持久走から数日後の事。
レティシアは鬼灯と将棋をする為に神無月神社へと訪れた。
石段を全て登り切ると、想起が境内を掃除していた。
「クスクス、あら?葵がしてるんじゃなかったのね」
「あ、レティシアさん。そうですよ?だって、僕達が此処でする事は何時もローテーションだからね」
「クスクス、じゃあ、今日は葵は何処なのかしら?」
「葵なら今日はルカと一緒に畑仕事だよ。人里の人と和解したとはいえ、長年の習慣はそう簡単には無くならないって言って……」
「クスクス、つまりは意外と楽しいから辞めないって?」
「そういう事です」
想起からその説明を聞いた後、そのまま鬼灯の居場所を聞き、川が流れている方へと向かっていった。
***
鬼灯と合流し、将棋を勝負を五戦した。
この五戦の勝者はレティシアだが。
そうして、もう一勝負しようとした時に、慣れた気配を感じ取った。
「……はぁ、あの鴉か」
「クスクス、そんなに毛嫌いする程に嫌なの?あの鴉が」
「焼き鳥にして焼いたら美味しいのだろうか?」
「クスクス、鴉は不味いと思うけど、味付け次第かしら?」
レティシアと鬼灯がそんな物騒な話をしながら境内の方へと向かってみると、葵と文が丁度何かを話していた。
その近くには小唄は居ない様だったが。
「えっと、そんな妖怪は聞いたことが無いのですが……」
「ですが、実際に居るのですよ、これが……ですから、少し気になりまして確認に来たのですよ」
二人が何の話をしているかは全く分からないが、鬼灯は変な入れ知恵でもされていると思ったようで、割って入っていった。
「おい鴉。貴様、葵に変な入れ知恵をしているわけではなかろうな?」
鬼灯は黒い笑みを文に向けると、文は鬼灯の顔を見ると、震え始めてしまった。
「あ、あやや〜!鬼灯さんではないですか〜!変な入れ知恵ですか?私は清く正しい射命丸文ですよ?そんな事、する訳が……」
「クスクス、此処にルカが居なくてよかったわね〜。そんな嘘、あの子の前で吐いたら今頃氷鴉の出来上がりだったわよ♪」
「き、吸血鬼の賢者⁉︎」
「クスクス♪」
レティシアはとても楽しそうな笑みを浮かべ、クスクスと笑っている。
「え?う、嘘……?」
「クスクス、其処の鴉の記憶を『見透かして』見たけど、
貴女、『紙舞』という妖怪がいるって吹き込まれてたのでしょう?」
「ふ、吹き込まれるって……まあ、確かにそう聞いていましたが……」
「クスクス、悪いけどそんな妖怪は居ないわよ」
「いえ、分かってはいたのですが……可能性が無きにしも非ずでしたので……」
「クスクス、こんな詐欺鴉は無視が一番よ♪」
「詐欺鴉って何ですか?」
「クスクス、貴女にピッタリのあだ名だと思うけれど♪」
「不名誉です‼︎」
文からの批判の声など何処吹く風で受け流すレティシア。
「クスクス、貴女、これで葵が慌てたら新聞のネタにするつもりだったのでしょう?」
「まあ……けれど、その目論見も初めから潰えてましたけど」
「クスクス、そうね♪良かったわね〜、葵が『定期読者』で」
「私は読まなくて良いといつも言ってるんだがな……」
「え?だって、文さんの新聞はとても面白いですよ?」
「あ、葵さん‼︎」
文は少し涙目になっていた。
レティシアはそれを見ると、次に桜を咲かせるための準備に入っている木に座っているイタズラ妖精三人組が居る方に視線を向けた。
そして、鬼灯の能力を作り、テレパシーを送った。
「(クスクス、残念だったわね♪葵はそう簡単には怖がらないようよ♪)」
「「「(⁉︎)」」」
レティシアはその三妖精の反応に少し満足すると、その三妖精に告げた。
「(クスクス、この鴉を連れて博麗神社に行きなさい。彼処ならこの鴉の新聞を全く読んでないでしょうから、怖がらしがいがあるわよ。この鴉の提案も絶対に成功するわ。まあ、成功しなかったら次は私も手伝ってあげるわ♪だから、頑張りなさい♪)」
レティシアはそう伝えると、視線を文に戻した。
「クスクス、それで?結局は彼処にいる三妖精と手を組んで葵を怖がらせ様としていたようだけど、残念ね♪」
「え⁉︎」
「む〜、今度はどんな手を使いましょうか?」
「何かしてみろ。焼き鳥にするぞ」
「クスクス、その時はこの鴉の彼氏が黙ってないでしょうから一緒に焼き鳥にしてあげて頂戴ね♪」
「いや、私は流石に無闇な殺生は……」
「クスクス、分かってるわよ♪唯の冗談だから」
「冗談の加減を考えろ」
「クスクス、まあ、兎も角何方にしろその時は、この鴉は焼き鳥決定ねを鴉って美味しいのかしら?」
「えーーーー⁉︎」
そんな事を話しながらも、結局は三妖精は文と共に博麗神社の方へと向かって行った。
その日は少し鬼灯と談笑すると、レティシアは帰って行った。
後日、文々。新聞には、博麗の巫女が慌てて新聞を読んでいる姿が載ったとか。