それでは!どうぞ!
神社に遊びに来た幸多に手を引っ張られ、人里まで降りて来た葵。昔ならば人里の人間もいい顔をしなかったが、今は笑顔で向かい入れてくれるようになった。
「おや、おはようございます巫女様」
「あ、はい!おはようございます!」
「お姉ちゃん!早く早く!一緒にお団子食べよう!!」
「はいはい、分かってますから!そんなに手を引っ張られると、転けてしまいます!」
葵は足がもつれそうになるのを必死になって防ごうとしているが、幸多はそれを気にしておらず、元気よく引っ張っていく。そんな時、幸多が目の前から歩いて来た白い着物の人とぶつかった。
「わっ!?」
「おっと」
「幸多くん!?」
幸多は勢いがつきすぎていたようだそのまま後ろに倒れそうになったが、それを前から腕を掴んで止める着物の人と、後ろから支えようと腕を出していた葵。もちろん、前方の方が動きが良かった為に尻餅をつかずにすみ、葵はホッと安堵の息を吐き出し、腕を掴んだ人物を見て目を丸くする。
「雪華さん!?」
「ん?……あれ、葵じゃん。どうしたの?こんな人里の中で。買い物?」
雪華が首を傾げてそう問えば、葵は苦笑しながらも答える。
「えっと、実は幸多くんに誘われてお団子屋さんまで……」
「……幸多?」
雪華がその名前に珍しく目を丸くすると、腕を掴んでいた子供を見つめる。
「?……どうしたの?白い着物のお姉ちゃん」
幸多は首を傾げながら雪華を見ると、雪華は幸多の目線に合わせるように膝を折る。
「……上の名前は?」
「え?」
「あんたの上の名前。お姉ちゃんに教えてくれない?」
雪華のその問いに幸多も葵も首を傾げ、互いに目を見合わせると幸多は首を傾げながらも答える。
「『春風』。僕の上の名前は『春風』だよ?」
「っ……そっか」
幸多のその名前を聞き、雪華はその顔に分かりやすい動揺を浮かばせ、直ぐにその顔を下に向け、顔を隠すように手で覆う。
「……えっと、お姉ちゃん、どうしたの?」
「いや、なんでもない。ちょっと、知り合いと同じ名字だったから、動揺しただけだよ……心配かけちゃってごめんね」
幸多が心配そうに雪華を見れば、雪華は笑顔を浮かべたままその幸多の頭を優しく撫でる。その瞳には優し気な色が浮かんでいた。
(……雪華さん)
葵は雪華の過去も知っている。だからこそ、幸多に会えばこうなると、予想はついたはずなのだ。けれど、今まで会う事はなかった為、油断していた。油断しなければ良かったと思えどもう遅い。
「あのっ!雪華さん、私……」
「あんたの所為じゃないから気にすんな。というか、こんなことまで自分の所為にして自分を責めなくていいよ。こんなのただの偶然なんだから」
「けど……」
「気にしなくていいって。悪いけど、そういうの……」
其処で雪華は口を止め、息を一つ吐き出す。
「……ダメだな。人に当たろうとするなんて、私も冷静になれてない」
「雪華さん?」
「……悪い。何時迄もこんなの気にしてたらいけないってのに……あの選択をしたのは私なんだから」
葵はそれで雪華が葵に『悪い』と思うような『なにか』を言おうとしたのだと理解した。
「……言ってくださって大丈夫です。私は気にしませんから」
「……じゃあ言うけど、そういうの、ウザいよ」
「…………」
「勿論、それがあんたの良いところだった理解はしてる。其処が好かれてる点だってね。私だってそういうあんたを好いてるけど、こっちが気にしてないっていうんだから、気にしなくていいんだよ。それを言われたら引くことを覚えな」
「……すみません」
葵はちゃんと覚悟の上で言うように言ったはずだったのだが、どうやら予想以上に傷ついたらしい。悲し気に目を伏せてしまい、雪華は溜息をつく。
「……だから言いたくなかったんだよ。こんなの、ただの私の八つ当たりなんだから」
「いえ、でも……」
其処で幸多が雪華の腕を引いた。
「?どうした?」
雪華が幸多を見れば、幸多は頬を膨らませていた。
「葵お姉ちゃんを虐めないで!」
「……幸多くん?」
「葵お姉ちゃんは僕の友達で僕のお姉ちゃんなんだから!お姉ちゃんを虐めるなら僕も相手をする!」
そう言って雪華をポカポカと叩き出したが、雪華には全く聞いてない。しかし、その行動を見ていた雪華はポカンと見つめていた後、クスリと笑い、幸多の頭を撫でる。
「ふふ、ごめんね。そうだね、私が悪かったよ……葵もごめんな?酷いこと言った。というか言い過ぎた」
「あ、いえ。私は全然気にしてないですから!」
それに雪華は肩を竦めながら笑うと、葵と幸多の手を取った。
「まあ、お詫びといっちゃなんだけど……お団子屋さんに行くつもりだったんでしょ?奢るよ」
「いいの!?やったー!」
「え?でも、ご迷惑じゃ……」
「気にしなくていいって。それじゃあ、行こっか!」
そう言って引っ張る雪華。その顔はとても嬉しそうな幸せそうな顔で、葵から見てもその顔は彼女が浮かべるにはとても珍しい表情だった。勿論、理由を知っている葵はそれに一人、嬉しそうに笑っていた。
(彼女が今度こそ、後悔をしないような選択を出来ますように……)
葵一人、そう願いながら雪華に腕を引かれ、団子屋へと向かって行くのだった。
やっぱり短いですが、長く書けなくなっちゃいました……。
原作アニメありきだったら良かったんですが、東方にそれはありませんからね。ゲームも持ってない未プレイ者な私です。
さて、後一話。早く書けるといいな……(遠い目)
それでは!さようなら〜!