東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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はい!今回から日常編!それも霊夢さんのです!

霊夢さんから見た葵さん達がどんな感じか、お楽しみに~!

……出来てるかどうかはともかく

それでは!どうぞ!


霊夢の日常
第百五十四話


現在の時間は夜。霊夢達はレティシアに呼ばれ、紅魔館にやって来た。

 

「で、本当にタダ酒していいのよね?」

 

霊夢はレティシアに片手にワインを持った状態で嬉しそうな笑顔でそう聞くと、レティシアもまた笑顔で返した。

 

「クスクス、どうぞ♪今日はパーティーだからね♪」

 

「よし!なら遠慮なく飲むわよー!!」

 

「霊夢、飲みすぎないように……って、聞いてない」

 

葵は霊夢にそう忠告するが霊夢は聞いておらず、そのまま何処かへと消えていった。

 

葵が溜息一つ吐く後ろで、ルカもまた溜息を吐いた。

 

「はぁ……歩、彼奴を頼むな」

 

「勿論!」

 

歩は直ぐに霊夢の後を追って行ったのだった。

 

***

 

霊夢と歩は目的もなくホール内をぶらぶら歩いていると咲夜と光冥を見つけた。

 

「あ、メイドと執事」

 

「何よ、その呼び方」

 

「執事は自分以外にも先輩がいますよ」

 

二人は呆れた顔をして見返した。

 

「ねえ?日本酒ない?ワインも良いけど日本酒飲みたいのよ」

 

「あ、俺も頼む」

 

霊夢と歩はそう聞くと、咲夜がそれに答えた。

 

「日本酒ならマリアが……」

 

その言葉と共に、何かが割れるが会場内に響き渡った。

 

それと同時に何度も謝る声と聞き覚えがある声が聞こえてきた。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

 

「いや、気にしていない。だからもう謝らなくとも……」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

 

「話を聞け!!」

 

「ひぃ!?」

 

少し大きな声を上げると、割った方は涙目になってしまった。

 

「あ、いや、わ、悪かった。大きな声を出して……」

 

「い、いえ、私が悪いので……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

 

「またなのか……」

 

さっき大声を出した方は頭を抱えるようにして溜息を吐いた。

 

その隣には苦笑い気味の知り合いの男と執事もいた。

 

「……はぁ、またあの子は」

 

「マリアさんですから仕方ないですね」

 

「あれ?あいつ等……」

 

「鬼灯と想起だね」

 

四人は鬼灯達の方に近寄った。

 

「鬼灯!想起!」

 

「ん?」

 

「あ、歩さん!霊夢さん!」

 

想起のその声に反応して狼も顔を向けた。

 

「お、咲夜と光冥もか。まあ、あの音に反応しない奴はいないか」

 

「ええ、そうね」

 

咲夜はそう言うと、ちらっとマリアを見た。

 

マリアはそれを見るとビクッと肩を震わすと、狼の背中に隠れてしまった。

 

「咲夜にも光冥にももう慣れただろ?」

 

狼はそう言いながら頭を撫でると、マリアは少し心配そうな目で狼を見てから顔を出すと、数人の足音が聞こえてきた。

 

「マリア~!!またなんか割ったの?」

 

「ユニ、足元」

 

「ん?これ……」

 

「日本酒の酒瓶が割れてるな……」

 

「つまり、これを割ったのか……」

 

ペス、ユニ、朱鳥、くおんが下を見て状況を把握すると、ペスが咲夜から箒を貰い、破片を掃き始めた。

 

霊夢はそれを見た後、鬼灯の方を見ると、その後ろにレティシアがいるのが見えた。

 

「あ、鬼灯。後ろ……」

 

「ん?……レティシアか。どうした?」

 

鬼灯は振り返ってみると、レティシアがいたことに全く驚く様子はなく、いつもの通りの対応で返した。

 

しかし、そのレティシアはというと、いつも以上にニコニコとした笑顔を浮かべていた。

 

そう、まるで何かを企んでいる笑みである。

 

霊夢はそれを見て、鬼灯に若干同情の目を向けたのだった。

 

「クスクス、鬼灯。貴女、マリアを泣かせたわね♪」

 

「泣かせたわけじゃ……」

 

「クスクス、これはちょっとお仕置きが必要ね♪」

 

「おい、話を聞け。しかもお仕置きって何を……」

 

鬼灯がそう言っている途中にレティシアは鬼灯に触った。

 

すると、『ボフンッ』となったと同時に煙が上がった。

 

流石にこれには驚いた様子を浮かべるその場の全員。

 

そして煙が晴れると、鬼灯に怪我は無かった。

 

そう、『怪我』は。

 

「おい……何でこの姿に強制的にした!?随分昔に嫌だと言ったよな!?///」

 

