチュリーを探そうと移動し様としたその時に、小悪魔が如月の後ろから声を掛けた。

 

「ああ、頼む」

 

如月は小悪魔に頼むと、小悪魔は移動し始めた。

 

如月も黙って着いていく。マリアはもう既に居ない。

 

そうして移動していると、パチュリーと、その近くに男性が座っていた。

 

その男性は何故か片目に眼帯をしている。

 

「パチュリーと……誰だ?」

 

如月は首を傾げながら聞くと、相手は名乗ってくれた。

 

「俺は『シュロム・ロマニクス』。宜しくな〜」

 

シュロムはそう名乗ると、早速お題の話をし出した。

 

「レティシアからは聞いてるよね?ということで、俺からはお題を」

 

「私からは弾幕ごっこを出させてもらうわ」

 

如月はそれを聞くと、お題から片付けようと決めた。

 

「じゃあ、シュロム。お題を出してくれないか?」

 

「分かった。俺からのお題は『俺が知らない外界の物を詳しく説明すること』だよ」

 

「ふ〜む……」

 

如月はそれを聞くと、少し悩んだ。

 

外界……つまりは外の物。それを詳しく説明するというなら、自分が説明しやすいものを考えた。

 

「……なあ?此処に『テレビ』ってあるか?」

 

「てれび?何かしら?それ」

 

「あれじゃないかな?外界の式神」

 

「それは確か『ぱそこん』とかいう物じゃなかったかしら?」

 

如月は二人のこの様子で知らない事を知ると、説明し出した。

 

「『テレビ』っていうのは、薄い箱に風景を映すことが出来る物なんだ」

 

「映す?何でも映せるの?」

 

「まあ、何でもかな。と言っても、カメラとかで撮った物やアニメの様に創作物とかじゃないといけないが……あ、生放送とかも……」

 

「如月、話が逸れてるぞ」

 

如月の話が逸れているのが何と無く分かったのか、狼がそう言った。

 

その近くには先程まで居なかったマリアもいた。その手には紅茶一式があるが。

 

「あ、マリア、有難う」

 

「マリアの入れた紅茶は美味しいからね‼︎」

 

「えへへ、有難う」

 

二人が紅茶を受け取るのを見て、如月は説明を再開した。

 

***

 

「……それがテレビっていう物さ」

 

「へ〜、そうなんだ」

 

如月が説明し終えると、シュロムの顔は少し輝いている様に見えた。

 

「……それで、パチュリーの弾幕ごっこだが「あ、ちょっと待って。俺のお題はまだ残ってるよ」え?そうなのか?」

 

如月はシュロムにそう聞くと、シュロムは頷いた。

 

「うん、俺からの最後のお題は『光冥を捜して弾幕ごっこを挑む』こと。あ、光冥が誰か知ってる?」

 

「……誰か教えてくれ」

 

如月のその言葉を受け、狼とシュロムが特徴を話した。

 

光冥の髪は水色で、中性的な顔をしていること。

 

そんな説明をした。

 

「……それ、女装させられてたら見付けにくい気がするんだが?」

 

「その時は頑張ってよ」

 

「マジかよ」

 

如月は溜息を吐くと、パチュリーの方に視線を戻した。

 

「じゃあ、シュロムのお題を解決する前に、弾幕ごっこをするか。パチュリー」

 

「ええ、そうね。やりましょう」

 

パチュリーはそう言うと、椅子から立ち上がり、少し場所を移動した。

 

***

 

先に動いたのはパチュリーである。

 

「日符『ロイヤルフレア』‼︎」

 

すると、パチュリーが手を上に上げると、そこから巨大な火球が出現した。

 

普通は本のことも考えてコレを使うべきじゃないのだろうが、パチュリーが既に魔法で傷付かない様に施してある為、そんな心配はしなくて良いのだ。

 

パチュリーはその火球を如月に向けて投げた。

 

勿論、如月はそれを避けなければ終わりとも言える大惨事になるが、その火球の直ぐそばを避けようとすれば間違いなく火が移る。

 

なので、如月は時空を斬り、其処へ一度避難した。

 

そして、スペルブレイクしたと同時に如月は戻ってきた。

 

「危なかったな。というかパチュリー、お前、嘆息の筈だろ?何でそんな元気一杯に動けてるんだよ」

 

