東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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コラボ企画〜第五段〜

葵達は十六夜達の案内のもと、ノーネームの本拠地の中へと入っていった。

 

「それにしても、本当にいつの間にここに来てたのですか?蜷局さん達は」

 

そんな案内の時、葵は歩きながらも前にいた蜷局に質問を投げかけた。

 

「結構前としか言えない」

 

「そうですか。……今は、楽しいですか?」

 

葵がそんな質問をする理由に意味はあまり含まれていないが、強いて言えば、気になるからだ。

 

そして、その問いに対して、蜷局は少し笑みを浮かべた。

 

それを見て答えが分かり、葵は笑顔を浮かべて安心した。

 

「あ‼︎皆さんお帰りなさい‼︎」

 

そんな一行の前から、鈴仙の様に兎耳が生えている女性が笑顔でやって来た。

 

そして、その女性は後ろの葵達を見ると首を傾げた。

 

「?十六夜さん、その方達はどなた様でしょうか?」

 

「此奴らは蜷局の世界からやって来た奴らだ」

 

十六夜のその言葉の後、葵はその女性の前に出て、頭を下げて挨拶をした。

 

「初めまして。蜷局さんと同じ世界から来ました、葵と言います。よろしくお願いします」

 

「‼︎よ、よろしくお願いします‼︎葵さん‼︎黒ウサギは『黒ウサギ』と言います‼︎よろしくお願いします‼︎」

 

黒ウサギはこの時、感動した。

 

マトモな人が来たと。

 

「……」

 

「ルカ、珍しいね。警戒心を出さないなんて」

 

一行の後ろにいたルカに、想起は近寄ってそう話し掛けると、ルカはルカは可哀想なものを見る目で黒うさぎを見ながら言った。

 

「……あの様子を見て、警戒する意味が無くなった。……苦労してるんだな、彼奴」

 

「……みたいだね。葵の行動でアレだけ感動する人……じゃなかった、月兎は早々いないよ。寧ろ、今まで十六夜さん達はあの黒ウサギさんだっけ?に、何してたの?」

 

ルカと話していた想起は十六夜達に顔を向けてそう言うと、十六夜、飛鳥、耀の三人は答えた。

 

「何って、黒ウサギで遊んでたんだよ」

 

「そうね。黒ウサギは私達の愛玩動物だもの」

 

「……うん」

 

「……黒ウサギさん、僕達の予想より斜め上で苦労してたんだろうね」

 

三人の答えを聞いた想起、答えが聞こえたルカと鬼灯は一層、同情の色を深めたのだった。

 

***

 

黒ウサギの案内で広間まで行くと、其処には『白雪姫』と『レティシア・ドラクレア』がいた。

 

そのレティシア・ドラクレアを見ると、葵、ルカ、想起は驚いた。

 

「え⁉︎」

 

「え、何でレティシアさんが此処に⁉︎」

 

「……嘘だろ」

 

鬼灯は驚きを示さなかったが、レティシアを奇妙なものを見るような目で見ていた。

 

それはそうだろう。メイド服を着ているだけで、他は悪友と呼べるレティシアと同じなのだから。

 

「?どうしてお前達はそんなに驚いている?お前に至っては何故私を奇妙なものを見る目で見ている?」

 

「……いや、お前と名前も姿も同じ奴を知っているだけだ」

 

「そうなのか?」

 

「う、うん」

 

「……だが、多分、性格は違うな」

 

「……一体、どんな性格をしているんだ?お前達が知っているレティシアは」

 

その質問に四人は目を合わせると、答えた。

 

「「「「ドSだ(です)」」」」

 

「そ、そうか」

 

その答えに、レティシア・ドラクレアは引き攣った顔を浮かべるのだった。

 

***

 

その後、一通り話すと、お空以外の女性陣は外に出かけて行った。

 

その際、ノーネームの傷跡を見て、葵が泣きそうな顔になり、ルカは顔を顰め、鬼灯は自然がこんな状態にされた事による怒りを露わにしていた。

 

