東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第百七十二話

依姫が構えたのを見た魔理沙は、始めからスペルを宣言した。

 

「先手必勝!『スターダストレヴァリエ』‼︎」

 

魔理沙の宣言の後に星型弾幕が現れ、その星型弾幕は色々な所にばら撒かれていた。

 

其の所為で、被害は依姫だけでなく、月兎や霊夢達にもあったが。

 

「うわわ‼︎だ、弾幕が‼︎」

 

「彼奴、もうちょっとこっちにも気をむけろ……」

 

葵は札で、ルカは薄い氷の盾で、それぞれその弾幕を防いでいた。

 

鬼灯はその弾幕を能力で消し去り、想起はその近くにいた為に被害がなかった。

 

歩達も其々の方法でその弾幕を防ぎきった。

 

しかし、依姫の周りの弾幕は何故か止まっている。

 

「月の都で見える星は瞬いていないらしいな」

 

魔理沙は箒から地面に降りながらそう言った。

 

その言葉を聞いていたペスも同じ事を思っていたのか、残念そうである。

 

「……」

 

そんなペスに気付いたギルは近くに寄り、頭に手を乗せた。

 

「ペス、地上に戻ったら星空鑑賞すればいい。だろ?」

 

「!そうね、ギル」

 

その言葉に嬉しかったようで、笑顔を向けるペス。

 

「……星が瞬いて見えるのは大気の揺らぎなのです」

 

そんなペス達を他所に、星が瞬いて見える理由を説明しだした依姫。

 

「大気の少ない月の都では、星はほとんど瞬かない」

 

そう言いながら依姫は自分の周りで止まっている弾幕を掴み、口に含んだ。

 

「え⁉︎だ、弾幕を食べたの⁉︎」

 

(甘……)

 

周りからのそんな反応など気にせずにそんな感想を抱くと、その弾幕を捨て、止まってる弾幕を避けながら近付き始めた。

 

「瞬かない星の光の軌道は完全な直線です。

等速度の攻撃は加速度系において止まっているに等しい。止まっている弾幕なら、誰にでも避けられるでしょう?」

 

「あ、頭が痛くなる……」

 

「同じく……」

 

依姫の説明に想起とユニは少し、頭を抱え始めた。

 

「ゆ、ユニ‼︎後でちゃんと僕が教えます‼︎想起さんにも‼︎」

 

「え⁉︎本当に?有難うシファ‼︎」

 

「有難う御座います、シファさん‼︎」

 

しかし、シファの言葉に二人して嬉しそうな顔をし、ユニに至ってはシファに抱き着いて、嬉しさを表した。

 

「⁉︎///」

 

そのユニに抱き着かれてるシファは顔を紅くしている。

 

(あれ?これはもしかして……)

 

そんなシファを見て何かを察知した想起は、少し口元をニヤけさせた。

 

しかし、想起は知らないだけで、この二人はちゃんと恋人同士である。

 

魔理沙はそれを見て笑顔を浮かばせてから、その笑顔のまま依姫に顔を向け直した。

 

「よく判らんが、確かにお前の周りは止まっているな。

じゃあ、これならどうだ?『イベントホライゾン』!」

 

すると、星型弾幕はまたばら撒かれ、依姫を囲むようにして、また星型弾幕は止まっていた。

 

これには流石に依姫も避けるどころか移動も出来ない為に剣を抜き、弾幕を斬り裂いた。

 

それを見た魔理沙はゆっくり地面に降り立つと、依姫がその間近まで近付いてきた。

 

「貴女のプラネタリウムは密度が薄いのです。地上から見る星空はそんなに寂しいものかしら」

 

「寂しくはないです。とても輝いてて、綺麗なものですよ」

 

依姫のその言葉に、ペスはムッとした表情で言い返す。

 

「そうでしたか。それは申し訳ないですね。ですが……『天津甕星』よ、大気に遮られない本来の輝きを、この者達に見せつけよ!」

 

すると、その剣の先が輝き出し、ヤバイと思った魔理沙は後ろに勢い良く後退した。

 

そんな魔理沙を霊夢にあたる前に夢幸が優しく抱きとめた。

 

「夢幸!有難うだぜ!」

 

「気にするな」

 

夢幸に笑顔で礼を言うと、依姫の前にもう一度立った。

 

「魔理沙。お前はいつ本気を出すつもりだ?まさか、今までのがお前の『本気』ではないだろう?」

 

そんな魔理沙に夢幸がそう言葉を投げ掛けると、魔理沙はニッと笑い、帽子を取りながら返す。

 

「勿論、此処から本気を出すぜ‼︎」

 

そして、三角帽子の中から取り出したのは、何時も持っているミニ八卦炉。

 

それを依姫の方向に向けた。

 

「この世に光の速さより速いものは存在しない。どんな加速度を持とうと、究極的には直線になるんだよ!

