東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第百六十八話

鬼灯が依姫達の所から歩いて数十分。月の都が見える所に、少し高い建物が建っていた。

 

鬼灯がその前に立つと、扉は自動で開き、歓迎してくれた。

 

「……はぁ」

 

其処で一つ溜息を吐くと少し長めの廊下を歩き、そしてその奥にあった扉の前から少し距離を取ったところで一度立ち止まり、身構えながら扉の前まで来ると、自動で扉が開き、

 

「ほーーーちゃーーーーん‼︎」

 

勢いよく飛び付いて来る者に抱き締められ、その勢いのままに後ろに一緒に転がっていく鬼灯。

 

そして、漸く勢いがなくなり、止まると、その者は鬼灯の尻尾をモフモフし、すりすりしながら話し掛けてきた。

 

「いやー‼︎久しぶりだね‼︎ほーちゃん‼︎会いたかったよ愛しのほーちゃん‼︎さあ、僕にそのモフモフな尻尾を堪能させてくれ‼︎いや、もういっそ、一緒に月の都に住んで、僕にずっとモフモフさせててくれ‼︎ああ、このモフモフ感、最っ高‼︎」

 

その相手に対して鬼灯はその人の服を掴み、思いっきり投げ飛ばした。

 

勿論、その相手はそのまま飛ばされ、地面に何度もバウンドした。

 

「いい加減にしろ、『ツクヨミ』‼︎お前のそれにはいつもいつも迷惑してるんだ‼︎」

 

鬼灯が投げ飛ばしたその相手は、月を思わせる綺麗な金色のポニテ、蒼眼、中性的な顔立ちで、声は女性の様に高いのに体格は男。

 

ーーー月の神『ツクヨミ』であった。

 

***

 

ユニと月兎の戦いは、平行線を辿っている。

 

というのも、誰がどう見てもユニからやる気が見えないのだ。

 

まあ、当の本人の所為なのだが。

 

(これ、私達が十割悪いのに、やる気が起きないよ〜)

 

ユニはそう思いながら兎からの突きや銃弾を避けていた。

 

レミリアもそのやる気のなさをどうやってやる気にさせようかと思い、考え、そしてある事を言う。

 

「ユニ、この勝負に勝ったらお饅頭を50個ぐらい用意してあげるわ‼︎」

 

それを聞いたユニの目が輝いた。

 

「え⁉︎本当ですか⁉︎」

 

「ええ、本当よ。約束を破るつもりは無いわ。破ったらお姉様に怒られるもの」

 

「わっかりました‼︎頑張らせてもらいます‼︎」

 

そしてその月兎に向き直り、一つのスペルを宣言する。

 

「童話『オオカミと七匹の仔ヤギ』‼︎」

 

すると、月兎を足に七匹の子ヤギが現れ、其々がその小さな手で月兎の両足を捕まえ始めた。

 

(あ、可愛い‼︎)

 

そう思ってるのも束の間、月兎の前から低い唸り声が聞こえた。

 

其方の方に目を向けて見れば、オオカミが一匹、月兎の方を見て唸っているのだ。

 

「ひっ⁉︎」

 

勿論、月兎とて兎である。オオカミを見て食べられるかもしれないという恐怖はあるのだ。

 

そして、そのままオオカミが走って月兎に近付いてきた為、逃げようとするがヤギに掴まれて動けない。

 

「い、嫌……来ないでーー‼︎食べないでーー‼︎」

 

そう叫びながら兎はオオカミを撃ち、オオカミもその銃弾に当たって、消えてしまった。

 

それと同時に足を捕まえていた仔山羊達もまた、消えてしまった。

 

「うわぁ、酷い。動物は大切にしようよ」

 

「ひっぐ、えっぐ、怖かったよ〜」

 

「え?あっ、えっと……ごめん」

 

ユニは少し責めるような声で月兎に言うが、しかし恐怖から泣いてる月兎を見て罪悪感が生まれ、謝罪したのだった。

 

「……これ、どうしよう?スペルを宣言し難い」

 

「あの、少し中止にしませんか?月兎さんも泣いてますし……」

 

ユニが困った顔で全員に意見を求め、葵も中止にしようと言うが、そこに霊夢も意見を言う。

 

「別にそのままやれば良いんじゃない?決闘なんだから、決着付かないままは駄目でしょ」

 

霊夢のその無慈悲な言葉に依姫も頷いた。

 

「そうですね。戦場の場でも、泣いたからといって相手は止まってくれませんし見逃してもくれません」

 

その言葉を聞いたユニは月兎を見て一言「ごめん」と謝ると、スペルを宣言した。

 

「童話『白雪姫』」

 

すると、ユニの周りに林檎型の弾幕が現れ、そのまま月兎に飛んでいき、月兎に当たると、そのまま倒れ、寝てしまった。

 

「白雪姫は毒リンゴを食べて死んでしまう。でも、死ぬのなんて駄目だから睡眠を付与させてもらったよ」

 

そう言うと魔理沙を見て、勝ちだと分かると月兎に寄り、背負うと、依姫の元まで連れて行った。

 

「この子、寝てるから休ませてあげて?」

 

「分かりました」

 

依姫は別の月兎に休ませる様に言うと、その月兎を連れて行かせた。

 

「さて、それじゃあ次は……ペス、頼めるか?」

 

「分かったわ」

 

魔理沙からの指名に何の文句も言わずに前に出ると、次の相手の月兎が出て来た。

 

「さて、月では星座を観れるのかは分かりませんが、目の前で見せてあげましょう。星座を」

 

ペスはそう言うと、自身の周りに弾幕を出したのだった。




此処のツクヨミは無性です

女とも言われたり、男とも言われたりしてますが、此処では無性です

それでは!さようなら〜!
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