東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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第八十三話

〜葵side〜

 

「お、お母さん・・・どうしてここに・・・」

 

私は私の中から必死に声を出して、そう言葉にしました。

 

だって、全くといって良いほどに姿が変わっていませんから・・・。

 

私と同じ空色の髪のショート、空色の目、同じ巫女服。

 

どれも生前と変わっていません。まあ、死んだら姿が変わらないのは当たり前なのですが・・・

 

「どうしてって、死んだからよ?それ意外にあるかしら?『葵』」

 

・・・あれ?

 

私が少し頭の中で考えている時に、ルカと鬼灯が私を護るようにして前に出ました。

 

「おや?久し振りだね『人殺し』」

 

「・・・久し振りだな。言っとくが、その言葉を口にしたとしても、私は怒らない。事実だからな」

 

ルカはそう言うと、母は歪な笑顔を浮かべました。

 

・・・あの頃にも浮かべていた歪な笑顔を。

 

「ああ、そうだったね。あんたは事実を否定したりはしない。だって、実際に有ったことだからね。だったら、どうして『真実』を隠したんだい?」

 

・・・え?ど、どうしてその事を母が知って・・・

 

「おいルカ。『真実』ってなんだ?何か隠してんのか?」

 

私が母の言葉に驚いていると、魔理沙がそう言いました。

 

「ん?ああ、あんたは知らなかったね」

 

母はそう言うと、また歪に笑いながら言いました。

 

「あんたらは、私の死に方はどう聞いたんだい?」

 

「・・・病死よ」

 

「だろうね。死んだ人里の奴らも話してたよ。『あんた、病死で死んだって、子供に殺されたのかい?可哀想に・・・』ってね」

 

「・・・可哀想?どっちがだ‼︎どう考えても葵だろ‼︎お前は葵を虐待したんじゃないか‼︎」

 

「え、虐待⁉︎」

 

ルカが珍しく激怒して、そう口にしました。

 

勿論、そんな事を知らない人達はとても驚いていましたが。

 

「ーーー」

 

「?」

 

母が何か呟いた気がしますが・・・気の所為でしょうか?

 

「・・・ふん。だが、人里の連中はそう言ってたよ?でも、可笑しいね〜。だって、私が死んだ理由は・・・」

 

母はそこで一度区切り、ルカを見ながら・・・

 

「あんたが私を殺したからなのにさ〜」

 

〜回想〜

 

数年前。ルカが神社に住み始めてから数日後の事。

 

「・・・葵、大丈夫か?」

 

ルカは母親からの虐待にその日もあっていた。

 

今回はお腹を蹴られていた。

 

この当時、葵は八歳である。

 

「大丈夫だよ、ルカ。私は大丈夫」

 

ルカが何度も何度も矯正したお陰で、今ではタメ口である。

 

「・・・」

 

「・・・ねえ、ルカ」

 

「?なんだ?」

 

葵は夢で見た内容を起こさせないために、ある事を言った。

 

「・・・お母さんに、何もしないでね?」

 

「・・・」

 

ルカは何も言わずに、葵を部屋まで送った。

 

***

 

その日の夜。

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

 

葵は神社の廊下を走っていた。

 

普段なら走ってはいけない廊下だが、そんな事を気にしてはいられない。

 

「葵!早く行くぞ‼︎」

 

「待って!鬼灯‼︎」

 

葵が予知夢で見た内容は、『ルカが葵の母を殺す夢』。

 

それを止めるために、昼間にあの言葉を掛けたのだが、全く意味をなしていなかった。

 

「!葵‼︎」

 

「ど、どうしたの・・・!どうしよう⁉︎これじゃあ開かないよ‼︎」

 

蒼華の部屋は凍らされ、開けられなくなっていた。

 

「私が溶かす‼︎神社を燃やさないために小さな炎になるが、その分時間が掛かる。だが、神社が燃えないだけマシだ‼︎」

 

鬼灯は能力を使い、氷を溶かす。そして・・・

 

「これで良い!開けろ‼︎」

 

葵は障子を開けた。

 

その先の光景は・・・

 

「・・・あ・・・あぁ」

 

「・・・ッ!・・・葵、どうやって入って・・・。ああ、鬼灯か」

 

白の服は血で赤く染まり、手に持たれていた氷で出来た剣もまた、赤く染まっている。

 

・・・そして、蒼華もまた、赤く染められ、死んでいた。

 

「う、うぅ・・・うわぁぁぁぁぁあん!」

 