鬼灯は何故か子供の姿となっていた。

 

ちなみに、九本の尻尾の太さは変わっていないが、小さくなっていた。

 

「ほ、鬼灯、様……?」

 

くおんもこの姿の鬼灯を見て、口元を引くつかせている。

 

その言葉が聞こえると、鬼灯は一度周りを見てから自分の尻尾で恥ずかしそうに顔を隠した。

 

「み、見るな……///」

 

それを見て、周りが癒されたのは言うまでもなかった。

 

***

 

離れた所でほんわかしているなか、葵とルカは帝と見知らぬ相手と対面していた。

 

その男は普通に見ても種族が全く推測出来ない姿だった。

 

二本の鬼の角、鴉天狗の羽、妖獣の尻尾、口から見える吸血鬼の牙……全ての種族が混ざり合った姿をしていた。

 

「よっ!!葵!!」

 

「こんにちは、帝さん。持久走以来ですね」

 

帝からの挨拶を受けると、葵もそう返した。

 

ルカはそれを見てからもう一人の方に視線を向けた。

 

すると、相手と視線が合わさった。

 

「……」

 

「……何だ?」

 

ルカは少し鋭い目つきで見ると、相手は沈んでしまった。

 

「……は?」

 

こんな反応は今まで一度もされた事がないため、ルカは驚きの声を上げてしまった。

 

それを見た葵と帝。

 

帝は「あ~……」と苦笑い気味に言い、葵はルカに何があったのか聞くと、その男に近寄った。

 

「あの、大丈夫……」

 

「!?」

 

男は葵から声を掛けられると、すぐに離れてしまった。

 

「え……」

 

「あ~、まずは此奴の紹介だな……『スバル』」

 

帝から促されるが、なかなか自己紹介をしようとしなかった。

 

ルカはそれに首を傾げるが、葵は何かに納得がいった様子の顔をすると、ルカの耳に顔を寄せ、こう言った。

 

「ルカが促してあげて」

 

「……は?何で私が」

 

ルカが訝しげな顔で葵を見るが、葵は笑顔を浮かべるだけだった。

 

「……はぁ」

 

ルカは溜息を一つ吐くと、促すことにした。

 

「……で、名前は?」

 

「……『水無月 スバル』」

 

「そうか」

 

ルカのその言葉で一時沈黙が訪れた。

 

「あ、えっと、スバルさん!よろしくお願いしますね!!」

 

葵はその空気を払拭するためにそう言うが、スバルからの返事は返ってこなかった。

 

「あ、あの……」

 

「……」

 

葵は困った表情を浮かべている。

 

しかし、スバルは顔を背けたままだった。

 

葵がどうしようかと悩み始めていると、スバルのワイングラスに目が留まった。

 

「あの、スバルさん……ワインが無くなってますよ?」

 

「……」

 

スバルは無言でグラスを見ると、確かに無くなっていた。

 

「あの、私のをどうぞ。まだ飲んでませんから大丈夫かと……」

 

「……」

 

スバルが無言を貫き通していると、それを葵はもう飲み飽きたと勘違いしたのか……、

 

「あ、もういりませんか?」

 

そう質問した。

 

それに対しても無言のスバルにどうしたものかと頭を悩ませていると、スバルが口を開いた。

 

「……やめて……くれ」

 

「……え?」

 

「お前は不気味……怖い….好意を向けるな……俺を構うな」

 

スバルはそう言うと、死んだ目をしてその場を去って行ってしまった。

 

「……」

 

「ルカ、落ち着いて。私は気にしてないから、ね?」

 

ルカがスバルの行動、そして葵への態度から怒気を放っているが、葵が宥めた事によりそれを収めた。

 

「……で、葵と帝。あの行動はどういう事だ?葵は過去を見たんだろ?」

 

「……」

 

葵は悲しそうな顔をした。

 

それを見た帝は変わって説明をする事にした。

 

「……ルカは、彼奴のあの容姿をどう思う?」

 

「……種族がごちゃ混ぜで歪だな」

 

「そう。その所為で、彼奴は今で誰からも受け入れられなかったんだ。例え誰かを助けたとしても、その容姿の所為で襲われてると勘違いもされてたらしい」

 

「……」

 

「だから、彼奴は裏の無い純粋な好意や優しさを拒むんだ」

 

「……そうか」

 

ルカはそう言うと、スバルが去って行った方に顔を向けた。

 

その表情は至って変わっていないが、目からは同情と怒りが読み取れる。

 

スバルへの同情と、差別した奴らへの怒りが。

 

「それから、こっちの世界じゃルカとスバルは仲が良いぞ」

 

帝のその言葉に、ルカは固まった。

 

しかし、一秒と経たずに顔を素早く帝に向けた。

 