如月がそう聞くと、パチュリーは律儀に答えた。

 

「昨日、葵が本を返して、また借りに来た時に嘆息を一時的にだけど治してもらったのよ。だから、今の私は元気に動けるのよ‼︎」

 

「葵……タイミングを考えてくれ……」

 

流石の葵も、未来を見ていなければ何が起こるか分からない普通の女の子。その次の日には元気になったパチュリーと戦うなんて誰が思うのだろうか。

 

「次のスペル行くわよ‼︎火水木金土符『賢者の石』‼︎」

 

すると、パチュリーの周りに五色の結晶が現れ、そこから五色の結晶弾幕が撃たれた。

 

それは全てランダムに動いているが、弾幕の量が途轍もなく多い。

 

如月は幾つか撃ち落そうと試みるが、レティシアに鍛えられている所為なのか、撃ち落とせなかった。

 

「……だったら」

 

そう言葉にすると、如月は時空を開き、その中へと入って行ってしまった。

 

「……」

 

パチュリーはそれに対して警戒した状態で有りながらも弾幕を飛ばしていると、何者かが自分の肩に手を置いた感触がした。

 

その時に、後ろから声が聞こえた。

 

「喰龍『ドラゴンイロウシェン』」

 

それと同時に少しだが感じる倦怠感。それによって、自分の力が吸い取られてるのを悟り、持っていた本で後ろに居た如月に対して打撃攻撃を食らわせ様とした。

 

しかし、如月は既に距離を取っていた為に当たらなかった。

 

「はぁ……はぁ……ケホッ……何をしたの……」

 

「パチュリーの力を喰らった。で、俺の力にした。コレをする為に」

 

如月はそう言うと、天羽々斬を構えた。

 

「龍剣『喰流天牙』」

 

そう宣言すると、天羽々斬の刀身から漆黒の刀身が生まれた。

 

そして、そのままパチュリーの方に跳躍し、そのままパチュリーへと攻撃した。

 

怠さを感じていたパチュリーは避けるのが遅れた為、如月の攻撃をそのまま受けてしまった。

 

***

 

パチュリーをシュロムに預けると、シュロムのもう一つのお題を解決する為に館内を走って探し始めた。

 

それから少しすると、

 

「やめてよミコちゃん‼︎俺にそんな対応しないでよぉぉぉぉぉぉぉお‼︎」

 

「……ん?」

 

そんな叫び声が聞こえてきた。

 

如月は何事かと思い、その叫び声が聞こえた方へと向かってみた。

 

そして、ある曲がり角を曲がると、其処には何故か発狂しかけている黒髪の男性と、とてもニコニコと……というか、黒髪の男性の反応を楽しんでいる様子の黒髪のポニテをした中性的な顔の男性がいた。

 

「……何だ?この状況」

 

如月のそんな言葉が耳に入った様で、若干発狂している男性は如月の方に顔を向けると、如月に助けを求める様な顔をした。

 

「……」

 

しかし、如月はそれを無視して戻って来た道を帰ろうとした。

 

「ちょっ⁉︎お願いだから俺を助けてよ‼︎」

 

黒髪の男性の必死の呼び掛けに対して、如月は後ろ向きながらも必死に笑いを堪えるのだった。

 

***

 

アレから結局は間に入った如月は、二人の名前を聞いた。

 

「お初にお目に掛かります。私、この紅魔館で執事をしておりますミコトと申します」

 

(あれ?狼達、此奴の名前を言ってたっけ?)

 

狼達はミコトの名前は言ってない。理由としては省いた訳では無いのだが、此処に住んでいる訳でも無い為、紹介しなかったのだ。

 

「……で、お前は?」

 

「俺は『紫黑 竜希』です‼︎よろしくね如月くん‼︎」

 

「あ〜、はい」

 

如月は何故か曖昧な返事を返した。

 

「それで、何でさっきの状態に?」

 

「それがね〜、聞いてよ!如月くん‼︎」

 

竜希は如月に対して、自分の経緯を話し出した。

 

〜回想〜

 

ミコトと竜希が住んでいる幻想郷。

 

其処にある白玉楼で住んでいる竜希は、縁側に座っていた。

 

「それで?何でさっきから俺を監視してるのかな?紫ちゃん」

 

