東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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星蓮船
第百八十三話


季節はもうすぐ春と移り変わる幻想郷。

 

博麗神社に残る雪も、木陰を残してあと僅かとなった。

 

そんな日の博麗神社にいの一番に声をあげたのは、その巫女である霊夢であった。

 

「はあぁぁあ⁉︎」

 

そんな叫び声をあげる霊夢に気付き、近づいて来たのは、最近何処かに行方を眩ませていた萃香。

 

「どうしたんだい?急にそんな叫び声なんかあげて」

 

「これを見てよ‼︎」

 

そう言って霊夢が萃香に見せたのは一枚の紙。

 

それは『今日は夜まで帰ってこないから』とだけ書かれた置き手紙。

 

霊夢もいて、萃香もいる以上、誰が書いたかなど明白である。

 

「彼奴〜!」

 

「霊夢〜?どうしたんだ?大声なんて出して……外にまで聞こえたぞ?」

 

「どうしました?霊夢」

 

そんな時にやって来たのは、歩と葵達である。

 

霊夢は直ぐにその紙を見せると、全員溜息を吐いた。

 

「これだけって……」

 

「まあ、雪華さんにも何かしらの事情があるのでしょう……」

 

「ま、それもそうかもしれないわね……って、そういえば、歩。あんた、釣竿を二つも持ってたっけ?」

 

霊夢は歩が持っている二本の釣竿を見ながら問うと、歩はちょっと嬉しそうに答えた。

 

「いや、もう一本は霖之助の所で買ったんだ。新品でしかも丈夫そうだろ!」

 

「ええ。まあ、釣竿の知識なんて私にないのだけども……」

 

そんな会話をしている所にやって来た次のお客は、魔理沙と夢幸、そして珍しく早苗も来た。

 

「よっ!遊びに来たぜ!」

 

「あらそう。いらっしゃい。お茶は出せないわよ?」

 

「別に構わないぜ!……ん?歩、お前何で釣竿を二本も持ってるんだ?」

 

「ああ、これは……」

 

そうしてもう一度説明している横で、葵と霊夢は早苗に話しかけた。

 

「で?何であんたは此処に来たわけ?何か用があるんでしょ?」

 

「ええ、まあ……葵さんはもしかしたら知ってることかもしれませんが……」

 

「?」

 

「実は最近、人里にある噂が飛び交ってるんです。『空を飛ぶ船』があるって噂が」

 

「たかが噂でしょ?」

 

「それが、何人かは実際に見たという人がいて、その人達が嘘を吐いてるとも思えませんし……」

 

「……空飛ぶ船か……円盤か何かか?」

 

「UFOだったら私はめちゃくちゃ喜びますよ‼︎」

 

ルカの言葉に早苗はそう返した。

 

しかも、その目はとても輝いている。

 

そして、もう一人それに食いつく人物が出てきた。

 

「だよね‼︎UFOなら嬉しいよね‼︎」

 

同じ外から来た想起である。

 

「ですよねですよね‼︎いやはや、想起さんとは本当に話が合いますね‼︎」

 

「だね!」

 

「おい、話が逸れかけてるから軌道修正するために意識を戻せ」

 

そんな興奮状態の二人を落ち着かせるために冷静に声を掛けた鬼灯は、少し呆れた表情を浮かばせる。

 

そして、そんな全員にイキナリ影が射した。

 

「?なんで影が……」

 

「……もしかして……」

 

その声で一斉に上に顔を向けると、先程早苗が話していた『空飛ぶ船』が上を通りかかっていた。

 

「……本当にあったな」

 

「嘘じゃなかったのか……」

 

「これはやっぱりUFO‼︎」

 

「その可能性はこれ見て失せなさいよ。どう見ても船じゃない」

 

「どうします?霊夢」

 

葵が一番冷静な霊夢に話し掛けると、霊夢は一度中に入り、お札とお祓い棒を手に持って帰ってきた。

 

「どうするかなんて、簡単よ。乗り込むわよ‼︎」

 

その声で全員がその船に向かっていった。

 

***

 

紅魔館でもまた、その船の事を知り、アルカが朱鳥と絶月を呼び寄せた。

 

「何の御用でしょうか?アルカ様」

 

朱鳥は絶月の顔を一度チラッと見てからアルカにそう問い掛けると、アルカは早速本題に入った。

 

「お前達を呼んだのは他でもない。新人研修だ」

 

「……新人」

 

「研修……」

 

「ああ。朱鳥は此処に来て大分経っているから戦えるし、実力も知ってる。が、絶月は最近来て、その実力も知らない。今回、『空飛ぶ船』の噂が人里を中心に立っている。お前達二人はその船を探し出して、解決する。その際、もし戦うことがあったなら、絶月が戦い、朱鳥はその補助に回ってくれ」

 

「分かりました」

 

「……了解しましたよ」

 

「それじゃあ、行ってこい」

 

アルカのその声の後に朱鳥と絶月は部屋を出て行き、その部屋にはアルカ一人となった。

 

しかし、それは直ぐに終わりを告げる。

 

その部屋の扉をノックする音が聞こえ、アルカは中に入るように促す。

 

そして、扉を開けて入ってきたのは。

 

「……やっほ〜」

 

「……」

 

何時もの元気が何処にもない状態の雪華だった。

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