東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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今回で咲夜編は終了です‼︎

最後の過去話が今回もあります!

それでは!どうぞ!


第百八十二話

ある日の紅魔館では、住人全員が広間に集められていた。

 

「レティシア様、一体何の用で呼んだんだろうね〜?姉さん」

 

「それを私が知ってると思うの?」

 

「全く思ってないよ。でも、レミリア様達は知らないんですか?」

 

ユニがレミリア達に顔を向けながらそう問うが、しかし知らないと否定した。

 

「まあ、何の用であれ、待つ他無いな……」

 

「そうだな」

 

対して、くおんと朱鳥はそう言うとじっと腰を据えて待つ事に決めた。

 

狼も目を瞑ってその場に待つが、その横に座っているマリアは本を読んでいる。

 

そんな六人を見ながら、先日その 全員の過去を知った咲夜はもう一つ気になることを聞きたくて狼を見ていた。

 

そんな咲夜の視線に気付いた狼は、目を開けて咲夜をじっと見た。

 

「……何だ?俺の顔に何か付いてるか?」

 

「あ、いえ、そういう訳じゃないのだけど……:

 

「?じゃあ、どうした?」

 

狼は訝しげな表情で聞くと、咲夜は狼の目を見ながら言葉にした。

 

「……貴方達の過去を聞いて、六人は此処に来る前に一緒の所に住んでいたのは分かったわ。でも、ならレティシア様とはどう会ったの?其処が少し気になって……」

 

その言葉にその場にいた者は全員興味津々とばかりに狼に目を向ける。

 

その目の意味に気付かないほど鈍くない狼は「レティシア様との出会いか……」と呟くと、天井を仰ぐようにして顔を上に向けた。

 

「レティシア様との出会いって、特別な事は何も無かったよね?」

 

「まあ、レティシア様が私達が住んでいた森に来たのが全ての始まりってぐらいだしな……」

 

ユニとくおんがそんな会話する横で、マリアは首を傾げる。

 

「咲夜はどうしてそれを知りたいの?」

 

「率直に言えば唯の興味よ。だって、気になるじゃない。どうやって出会ったのかとか……」

 

「確かに。俺もそれは知りたいな……」

 

その咲夜の言葉に同意したのは、レティシアの弟であるアルカ。

 

「是非、聞かせて欲しい」

 

その言葉を聞いて六人は一度顔を見合わせると、頷いたのだった。

 

***

 

西洋にある森の中、奥深い場所でマリア達は出会い、暫くはその家で一緒に住んでいた。

 

マリアはその時からドジをし、そのドジで泣くマリアを狼が慰め、ペス達はその行動を終えた二人と共にドジの後片付けをする。

 

それが、その家の日常。変わる事がないと思っていた日常であった。

 

しかし、それが突然終わりを告げた。レティシアが現れた事により。

 

レティシアはその時、ただただ旅をしていたのだが、その森に来て偶然マリア達の住む家を見付け、興味が出た為にその家を訪れた。

 

その家の扉を礼儀正しくノックする。

 

その音を聞いたマリア達は警戒し、最初こそ扉を開けるつもりは無かったのだが、そのノックの音が止むことが無かった為に狼が代表で扉を開けた。

 

それが六人とレティシアの初会合である。

 

狼は警戒心を盛大に出しながら現れたレティシアを見て、レティシアは何時ものニコニコ顏を向けて狼に話しかける。

 

「クスクス、こんにちは、八房さん♪」

 

「……どうして俺の正体を……」

 

「クスクス、さて、何故でしょう♪部屋に入れてくれたなら話してあげるわ♪」

 

「……」

 

狼の頭の中ではこの時、『ストーカー』『不審者』という言葉が浮かんだ。

 

だからこそ、中に入れずに追い返そうとしたのだが、ユニがそんな狼を押しのけ、扉を全開に開いた。

 

「入りたいならどうぞどうぞ!」

 

「クスクス、ありがとう、ユニコーンさん♪」

 

「あ、私も分かるんだ!凄いね‼︎」

 

「クスクス、お褒めに預かり光栄よ♪」

 

ユニとの会話を其処で切り上げると、レティシアはそのまま家へと入っていった。

 