竜希がそう問い掛けると、直ぐ近くから紫が出て来た。

 

「監視とは違うわね。貴方に行ってもらいたい所があるから、貴方が気付くまで隠れてたのよ」

 

「だったら最初から出て来てくれれば良いのに〜」

 

「それで、貴方に行ってもらいたい場所の事だけどね」

 

「アレ?無視?俺の言葉は無視なの?」

 

竜希は紫に対してそう言葉にするが、紫はスルーして話を続ける。

 

「貴方には私の知り合いが住んでる幻想郷に行ってもらうわ」

 

「あ、俺嫌な予感がするからパスで……」

 

「いってらっしゃい♪」

 

紫はそう言って竜希を落とそうとするが、竜希は落ちなかった。

 

足場にスキマが開くほんの数秒でその場から移動した。

 

「ちょっ⁉︎嫌だよ⁉︎今回ばかりは本当に嫌な予感がするから絶対に行かないよ⁉︎」

 

「う〜ん、どうしましょうか?」

 

竜希が落ちてくれないと分かるとどうすれば良いのかと悩む紫。

 

其処へ丁度良く妖夢と幽々子がやって来た。

 

「あ!よ〜むちゃん‼︎幽々子さん‼︎俺を助けてよ‼︎」

 

「え?」

 

「あら?」

 

其処で竜希が妖夢と幽々子に事情説明をすると、幽々子が言った。

 

「いってらっしゃい♪」

 

……その言葉を聞くと、妖夢は竜希を助ける事はせず、結局はスキマで移動して来た竜希。

 

そして、落ちたその場所が……、

 

「おや?竜希さん。どうしていらっしゃるのですか?」

 

「嫌な予感が的中しちゃったよぉぉぉぉお‼︎」

 

ミコトが執事姿で掃除をしている所だった。

 

〜回想終了〜

 

「……竜希、ドンマイ」

 

「如月くん……笑うなら盛大に笑ってよ」

 

如月は笑いを堪えてそう言うと、竜希からそんな言葉を受けた。

 

その言葉を聞くと、如月は盛大に笑い出した。

 

そして、笑いを収めると、今度は自分の事情を説明し出した。

 

「へ〜?何だか面白そうな事をしてるね〜」

 

「いや、これ結構キツイから」

 

「……」

 

如月から事情を聞くと、何故かミコトは考え事を始めた。

 

(あれ?この流れはもしかして……)

 

「でしたら、私からもちょっとしたお題を出しましょう」

 

「あ、やっぱりなのね」

 

「頑張れ‼︎如月くん‼︎」

 

竜希のそんな声援は若干スルーして、如月はミコトを見据えた。

 

そして、ミコトは執事服のポケットに手を入れると、コインを取り出した。

 

「……コイン?」

 

「ええ、私がこれからこのコインを投げます。如月さんはそのコインの裏表を当てて下さい」

 

「あ〜、よくあるコインゲームか」

 

「ええ。それでは、いきますよ」

 

ミコトはそう言うと、コインを上へと投げ、落ちてきた所でコインを隠した。

 

「それでは何方でしょうか?」

 

「「表」」

 

何故かこの時、竜希も答えた。

 

そして、答えは……、

 

「表……お見事です」

 

「よっしゃ‼︎」

 

「おお!凄いね〜‼︎如月くん‼︎」

 

「あ、そうだ。なあ?光冥が何処にいるか知らないか?」

 

如月がミコトに対してそう聞くと、ミコトは若干同情した目をした。

 

「?」

 

「……光冥さんはこの先に居ますよ」

 

「?有難う。それじゃあ行って来るな」

 

如月はそう言うと、その場を離れた。

 

……離れた途端、何故かまた竜希の悲鳴が聞こえた気がするが、気の所為だろうと勝手に思った如月だった。

 

***

 

如月は光冥を漸く見つけることが出来たが……、

 

「……」

 

「み、見ないで下さい‼︎///」

 

何故かメイド服を着せられている光冥がいた。

 

「……何してるんだ?お前」

 

「レティシア様に無理矢理……///」

 

「……そうか。……ドンマイ」

 

それから如月は一旦光冥に着替えて来る様に言うと、その場で待つ事とした。

 

……そんな時に、後ろから声を掛けられた。

 

「お前、如月か?」

 