葵はそこで、遂に泣いてしまったのだった。

 

〜回想終了〜

 

「・・・」

 

「・・・お、おい。嘘だよな?ルカ」

 

霊夢は少しルカを睨み付け、魔理沙は動揺した状態でルカにそう聞いたけど、ルカは何も言わなかった。

 

「ま、マジかよ・・・」

 

「それで?どうして私の死因が変わってたんだい?可笑しいよね、これ」

 

お母さんはルカにそう聞いていますが、ルカは答えようとしてません。

 

・・・答えないと、いけませんね。

 

「・・・それは、私がしたことです」

 

「!葵⁉︎」

 

「何時までも隠してたら駄目だと思ってたから・・・。良いんだよ、これで」

 

私はルカ達より前にでて、お母さんの質問に答えました。

 

「私が、紫さんに頼みました」

 

「・・・」

 

「私が、自分の為だけに・・・紫さんに頼んだんです・・・」

 

〜回想〜

 

お母さんが死んだ翌朝。紫さんが来た。

 

「・・・貴女が殺したのね。ルカ」

 

「ああ、私が殺した。幻想郷追放でもなんでもすれば良い。ただ、葵達にだけは迷惑を・・・」

 

「待って下さい。紫さん」

 

私はそこで口を挟みました。

 

「何かしら?現神無月の巫女さん」

 

紫さんは私を睨み付けていますが、ここで引くわけにはいきません。

 

・・・自分の満足するこの行動が、どれだけ駄目な行動だとしても。

 

「・・・ルカには何も罰を与えないで下さい」

 

「・・・」

 

「ここに、置かせて下さい」

 

「葵、お前何を・・・」

 

「少し黙っておけ、ルカ」

 

「だがな‼︎」

 

「黙っておけ」

 

「・・・」

 

ルカが何か言おうとしましたが、鬼灯が威圧してくれたお陰で静かにしてくれました。

 

「・・・駄目よ。彼女は巫女を殺した。それは放っておけないわ」

 

「・・・紫さん。私は貴女の命令には絶対に従います」

 

「・・・何が言いたいのかしら?」

 

私はそこで紫さんの目をキチンと見ながら言った。

 

「私が貴方の言うことに従う代わりに、ルカを此処に置かせてください」

 

「・・・」

 

〜回想終了〜

 

「・・・そして、色々話して、なんとか納得してもらって、今があります」

 

「・・・道理で、紫の言葉に逆らったことが無い訳ね」

 

私が話すと、その場の全員が黙り込みました。

 

・・・これで良いんです。これで。

 

「・・・そうかい。ならもうさっさと行くことにする」

 

「・・・え?」

 

私が全て話し終えると、お母さんが急にそう言いました。

 

「待て。いくなら葵に謝っていくべきだろ?」

 

鬼灯がそう言うと、お母さんは嫌そうな顔をして此方を見ました。

 

「何でだい?私は何も悪いことなんて「嘘付くな」・・・ああ、あんたにはそんな能力があったね。本当に嫌な能力だね」

 

・・・やっぱり、違和感の正体は・・・

 

「お母さん・・・」

 

「はあ、分かってたんだよ。本当は。ただ、あの人が死んだ事を認められず、ストレスもあって、吐き出せなくて・・・。そして、あんたに当たっただけって事は・・・」

 

お母さんは、顔を俯かせながらそう言いました。

 

「お母さん・・・」

 

私は、一歩一歩近寄っていきましたが・・・

 

「来るんじゃないよ!」

 

「‼︎」

 

母にそう言われてしまいました。

 

「あんたはもう私を愛さないでくれ。私はもう死んでるんだ。これ以上、本当に何も出来やしない。あんたに・・・謝ることだけしか出来ないんだ」

 

「お母さん・・・」

 

「それでも、未練を残したくないから・・・嫌われようと・・・敵として認知してもらおうとしたのに・・・」

 

母はその言葉の後「なんで何時も思い通りにいかないんだろうね?」っと言っていました。

 

「・・・さて、死神。あんたにお客様だよ」

 

「え?・・・きゃん!」

 

「全く、何時までも来ないと思ったら・・・何をしているのですか?小町」

 

私達は声がした方を向くと、緑髪のショートで、小町さんよりも小さな身長の女の子が居ました。

 

「え、映姫様・・・」

 

「全く。どうして真面目に仕事が出来ないのですか。もうちょっと真面目にしなさい。だいたい貴方は何時も何時も・・・」

 

そこから長々と始まった説教に、私達は着いていけれませんでした。

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