その後ろ姿を見てから狼はユニを睨み付けた。

 

「……」

 

「まあ言いたいことは分かるよ?『怪しい人物を家に上げるな』でしょ?でもさ、狼も本当は分かってるよね?私達があの人を追い返して、その上で戦いになっても、勝てない事ぐらい」

 

「……ああ」

 

狼が警戒心を持って接している事に、レティシアが気付いていたこと。

 

その上でアレだけニコニコと笑って話していたこと。

 

狼はそれをちゃんと知っている。理解している。

 

「でもさ、それと同時に、『悪い人』じゃないのも理解してるよね?」

 

「……」

 

「……まあ、そんな不確定要素で家に上げるなって言いたいだろうけど、私の直感を信じてよ。ね?」

 

ユニが笑みを浮かべてそう言うと、少ししてから狼の肩の力が抜けた。

 

***

 

その話を終えると、レミリアが口を開く。

 

「貴方達が来たのは私が紅い霧の異変を起こす少し前。つまり、その時から来るまでに空白の時間があるのだけど?その間は何があったの?」

 

それに答えたのはユニだった。

 

「その間はレティシア様が加わった状態で日常が暫く続いた後、レティシア様が行く旅について行ったりしてたよ〜!いや〜、中々に面白かった♪」

 

「そうね。私達もそれなりに旅をしてきた方だけど、それ以上に得たものが多かったわ」

 

「ああ。私も色々見れて良かった」

 

「自然も沢山見れたしな」

 

「せ、世界一周も出来たよね、狼!」

 

「世界一周もしたが、色んな異世界にも行ったな……懐かしい」

 

そうして思い出に浸かっていると広間の扉が開き、レティシアが入って来た。

 

「姉上、漸くいらっしゃったのですね」

 

「クスクス、お待たせしてごめんなさいね?ちょっと人と話してたから」

 

「人と……八雲紫ですか?」

 

レミリアがそう聞くと、レティシアは首を振って否定する。

 

「クスクス、違うわ。新しくここで働く新人さん♪」

 

『……え⁉︎』

 

全員が声を揃えて驚くが、それを気にも止めずにまた扉を開き、外に待機させていた二人を中に入れた。

 

中に入ってきたのは、何事にも関心が薄そうな男と楽しそうに笑っている眼鏡の青年である。

 

「クスクス、はい、二人とも自己紹介♪」

 

「……『我樹牙 絶月』」

 

「僕は『雛罌粟 紅葉』だよ。よろしくね」

 

二人が自己紹介を聞くと、アルカとレミリアはその場を立ち上がって二人に近付くと、代表してアルカが手を差し出した。

 

「よろしくな、二人とも」

 

二人はその手を見て、顔を見てからその手を順番に握った。

 

そんな四人を見たレティシアは一度其処から咲夜の方へと移動し、その耳元で話し出した。

 

「貴方、最近過去を知りたがる傾向があるから先に話しておくわね。まず絶月からだけど、彼はね、無限に転生が出来るだけど、転生をする度に何処かで必ず悲劇が起こって、その度に人生をやり直していたのだけど、最近はやる事もやりたい事も無くなって朦朧と今まで生きてきたの」

 

「……無限に転生……朱鳥と似てる能力ですか?」

 

「いえ、違うわ。似てもない。ちゃんと彼にも寿命があるから。ただ、無限に転生をする能力持ちだから、何度でも生き返ることが出来るっていう点では似てると言えなくもないかもしれないわね……。

次に紅葉。彼はね、自然の精霊なのだけど、彼が住んでいた森の近くにある村に他所の人間が来て、その人間がその村を近代化させると言って自然開拓が始まり、その所為で死ぬ寸前だったのよ」

 

「……其処をレティシア様が救った、という事ですね」

 

「運良く見つけたとも言えるのだけどね」

 

そして話し終えると、レティシアは咲夜から離れ、全員が見渡せる所に立つと、両手を叩いて、自分に目を向けさせた。

 

「クスクス、さて。先ずは二人の執事服を作る所からだけど……」

 

「それもそうだな。さて、どうしたものか……」

 

「クスクス、大丈夫。その心配はしなくて良いわ♪」

 

「……え?」

 

