東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第二百六話

目的地を目指す道中ですら、この異変解決組一行が静かになる事はない。

 

「うぅ……それにしても、なんで墓地なんですかぁ……」

 

「あんた、さっきまで怖がる素振りすら無かったじゃない」

 

「アレは緊張状態だったからですよ〜!戦闘終わって解いたら途端に怖くなったんですよ!」

 

「……前から思ってたけど……あんた、半霊でしょうが」

 

「それと同時に半人です!」

 

「それでも半分幽霊なのに、怖がる意味が分からないわよ……」

 

そこで霊夢は溜息を吐くが、その間も妖夢は体を震わせながら永久の後ろを歩く。

 

お陰で前からでは永久の後ろに妖夢がいるなど見えない形となった。

 

それを見ていた想起は苦笑いを浮かべるが、ふと思いついたかのように話し始めた。

 

「そういえば、僕、一つ面白い話を知ってるんだ〜」

 

「何よ急に。というか、ほんとうに面白い話?」

 

「うん。この場所にはとっても合ってる話だよ」

 

それを聞いて、妖夢の体が微かに震えたが、それを想起は見ないフリして続ける。

 

「これはね、僕の友達が体験したことなんだけどね……」

 

「わぁぁぁあ!話し始めないでくださいよーーー!」

 

しかし、その冒頭で直ぐに妖夢は叫んで遮り、想起は予想通りの反応にニヤニヤした顔を浮かべていた。

 

「あはは!妖夢は本当に怖がりなんだね〜。あ〜、面白い……」

 

「……おい」

 

と、そこで永久が想起に声を掛け、想起が振り向いてみると、その首元からたった1cm離れたところに剣先があった。

 

それは勿論、永久が向けているものだった。

 

「……これ以上、妖夢に対しての悪ふざけは、寛容出来ないぞ?」

 

「……うん、ごめんなさい。やり過ぎました」

 

想起は冷や汗をかきながら謝ると、永久はその刃を消し去り、元の柄だけの状態にした。

 

「……想起さん。今後は気をつけましょうね」

 

「うん、そうする。僕も命は惜しいから……というか、一瞬、本気で死ぬかと思った……」

 

「私も、想起さんが死んでしまうかもしれないと思いましたよ……」

 

二人して安堵の溜息を吐いている間に、涙目の妖夢を葵とミコトが代わりに慰めている。

 

そんな一向にたいして、先に進んでいた魔理沙が大きな声をあげて連絡をした。

 

「お〜い!こっちになんか入口があったぞ〜!」

 

「お!ナイス!魔理沙!ほら、皆んな行くわよ!」

 

「あ、霊夢!待て!」

 

魔理沙の言葉を聞いた霊夢は笑顔でそこへと向かって走り、その後を歩が追っていく。

 

それに他の全員も付いていくが、唯一付いて行かなかった人物がいた。

 

葵である。

 

葵は一人、この『神霊』達の事を考察する。

 

(あの時、芳香さんは平気でこの『神霊』達を食べてた……例えそれが能力だとしても、何かしらの反動があるはず……どういうこと?)

 

「葵?」

 

葵が思考の海に浸かっていると、ミコトが声を掛けた事でその海から出た葵。

 

「……え、あ、えっと、どうしました?ミコトさん」

 

葵がそう言って呼ぶと、ミコトが悲しそうな顔をし、葵は首を傾げる。

 

「……えっと、どうしました?」

 

「……いや、なんでもない。気にしなくて良い」

 

そう答えたミコトだが、しかし変わらず悲しそうに見え、その理由を考えると、あることに辿り着く。

 

そして、それを試してみることにした葵。

 

「……み、ミコトお兄ちゃん?」

 

「……!」

 

その一言でミコトの顔が嬉しそうな表情に変わったのを見ると、葵は安堵と嬉しさから笑顔を浮かべ、続ける。

 

「心配してくれて、ありがとう。ミコトお兄ちゃん。それじゃあ、行こう?」

 

「……ああ」

 

ミコトと葵はお互いに笑みを浮かべると、そのまま中へと入っていった。

 

