魔理沙はこの日、珍しくレティシアに呼ばれた為、夢幸と共に紅魔館へと向かって飛んでいた。
魔理沙は、どうして自分が呼び出されたのか分からずに首を傾げたが、好奇心に勝てなかったのだ。
あのレティシアが、自分になんの様なのか?
それは、魔理沙の好奇心を掻き立てるのに十分である。
そうして、紅魔館へとやって来てみると、どうしてか中が騒がしい。
「なんだ?雪華でも来てるのか?」
「……さあな。しかし、この爆発音からさっして、彼奴が来てるということでは無さそうだな……」
夢幸はそんな風に魔理沙に言うと、聞きなれたクスクス笑いが聞こえてきた。
夢幸は直ぐに後ろを見るが、何時もの様に後ろにはおらず、周りを見渡すが何処にもいない。
「彼奴、いったい何処に……」
そんな風に魔理沙が顔を正面に戻すと、レティシアが目の前にいた。
その為に、一瞬思考が停止する。
そして……。
「わぁぁぁぁあ!?」
驚きで叫びをあげながら後ろに下がる。
それを見て、レティシアは何処か愉快そうに笑う。
「クスクス、期待通りの反応を返してくれてありがとうね♪魔理沙」
「……呼びつけておいてこんな事をするなら、帰る」
「クスクス、あら、まずは話を聞いて、その返答をしてからよ♪」
レティシアはそう言って、一瞬で玄関を塞ぐ様に立つ。
それには流石に驚かなかった様で、魔理沙はレティシアの前に出た。
「で、私に何の様なんだ?」
魔理沙はそう聞くと、レティシアは嬉しそうに笑ったのだった。
***
魔理沙達はレティシアの案内で移動した。
現在の居場所はレミリアとも戦った広間である。
其処では歩と光冥、絶月が弾幕ごっこをしていた。
「……成る程な。あの爆発音の正体はこれか」
「クスクス、そうよ。イキナリ来たかと思ったら、絶月と光冥に戦って欲しいってお願いしてきてね。戦闘経験は多いに越した事はないから、戦わせてるのよ」
「いいな〜!私もしたいぜ!」
「クスクス、それは、後でにしてくれるかしら?」
レティシアはそう言うとテーブルと椅子を創造し、その一つに腰掛けた。
魔理沙と夢幸もそれに習って座ると、いつの間にいたのか咲夜がレティシアの側におり、全員分の紅茶を用意してから、その側に控えた。
「それで?私に様って何なんだ?」
魔理沙はその紅茶を飲みながらレティシアに問うと、レティシアはそれに答える。
「クスクス、まずは質問だけど、この紅魔館に働いている狼とマリア、知ってるわよね?」
「ああ、知ってるぜ」
「当たり前だ」
「クスクス、なら話が早いわね♪あの二人をくっ付けてほしいのよ」
その頼み事に、魔理沙は笑みを浮かべる。
「ちょっと、詳しく聞かせてくれ」
「クスクス、あの二人、仲が良過ぎると思わないかしら?」
「……成る程な」
それだけで夢幸は察した様で、紅茶を飲みながら静観モードに入った。
「まあ、確かにあの二人は普通より仲が良いとは思うが……それはマリアの方が人見知りが激しいからだろ?だから、一番長く一緒にいる狼にくっ付いてるんじゃ……」
「クスクス、それを考慮しても、仲が良過ぎるのよね、私から見たら」
「……だから、くっ付けるって?」
「クスクス、そうよ。やってくれるかしら?」
「別に良いが、報酬とかは?」
魔理沙がそう聞くと、レティシアは指を鳴らす。
すると、一つの本がその場に現れる。
「?……!?こ、これ……」
「クスクス、魔道書よ。といっても、これはあくまで一つの例よ」
そう言って手を翳すと、その本が消えた。
「あ!魔道書が……」
「クスクス、私からの報酬は、貴方が望む事を、一つだけ、叶えてあげる。……といっても、不老不死とかは自力で頑張ってとしか言えないけれどね」
レティシアは、自分から魔理沙を不老不死にするつもりはないため、そんな制約を他にも幾つか設けた。
「クスクス、これでどうかしら?」
「……それ、本当に約束、守ってくれるんだろうな?」
「クスクス、悪魔はね、約束や契約には煩いのよ?」
魔理沙から投げかけられた言葉に、レティシアはそう返す。
それで魔理沙はその頼みを聞くことにした。
それと同時に、壁に何かが当たって崩壊する音が聞こえ、其方に顔を向けると、光冥と絶月が其処で倒れていた。
それを見て咲夜は直ぐに光冥に近寄り、其処にやって来た朱鳥もそれに気付いて、絶月の側に走って、状態を見る。
そんな二人から離れた場所で、歩は嬉しそうにガッツポーズをしてから寄って来た。
「なあ?俺が戦ってる間、何を話してたんだ?」
歩からのその問いに、魔理沙が答えると、歩はそんな二人に応援の言葉を投げかけた後、紅魔館から出て行った。
それを見送ってから、魔理沙と夢幸は狼とマリアをくっ付ける作戦を考え始めたのだった。