東方〜もう一人の巫女〜   作:ルミナス

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今頃ですが、UAが10000突破しました!読んでくれている皆さん‼︎有難うございます‼︎

それでは!どうぞ!


第八十九話

〜10年前〜

 

葵と想起は人里を歩いていた。

 

理由は母親から頼まれた御使いを果たしにである。

 

「……」

 

「?どうしました?想起さん」

 

葵は顔を俯かせている想起に話しかけた。

 

少しして、想起は顔を上げて問いかけた。

 

「ねえ、葵は平気なの?」

 

「何がでしょうか?」

 

葵は想起が何に対してそんな事を言ったのか理解出来ていなかったが、想起が視線をズラして、人里の人間達に向けると、その意図を読みとった。

 

「……大丈夫ですよ。私の能力が原因ですから」

 

「葵の?」

 

「ええ。私の能力は、人の『過去』を無断に見る能力ですから……これは当然なんです」

 

「……」

 

葵はそう説明すると、想起はまた顔を俯かせてしまった。

 

その様子に葵は苦笑した。

 

「想起さん。そんな顔をしないで下さい。これは当然の事なのですから」

 

「……一人は、寂しくないの?」

 

想起がそう尋ねると、葵は首を横に振って否定した。

 

「私は一人じゃないですから、寂しくありません」

 

「え?」

 

「私には、鬼灯や想起さん、それに、砕牙さんもいますから。……お母さんも、今は仲が悪いですが、本当はとても優しい人なんです。ですから、寂しくありません」

 

葵は想起に笑顔を向けてそう話すと、この話は終わりとばかりに歩き出した。

 

想起も、何か言いたそうな顔もするも、ついて行った。

 

***

 

その数日後、想起は一人で人里に降りた。

 

そして、ぶらぶらと歩いていると、人里の人達の視線、それから、話も聞こえてきた。

 

「ねえ、あの子って、この前、あの子と一緒に歩いてた子よね?」

 

「ええ、間違いないわ。あの子もきっと、気味の悪い能力を持ってるわ」

 

その言葉の先は、想起が急いでその場を離れたことから聞き取ることは叶わなかった。

 

直ぐにお団子屋に着くと、お団子を数本食べてから、人里を離れた。

 

***

 

「……そうですか」

 

葵は想起からその話を聞くと、その一言だけ返した。

 

少ししてから、また葵が口を開いた。

 

「でしたら、今後は余り貴方の側にはいないことにしましょう」

 

「……え?」

 

想起はそんな声を上げてしまった。

 

「ど、どうして?」

 

「……私と一緒に居たら、想起さんまで巻き込むからです。想起さんまで道連れにする様なことをしたくありません」

 

「で、でも!」

 

「大丈夫です。……少し、怖いですが、明日、私が人里の皆さんに話してきます。それで、全部、解決します」

 

葵はそう言うと、最後に「お休みなさい」と言って、部屋へと戻って行った。

 

「……だったら!」

 

想起はある考えを実行する為に、夜遅くであるにも関わらず、人里へと降りたのだった。

 

***

 

「お願いします‼︎葵を虐げないで下さい‼︎」

 

「……」

 

人里に着いた想起は、近くにあった民家の扉をノックし、その家の住人に頭を下げながら懇願した。

 

「お願いします‼︎葵を、一人にしないで下さい‼︎」

 

想起はまた頭を下げながらお願いした。しかし……

 

「……無理だね」

 

相手から返ってきた答えは無慈悲だった。

 

「どうしてですか!」

 

「そんなのも分からないのか?あの子の能力が気味悪いからさ。君も嫌じゃないのか?自分の過去を勝手に見られるんだぞ?俺は無理だね」

 

相手は「それも顔を合わせる度になんて……」と続けた。

 

……この時の誰も気付いていないことだが、既に葵は能力の制御は完璧で、顔を合わせる度に過去を見ることは無くなっていた。

 

