東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第百四十話

魔法の森へと向かう途中、如月は意外かもしれない出会いを果たした。

 

「あれ?ルーミア?」

 

「誰なのだー?」

 

如月はとても目立つ暗闇を見付けた為、それを作り出せる妖怪の名前を上げた。

 

すると、相手も返事をしてくれた。勿論、如月の知ってるルーミアではない為、名前は知らないが。

 

「俺は『如月 翔』だ」

 

「如月なのかー。如月は食べても良い人間なのかー?」

 

「いや、食べたら駄目な人間だ」

 

「そうなのかー。でも、お腹空いたのだー」

 

「そうか。なら、これ食べるか?」

 

如月が懐から出したのは、神無月神社で貰っていたおにぎりである。

 

因みに、二つ分貰っていた為、一つ無くなっていたとしても一応は大丈夫である。

 

「頂くのだー‼︎」

 

ルーミアはそう言うと、如月の手からおにぎりを貰い、食べ始めた。

 

「美味しいのだー‼︎」

 

「だろうな。それは葵が作ってくれたやつだからな」

 

「葵が作ったのかー?」

 

「そうだ」

 

如月は微笑みながらルーミアのその姿を見ていた。

 

そして、ルーミアはそのおにぎりを食べ終わると、如月を真っ直ぐ見て、言った。

 

「私からのお題なのだー!」

 

「え?ルーミアも参加してるのか?」

 

「勿論なのだー!私は『弾幕ごっこ』なのだー!」

 

「分かった」

 

如月は少し息を吐くと、そう言った。

 

***

 

最初はルーミアは弾幕をばら撒き始め、如月はそれを避ける事に集中していた。

 

自分狙いの弾幕でもない為、撃ち合う様な事をしなかったのだ。

 

そして、ルーミアはそれが焦ったかったのか、スペルを宣言した。

 

「月符『ムーンナイトレイ』‼︎」

 

すると、ルーミアは弾幕を周りにばら撒き始めた。

 

如月はそれを避けようとするが、ルーミアからの二本のレーザーが如月を挟み、動きを制限した。

 

如月はそれでも諦めず、弾幕を撃ち落として、避ける事を続けた。

 

そして、時間が来たのか、そのレーザーも、弾幕も消えてしまった。

 

「む〜、当たらなかったのかー。悔しいのだー!」

 

「はは、次は当たるさ」

 

「当てて見せるのだーー!闇符『ダークサイドオブザムーン』‼︎」

 

ルーミアはそう宣言すると、その周りを闇に染め、自分も闇の中へと溶け込んでしまった。

 

「ルーミアは何処にッ⁉︎」

 

如月はルーミアを探そうとするが、赤弾幕が迫って来ていたのに気付くと、直ぐに避けた。

 

「全体に拡散されてるのか……」

 

如月はそう言いながらもその赤弾幕をばら撒いている所を見ていた。そして、その場所に近付こうと動き出した。

 

弾幕に当たらない様にしながら避けていると、ルーミアが現れた。

 

其処に如月は弾幕を放つが、ルーミアは全体に黄色の弾幕を撃つと、また闇の中に溶け込んでしまった。

 

如月は自分を襲う弾幕をひたすら避け、ルーミアの近くへと辿り着く。そして、其処でルーミアが現れるのを待った。

 

その場所で待つこと数分、ルーミアは闇の中から再び現れた。

 

如月はそのチャンスを逃さず、スペルを宣言した。

 

「龍剣『焰』‼︎」

 

如月は神力を天羽々斬に纏わせると、そのままルーミアに攻撃したのだった。

 

***

 

弾幕ごっこ終了後、如月はルーミアの様子をみた。

 

そのルーミアの顔は、良くアニメでも見られるやられた時の顔をしていた。

 

(現実でこんな顔をすることあるんだな……)

 

如月はそんな呑気な事を考えた後、ルーミアを近くの休める所に移動させ、また移動し始めた。

 

***

 

