東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第百四十七話

霊夢達が次に向かっているのは冥界だった。

 

「冥界って……大丈夫なんですか?」

 

「何がよ?」

 

早苗の不安そうな声に霊夢が訝しみながら聞き返した。

 

「で、ですから、死んだりしないのですか?」

 

「それなら私達は既に此処には居ないわよ」

 

「特に私がな‼︎」

 

霊夢の言葉の後に、何故か胸を張りながら言った魔理沙。

 

その少し後ろでは葵が苦笑している。

 

そこからまた後ろでは……、

 

「……」

 

「クスクス、何かしら?龍」

 

龍がレティシアの事を見続けていた。

 

レティシアは相変わらず笑っているが。

 

「……レティシアさん、俺に何か隠してません?」

 

「クスクス、隠すも何も、もう全部鬼灯から聞いてるんでしょう?隠すことは言う前に全て暴露てるじゃない」

 

「……そうだけど」

 

龍が少し不機嫌そうな顔をするが、それさえもレティシアは気にしていないようだった。

 

「クスクス、大丈夫よ。凛華に喰われるとしてもそれは最終手段。貴方は手を出さなくて良いわ」

 

「だけど「これは私が決めたこと。龍が口を出して良いわけじゃないわ」……」

 

龍がまだ言おうとしたが、レティシアは頑固な様で、言葉を被せてその先を言わせないようにした。

 

「……レティシアさんは、怖くないの?」

 

「クスクス、何がかしら?」

 

「死ぬ事だよ」

 

龍のその言葉に対して、レティシアは唯々笑う。

 

「クスクス、私は自分が死ぬ事には何の思いもないわ」

 

「……周りが悲しみますよ。俺とか、レティシアさんの親友である鬼灯さんとか、レミリアとか」

 

「クスクス、そうね。でも、私の考えは変わらない。だって、それは私が死なない様にすれば良いもの。それに、私にとって一番怖いことは死ぬ事じゃないの」

 

「?」

 

龍はよく分かっていないようで首を傾げた。

 

それに対してレティシアは、真剣な顔で答えた。

 

「私にとっての怖い事は、私が私の大切な者達を傷付けること、大切な者達を殺す事。それと比べれば自分が死ぬのなんて怖くないのよ」

 

レティシアはそう言うと、少し飛ぶスピードを上げて龍よりも先に行った。

 

「……俺は、貴女を失いたくない。だから、俺が貴女を守ります」

 

龍のその言葉が聞こえたのは、レティシアと鬼灯だけだった。

 

***

 

冥界へと着いてみれば、寒気がした。

 

「うぅ、怖いです……」

 

「早苗?大丈夫?」

 

想起が震えている早苗に声を掛けると、早苗は無理してますと分かるような笑顔を向けた。

 

「だ、大丈夫ですよ〜」

 

「いや、大丈夫じゃないよね?」

 

早苗のその言葉を聞くと、苦笑してから早苗の隣に移動し、手を繋いだ。

 

「え?」

 

「こうしてれば、少しは安心出来るかな?っと思って……駄目だった?」

 

想起が首を傾げてそう聞くと、早苗は顔を紅くしながらも首を横に振った。

 

「そっか、良かった。あ、葵達が先に行っちゃったから僕達も急ごう‼︎」

 

想起はそう言ってから早苗の手を引き、葵達と合流した。

 

早苗は終始、顔を紅くした状態だったが、想起はその様子に気付いていなかった。

 

***

 

葵達は白玉楼の屋敷前で妖夢と永久に会った。

 

「あれ?どうしました?」

 

「どうしました?じゃないのよ。今、現世が異変中だからその調査中よ」

 

「此処には異変の兆候は無いようですね」

 

「?どんな異変で……ハッ‼︎幽霊の数が減る異変ですか⁉︎」

 

「妖夢、それは確実に此処だけだ」

 

妖夢の言葉に的確にツッコむ永久。

 

そして、妖夢の言葉を聞いて眉を寄せた霊夢。

 

「幽霊の数が?」

 

「はい、そうなのです。此処の幽霊達の数が減ってて……」

 

「成仏とか?」

 

「幽霊が現世に留まってるならそれも分かりますが、此処で成仏は違う気が……」

 

葵は苦笑しながらそう言った。

 

しかし、霊夢にはそれは聞こえていない。

 

「まあ、兎も角それも私達がついでに調べておいてあげるわ」

 

「本当ですか?有難うございます。何時も手が離せる訳ではないので……」

 

「クスクス、それから、妖夢。咲夜が此処に来なかったかしら?」

 

レティシアからのその質問に妖夢は肯定した。

 

「はい、仰る通り来ましたよ。けれど、私達を少し見てから早々に帰って行きましたが……」

 

「クスクス、そう」

 

「咲夜が此処に……」

 

「彼奴は本当に何を調べてるわけ?」

 

霊夢はレティシアにそう聞くと、レティシアは秘密と言って先を言わなかった。

 

そして霊夢達は妖夢達に挨拶をしてから冥界から出て行った。

 

「……霊夢さんのあの言葉では信用なりません。やはり、調べましょう‼︎永久‼︎」

 

「そうだな。なら、幽々子様に許可を貰いに行くぞ」

 

「はい‼︎」

 

妖夢と永久もまた、異変解決に動き出したのだった。

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