東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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今回から、魔理沙さんの日常回です!

彼女の日常で、何が起こるのかお楽しみに!

それでは!どうぞ!


魔理沙の日常
第百九十五話


現在、魔理沙と夢幸は珍しく神無月神社にやって来ていた。

 

しかし、気分的にこちらに来たのではなく、強制的にこちらに来させられたのである。

 

その強制的に連れてこらせた人物はというと……。

 

「魔理沙〜!歩が〜!」

 

泣きながら魔理沙に縋り付いてる霊夢である。

 

そんな霊夢の様子を葵は戸惑った表情で見ている。

 

どうして霊夢がこうなっているのか、過去を覗いてない葵には分かるわけもないのだ。

 

しかし、縋り付かれてる魔理沙ですら、そんな事は分からない。

 

いつも通りに博麗神社に行ったら、強引に腕を引かれてここまで連れてこられただけなのだから。

 

「な、なあ?霊夢。お前、何があったんだ?」

 

魔理沙は霊夢にそう聞いてみると、霊夢は泣きながら答えた。

 

「グスッ、歩が……歩が他の女の子と、仲よさそうに話してたのよ〜!」

 

「え、歩さんが?」

 

それに葵は驚いた顔をするが、夢幸は目を瞑って話を密かに聞いていた。

 

「あの歩が?いや、まあ、彼奴友達多いから、別に不思議な事じゃ……」

 

「その『友達』と話すとき以上に仲が良さそうだったの!」

 

「え……」

 

それを聞いて流石に驚いた顔をする葵。

 

『友達』以上となると、その関係は殆ど明白である。

 

『親友』か、『恋人』か……。

 

しかし、この様子から、どう見ても『親友』ではないと分かる。

 

(……これは、確かめてみないとな)

 

魔理沙はそう考えると、直ぐに行動に移る為にまずは霊夢を葵に預けるのだった。

 

***

 

神無月神社から出る途中、葵と仲が良い幸多と出会い、少しだけ話してから魔理沙は博麗神社へと向かって行く。

 

博麗神社に着いてみると、最初に出迎えたのは雪華だった。

 

「お、来たんだな。霊夢の様子は?」

 

「泣いてるぜ。だから、まずは歩に説教をだな……」

 

「いや、なんで説教すんの」

 

雪華が若干、呆れた風に言うと、魔理沙達の間をすり抜けて進み始めた。。

 

「あ、おい!何処に……」

 

「歩に聞きたい事があるんだろ?だから、居場所に案内してあげるの。さっき人里に行って団子を食べるって言ってたから、人里に行ってみる?」

 

その問いに対して、魔理沙は頷くと、雪華はまた歩き始めた。

 

***

 

「それにしても、今回、お前は巫山戯ないんだな?」

 

「ん?何でそんな事聞くわけ?」

 

イキナリの魔理沙の質問に雪華は驚いた表情で見返すと、魔理沙は少しニヤケて返した。

 

「いや、何時ものお前なら霊夢か歩を弄ってそうなのに、今回に限ってはマトモだからな。聞いてみたくなったんだ」

 

「……」

 

それに対して雪華は顔を進んでる方に顔を向けると、少ししてから答えた。

 

「……後悔して欲しくないんだよ。私のように」

 

「……お前、後悔した事があるって事か?」

 

それに対して、雪華はニヤニヤした顔を向ける。

 

「な〜んてね!そんな事あるわけないだろ?実際はただ、霊夢のあんな姿を見れて既に十分楽しめたから、もうさっさと終わらせてやろうと思ってね」

 

「ま、そんな事だろうと思ったぜ」

 

雪華が耳に掛けながら言うと、魔理沙もやっぱりか的な表情をして言う。

 

それに対して夢幸は何も言わない。そもそも、夢幸は魔理沙の側にいるだけで、何かをするつもりはないのである。

 

そんな話をしながらもお団子屋に辿り着くが、既に其処に歩達はいなかった。

 

「あ〜、これは食べた後にどっか行ったな?」

 

「そうみたいだな。なら、聞くしかないな」

 

雪華はそう言ってお店のおばあさんに聞いてみると、博麗神社に戻って行ったとのこと。

 

「あ〜、入れ違いになったか……」

 

雪華は心底面倒臭そうな顔をしてそう呟くと、魔理沙達にそう言ってから博麗神社へと戻っていく。

 

***

 

博麗神社に戻ってみると、境内に歩ともう一人、黒髪のポニーテールの女性がいた。

 

「ほら、お前達が探してた女があのポニーテールの女だよ」

 

「彼奴が……」

 

「……確かに、他の奴と話している時と空気が違うな」

 

魔理沙と夢幸が其々そんな感想を言っていると、その女性が歩に何かを差し出した。

 

それを見た魔理沙がすぐ様二人に近付き、それを奪う。

 

すると、二人は驚いた様子を見せて、魔理沙を見る。

 

「ま、魔理沙!?」

 