如月は歩いて移動していると、『夢の館』を発見した。

 

「……きっと、参加してるんだろうな」

 

如月はそう言うと、その館の中へと入って行った。

 

「ん?お、いらっしゃい!」

 

「あ!久し振り〜!如月くん〜」

 

「ああ、久し振りだな」

 

その館の中には、ちゃんとサリアと獏が居た。

 

「二人も参加してるのか?この持久走」

 

「僕はしてないよ〜。見物人〜」

 

「で、私はしてる」

 

「そうなのか」

 

如月はそれを聞くと、サリアに顔を向けた。

 

「それで、サリアからのお題は何だ?」

 

「私からのお題はね〜、『選択ゲーム』さ」

 

「『選択ゲーム』?」

 

如月のその言葉を聞くと、サリアは一度、奥へと行き、水晶玉を二つ持って戻ってきた。

 

「?その水晶玉二つは何なんだ?」

 

「これはちょっと特殊な水晶玉さ」

 

サリアは笑顔を浮かべながらそう言うと、テーブルの上に二つの水晶玉を置いた。

 

そして、その水晶玉に手を置くと、水晶玉の色がドンドンと変わっていった。

 

片方はピンク色に、片方は黒色に変わっていく。

 

そして、全体的に色が変わったのを見て、サリアは手を退けた。

 

「説明しちゃうとね、これは『夢』さ」

 

「夢?」

 

「そ、夢」

 

「この水晶玉にはね〜、夢を入れることが出来るんだ〜。それを枕元に置いて寝ると、その夢をずっと見続ける事が出来るんだ〜」

 

「ほら、誰にだって一回ぐらいはあるだろ?続きが気になるのに見れない夢が。コレはそれを解消してくれるアイテムさ」

 

「へ〜、そうなのか」

 

如月がそれに納得したのを見て、サリアはお題を出した。

 

「さて、私からのお題の説明だ。今、私はこの水晶玉に『夢』を入れた訳だけど、あんたには『幸せ』の夢を当ててもらう」

 

「『幸せ』の夢……」

 

如月は最初こそ、簡単だと思った。

 

何故なら、色で分かってしまうから。

 

しかし、そんな簡単な訳がないと如月は考える。

 

「結構簡単なゲームだろ?」

 

しかし、サリアは笑いながらそう言った。

 

ただ、その笑顔には裏がある様な気がしてならない。

 

「……」

 

如月はそれを思うと、真剣に考え始めた。

 

ピンクの水晶玉と黒の水晶玉。

 

色から考えるなら間違いなくピンクである。しかし、それは早計だ。

 

如月は少し考えるが、中々分からない。

 

其処でサリアをチラッと見た。

 

『サリア・モルフィウム』

 

彼女は夢魔『サキュバス』である。

 

種族は葵から一度聞いたことがあるから知っていた。

 

それに、如月本人も一度だけだが、夢を見せてもらう為に訪れ、そして会っている。それは最初の会話で分かるだろう。

 

そして、如月は悪魔の事を考え始めた。

 

悪魔というのは、比較的残酷で残忍、しかし約束事はキッチリと守ってくれる種族である。

 

それは『サキュバス』でも変わりはないだろう。『夢魔』であろうと悪魔の一種なのだから。

 

その悪魔が入れた夢。悪魔からしたら何方が『幸せ』なのか。

 

「……まさか」

 

如月は少し考えると、『両方の水晶玉』を手に取った。

 

「ん?その二つ共が『幸せ』の水晶玉だって言いたいのか?」

 

「ああ、そうだ」

 

如月のその答えを聞くと、サリアは一度黙り、そこから大声で笑い始めた。

 

「あははは!あんた最高だよ‼︎あはは‼︎」

 

「え……」

 

如月は間違ったのかと思ったが、サリアは其処で如月の目を見ながら答えた。

 

「あはは‼︎はぁ〜、あんたの答えは大正解さ。それにしても、なんで分かったの?」

 

