東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第百六十六話

パーティから二日後。紅魔館ではロケット発射する為の準備に入っていた。

 

「マリア、その本は其方よ」

 

「こっちですね?よいしょ、よいしょ」

 

「……皆さん、忙しそうですね」

 

図書館に置いてある椅子に座っている葵は忙しなく動いてるマリア達を見て、そんな感想を口に出した。

 

その図書館内には紅魔館に住む者達を除けば他に霊夢、ルカ、鬼灯、想起、歩、夢幸である。

 

「ロケット発射前ですからね。パチュリー様しか出来ない仕事があるのでしょう」

 

「……やっぱり、手伝います!」

 

「気にせず発射の時間まで待て、葵」

 

葵がマリア達の手伝いをしようと立ち上がるが、しかし鬼灯が葵の袖を掴んだことにより、その行動は出来なくなってしまった。

 

「で、でも、何もしないでいるなんて、失礼な気が……」

 

「此処は紅魔館だ。此処のメイド達の仕事を取るべきじゃない」

 

「……」

 

鬼灯の言葉を聞いた葵は渋々といった表情で座っていた椅子に座り直した。

 

「ん?……この赤い線は何なんだ?」

 

魔理沙はそう言いながら、ロケットの下に敷かれている赤い絨毯を見ながらそう質問すると、本を移動しているユニがそれに答えた。

 

「ロケットは赤道近くで打ち上げた方がエネルギーが少なくてすむんだってさ」

 

「それで足元に赤い道を書いたのか。どういう理屈なんだか」

 

「どういう理屈なんだろうね〜」

 

そう言いながらユニは笑うと、仕事に戻っていった。

 

「文句を言わないの。大体、魔理沙がロケットに乗れるのはただのオマケなんだからね」

 

「ロケットの愛称を決めたのは私なんだから、私が乗る権利はあるだろう?」

 

「霊夢にトラブルが起こったら、葵が代わり。でも、その葵までトラブルが起こったら魔理沙が代わりになるかもしれないから」

 

その言葉に霊夢と咲夜、ルカと鬼灯は吹き出した。

 

「私は平気てすよ?」

 

「病気とかはでしょ?気力や体力は?」

 

「大丈夫です」

 

パチュリーの心配に対して、葵は微笑んで返したのだった。

 

「……さて、ちょっとロケットの中を見てみましょうかね」

 

霊夢のその言葉に全員が椅子から立ち上がり、ロケットの中へと入ってみると、其処には普通に生活が出来る程のスペースがあった。

 

「.……結構広いんだね」

 

「結構な長旅になりますからね」

 

歩が部屋の感想を言うと咲夜がそう言った。

 

それが聞こえた様で、霊夢は直ぐに咲夜の方に振り向いた。

 

「長旅って……もしかして泊まりになるの?」

 

「お前は地上から月までどのくらい遠いと思ってるんだ。まさか、日帰りで帰ってこれると思っていたのか?馬鹿なのか?」

 

夢幸の言葉に霊夢は少しムッとした顔をする。

 

「……だって、昼になったら月は見えなくなるじゃないの。夜のうちに月に辿り着かないとおかしくない?」

 

「う〜ん、それは……」

 

「おかしくないだろ」

 

葵はそれに苦笑し、ルカは霊夢の顔すら見ずにそう言った。

 

「宇宙に行ったら夜も昼もないそうですが……大体往復で半月から一月くらいかかるそうですよ」

 

「あら、光冥」

 

霊夢の疑問にちゃんと答えたのは、ロケット内に入って来た光冥だった。

 

「光冥、お前も乗るのか?」

 

「そうだよ、歩君。他にもユニやペス、ギルと『シファ』も乗るよ」

 

その光冥の言葉に続くように、名前を挙げられた人物が入ってきた。

 

その中には、図書館で既に挨拶を済ませた青髮の執事『シファ・ディザスター』の姿もある。

 

「何でお前も乗るんだ?」

 

「このロケット、月に向かうとドンドンと狭くなっていくんだ。その問題を解決する為にね」

 

「ふ〜ん」

 

霊夢がそれに納得すると、外が急にざわつき始めた。

 

「?何でしょうか?」

 

「多分、レミリアとアルカが来たんじゃない?」

 

葵の言葉に霊夢が答えると、ロケットの扉が開き、レミリアとアルカが入って来た。

 

「待たせた」

 

「お待たせ。早速だけど出発するわよ!」

 

「……って、此処から出発するのですか⁉︎」

 

葵の驚いた様な声を上げるが、レミリアからは『「住吉三神」を呼べばもう飛び出せるよ!』と言うだけだった。

 

その答えに葵は心配そうな顔をするも、それ以上何も言わなかった。

 

そして、外が鎖で雁字搦めにされ、パチュリーとシュロムが手を叩き、礼をすると、ロケットから一歩下がった。

 

そして、外からは何故か小銭を投げ付ける妖精達が見える。

 

「……お賽銭は神社でするもんじゃないのか?」

 

「……魔理沙は何か思い違いをしてるようだから説明をするが、『神社』というのはお前がよく見慣れたあの建物じゃなくても良い。同時に何箇所も存在しても問題ないんだ」

 

魔理沙の最も疑問に答えたのは、狐状態ではなく、人型状態の鬼灯だった。

 

「お、何時もの狐状態じゃないのか」

 

「さすがに邪魔だろ?」

 

鬼灯は仕方なさそうに言うと、用意している霊夢を見ながら説明を続けた。

 

「神棚だけでも十分神社と同じ役割を持つんだ。いや……神棚もただの飾りで、神の宿る『器』さえあれば十分なんだ」

 

「『器』って、霊夢の事か?」

 

「ああ、そうだ。つまり……」

 

其処で一旦区切ると、鬼灯は魔理沙に目を戻した。

 

「このロケットは『空飛ぶ神社』になるんだ」

 

その言葉と同時にロケットがグラつき、外を見てみると、景色が徐々に動き始め、遂には本だらけの空間から外が見えるようになったのだった。

 

***

 

「お〜、打ち上がったな」

 

博麗神社では雪華が一人、縁側から打ち上がったロケットを見ていた。

 

「……全く、あのシスコン。私の生まれ故郷でも月に行ってたし……あれだけシスコンなら、残されるフランの事も考えてやればいいのに」

 

私はベビーシッターか、といないアルカに対して言う雪華。

 

「いや、フランは赤ちゃんじゃないからベビーシッターじゃないか。チャイルドシッター?……まあ、如何でもいいか。こっちにはアルカの姉もいるわけだし、フランや姉を信じてなんだろうし……あ、そう言えば」

 

そう言うと雪華は首を傾げた。

 

「何でこんな面白そうな事、あのアルカの姉のレティシアが参加しないの?私みたいにもう一回行ったからとかなら分かるけど」

 

そう言うと、少しの間考え……後ろに倒れた。

 

「分からないこと考えても仕方ないか。考えるのや〜めた」

 

そう言うと立ち上がり、寝る準備をし始めたのだった。

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