冥界で何時ものやり取りを終えた後、直ぐに冥界から出て行った。
「……ねえ?なんでシレッと私達の仲間に入ってるわけ?」
霊夢は後ろで仲良く並んで飛んでいる妖夢と永久にジト目を向けながら言うと、妖夢は少し頬を膨らませた。
「何ですか?良いじゃないですか。私達は冥界の管理をしているのですよ?この神霊大量発生している異変で動かないわけにはいきません」
「それだったら私達が代わりに解決してあげるから、帰ったら?」
「それは遠回しに『邪魔』だと言ってませんか?」
「この人数見なさいよ。異変解決するにしても多過ぎよ!」
霊夢がそう叫ぶのを、同じく後ろにいた葵が苦笑しながら見ていた。
「でも、人数が多いと直ぐに終わると思うよ?霊夢」
「そこの駄目巫女がもっと真面目にしたらそれこそ早く終わるのにな」
「誰が駄目巫女ですって?」
「葵でも早苗以外の奴だが?」
「それつまり私の事じゃない!」
ルカの悪態に霊夢は激怒する。
その原因のルカはそれをスルーして前だけを見ている。
それを見ていたミコトは、なんとも言えない顔をしていた。
「?どうしました?ミコトさん」
「いや……いつもこんな感じなのか?」
「そうですね。いつもこんな風に賑やかに移動してますね」
「ルカが悪態をつき、それに霊夢が反応し、此処から本来は葵が止めに入るところだが……」
葵とミコトの間に入ってきた鬼灯が言うと直ぐにその間に入ってくる者がいた。
「まあまあ、二人とも。喧嘩はそこまでだよ?」
ルカと霊夢の間に入ったのは想起。
葵が入れないのに気付いた想起がその代わりに仲裁役を買って出たのだ。
霊夢とルカは一度互いに顔を見合わせると、静かに顔を外に向けた。
それを見ていた外野の反応は様々だった。
魔理沙は楽しんでおり、夢幸と永久は我関せずで無視。早苗と妖夢はホッと安心した様子だった。
「……俺達とは違う道中のやり取りだな」
「そうですね。でも、ミコトさん達もとても賑やかそうだと思いますよ?私は」
葵はミコトの過去を見たからこその感想を言うと、少しだけ笑みを浮かべるミコト。
「まあだが、ミコトは私達の異変解決方法を見るのは初めてだな。だからこそ、先に言っておく」
「?」
鬼灯は一つ間を空けると、言う。
「この幻想郷の奴らは案外容赦なんてない奴らばかりだ。だからこそ、不憫な奴らも出てくる……」
そう話している間にも命蓮寺が見えてきた。
その門の前には掃き終わったばかりの様で、今から門の中に戻ろうとしている犬耳の様な物が頭にある少女がいる。
それを目にした霊夢はすかさずお札を、ルカは氷を作ると、宣言する。
「霊符『夢想封印』!」
「氷符『氷針』」
そのまま大量の弾幕が何もしていない妖怪少女に当たり、少女は気絶し、門は壊れた。
「れ……霊夢ーーー!ルカーーー!」
葵は叫びながら二人に迫り、叱り始めるが、二人は聞いてない。
「……こんな風に、何の罪もない妖怪がやられるんだ」
鬼灯は頭を片手で抑えながら言う。
「……いや、うちの霊夢も容赦ないからあまり変わらない。ただ、其処にルカも加わるのは知らなかった」
「ただ、納得は出来るだろ?」
「……ああ」
ミコトは頷きながらもルカを見る。
そのルカは葵から叱られたのが少し答えている様子だったが、直ぐに戻った。
能力で少し心を冷やしたのだ。
「まあ、これが私達のいつもの道中だ。……この前の異変の時にはもっと驚くことがあったがな」
この時に鬼灯の頭の中に浮かんだのは聖に頭を下げる夢幸の姿。
暫くは忘れられない光景となると鬼灯は予想する。
「ちょっと。あんた達なにしてるの?早く行くわよ」
「ちょっと待って霊夢。せめて、この人を癒してから……」
「お前は本当に……」
「此奴倒したのは私だけじゃなくてあんたもでしょうが」
ミコトと鬼灯が話してる間、葵達はそんな事をしていたりした。
***
妖怪の怪我を治した後、直ぐに移動を始める。
向かっているのは墓地である。
理由は単純に霊夢の勘が告げているからである。
「お前の勘は楽だな」
「うっさい」
そんな会話をしていると、また目の前に妖怪が現れた。
全体的に青色で、舌が出ている傘を持った赤と青のオッドアイの少女、小傘である。
しかし、その少女を知らない霊夢達は勿論、容赦も慈悲もないわけで……。
「なんで今日は邪魔な奴らが多いのかしら?霊符『夢想封印・集』!」
「本当にな。氷符『氷柱雨』」
「え?ちょっと!?」
問答無用でスペカを撃ち、小傘はその場に倒れて気絶した。
「またですか!?」
葵は再び二人を叱ろうとしたが、その小傘の後ろから別の人物が近づいて来た。
半袖の中華風の服装、暗い藤色の髪を肩辺りまで伸ばしており、ハンチング帽を被っている。
その顔の前には何かのお札が貼られており、手は両手共に前に突き出している状態のままである。
葵はその顔を見てしまったが、頭を捻る事になった。
相手の過去はつい最近から始まった様で、自分と同じ髪色の女性から此処を守る様に言われている姿が見えたのだが、それ以前の『過去』がない。
それを考えて出た答えは一つ。
「……キョンシーか」
ミコトの呟きに葵は頷く。
「そうみたいですね……『過去』がちゃんとは見れませんでしたから」
「あれ?じゃあ、どこから見たの?」
「この方が青髪の女性から此処を守る様に言われていた辺りからです」
葵はそんな風に説明していると、キョンシーの少女は口を開いた。
「お、お前達、誰だー?」
「誰でもいいでしょ?私達はこの先に用があるのよ。痛い目見たくなかったら其処どきなさい」
霊夢が答えた直後、少女から殺気が溢れ出す。
「私は此処を守る使命があるんだー。だから、通すわけにはいかないんだー」
「なんでよ?」
「なんでって……此処を守らないといけない気になったからだー」
「……ねえ?誰か、彼奴が言ってる事を理解できた奴いる?」
「いや、全く……」
「……理解出来ないな」
「ふん。元より理解など必要ない。邪魔をするなら倒すだけだ」
夢幸の言葉に霊夢は納得するように頷くと、前に出ようとした。
しかし、それよりも先に前に出たのは鬼灯だった。
「?鬼灯?」
「此処は私が相手をする。最近、戦う事がなかったから運動不足気味なんだ」
「毎朝、剣の素振りをしているのにか?」
「それとこれとは話が別だ」
鬼灯はルカに対してそう言うと、一歩前に出る。
「そう言う事だから私が相手をしよう。良いな?キョンシー」
「いつでもかかってこいー」
「そうか……なら、遠慮なく行かせてもらおう」
鬼灯はそう言うと、人型になり、剣を構えてキョンシーを見据える。
こうして、豊穣神とキョンシーの戦いが始まるのだった。