サリアは目に浮かんだ涙を拭き取りながら質問して来た。

 

「この黒色、俺の仮説だけど、色んな『幸せ』を混ぜたんじゃないか?」

 

「……」

 

「で、こっちがピンクな理由。それは、サリアからしたらこっちが『幸せ』だから。でも、今回のお題は『幸せ』を当てるゲーム。つまりはこの両方を選ばなければ正解じゃない。そうじゃないか?サリア」

 

如月の答えにサリアは答えた。

 

「いんや、少し勘違いしてるね」

 

「勘違い?」

 

「そ、このゲームにとっての不正解は『両方を選ばない』事さ」

 

「……そんな奴、いるのか?」

 

「それが居るんだよね〜。私が『悪魔』だからって疑って、両方共選らず、自分の夢が正解だとか言う奴。ま、それも正解って言えば正解だけど、私は『水晶玉』を選ぶ様に促した筈なんだけどね〜」

 

サリアは少しだけ悲しそうな笑顔を浮かべた。

 

「……」

 

「人はね、悪魔が約束事には厳しい事をあんまり知らないからね。知ってる部分はきっと、残酷で残忍で、人の不幸を嘲笑う所だけだろうね。だから、私を疑う。悪魔を疑う。私は正解しか出してない筈なんだけどな〜」

 

サリアはそれを言うと、軌道修正をした。

 

「で、話を戻すと、この『幸せ』の水晶玉が黒い理由はね、色んな『幸せ』を混ぜて入れたからさ。夢にだって、一様だが色がある。自然豊かな夢なら緑。水が主な夢なら青色とかね。それらをごちゃ混ぜに入れれば黒になるのは当然さ。で、こっちがピンクなのは如月が言ったとおり、私にとっては『幸せ』だからだ。あ、私にとっての幸せがどんなのかは考えなくて良いよ。あんたには関係ないからね」

 

サリアは如月に向かって笑顔でそう言った。

 

しかし、その笑顔は氷の様に冷たい笑顔だ。

 

つまり、これ以上は近付いて来るなと言っているのである。

 

「……分かった」

 

「ん、よろしい。その方があんたにとっても幸せさ」

 

「二人とも〜、紅茶が出来たよ〜……って、あれ?もう終わったの〜?」

 

と、そんな二人に獏の声が聞こえた。

 

一切声を発さないと思っていたら、どうやら紅茶を淹れて居た様だ。

 

「獏、お前何で何時も何時も行動が遅いんだよ‼︎」

 

「え〜?僕、コレでも急いだんだよ〜?」

 

「常人から見たら普通に遅いから‼︎」

 

「はい〜、サリア〜、紅茶〜」

 

「あ、有難う……じゃなくてだな⁉︎」

 

「はい〜、如月くんも〜」

 

「あ、ああ、有難う」

 

「えへへ、褒められた〜」

 

「はぁ〜」

 

獏はとても緩い笑顔を浮かべ、サリアはそれを見ると怒る気を無くした様で、軽くだが頭を小突くだけにしていた。

 

「あう〜、サリアに怒られた〜」

 

「いや、そんな頭を抑える程に強くしてないからな‼︎」

 

そんな二人の顔は、とても楽しそうに見える。

 

このコミュニケーションを両方共、楽しんでいるのだ。

 

如月はそれを見ると、とても嬉しい気持ちになったのだった。

 

***

 

サリア達と別れた如月は、香霖堂へと向かった。

 

そして、香霖堂の扉を叩いてから入って行った。

 

「いらっしゃい」

 

「霖之助はこれに参加してるのか?」

 

「ああ、勿論だよ」

 

「珍しいな。こういう事には参加しそうにないのに」

 

如月はそう言うと、霖之助は答えた。

 

「最初は僕も参加するつもりはなかったけど、レティシアから、この持久走の挑戦者が元は外に住んでた人間と聞いてね、気が変わったんだ」

 

「あ〜、成る程」

 

