「・・・」
「ルカ?どうしたの?」
「・・・いや、なんでもない」
「??」
それでは!どうぞ!
〜ルカside〜
私達は人里にいる
理由はまた魚が取れなかったからだ
まあ、川から取る以上、取れない日があるのは仕方が無いことだ
ただ・・・
「・・・」
「・・・葵、無理して来なくても良かったんじゃないか?」
「ううん。大丈夫だよ^ ^」
やはり、人里の連中からの目は変わっていない
・・・本当に最低な奴らだな
***
それから、魚を買い終えた私と葵は神社へと戻ろうとしていた。が
「お願いです!この子を助けて下さい!」
「そう言われても、治せないんだ・・・」
「そんな!お願いしますから!」
どうやら、あの母親の子供が病気にかかったらしい。衰弱している
・・・だが、私はさっさと帰る
人はいつか死ぬ。それが早いか遅いかの違いだけ
それしか人の死には差は無い
「葵、帰るぞ」
「待って」
「・・・葵」
葵は、私に待ったを掛けた。その目を見ると、あの子供を治す気でいるようだ
・・・散々、人間達にやられたことを忘れたのかと聞きたくなる
「・・・助けて何の価値になるんだ?私達があいつらにどんな事をされてきたのか、忘れたのか?」
「・・・忘れてはいないよ」
「なら・・・」
「けどね」
そこで葵は言葉を区切り・・・
「私に治せる力があるのに、それを使わないでほっといて・・・後から後悔するなんて、したくない。それに、私は自分が満足出来ることをしたいの」
そう言ってきた
「・・・」
・・・葵、お前は本当に変わらないな。あの頃から
「・・・」
「ダメかな?」
「・・・はあ。分かった」
「‼︎ありがとう!ルカ!」
葵は、笑顔でそう言った
そして、私達は、その二人の元まで近付いた
「・・・あの」
「はい、なんで・・・!あ、あんた・・・」
「おお!守りの巫女じゃないか!あんたなら治せるよな‼︎頼む!治してやってくれ!この通りだ!」
その医者の男は此方に土下座をしてきた
「私からも、お願いします‼︎」
その女も同じく土下座をしてきた
「頭を上げてください!土下座なんてしなくても、元々、そのつもりですから」
「本当か!?有難う‼︎」
「有難うございます!本当に!有難うございます‼︎」
「いえ、自分が満足することをしているだけですので。お礼なんてもらう様な理由ではないですから・・・」
葵はそうやって謙遜するが、どんな理由であっても、無償で治すのは凄いことだと思うがな
そうして、葵は能力を使い、その子の病気を治した
***
「本当に有難うございます。なんとお礼をしていいやら・・・」
「ですから、お礼なんていりません。先程も言いましたとおり、自分が満足することをしているだけですから・・・」
「・・・すまない」
「・・・え?」
「・・・」
男は急に謝ってきた。この謝りの意味は、多分・・・
「俺たちは、あんたの能力で過去を無断で見られるのを恐れてあんな風にあんたに・・・あんた達に酷い事をしてしまっていた。本当に申し訳ない」
男は、また此方に頭を下げてきた
「許されるとは思ってない。それでも、謝らせてくれ。本当にすまなかった」
「私からも、本当にごめんなさい。能力に怯えて、貴女のことを何も知ろうとしなかった。本当にごめんなさい」
「お母さん。何を謝ってるの?」
「お母さんね、このお姉ちゃん達に悪い事してたの。だから、謝ってるの」
「そうなの?だったら、私も謝る!お姉ちゃん!お母さんが悪い事してごめんなさい!だから、許して下さい!」
「・・・頭を上げてください」
三人は、頭を上げた。そこには、微笑みを浮かべた葵の顔があった
「私は、怒っていませんよ」
「え?だ、だけど・・・」
「私だって、自分の過去を無断で見られると、どんな気持ちになるのか分かりますから。だから、怒っていません」
「‼︎本当に、今まで、すまなかった!」
そして、ついには大人二人は泣き崩れてしまった
***
あの後、里の奴らが騒ぎを聞きつけてやって来た為、私達は早々に退散した
あいつらならともかく、私達はダメだ
だから、あいつらがあの後、どういう行動をとったのかは知らない
・・・ただ
「・・・少しは、葵の事を認めてくれる奴が出来て、良かったよ」
「そうか。そんな事があったのか」
「ああ」
私は、鬼灯にその事を話していた
鬼灯の顔は嬉しそうだった
「ようやく、一歩前進だな」
「ああ、そうだな」
私は、人里の奴らからどう思われ様と構わない。だが、葵だけは違う
私は、あいつが傷付くのだけは嫌だ
だから、葵を傷付ける人里の奴らを許せない
・・・だが、認めてくれる奴なら、信用できる
(・・・いつか、葵が堂々と人里に降りれる様になる日が来るのだろうか?)
・・・いや、きっと来るのだろうか。来ないのは許さない
私は、何よりも私を救ってくれた彼奴の幸せを願っている
あいつが不幸になるなら、私はそれを排除する
私はもう汚れている。これ以上、汚れたって変わらない
だから・・・
(安心して、幸せになってくれ。葵)
私は、そう願っていた
〜鬼灯side〜
(こいつ、今、多分だが、自分は不幸でもいいとか考えているのだろうな)
私とルカは、夜、縁側で話をしていた
・・・いや、私がルカから、今日あったことを聞いていた
まあ、それは私にとっては重要事項だが、今は置いておこう
問題はルカだ
こいつは、葵の幸せの為に自分が汚れることを厭わない
まあ、それが単に汚れ仕事『だけ』なら構わないが・・・
いつか、葵の幸せを邪魔するような奴をまた排除してしまうだろう
だが、ルカは、その行動が葵を悲しませると分かっていない
葵もまた、ルカの幸せを願っている。そして、不幸になってしまうことを恐れている
ルカに汚れ仕事をして欲しくないと思っている
だが、どうすればいいのか分かっていない
生きとし生けるものは、不幸になることは必ずある
多少の不幸ならいいだろう。だが、自分から不幸への道に行こうとするのはダメだ
ルカは、今、自分が不幸への道へと進んでいることに気付いていない
私から言えばいいのだろうが、それではダメだ
本人が気付かなければならないことだ
だから、私が言えることはただ一つ
「・・・ルカ」
「なんだ?鬼灯」
「自分を蔑ろにするなよ?それが一番、葵が悲しむからな」
「分かっている。それぐらい」
「そうか」
・・・分かっていないな。この馬鹿は
だが、それは私にも言えるのだろうな
・・・気を付けなければいけないな
私達は、そこから話すこともなく、部屋へと戻った
はい!どうでしたか?
「・・・」
「ルカ・・・」
「少しは、見直したか?」
「・・・まあな」
「ルカ!」
「だが、他の奴らは違う」
「・・・」
「そうか」
まあ、コレが救済処置の一つですからね
「まだあるのか?」
はい。けれど、今、考え中です
「おい」
それでは!
「「「「さようなら〜!」」」」