「はあ⁉︎嘘だろ⁉︎」

 

「いや、それはお前が一番分かる事だろ。能力反応してないだろ」

 

「いや、確かに反応してないが……何でそうなった……」

 

ルカが頭痛でもするかの様に頭を抑え、近くのテーブルに手を付き、溜息を吐いた。

 

「……嘘だと信じたかった。頼むから能力、反応してくれ……」

 

「諦めろ」

 

帝のその言葉にまた溜息を吐くルカ。

 

「……あ、すみません、この後少し用事があるので、一度失礼しますね」

 

ルカと帝の後半の会話を苦笑して見ていた葵はそう言って頭を下げると、その場を一度去って行った。

 

ルカと帝はそれを見届けると、その場に居続けたのだった。

 

***

 

霊夢と歩は魔理沙と夢幸と合流と言う名の偶然を果たすと、会話を楽しんでいた。

 

その途中、紫がチビ鬼灯をすりすりしている姿を見たが、まるで施しものでも見るように楽しそうな笑顔を浮かべている。

 

どうやら酔いが回っているようだ。

 

と、そんな四人の所にレミリアとフランがやって来た。

 

「あれ?あんた達、何か用?」

 

霊夢がそう聞くと、レミリアが質問してきた。

 

「ねえ?お姉様を知らない?」

 

「レティシアなら、鬼灯をあの姿にした後、どっかに消えたわよ?」

 

「そう……貴方達は?」

 

レミリアは歩と魔理沙と夢幸にそう聞くが、同じような回答が返ってきただけだった。

 

「そう……」

 

「レティシアお姉様、本当に何処に行ったのかしら?」

 

レミリアとフランが頭を悩ませ始めたその時、

 

「クスクス、お呼びかしら♪」

 

レティシアの声が急に聞こえてきた。

 

しかし、その場の誰もがもう慣れた様で、驚きの様子はなかった。

 

「お姉様、今まで何処に?」

 

「クスクス、今回のメインを呼びにね♪」

 

「メイン?」

 

霊夢はそう言いながらレミリアに説明を求める視線を向けたが、しかしそのレミリア本人も、その妹のフランも困惑していうと分かると、レティシアに問いただそうとした。

 

しかし、それを見透かしていた様で、レティシアは言った。

 

「クスクス、すぐに分かるわよ♪」

 

と、その時、周りが何かを歓迎する拍手を始めた。

 

霊夢達もその方向に視線を向けると、葵と、その近くにプリズムリバー三姉妹、そして吸血鬼姉妹に似た顔の少年がヴァイオリンを持って立っていた。

 

「「アルカお兄様!?」」

 

レミリアとフランのそんな様子を見て、レティシアは面白そうにクスクス笑い、アルカは再会出来た事が嬉しい様で、笑みを向けていた。

 

レミリアとフランは今すぐにでも抱き着きたい衝動を抑え、何が起ころうとしているのか、見届ける事にした。

 

葵達は一度周りをみて、それからお互いの顔を見てから歌い始めた。

 

***

 

雪華は歌を聞いてるとき、自分が此処まで聞き惚れるほどの歌を初めて聞き、感動していた。

 

そして、拍手をしていると、アルカの元に吸血鬼姉妹が飛びつき、再会出来た事に対して、お互い涙を流しているのを見た。

 

それを見た雪華は、演奏終わりに遊ぶ計画を止め、どうしようかと考え始めた。

 

と、急に彼女は視線を別の方向に向けると、咲夜に声を掛けた。

 

「咲夜~」

 

「?誰かしら?」

 

「あ、そっか。こっちの咲夜と私は面識ないんだっけ……」

 

雪華はそう呟くと、自己紹介をしてから要件を言った。

 

「あのさ、あんたから見て右後ろの三妖精、それから左斜め前の半人半霊……まあ、妖夢だけど……あと、あの想起とかいう男と話してる早苗。もうすぐ酔っ払い状態になるから早めに対処した方が良いよ?あと、霊夢と魔理沙も」

 

「……」

 

咲夜は訝しげに雪華を見た。

 

それに気付いた雪華はニコニコ笑顔を向けて言った。

 

「まあ、信用しなくても良いよ。どうせなるから。んじゃ、アルカによろしく~」

 

雪華は最後にそう言うと、紅魔館から出て行ったのだった。

 

そして、結果的に言えば、雪華の言う通り、名前を挙げらてた人たちは本当に酔っ払い状態になっていた。




はい!此処まで!

長文となりましたが、頑張りました!

アルカ君のためのパーティですが、如何だったでしょうか?

アルカ君もまた、タジャドル・隼様のオリキャラです!!どんなキャラなのかは読んでみてくださいね!!

それでは!さようなら~!

~今日の歌~

『優霧』
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