如月は何と無くだが意図を察した。そのため、事実確認をすることにした。

 

「じゃあ、霖之助からのお題は『外の世界の道具の使用方法』か?」

 

「そう言うことだ。じゃあ、今から持ってくる物の使用方法を頼む」

 

「分かった」

 

如月が了承したのを見てから、霖之助は奥へと引っ込んで行った。

 

その少し後で戻ってきた霖之助が持っていた物は、白く細いものがであり、その先が二つに分かれて、そこには大きな耳当てがある物だった。

 

「コレは『ヘッドフォン』。音を流す物だ。これだけなら僕も耳に当てる物だって分かる。けど、耳に当ててみても音が流れないんだ。どういうことだい?」

 

如月はそれを聞くと、説明を始めた。

 

「そのヘッドフォンっていうのは確かに音を聞く物だけど、音を聞くためにはもう一つ必要な物があるんだ」

 

「必要な物?」

 

そして、説明をすると、霖之助は納得した様で、頷いた。

 

「それじゃあ、次だね」

 

「まだあるのか⁉︎」

 

「勿論だよ」

 

霖之助が次に出して来たのは、全体的に灰色で、羽が三個付いており、それを外に出さない様にする為の蓋の様な物があり、上下左右に首を動かせる道具だった。

 

「これは『扇風機』さ。用途は夏みたいに暑い時に涼しくする物だけど、どうやったら良いんだい?」

 

「それにはコンセントが必要だ」

 

「コンセント?」

 

如月はまた説明をすると、霖之助は頷き、理解したと言うと、溜息を吐いた。

 

「これがもし使えたのなら、夏の熱い時に使おうと思ったんだけどね……その説明だと、無理な様だね」

 

「まあ、幻想郷に電気は通ってないからな」

 

霖之助はそれを聞くと、また溜息を吐いた。

 

「あ、僕からのお題はこれで全てさ。有難う、色々と教えてくれて」

 

「いや、気にしなくて良いさ」

 

如月はそれを言うと、挨拶をしてから香霖堂を出て行った。

 

***

 

魔法の森に入ってみると、やはりキノコ達が出す瘴気が見えた。

 

「これの所為で普通の人間は幻覚作用が出たり、死んでしまったりするんだろうな」

 

如月はそう言いながら進むと、魔理沙の家が見えてきた。

 

そして、魔理沙の家の扉をノックすると、夢幸が出て来た。

 

「あれ?夢幸もこの家に住んでるのか?」

 

「いや、俺は別の所に住んでいる」

 

「?じゃあ何で……」

 

如月はそう言って、少し視線を外して中を見ると、納得した。

 

「……此処の魔理沙もか」

 

魔理沙の家は全くと言って良い程に片付いていなかった。

 

そこから察するに、夢幸も手伝っていたのだろう。

 

但し、これはあくまで如月の推測であり本当の所はどうなのかは、本人と魔理沙しか知り得ない。

 

「魔理沙、如月が来たぞ」

 

夢幸が中へとそう声を掛けると、中からドタバタする様な音が聞こえた。

 

それから少しすると、魔理沙が出て来た。

 

「やっと来たのか⁉︎楽しみにしてたぜ‼︎」

 

魔理沙が出て来た為、一行は外の開けた場所に移動した。

 

「さて、それじゃあ、先ずは俺からのお題だ」

 

「ああ、頼む」

 

如月は少し警戒しながら夢幸のお題を待った。

 

「俺からのお題は『俺が出すスペルを避けるな』。分かったな?」

 

「分かった」

 

如月のその言葉を聞くと、夢幸はサーフボードの中心を如月に向けた。

 

(カイザースパークか?)