「あ、朱鳥とくおん」

 

其処には朱鳥とくおんが立っていた。

 

「あ、なあ?お前達からもお題はあるのか?」

 

「ああ、勿論だ……ただ、くおんのはちょっと此処じゃ無理だな。私のは出来るが」

 

「?何をすれば良いんだ?」

 

如月がそう聞くと、朱鳥の体が光だし、其処には朱い小鳥が飛んでいた。

 

「……え?」

 

『本来の姿は小鳥じゃないんだが……まあ、私のお題はこの方が好都合だからな』

 

「え?お前、朱鳥か?」

 

『そうだ。私は朱鳥だ。さて、私からのお題だが……競争だ』

 

「競争?」

 

『ああ、今現在のこの場所から、真っ直ぐ進んだ所にある壁に早く辿り着いた方の勝ち。それだけだ』

 

「……分かった」

 

如月は此処まで走ってきた為なのか、それぐらいもう苦でもないと感じ、それを受けた。

 

「それじゃあ、私が合図を出す。良いな?」

 

くおんのそんな言葉と共に、二人は位置に着く。

 

「それじゃあ……始め‼︎」

 

その合図と共に走り出した如月と朱鳥。

 

最初こそ朱鳥の方が早かったが、このお題にスペルを使ってはいけないというルールはない。

 

よって、如月はスペルを使った。

 

「肉体強化『神雷』‼︎」

 

『⁉︎』

 

その結果、朱鳥よりも速く走る事が出来、朱鳥よりも先に辿り着いた。

 

「俺の勝ちだな」

 

『……スペルか。確かに規制していなかったからな』

 

朱鳥はそう言うと、光だし、元の姿に戻った。

 

「あれ?如月君は?」

 

「……丁度来た様だな」

 

そんな所に丁度光冥が帰って来た様で、如月と共に戻っていった。

 

「それで、光冥からは何を出すんだ?」

 

「自分との弾幕ごっこです」

 

「……分かった」

 

***

 

如月と光冥は弾幕を撃ちあっていた。

 

最初こそは避けていたのだが、自分の力を調整し、もうそう簡単には撃ち落とせない様になった。

 

「複製『イリュージョンエリア』‼︎」

 

すると、光冥が何故か八人に増え、その全員が如月に対して弾幕を撃った。

 

「ッ‼︎」

 

如月は自分の弾幕で撃ち落としながらも、撃ち落とせなかった弾幕は、神力を纏わせた天羽々斬で斬り裂いた。

 

と、弾幕が止んだかと思ったら、今度は八人の光冥が突撃して来た。

 

「偽装『グングニル』‼︎」

 

如月はグングニルを出すと、それを薙ぎ払う様な動きをし、光冥の攻撃を防いだ。

 

それによって、光冥は少し飛ばされ、それによりスペルブレイクされた。

 

「……スペルブレイクされてしまいましたか」

 

「ああ、だが、それと同時に俺のグングニルも壊れたが」

 

如月が使っているこのグングニルは所詮は偽物。本物には到底及ばない。だから、簡単に壊れてしまうのだ。

 

「それでは次です‼︎破裂『ディメンションストライク』‼︎」

 

すると、如月は自分の前に何かが出来た事を感じ取った。

 

「なんだ?」

 

それを確かめようとしたが、それは出来なかった。

 

光冥が『何か』を割りながら此方に飛び蹴りを仕掛けているのだ。

 

それを見た如月は、天羽々斬を構えて、宣言した。

 

「龍剣『焰』‼︎」

 

如月は天羽々斬に神力を纏わせ、光冥の攻撃を右に避けると、その力を利用して回り、光冥の腹にダイレクトに当たったのだった。

 

***

 

「光冥‼︎」

 

光冥との弾幕ごっこが終わると、咲夜が来た。

 

咲夜は光冥の状態を見た。

 

「大丈夫?光冥」

 

「ん、だ、大丈夫だよ、咲夜」

 

「そう、良かった」

 

咲夜はホッとした様子を見せた。

 

「あ〜、咲夜……その、済まなかった」

 

如月は咲夜に対して謝ると、咲夜は首を横に振った。

 

「良いのよ、光冥が弾幕ごっこで負けたのでしょ?仕方ないわ」

 

「そうか……それで、この空気の時に悪いんだが……」

 

