霊夢達が次に向かっているのは冥界だった。
「冥界って……大丈夫なんですか?」
「何がよ?」
早苗の不安そうな声に霊夢が訝しみながら聞き返した。
「で、ですから、死んだりしないのですか?」
「それなら私達は既に此処には居ないわよ」
「特に私がな‼︎」
霊夢の言葉の後に、何故か胸を張りながら言った魔理沙。
その少し後ろでは葵が苦笑している。
そこからまた後ろでは……、
「……」
「クスクス、何かしら?龍」
龍がレティシアの事を見続けていた。
レティシアは相変わらず笑っているが。
「……レティシアさん、俺に何か隠してません?」
「クスクス、隠すも何も、もう全部鬼灯から聞いてるんでしょう?隠すことは言う前に全て暴露てるじゃない」
「……そうだけど」
龍が少し不機嫌そうな顔をするが、それさえもレティシアは気にしていないようだった。
「クスクス、大丈夫よ。凛華に喰われるとしてもそれは最終手段。貴方は手を出さなくて良いわ」
「だけど「これは私が決めたこと。龍が口を出して良いわけじゃないわ」……」
龍がまだ言おうとしたが、レティシアは頑固な様で、言葉を被せてその先を言わせないようにした。
「……レティシアさんは、怖くないの?」
「クスクス、何がかしら?」
「死ぬ事だよ」
龍のその言葉に対して、レティシアは唯々笑う。
「クスクス、私は自分が死ぬ事には何の思いもないわ」
「……周りが悲しみますよ。俺とか、レティシアさんの親友である鬼灯さんとか、レミリアとか」
「クスクス、そうね。でも、私の考えは変わらない。だって、それは私が死なない様にすれば良いもの。それに、私にとって一番怖いことは死ぬ事じゃないの」
「?」
龍はよく分かっていないようで首を傾げた。
それに対してレティシアは、真剣な顔で答えた。
「私にとっての怖い事は、私が私の大切な者達を傷付けること、大切な者達を殺す事。それと比べれば自分が死ぬのなんて怖くないのよ」
レティシアはそう言うと、少し飛ぶスピードを上げて龍よりも先に行った。
「……俺は、貴女を失いたくない。だから、俺が貴女を守ります」
龍のその言葉が聞こえたのは、レティシアと鬼灯だけだった。
***
冥界へと着いてみれば、寒気がした。
「うぅ、怖いです……」
「早苗?大丈夫?」
想起が震えている早苗に声を掛けると、早苗は無理してますと分かるような笑顔を向けた。
「だ、大丈夫ですよ〜」
「いや、大丈夫じゃないよね?」
早苗のその言葉を聞くと、苦笑してから早苗の隣に移動し、手を繋いだ。
「え?」
「こうしてれば、少しは安心出来るかな?っと思って……駄目だった?」
想起が首を傾げてそう聞くと、早苗は顔を紅くしながらも首を横に振った。
「そっか、良かった。あ、葵達が先に行っちゃったから僕達も急ごう‼︎」
想起はそう言ってから早苗の手を引き、葵達と合流した。
早苗は終始、顔を紅くした状態だったが、想起はその様子に気付いていなかった。
***
葵達は白玉楼の屋敷前で妖夢と永久に会った。
「あれ?どうしました?」
「どうしました?じゃないのよ。今、現世が異変中だからその調査中よ」
「此処には異変の兆候は無いようですね」
「?どんな異変で……ハッ‼︎幽霊の数が減る異変ですか⁉︎」
「妖夢、それは確実に此処だけだ」
妖夢の言葉に的確にツッコむ永久。
そして、妖夢の言葉を聞いて眉を寄せた霊夢。
「幽霊の数が?」
「はい、そうなのです。此処の幽霊達の数が減ってて……」
「成仏とか?」
「幽霊が現世に留まってるならそれも分かりますが、此処で成仏は違う気が……」
葵は苦笑しながらそう言った。
しかし、霊夢にはそれは聞こえていない。
「まあ、兎も角それも私達がついでに調べておいてあげるわ」
「本当ですか?有難うございます。何時も手が離せる訳ではないので……」
「クスクス、それから、妖夢。咲夜が此処に来なかったかしら?」
レティシアからのその質問に妖夢は肯定した。
「はい、仰る通り来ましたよ。けれど、私達を少し見てから早々に帰って行きましたが……」
「クスクス、そう」
「咲夜が此処に……」
「彼奴は本当に何を調べてるわけ?」
霊夢はレティシアにそう聞くと、レティシアは秘密と言って先を言わなかった。
そして霊夢達は妖夢達に挨拶をしてから冥界から出て行った。
「……霊夢さんのあの言葉では信用なりません。やはり、調べましょう‼︎永久‼︎」
「そうだな。なら、幽々子様に許可を貰いに行くぞ」
「はい‼︎」
妖夢と永久もまた、異変解決に動き出したのだった。