 

如月はそう考えると、やはり身構えた。

 

しかし、如月の考えは半分外れである。

 

確かに、今から来るのは砲撃だ。極太レーザーだ。

 

しかし、スペル名が違うのだ。

 

まあ、如月は『カイザースパーク』しか知らないのだから当然なのだが。

 

そして、中心に魔力が集まった後、夢幸は宣言した。

 

「魔砲『レジェンドスパーク』」

 

すると、サーフボードか『カイザースパーク』よりも威力が高い極太レーザーが如月のスレスレを通った。

 

如月はそれに対して冷や汗を流すが、避ける事はしていなかった。そして、守る事も。

 

「ほお?避けなかったか」

 

「……いや、これ間違ったら当たるよな?」

 

「この俺がそんなヘマをしでかすわけがないだろ」

 

「はいはい、左様で」

 

如月は夢幸の変わらない対応のお陰か、平常に戻った。

 

「それで、魔理沙のおd「弾幕ごっこだ‼︎」デスヨネー」

 

如月は魔理沙にも聞こうと言葉にすれば、最後まで聞かずに返ってきたのだった。

 

***

 

魔理沙と如月は弾幕を撃ちあっていた。

 

ただ、魔理沙は時々撃つのを辞めて移動したりもしているが。

 

「くっ‼︎」

 

魔理沙が移動した後は、直ぐには如月も反撃出来ない。その為、星型の弾幕が当たらない様に避けるのだ。

 

「魔符『スターダストレヴァリエ』‼︎」

 

魔理沙はそう宣言したのち、箒に立つと、そのまま移動しながら星型弾幕をばら撒き始めた。

 

如月はそれから避けるばかりだが、避けきれなかったものは弾幕で撃ち落とした。

 

「やっぱり弾幕ごっこは楽しいぜ‼︎」

 

「楽しんでいる様で何よりだ‼︎」

 

その会話の後、何故か弾幕の量が増えた。

 

その増えた数十分後にはスペルは終わってしまった。

 

「く〜!当たらなかったか‼︎」

 

「途中で増えたのが驚いた」

 

「そりゃ増やしたからな‼︎」

 

「じゃなかったら増えないしな」

 

その会話の後、魔理沙は箒に乗ってまた星型弾幕をばら撒き始めた。

 

ただ、如月はそれに違和感を持つ。

 

その弾幕は、自分の動きを制限する為だけのものには見えない。

 

それはまるで、自分を何処かへと誘い込んでいる様な……。

 

「ッ⁉︎しまった‼︎」

 

そんな事を考えていると、如月は自分の犯した失敗に気付いた。

 

今の如月の周りには弾幕だらけ。つまりは、移動出来ない様な場所にいる。

 

移動出来なくはないが、しかし、それだと弾幕が確実に自分に当たってしまう。

 

「弾幕ごっこの時に考えてて良いのか?」

 

魔理沙のそんな声が上から聞こえる。

 

如月は上を見上げて見ると、魔理沙がミニ八卦炉を構えていた。

 

「魔砲『ファイナルマスタースパーク』‼︎」

 

如月は素早く時空を斬り、場所を移動した。

 

「あー!それは卑怯だろ!」

 

「いや、卑怯じゃないだろ」

 

「弾幕ごっこはもっと真摯にやるべきだ‼︎」

 

「魔理沙は本当に真っ直ぐだな」

 

如月はそんな魔理沙の真っ直ぐさに少し笑みを浮かべた。

 

「なら、俺の全力を持って魔理沙の相手をしてやる」

 

「お?本当か?よっしゃ来い‼︎」

 

魔理沙のそれを聞くと、如月はまた時空を斬り、魔理沙の後ろに現れた。

 

そして、魔理沙の肩に手を置くと、

 

「喰龍『ドラゴンイロウシェン』」

 

力を喰い始めた。

 

「うっ、ヤバッ‼︎」

 

魔理沙は直ぐに移動し、それ以上、魔力を喰われる事は無かった。

 

そして、その後、如月はもう一つスペルを宣言した。

 

「肉体強化『神雷』」

 

そして、如月が雷を纏うと、最後にもう一つ宣言した。

 

「龍剣『紫電』‼︎」

 