「私からのお題は『光冥との弾幕ごっこ』。だから、私のお題も終わってるわ」

 

「そ、そうか。それじゃあ、後は……」

 

「くおんとフラン様。あ、レミリア様からのお題は『全員のお題を済ませること』だから問題ない」

 

「分かった。それじゃあ、頼む。くおん」

 

「ああ……と、行きたいんだが、先にフラン様の所に行け」

 

「?何でだ?」

 

「何ででもだ」

 

くおんからそう言われた如月は、フランの部屋へと向かって行った。

 

***

 

如月はフランの部屋へと着くと、一度ノックした。

 

「?誰?」

 

「如月だ」

 

「‼︎もしかして、持久走の挑戦者⁉︎」

 

フランのその声に肯定すると、フランが部屋から出てきた。

 

「じゃあ、お兄ちゃん、行こうよ‼︎」

 

「え?ちょっと待ってくれ‼︎フランのお題は……」

 

「私のお題は『私と一緒に何かのお題を解決すること』だよ‼︎」

 

フランは笑顔でそう言うと、如月に後は何が残ってるのかを聞き、急いでくおんがいる場所へと向かった。

 

***

 

「……来たか」

 

「くおん!私もこのお兄ちゃんと一緒にお題を解決するよ‼︎」

 

「ええ、分かってますよ。その為に如月を先にフラン様の元へと行かせたのですから」

 

くおんが今いる部屋は、まるで植物園の様な部屋だった。

 

と言っても、あるのは青薔薇のみだが、それが部屋一面にあるのだ。

 

「私からのお題は『私の攻撃を全て避け切き、私に触ること』だ」

 

「……俺に弾幕を撃つなという事か?」

 

「ああ、そうだ。というか、これは弾幕ごっこじゃないんだ。私はスペルを使わない」

 

くおんはワザと『如月も使うな』と言わなかった。

 

これはくおんの温情だ。

 

此処まで頑張ってきた如月に対しての。

 

「それじゃあ、フラン様も頑張って下さい」

 

「うん‼︎」

 

くおんはそれを聞くと、青薔薇を操り、まるで鞭の様な感じで如月とフランに攻撃を仕掛けた。

 

「棘が危ない‼︎」

 

「あはは!楽しいね‼︎お兄ちゃん‼︎」

 

青薔薇の鞭は上から、下から、右から、左からと、色んな方向から来る。

 

「くっ‼︎」

 

『神雷』を使っても良いが、傷付く事なくというのは無理そうだ。

 

「‼︎」

 

しかし、其処で如月はあることを思い付いた。

 

如月は原初の能力を使ってみた。

 

すると、植物が攻撃するのを辞めてしまった。

 

「……所有権を奪われてしまったか」

 

くおんが少し笑みを浮かべてそう言うと、如月がくおんの肩に手を置いた。

 

「コレでお題は終了……で良いよな?」

 

「ああ、それと同時にフラン様のお題も終了だ」

 

「楽しかったよ‼︎お兄ちゃん‼︎」

 

如月はフランの頭を撫でてから、レミリアがいる場所を聞き、其処へと向かった。

 

***

 

レミリアが居た部屋は紅霧異変の時にも使っていた部屋で、その奥にある椅子に、レミリアは座っていた。

 

レミリアは如月の姿を見て取ると、如月の元に近付いた。

 

「私からのお題はクリア済みよ。だから、はい、コレ」

 

レミリアは如月に鈴を渡した。

 

と、それと同時に、如月の後ろの扉が開き、其処から、私服を着たミコトと竜希、そしてレティシアが居た。

 

「クスクス、これで持久走は一旦終了よ」

 

「え?何でだ?」

 

如月がそう聞くと、レティシアは答えた。

 

「クスクス、外はもう暗いわよ♪」

 

「……成る程。となると、何処で寝るんだ?俺」

 

如月はそう聞くと、レティシアは笑みを浮かべて答えた。

 

「クスクス、貴方だけでなくミコト達もそうだけど、貴方達が泊まる所は……『神無月神社』よ♪」

 

レティシアはそう言うと、『神無月神社』行きのスキマを開いたのだった。




因みに、この紅魔館の執事服は『ハヤテのごとく!』の執事服です‼︎

それでは!さようなら〜!
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