だが、先程も言った様に、この時は誰一人として、その事に気付いていたものはいない。

 

「あんたも、虐げられたく無いなら、あの子から離れることをお勧め……うっ‼︎」

 

その人里の人間は、雰囲気が一変した事に気付かず、言葉を続けようとしたが、今は首を締められている所為で話す事すら出来ないでいる。

 

「……何処の世界も同じか」

 

今、その人間の前にいた人物の目は、深い蒼色から深い紅色へと変わっていた。

 

「お前も、お前らも、『想起』を傷付ける奴か。なら、俺はこの人里を壊す」

 

そして、黒龍を呼び出そうとしたが、別の力により、人間から手を強制的に離され、捕らえられた。

 

「……貴方は、何をしようとしているのかしら?」

 

その捕らえた人物は……紫だった。

 

「……てめぇ、誰だ」

 

「あら?ああ、そう言えば貴方は初対面だったわね。なら、自己紹介しましょう。勿論、私のスキマの中でね」

 

その言葉と共に、砕牙はスキマの中へとボッシュートされた。

 

***

 

砕牙はそのスキマのゴールに着くと、周りを見渡した。

 

このスキマを見たことがあるのだ。

 

「ようこそ、私のスキマの中へ」

 

「……成る程な。お前が俺達を幻想入りさせた張本人ってわけか」

 

砕牙は警戒しながら紫に問い掛けると、紫は肯定した。

 

「ええ、そうですわ。私が貴方を幻想郷に連れてきた本人ですわ。……しかし、その理由は貴方が能力を持っていたからよ。でも、今はちゃんとコントロールも出来ている様ね」

 

「……何が言いたい」

 

「率直に言いますわ。貴方を幻想郷から追放します。今の貴方なら、外の世界で生活しても問題無いでしょう」

 

「は?巫山戯んな‼︎俺は……」

 

「貴方の都合など知りません。貴方は私の愛する幻想郷を壊そうとした。本当は消す所を、葵と仲良くしてくれた恩もありますし、罪を軽くしたのです。貴方に文句を言う権利などありません」

 

「だから!……‼︎」

 

「それでは、さようなら」

 

そして、紫は砕牙の足元にスキマを展開し、外の世界へと追い出した。

 

「……また会う日まで」

 

紫はそう呟いた。

 

〜葵side〜

 

……砕牙さんから話を聞いた私は、申し訳ない気持ちと言えば良いのか分からない様な感情が込み上げて来ました。

 

罪悪感もありますし、悲しくもありますし、何も相談しないで勝手な行動を取った想起さんに怒りたくもなってますし、私の為でもある行動を取ってくれた想起さんにお礼も言いたくなりました。

 

「……私の、所為だったのですか」

 

結局、私の口から出た言葉はそれでした。

 

「いや、お前の所為じゃないさ。悪いのは全部、人里の連中さ」

 

砕牙さんは恨めしそうにそう言いました。

 

……想起さんは、強い人ですね。なら、私もその行動を見習いましょう。

 

「砕牙さん。想起さんに変わって頂けませんか?」

 

「ああ、良いぜ」

 

砕牙さんはそう言って、想起さんの中に戻りました。

 

今は瞳の色も、紅から蒼に戻ってますからね。

 

「……葵?」

 

「ええ、お久しぶりです。『想起』さん」

 

私は、想起さんに挨拶しました。

 

「……ねえ、あいつ、本当に戻ったのか?」

 

「ええ、雰囲気から変わってるし、目の色も違うでしょ?」

 

「本当だぜ‼︎」

 

後ろで霊夢と魔理沙が話している声が聞こえますが、今は無視しておきましょう。

 

「想起さん。貴方にお願いがあります」

 

「……何かな?」

 

想起さんは、昔と変わらない笑顔を私に向けてくれました。

 

私もまた、笑顔で手を差し伸べながら、言いました。

 

「私の手伝いをしてくれませんか?」

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