そのまま如月は魔理沙の方へと突撃する。

 

勿論、魔理沙も避けようとするが、その行動が少し遅れ、如月の攻撃に当たってしまった。

 

***

 

「あー!負けた‼︎悔しいぜ‼︎」

 

魔理沙は地面に転がった状態でそう言った。

 

「あんまり力を取らなかったが、それでも少し疲れたな……」

 

如月もまた地面に座った。

 

「魔理沙、地面に転がると服が汚れるぞ」

 

夢幸は如月の事は放っておき、魔理沙の方に手を差し伸ばした。

 

魔理沙は少し頬を赤く染めながらも、その手を取り、お礼を言った。

 

「……なあ?俺には?」

 

「魔理沙は俺にとって特別だ。それ以外の奴に特別扱いする意味はない。自分で立て」

 

「酷くないか⁉︎」

 

如月はそう文句を言いながらも、自分で立ち上がった。

 

「自分で立ち上がれるなら、元から俺に言うな」

 

「お前、本当に酷いな」

 

如月はそう言いながらも、仕方無いかと割り切った。

 

そして、その場を離れ、アリスの家へと向かって行ったのだった。

 

***

 

アリスの家へと着くと、やはり扉をノックした。

 

それから少しすると、アリスが出てきた。

 

「あら?漸く来たのね。いらっしゃい」

 

「ああ、漸く来た」

 

「さ、入って頂戴。外は雪だらけで寒いから」

 

アリスのその言葉を聞くと、如月は家に上がった。

 

「あ、カロード、久し振りだな」

 

「……久し振りだな、如月」

 

カロードも如月に挨拶をした。

 

「如月、少し待っててくれるかしら?冷えたでしょうし、紅茶を出すわ」

 

「あ、気を使わせて悪いな、有難う」

 

「気にしなくて良いわ」

 

アリスが紅茶を淹れに奥へと入って行った。

 

「……」

 

「……」

 

勿論、その場に残っているのは如月とカロードだけなのだが、二人が話したことは一度もない。

 

確かに大掃除の時にあったことはあるが、話してはいないのだ。

 

と、如月はカロードが持っているスケッチブックを見た。

 

「あ、なあ?そのスケッチブック、見ても良いか?」

 

「ん?ああ、良いぞ」

 

カロードからスケッチブックを貰い、開いて見た。

 

「うわぁ……凄いな」

 

如月はその絵を見て、感嘆の声を上げた。

 

その絵は、如月が今まで見てきた絵の中でも一番上手い。それも、今まで見てきた絵が記憶から霞む程に。

 

如月はその絵の上手さに引き込まれた。

 

「ふふ、どう?カロードの絵は」

 

アリスは紅茶を淹れ、戻って来て見ると、如月がカロードが書いた絵を見ているのを発見した。

 

だから、感想を聞いてみたのだ。

 

「いや、凄いな、この絵。俺、絵とかそんなに詳しくないけど、これが凄いのはよく分かるよ」

 

今如月が見ているのはアリスが書かれている絵である。

 

まだそれは完成していないのだが、それでも芸術に値することが分かる程に上手い。

 

「ふふ、カロード。褒めてもらってるわよ」

 

「ああ、有難うな、如月」

 

「いや、俺は思ったことを言っただけさ」

 

如月は少し照れた様に言った。

 

その後、アリスが淹れてくれた紅茶を飲み終えた三人は、早速お題の話に入った。

 

「さて、それじゃあ、えっと、どっちからだ?」

 

如月がそう聞くと、カロードが手を上げた。

 

「先ずは俺からだ。俺からのお題は『俺が出す絵の場所を当てること』だ。出す問題の数は三問だ」

 

「分かった」

 

如月からの返事を聞くと、カロードがまず出したのは、竹ばかりの場所に、一つの屋敷がある場所である。

 

「永遠亭」

 

「正解だ」

 

次の場所は湖があり、その先に紅い館がある場所だった。

 