「ちょっと。それを返してよ!」

 

「返して欲しかったら、まずはこいつの事を説明しろ!歩!」

 

魔理沙はそう言って怒鳴る後ろで、雪華は少し笑みが浮かんでいる。

 

しかし、そんな事に気付いていない三人は、そのままの状態で進む。

 

「魔理沙、何か勘違いしてないか?此奴は『時原 栞』って言って、帝と同じ世界から来た人だ」

 

「因みに、こっちの歩君と話していたのは、彼の思い出話と貴女が奪ったそれの説明をしてたのよ」

 

「……え?説明?」

 

魔理沙はラブレターだと思って奪った紙を再度見てみると、それはスペルカードの様なカードだった。

 

***

 

栞という女性と共に霊夢の下に戻った彼らは詳しい事情を聞くことになった。

 

「私は別の世界で歩君の従姉妹なのよ。まあ義理だけどね。帝君からこの世界の歩君の事を聞いてね。どうしても気になったから紫さんに来させて貰ったの」

 

「なるほど〜。じゃあ浮気じゃなかったんだな!!」

 

「単なる博麗の勘違いか。ふん。時間を無駄にしたな」

 

笑顔で言う魔理沙といつも通りな夢幸に苦笑した栞は霊夢に近づいた。

 

「誤解されるような真似をしてごめんなさい。彼とは色々話したいことがあったものだから……」

 

「栞。それは俺が霊夢に説明しなかったからで」

 

「いいの。私が勝手に勘違いしただけだから……」

 

霊夢が自分の勘違いに顔を赤くしてそう言うと、栞は売れしそうに笑って言う。

 

「そう言ってくれると嬉しいわ。私にはちゃんと別に恋人がいるから安心してね」

 

「そうなんですか。どんな方なんですか?」

 

葵が問いかけると歩が笑いながら言う。

 

「葵も知ってる人だぞ?」

 

「え?」

 

「ええ。こっちの世界にいる如月翔君よ」

 

「へえ〜! 如月さんの恋人なんですね!」

 

驚きつつ笑顔でそう言う葵に栞は微笑む。

 

「ところで栞? さっき歩に渡したカードってなんなんだ?」

 

と、魔理沙が歩の持っているカードを指差して話に入ってきた。

 

「それはあっちの歩君が使っているのと同じ力よ。こっちの歩君も使えるかもしれないからもう一つのを持ってきたの。ただ使えるようになるには結構苦労するけど……」

 

「出来るさ。そっちの俺に出来たんだからな」

 

グッと握り拳を作る歩に栞は笑い、現れたスキマに向かっていく。

 

「じゃあ私はそろそろ行くわ。達者でね歩君」

 

「ああ、ありがとう栞」

 

「ふふ、それと頑張ってね霊夢」

 

「!」

 

最後に霊夢に向かってそう言うと、栞はスキマに入り、元の世界に帰って行った。

 

***

 

霊夢と歩はその後、博麗神社に戻った。

 

その頃には既に夜になっており、二人は縁側で月を見ながらお酒を飲んでいた。

 

そうして暫く無言でお酒を飲んでいると、歩が切り出した。

 

「……なあ?霊夢」

 

「何?」

 

「何であんなに悲しんでたんだ?」

 

「……それは」

 

霊夢は其処で口を閉じる。

 

その顔は何処か赤くなっており、歩は密かに期待を寄せた。

 

(まさか、霊夢……)

 

それを考えると、歩の鼓動も早まり、段々とその期待は大きくなっていく。

 

そんな間も静かな時間が流れる。

 

霊夢はそれを少し心地良いと感じながらも、ニ、三回ほど深呼吸をすると歩と向き直る。

 

「……歩、私があんなに悲しんだ理由はね……」

 

「……ああ」

 

「……歩の事を好きだからよ……」

 

それを聞くと、歩は嬉しそうに笑い、霊夢を抱き締めた。

 

霊夢も一瞬驚いた表情をしたが、しかしその抱擁を受け入れる様にして抱きしめ返す。

 

暫くずっとその態勢を取っていたが、歩は霊夢から体を離した。

 

「……霊夢」

 

「……何?歩」

 

「俺も霊夢の事が好きだ」

 

そう言うと、二人はまた抱き締め合う。

 

暫くそうしていると、

 

「霊夢……」

 

歩が霊夢の名を呼んだ。

 

それに対して、霊夢はちゃんと返事を返す。

 

「何かしら?」

 

「俺。強くなってくるよ。霊夢を守れるように、この力を使えるように」

 

栞から貰ったカードを取り出す歩。

それを握りしめて言う。

 

「だから……必ず此処に帰ってくるから、待っててくれるかな?」

 

「ええ。私は待ってるわ。だから頑張ってね。歩」

 

「ありがとう。霊夢」

 

そして二人は、短い口付けを交わした。

 

それを密かに見ていた雪華は、静かにその場を離れたのだった。

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