そして、そのまま人や人以外の人達が集まっている所まで来ると、葵は楽しそうな笑顔を浮かべた。

 

「わぁ‼︎すごい‼︎」

 

そんな葵の正反対に、ルカは居心地が悪そうにしていた。

 

人見知りどころか人嫌いなルカに、人が集まるこの場所は今すぐ離れたくなるほどに嫌なものなのだろう。

 

葵がいなければ行くことすら拒むだろう。

 

「本当に凄いですね‼︎此処‼︎」

 

「此処で驚いていたら、別の所でははしゃぐ事になるわね、葵さんは」

 

そんな葵を見て、何だか微笑ましくなり、微笑を浮かべる飛鳥。

 

「ですが、人里でもここ迄、人が賑わう事は早々ないので……鬼灯もそう思わない?

ーーーあれ?」

 

「?どうした?葵」

 

葵は鬼灯に賛同してもらおうと呼んだが、しかし周辺を見て、焦ったように言葉にした。

 

「ーーー鬼灯は何処?」

 

***

 

一方、鬼灯は葵達に何も言わずに離れ、路地裏に来ていた。

 

その理由は、誰かの視線を感じたからだ。

 

「……私を見ていた者よ。降りてきたらどうだ?」

 

鬼灯は視線と気配を上から感じ、上を睨みつけながらそう言うと、本当に降りてきた者が一人いた。

 

その者は以前、蜷局と戦ったヒュドラの『ヘイズル・ハイドラグル』だった。

 

「……蜷局と同じ種族の者か」

 

「ああ。だが、俺は彼奴を憎んでいるがな」

 

「……何があったかは知らないし、それはお前達、いや、種族間の問題だ。私が手を出す問題じゃない」

 

「……何が言いたい?」

 

その問いに、鬼灯はヘイズルの目を見ながら言った。

 

「……私は、蜷局の強さを知っている。だから敢えて言おう。蜷局が負けるとは思えない」

 

「……例えそうだとしても、俺は彼奴を喰い殺す」

 

「……そうか。やはり、お前達二人、もしくは種族間で解決すべき問題だな」

 

それを言うと、鬼灯はヘイズルの横を通って大通りに出て行った。

 

その後、鬼灯は葵達と合流したが、葵に黙って何処に行っていたのかと問い詰められたのは仕方がないだろう。

 

***

 

葵達は黒うさぎの案内で大通りを歩いていると、葵はある場所に目を向けた。

 

「……黒ウサギさん、ちょっと寄って行っても宜しいですか?」

 

「?何方にでしょうか?」

 

「彼処です。あのお店です」

 

葵は黒ウサギの問いに視線で示した。

 

その視線の先には、玩具屋さんの様なお店があった。

 

「はい、大丈夫ですよ‼︎行きましょう‼︎」

 

黒ウサギの了承を得て、そのお店に近寄ると、優しそうなお姉さんが出てきた。

 

「いらっしゃいませ‼︎お客様‼︎どの商品をお望みで御座いましょうか?」

 

「いえ、今回は覗きに……」

 

葵はお店を目だけで見ていると、其処で気になるものを見つけた。

 

その視線の先には、テディベアが目を瞑って眠っている姿があった。

 

しかも、落ちそうになると其処で黒いつぶらな瞳を開き、元の体勢に戻してまた寝始める光景があった。

 

「……あの、あの熊さんは」

 

「ああ、あのお人形さんはお手伝いが出来るテディベアです。因みに、商品で御座います。如何でしょうか?」

 

「あ、それなら、二つほど……ありますか?」

 

「はい御座います‼︎……それにしても、貴女は見かけないお客様ですが、もしかして、箱庭に来たばかりで?」

 

その質問に葵は驚いた顔をしながらも、縦に首を振った。

 

その反応を見ると、その女性は微笑を浮かべた。

 

「でしたら、今回はギフトゲームにしませんか?」

 

「え……良いのですか?」

 

「はい♪但し、今回だけ特別ですよ?」

 

そう言うと、葵の上から降ってきたのは契約書類。

 

「?これは?」

 