まるで、洞窟にも見えるその穴の中へと。

 

***

 

洞窟の中にあったのは、何かの巨大な建築物。

 

ただ、その建築物が巨大過ぎるのと、その場が少し暗い所為で、その建築物の屋根がちゃんと見えなかった。

 

「す、凄く、高いですね……この建物」

 

「ああ……そうだな」

 

「二人して何そこで突っ立ってんのよ。早く入るわよ」

 

「え、でも入口は……」

 

「もう見つけたぜ!」

 

「は、早い……」

 

葵はその仕事の早さに少し呆然としたが、自分達が遅れただけだと分かっているので、そのまま中へと入っていく。

 

その入ってすぐの所で永久達と合流し、そのまま歩いていると、その一向の前に二人の人物が立ち塞がった。

 

一人は銀色の髪をポニーテールにし、烏帽子を被って、白装束を着たディープブルーの瞳を持つ女性。

 

もう一人は、とても薄い緑色のボブの髪をウェーブにした、全体的に緑が特徴の女性。

 

しかし、その女性の一番の特徴を言えば、その女性の足が人の脚ではない事だろう。

 

それを見て、妖夢はやはりと言うべきか、怖がって永久の後ろに隠れてしまった。

 

そんな妖夢に葵が少し苦笑していると、白装束の女性の方が笑顔を向けながら声を掛けてきた。

 

「おお!これはこれは!もしかしなくともお主達、我等の復活を祝福しに来た者達だな!」

 

「……え?」

 

その女性の勘違いに葵が呆然としている間にも、女性節は続く。

 

「ふふふっ、隠さなくともよい。我には分かる……分かるぞ!お主達が、我等の復活の時に気付き、祝いに来てくれた者達なのだと!さあさあ、上がるがよい!もう直ぐ太子様も起きる……」

 

「止めなさい!」

 

其処で漸く緑の亡霊の女性が白装束の女性を叩いて止め、白装束の女性は恨めしそうにその亡霊を見やった。

 

「なんなのだ。この者達は大事なお客様だろ?」

 

「違うから。どう考えても敵襲だから」

 

「な、なんだと?むむ……我の勘違いか」

 

(あ、あの白装束の方はとても心優しい方なのですね)

 

葵が心の中で白装束の女性をそう褒めるが、他は別の様に捉えた。

 

(あ、此奴はアホの子だ)

 

(いや、お人好しだろ、アレ。人を疑うって事を知らないだけだろ)

 

(う〜ん、葵さんの様な方なのでしょうか)

 

(ちょっと。葵をあんなのと一緒にしないでよ)

 

早苗、魔理沙、霊夢の三人が小声でそう話すも、白装束の女性には聞こえていなかった様で、何も言われなかった。

 

「……仕方ない。お主達!敵襲なら我等は此処でお主達を強制的に返すのみ!さあ、勝負じゃ!」

 

白装束の女性は葵達に指を指しながら大声でそう叫ぶと、霊夢が一歩前に出ようとした。

 

しかし、それよりも先に前に出たのは、妖夢と永久だった。

 

「ちょっと。何前に出てんのよ。私が戦うから、あんた達は下がってなさい」

 

霊夢が永久と妖夢に対してそう言うが、妖夢は首を横に振って拒否する。

 

「嫌です。だって、ここを逃したらもう戦えなさそうじゃないですか!」

 

その妖夢の目が輝いているのを見て、妖夢の戦闘狂の部分を思い出すと、霊夢は素直に引いた。

 

それに感謝しながら白装束の二人に向き直ると、永久と妖夢は剣を構えた。

 

「それでは、勝負をする前にお互い、名乗り合いましょう。私は魂魄妖夢!半人半霊の剣士だ!」

 

「……同じく半人半霊の浄土永久。剣士だ」

 

「む、ならば我等も名乗らなければな!我は『物部 布都』!尸解仙だ!」

 

「私は『蘇我 屠自古』。亡霊だけど尸解仙よ」

 

「それでは、始めましょう。この幻想郷でのルールに則って……弾幕ごっこを!」

 

妖夢のその言葉で、その場に弾幕が生成されたのだった。

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