アルカは何故と言いたげな顔でレティシアを見ると、レティシアはまた広間の扉を開き、ある人物を招き入れた。

 

「⁉︎織姫⁉︎」

 

「アルくんのお姉さんに頼まれたから来たの。私のお仕事だからね」

 

「クスクス、そういう事だから、この子に任せるわ。良いわね♪」

 

レティシアが全員の反応を見ると、全員頷いて返した。

 

***

 

織姫が絶月達の寸法を測り終えると、部屋を借りて執事服を作り始めた。

 

しかし、その部屋にはもう一人、アルカもいる。

 

「しかし驚いた。お前が来るなんて予想外だった」

 

「私もアルくんのお姉さんに頼まれるなんて予想外だったよ。でも、アルくんとちゃんと話せる時間もこうしてもらえて良かったとも思う。この前、遊びに来た時もあんまり話せなかったから……」

 

「すまないな、織姫」

 

「ううん、怒ってないから大丈夫だよ。ただ、ちょっと寂しかったかな?友達と久しぶりに会えたのにちょっとしか話せなかったからね……」

 

「……本当にすまない」

 

「だから謝らないで?こうして話せてるからもう大丈夫だよ」

 

織姫は一度手を止めてから安心させる為に笑顔をアルカに向けると、アルカはそれを見て少しホッとした。

 

その様子を見てから織姫はまた仕事を再開する。

 

そんな織姫にまた話し掛けるアルカ。

 

「……そうだ。織姫」

 

「ん?どうしたの?」

 

「彦星の様子はどうだ?」

 

「ひこくん?うん、元気だよ〜。私の仕事も手伝ってくれたりしてくれるからとても有り難いし……」

 

「……なあ?織姫は彦星の事をどう思ってるんだ?」

 

「?友達だよ?」

 

アルカは織姫のその回答を聞くと、大きく溜息を吐いた。

 

「?どうしたの?」

 

「……いや、気にするな」

 

「う〜ん、気になるけど分かったよ」

 

織姫はそう言うと、また別の事をアルカに聞いた。

 

「アルくん、せっちゃんとはどうなの?」

 

「……俺にはレミィがいるが?」

 

「そうじゃなくって。せっちゃんと喧嘩したりしてない?」

 

「雪華と喧嘩な……してはないぞ。俺を弄りに来るのは勘弁願いたいが」

 

「あはは、せっちゃんはワザと人を怒らせて、その様子を楽しむのが好きだからね〜。でも、せっちゃんが迷惑を掛けてごめんね?」

 

「前から思ってたが、お前は雪華の世話女房みたいだな」

 

「それならせっちゃんは私の夫?」

 

「いや、迷惑を掛ける子供だ」

 

「あはは〜、それは確かに言えてるかも……でも」

 

其処で織姫はまた手を止めて、アルカを見る。

 

その顔には、笑顔があった。

 

「仲が良さそうで良かった」

 

「……前から思うが、そう見えるのか?」

 

「少なくとも、せっちゃんはアルくんの事を『友達』と思ってるよ。じゃなかったら、そもそもアルくんをワザと怒らせるような行動や言動をしないよ。そして、アルくんの頼みとかを聞いたり、アルくんに相談事を持ち掛けたりしないよ」

 

「……それもそうだな」

 

「だからね、アルくん」

 

其処で織姫は穏やかな笑顔を消し、真面目な顔になる。

 

「せっちゃんのそんな性格を利用しようとか考えないでね?」

 

「……お前には俺がそんな風に見えるのか?」

 

「違うよ。一応の確認」

 

「……大丈夫だ。俺はそんな事をしたりしない。俺を信じてくれ」

 

その言葉を聞くと、織姫はまた穏やかな笑顔を浮かべる。

 

「良かった。アルくんがそういう時は絶対に破らない時だから……私もこれでちゃんと安心が出来るよ」

 

「それは良かった」

 

「これからの世話女房はアルくんだね!」

 

「それは勘弁してくれ」

 

「ふふっ」

 

織姫は楽しそうに笑うと、自身の仕事に戻ったのだった。




さて、次回はようやく星蓮船‼︎

ようやく此処まで来ました‼︎

次回も頑張ります‼︎

それでは!さようなら〜!
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