出でよ、『ファイナルスパーク』!」

 

魔理沙のミニ八卦炉から放たれた極太レーザーはそのまま依姫に直線に向う。

 

しかし、そんなレーザーを依姫は剣で斬り裂いた。

 

「ふん、これだけじゃ勝てないと思ったがな」

 

「光を斬るのは水を斬るよりずっと容易いこと」

 

「でもな、私の光は一つとは限らないぜ!」

 

そう言いながら、魔理沙はミニ八卦炉をまた向け、そこから極太レーザーを放つと移動し、その隣でもう一つの極太レーザーを放った。

 

「『ダブルスパーク』!」

 

それを見た依姫は、神を降ろす。

 

「『石凝姥命』よ、三種の神器の一つ、八咫鏡の霊威を今再び見せよ!」

 

すると、依姫の後ろに鏡を持った女性が現れ、その鏡の表を魔理沙に向けると、レーザーの片方を依姫が斬り裂き、もう一つは石凝姥命が返した。

 

それに驚きながらも魔理沙は避けると、そのレーザーは地球のある方向に向かっていった。

 

「あちゃー、今頃、地球は大騒ぎだな」

 

「月からのレーザーくらい、なんとも思わないでしょう。表の月には人間が置いていった大きな鏡があります。月との距離を測るために、地上からレーザーを飛ばしていますからね。

……霊験も何もない鏡で、心ない兎達が、よく位置をずらしたりして遊んでいるようですが……」

 

そう言いながら、月の兎達を厳しい目で見ると、月の兎達はその視線から目を逸らした。

 

そんな依姫を見た魔理沙は、溜息を吐いて降参したのだった。

 

***

 

地上の博麗神社では、雪華が縁側で、トウヤの体に頭を乗せて寝ている姿があった。

 

と、トウヤが何かを感じたのか耳を少し動かすと、顔を起こした。

 

「……んっ、どうしたの?トウヤ」

 

「ウォ…」

 

目を摩りながら起きた雪華は、トウヤに吊られて顔を空に向けると、月の近くで何かが光った。

 

「……あ〜、アレは多分、魔理沙のタブルスパークの片方が跳ね返された時のだな。向こうでも跳ね返されてたし……前はお菓子を食べながら観戦してたな〜。

……あ、心配はしなくて良いよ、トウヤ。こっちには来ないから」

 

雪華は、トウヤにそう声を掛けながら、その頭を優しく撫でたのだった。

 

***

 

一方、霧の湖の方でもその光に気付いた者達がいた。

 

「あれ?今、月が光りませんでした?」

 

「月はいつだって光ってるわよ」

 

妖夢の言葉に幽々子は笑っていた。

 

「……桔梗達にも、今のは見せれたら良かったな、妖夢」

 

「ですね。流石に全員が留守となると、冥界に何が起こるか分かりませんからね……。ところで、私達は何処に向かってるのです?」

 

永久の言葉に同意した後、妖夢は幽々子にそんな質問をした。

 

「吸血鬼はお手製ロケットで、紫は予定通り、幻の月と本物の月の境界から月へ行ってしまった。としたら、私達がやることは一つしかないでしょ?」

 

幽々子からの言葉に永久は納得したが、妖夢は頭にはてなマークを浮かばせた。

 

「家捜しですかね、紅魔館の」

 

「あら、空き巣?そもそも、家捜ししたらレティシアにコテンパンにされるわよ♪」

 

妖夢の言葉に、幽々子は楽しげにそう返したのだった。

 

***

 

魔理沙が帰ってくると、夢幸からの説教(と言う名の講義)が始まった。

 

「さて、魔理沙。お前が今回使ったスペルカードを言ってみろ」

 

「えっとだな……」

 

そんな二人をチラッと見てから、依姫は霊夢達を見た。

 

「さて、次は誰が相手かしら?」

 

依姫の言葉を聞くと、今度はレミリアが前に出た。

 

「次は私が相手をしてやるよ。お兄様にも、行方不明の時から成長した事を証明しないとね」

 

「お兄様?……ああ、其処にいる者ですか」

 

「言っておくけど、お兄様は貴女より強いし、私のお姉様はそれ以上に強いわよ」

 

「……そう」

 

依姫はそれだけを言うと、剣を静かに構えたのだった。

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