「それはギフトゲームの契約書類です。このプレイヤー欄にほら、貴女のお名前が……」

 

「‼︎本当です‼︎」

 

その契約書類が気になったのか、黒ウサギ達も覗き込む。

 

そのルールは的当てなのだが、しかし、的の数は三十個。その内の二十九個はハズレの的。しかもその的も小さく(握り拳ぐらいの大きさ)、廻っている。

 

つまり、当てるのは難しい。

 

「これは……難しいわね。しかも、チャレンジが一回だけって……」

 

「ですね。このギフトゲームに有利なギフト持ちでないと……」

 

黒うさぎはそう言いながらもギフトゲームが行われる場所に移動した。

 

と言っても、大通りから見える所なのだが。

 

「それでは!ギフトゲーム開始です‼︎」

 

すると、用意されていた的はそのまま廻りだし、葵も貸してもらった弓を構えた。

 

「葵さん、大丈夫かしら……」

 

「大丈夫だ」

 

飛鳥はそんな葵を見ながら心配そうにしていたが、しかし隣でルカは自信満々でそう返した。

 

「?どうしてそう言えるのかしら?」

 

「それは……まあ、終わった後に答えるさ」

 

ルカはそう言いながら葵を見ていた。

 

飛鳥はそれに納得がいった顔はしてないが、見ることにした。

 

その中心人物である葵は弓を構えながら当たりの的を待っていた。

 

そして、視界の端に当たりの的が見えると弦をしっかり引き、その的を狙って、射った。

 

すると、その矢はそのまま的にまるで吸い込まれるように真っ直ぐに行き、射抜いた。

 

「おお‼︎大当たり〜‼︎」

 

その声が葵の耳にも入り、葵は嬉しそうな笑顔を浮かべた。

 

「……ルカさん?説明は?アレは葵さんのギフトかしら?」

 

飛鳥はその様子を見て、ルカに説明を急かした。

 

ルカも先程、『後で』と言ったので、説明を始めた。

 

「いや、アレは彼奴のギフトじゃない。実力だ」

 

「じ、実力だけでですか⁉︎」

 

「ああ。彼奴は小さな頃、弓道をしてたんだ。で、今も暇が出来たら時々、練習をしていたんだ」

 

「その長年の練習の成果……という事ね」

 

「……凄い」

 

飛鳥と耀は葵を見た。

 

その視線の先には、葵がテディベア二体を貰っていた。

 

そして、そのまま黒ウサギ達の元まで戻ってくると、黒ウサギの前に一体差し出した。

 

「……えっと、これは?」

 

「いえ、この子の説明だと、お手伝いが出来るそうなので……黒ウサギさんの所には、子供達が沢山いましたから」

 

葵が思い出すのは、歩いていると時々見かけた子供達。

 

「それに、私達の案内を買って出てくれましたよね?そのお礼に……」

 

「‼︎い、良いのですか?本当に?」

 

「はい‼︎」

 

黒ウサギはそれを聞くと、テディベア一体を受け取り、抱き締めた。

 

「ありがとう御座います‼︎」

 

「いえ。大したことは……それでその子、店員さんの話だと話せないそうですが、ちゃんと此方の言葉は理解しているそうなので……」

 

「そうなのですか、分かりました‼︎」

 

「……ねえ、葵。もう一体は?」

 

耀は黒うさぎの様子を少し見てから、葵がもう一体頼んだ理由を聞くと、葵は少し嬉しそうに言った。

 

「この子は、人形好きな私の友達に。お土産、ですかね」

 

「ああ、アリスにか」

 

「うん‼︎アリスが喜びそうだなって思って……」

 

その葵の言葉に、ルカは少し笑みを浮かべた。

 

その後、黒ウサギの案内で大通りにあるお店を一通り見て回ると、そのままノーネームの元へと戻って行ったのだった。




何だか、ギフトゲームがギフトゲームらしくなかったかもですね……問題児は初めてなので、広い心で許して下さい

さて、次回で問題児コラボは最終回です‼︎

それでは!さようなら〜!
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