東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第百八十八話

小傘と朱鳥は互いに弾幕をぶつけ合っている。

 

この状態は始まった時から続いており、小傘は何処か不満気な顔をしている。

 

「む〜……」

 

「……不満か?」

 

「この状態飽きたーー‼︎」

 

小傘はそう叫ぶと、弾幕を全部消し、スペル宣言をした。

 

「大輪『からかさ後光』‼︎」

 

小傘は直ぐに自身が持つ那須色の傘を開くと、それを振り回し始めた。

 

そして、其処から虹色の米粒弾を全方位に撃ち始めた。

 

それを全て見極めて回避し続ける朱鳥に対し、楽しそうな小傘が喋り始める。

 

「やっぱり、こうした方が楽しいね!」

 

「……まあ、否定しないが……あの状態は嫌いだったのか?」

 

「ずっと均衡状態だと飽きちゃうよ〜」

 

「……まあ、それもそうだな」

 

「でしょでしょ‼︎だから、貴方もスペルを宣言してよ‼︎一緒に楽しもうよ‼︎」

 

小傘が期待の目で朱鳥を見る。

 

その小傘の視線の意味に気付いた朱鳥は片手だけを腰に手を当て、少しだけ困った表情の笑みを浮かべる。

 

「別に良いが……お前のこのスペルが終わった後でな」

 

「分かった‼︎」

 

小傘はそう言いながらもスペルを止めようとしない。

 

此処でやめれば相手が怒るのは分かっているのだ。

 

そうして時間が経ち、小傘のスペルは終わった。

 

「はい、次は貴女!」

 

「……分かった。炎海『炎渦地獄』」

 

朱鳥はそう宣言すると、炎の弾幕を小傘の足元に撃つ。

 

「何処撃ってるの?ちゃんと狙わないと当たらないよ〜?」

 

「いや、其処でいい」

 

その言葉に小傘は首を傾げるが、先程の炎の塊が小傘を中心として円を描き、渦となって小傘を捕まえる。

 

「熱い‼︎」

 

「炎だからな」

 

小傘の当たり前の反応に朱鳥も当たり前の答えを返す。

 

直ぐに小傘は上から脱出したが、下を見て驚愕した。

 

下はその渦を中心として半径約3mぐらいが炎の海と化していたのだ。

 

その渦の周りを回っているのは十個ほどある炎の弾幕。

 

その弾幕は一個ずつ小傘が先程までいた場所に向かっていくと、渦が消えた。

 

「次は〜……」

 

小傘がウキウキ気分で次のスペルを宣言しようとするが、朱鳥がスペルカードを手に持つのを見て、動きを止める。

 

「……え?」

 

「……すまないが、あまり遊んでられないんだ。だから……さっさとケリを着けさせてもらう」

 

朱鳥はそう言うと、宣言する。

 

「赤炎『赤き不死鳥』」

 

すると、先程まで炎の海となっていたものが、そのまま大きな鳥の形を作っていく。

 

その赤い鳥はそのまま一度羽ばたくと、小傘へと向かっていく。

 

「ええ⁉︎」

 

小傘は直ぐに其処から飛び退くが、不死鳥にある七本の尻尾から赤の炎が数少ないが拡散されていく。

 

「これぐらいなら……」

 

小傘は少しそう油断したが、直ぐにその油断は消される。

 

小傘が避けたその後ろで、その炎は爆発した。

 

「え……」

 

小傘はそっちに視線を向けたが、今度は前から赤い数多くの大きな炎と数少ない小さな炎の弾幕が撃たれる。

 

大きな炎はそのままバラバラに飛んでいくが、小さな弾幕は小傘を狙って撃たれている。

 

それを避けようと考えるも、赤いレーザーも撃たれて動きを制限し、結局、数多くの弾幕に当たってしまった小傘。

 

そのまま落ちそうだったのを不死鳥が受け止め、地面に下ろすと、朱鳥達にお辞儀をした。

 

それに対して朱鳥もお辞儀をすると、不死鳥はその場から消え去った。

 

「……不死鳥」

 

「アレは私の仲間だ。今回は私の炎で形を取って出てきてくれた」

 

朱鳥はそう言いながら小傘を近くの木に背中を預けさせる。

 

「……よし。それじゃあ、飛倉探しを再開するぞ」

 

朱鳥はそう言って絶月の方に振り向く。

 

「……ああ」

 

対して絶月はそれだけの返事を返した。

 

こうして朱鳥と絶月は飛倉探しを再開するのだった。

 

***

 

早苗と想起は二人で飛倉探しをしていたが、成果は芳しくない様子であった。

 

それもその筈。二人して飛倉探しに集中出来てないからだ。

 

(うぅ、想起さんと二人きり……どうしましょう?胸がバクバク言ってる‼︎こ、この状況の所為でバクバク言ってる‼︎)

 

早苗は想起に紅くなっている顔が見えないように背を向けて探している。

 

対して想起もまた、早苗に背中を向けて飛倉を探していた。

 

(何でだろ?さっきからずっと顔が熱い……僕、もしかして熱が……急に出たのかな?でも、それとは違う気が……それに、この感覚は何処かで……)

 

そうして考えて、漸く思い当たるものに辿り着いた想起。

 

(……思い出した。随分前、僕が一度幻想郷追放になる前に葵に対して抱いていた気持ちと同じ……だよね?砕牙)

 

想起はもう一人の自分に問い掛けると、もう一人の自分である砕牙はその問いに答える。

 

(ああ。確かに、お前のその気持ちは『恋心』だな)

 

(……ど、どうしよう⁉︎僕今後真正面から早苗の顔が見れなくなるよ⁉︎)

 

(落ち着け、想起)

 

そんな会話を自身の心でしていると、「あっ!」と何かに驚いたような早苗の声が聞こえてきた。

 

「ど、どうしたの?早苗」

 

想起は先程の事もあり早苗の顔を見ないように問い掛けると、早苗はそんな想起の腕を引っ張った。

 

「⁉︎」

 

想起はその行動に顔を更に赤らめる。

 

自身の中にいる砕牙が若干ニヤニヤしてる気がするのは気のせいと考えながら。

 

「想起さん‼︎想起さん‼︎アレ見てください‼︎アレ‼︎」

 

「さ、早苗?あの、まずは腕を……」

 

「そんな事よりもあれ見てください‼︎」

 

「そ、そんな事なんだ……」

 

それに若干ガッカリしながらも早苗が指差す方に顔を向け、驚きの表情を浮かべる。

 

二人の目に映ったのは、小さなUFOだった。

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