「霧の湖と紅魔館だな」

 

「正解だ。紅魔館だけでも正解だったがな」

 

「そうだな」

 

最後の場所は何処かの場所で、沢山の人間妖怪が酒を飲んだり食べたりしている場所だった。

 

「博麗神社だな」

 

「ああ、そうだ。全問正解だ」

 

カロードは笑顔を笑みを浮かべてそう言った。

 

「それにしても、本当にカロードの絵は上手いな……いや、本当に。外だと展覧会ものだぞ」

 

「そうか?」

 

と、そんな話をしている二人に、アリスが声を掛けた。

 

「もう私のお題を出しても良いかしら?」

 

「あ、ごめんな」

 

「いえ、気にしてないわ。それで、私からのお題だけど」

 

アリスがそう言って、出して来たのは、糸の塊だった。

 

「?糸?」

 

「そうよ、『この糸に、貴方の神力を入れて欲しいの』。これが私からのお題」

 

「え?何で?」

 

「頑丈になるでしょ?」

 

「ああ、弾幕ごっこの時にも人形を使うから、直ぐに壊れちゃうのか」

 

「そう言うこと」

 

如月はそれを聞くと、糸を貰い、雑にではなくちゃんと糸に神力を流し始めた。

 

しかし、この作業はとてもキツイのだ。

 

神力を切らさず、だからと言って雑に流せば糸はその力に負け、切れてしまう。

 

少しでも乱すと頑丈な糸は出来ない。

 

本当にとても慎重な作業が必要なのだ。

 

如月はそれをしている為、汗が流れ始めた。

 

集中からくる汗が。

 

そして、それから一体どれくらいの時間が流れたのか分からないが、糸に神力を流し終える事に成功した。

 

「な、何とかなった……」

 

如月は神力を止めると、怠さからソファに身を預けた。

 

「はい、お疲れ様。有難うね。お礼の紅茶よ」

 

アリスが如月にお礼を言って、カップに紅茶を再び淹れた。

 

如月はそれを飲むと、すっかり落ち着くことが出来た。

 

「……」

 

「ん?カロード?」

 

如月がふとカロードの方を見てみると、カロードはスケッチブックに何かを書いているのが見えた。

 

「今は描いてるのに集中してるから、邪魔してあげないでね」

 

アリスからのその言葉を聞くと、如月は見たいという衝動を抑えた。

 

「もしかして、今カロードが描いてる絵は……」

 

「ええ、貴方の絵よ」

 

アリスは笑みを浮かべてそう言った。

 

如月はカロードの絵を完成させて上げたいが、此処にずっと居ることは出来ない。今だって持久走が終わっていないのだ。

 

だから、どうしようかと考え始めていると、カロードが虹色の鉛筆を置いた。

 

「?カロード?」

 

「まだ絵は完成してないが、如月を縛るつもりもない。だから、持久走を頑張ってくれ」

 

カロードからの声援の言葉を貰った。

 

如月はそれを聞くと済まなそうな顔をするも、アリスの屋敷から出ようとした。

 

が、あることを思い出し、アリスの方に顔を向けた。

 

「あ、なあ?鈴を誰が持ってるか知らないか?」

 

如月のその言葉に、アリスは首を傾げた。

 

「え?サリアだけど……」

 

「……」

 

如月はそれを聞くと、サリアの顔を思い浮かべた。

 

その顔は……爆笑中のサリアだった。

 

***

 

レティシアは如月のそんな様子を見て、少し笑っていた。

 

「クスクス、ご愁傷様、如月。でも、相手は悪魔。貴方が聞いていたら、きっと結果は変わってたわよ♪」

 

如月は満面の笑顔のサリアから鈴を受け取り、獏からはクッキーを貰うと、そのまま移動して行った。

 

その先にあるのは……、

 

「クスクス、あらあら、自分から強者の元へ行くとは、成長したわね。如月」

 

幽香とメディスンがいる『太陽の花畑』だった。

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