凱火はその両手で持つ大剣を朱鳥達目掛けて振りかざすと、それを朱鳥達は左右に分かれて回避する。
そして其処で朱鳥が一枚目のスペルを宣言する。
「炎符『ファイヤー・ロード』!」
ゼロ距離から炎のレーザーを放つ朱鳥だが、相手はその大剣でそのレーザーを消し払った。
そして、一度距離を取ってから今度は凱火が宣言する。
「熱符『バーニングライオン』‼︎」
するとその大剣から熱が発せられる。
そしてその大剣を一振りすると、そこからライオンを象った炎が出て、朱鳥達を襲おうとする。
……が、それに対して朱鳥は笑う。
「……お前は私とは相性が悪いかもな」
そのライオンは絶月を食らおうとして、止まる。
「?どうした?」
「……」
そして、そのライオンは口を閉じ、向きを変え、凱火の方へと襲いにかかった。
「はあ⁉︎」
「それが炎なら、私が操れるということさ」
「……お前」
「ああ、能力を言ってなかったな、絶月。私は炎を操る事が出来る能力を持っている」
朱鳥の説明の後ろでは、未だライオンに襲われている凱火がいる。
しかし、その大剣でそのライオンを消すと、楽しそうに笑う。
「へ〜、お前は炎を操れるのか」
「……お前、さては戦闘狂か?」
「さあな?それは戦えば分かることだ‼︎」
凱火はそう言うとまた朱鳥達を斬り裂こうとするが、それを避ける二人。
「……死なないとはいえ、痛いのは御免被る」
朱鳥が冷静にそう言葉にすると、また一つのスペルを宣言する。
「この前ちょっと改良したスペルだ。炎符『炎舞神楽』‼︎」
すると、炎の弾幕が一度バラバラに拡散する。
それを凱火は避けるが、その弾幕の全てが、今度は向きを変える。
左に行った弾幕は右へ、右に行った弾幕は上へという風に滑らかに移動する。
それに多少驚きながらも避けると、また向きを変える。
上に行った弾幕は下に落ち、他の弾幕は全て凱火を取り囲む。
「……成る程な」
「この前はただ拡散するだけのスペルだったが、それだと『神楽』じゃないからな」
「……『神楽』は踊りの一種だからこそ、踊る様に滑らかに移動し、その動きもまた踊りの様にってか」
「まあな……それよりもだ」
絶月の言葉に朱鳥はそう言ってから絶月に視線を向ける。
その視線の意味を理解すると、絶月は舌打ちをしながらもスペルを宣言する。
「四ノ罪『嫉妬の束縛』」
すると、鎖の形をした緑色の弾幕が凱火に向かって行き、凱火に当たる。
「うお⁉︎動けねぇ‼︎」
しかし、絶月の攻撃はまだ終わらない。
「三ノ罪『色欲の妄想』」
今度は桃色のレーザーが凱火に当たる。
それを見てから朱鳥は手を動かすと、凱火の周りを舞っていた炎が全て凱火に向かっていく。
しかし凱火は動くことが出来ない状態なのでどうしようも出来ず、その弾幕全てに当たることとなった。
当たるぐらいなら少しとは言わずとも大ダメージにはならないだろうと考えていた凱火だが、結果、その予想は外れる事となる。
「⁉︎ぐぁぁあ‼︎」
凱火に襲ったのは尋常じゃない程の苦痛。
それこそ、一歩間違えば気を失いそうになる。
その後、その弾幕が全て当たり終わると、縛りも取れた。
凱火は少しの間は立っていたが、しかしその大剣を床に刺し、体を支える様な状態となった。
だが、それを見ても朱鳥達は警戒を緩めない。
なぜなら、未だに凱火の表情には笑みが讃えてあるからだ。
「熱符『クラッシュイクスプロージョン』‼︎」
その宣言後、朱鳥は自身の足元に熱がある事を感知した。
そして、何が起こるのかを予測すると、絶月に飛びかかる。
「危ない‼︎」
「⁉︎」
そうして押し倒す形で先程までいた場所から離れると、その床が大爆発した。
それを目で見て理解すると、朱鳥と絶月は立ち上がった。
「……礼は言わねえぞ」
「いらないから安心しろ。それと、今は戦闘に集中しろ」
その会話の後に凱火を見据えると、既にその足で立っていた。
「あ〜、避けられたか」
「炎を操るからこそ、熱感知は得意でな」
「やっぱり、戦闘だと相性が悪いな、お前と俺は」
「そうだな」
そう言うと、またスペルカードを持つ。
そしてチラッとだけ絶月を見てから、宣言する。
「炎符『炎の踊り子』」
すると、凱火の周りにまたもや炎の弾幕が現れると、凱火の周りを回り始める。
それにより、自分が閉じ込められたと知ると、その弾幕を消し去ろうと一振りする。
勿論、その弾幕は消えたが、素早く新たな炎が現れた。
それに対して力を込めて一掃する事を決めた凱火だが、一足遅かった。
「二ノ罪『傲慢の処罰』」
絶月が宣言すると、その周りに金と銀の帯状弾幕が現れ、それを凱火に向けて攻撃する。
そして当たると、凱火はまるで肉を斬られた様な痛みを感じた。
「がぁ⁉︎」
そして、暫くしてからその弾幕も消え、炎も消えると、其処には凱火が倒れていた。
***
朱鳥と絶月は凱火の側で如何するかを話し合おうとするが、意見が一致した為にすぐ決まった。
「放ってさっさと行くぞ」
「……ああ」
そうして先を急ごうとしたが、その進む先から二本足で歩くネズミと、赤いリボンを付けた短い金髪の女性が、凱火が現れた方向から現れたら。
「‼︎凱火‼︎」
「……なんともタイミングが悪いな」
そのタイミングの悪さに対して、少しばかり溜息を吐く朱鳥であった。