それでは!どうぞ!
〜葵side〜
私達は人里を歩いています。
向かってる場所は、お団子屋さんです。
「それにしても、驚いたよ。手伝ってくれって、この事だったとは思わなかった」
私の隣では、想起さんが苦笑しながら話しかけてきました。
「一人だと此処に降りるのも怖いので」
私も苦笑しながら返しました。
私の目的は二つ。
一つはお団子屋さんでお団子を買って来ることです。
この後に、異変解決後の宴会が行われます。その時に出すお菓子ですね。
ちなみに、お金を出すのは想起さんです。
流石の私も、そこまで手助け出来ません。異変を起こしたのはあくまで砕牙さんで、元の人物は想起さんですから。
……そして、もう一つが人里の皆さんとの仲をやり直す事。
砕牙さんからの話を聞いてようやく分かったことですが、皆さんは私が顔を見る度にその人の過去を見ていると思い込んでいる様子なので、その誤解を解かなければいけません。
それから、自分から歩み寄らなかったので、歩み寄る為に。
これは、この前の異変で、お母さんとの問題が解決した時に決めました。
お母さんとも仲直り出来たのですから、もしかしたらと思いまして。
……それでも、一人で此処に来るのも怖かったので、今まで先延ばしにしてきてしまいましたが。
「……やっぱり、変わってないんだね」
想起さんのそんな呟きが聞こえてきました。
「変わってない、ですか。……私が進もうとしてなかった所為ですね」
私は、傷付くのが怖かっただけです。怖かったから、自分から前に進もうとしないで人里の皆さんに許してもらおうなんて、勝手な考えを持ってた所為です。
「きっと、時間が経てば……」……なんて、考えを持ってた所為です。
私から歩み寄ろうとしなかったのに、そんな望みが叶うわけもありません。
「……葵は強くなったね」
「そうですか?余り実感が無いのですが……」
想起さんからの言葉に私はそう返しました。
……さて、先ずは何処から始めましょうかね。
そうです!慧音さんの手伝いから始めましょう!
私は、そんな風に未来を思い描きながら、想起さんと共にお団子屋さんに向かって行きました。
***
今は、お団子屋さんから博麗神社へと向かっています。
……大量にお団子を買った時のお婆さんの顔は忘れられません。
驚きすぎて失神するのではないかとヒヤヒヤしました。
「霊夢ーーー!買って来たよーーー!」
私がそう呼びかけると、霊夢が現れました。
「来たわね。もう全員集まってるわ。早く行くわよ!」
「……霊夢?もうお酒を飲んだの?」
私は微かに香ったお酒の匂いで霊夢がお酒を飲んだであろうことを察しました。
「え?飲んだわよ?」
「……え?あ、あの。霊夢さんは何才なんですか?」
想起さんは何故か霊夢の年を聞きました。どうしたのでしょう?
「何才って十七だけど」
「お酒を飲んで良い年じゃないですよね⁉︎それ⁉︎」
「「……え?」」
えっと、どういうことでしょうか?私達、普通に飲んできましたけども。
「えっと、駄目なんですか?」
「そんな事一度も言われたことないけど?」
「え?え?」
……あ、もしかして。
「想起さん。それ、もしかして外の世界のルールでしょうか?」
私がそう聞くと、想起さんは肯定しました。
「あっそ。なら私達には関係ないわ。此処は幻想郷。外のルールに縛られない世界だもの」
霊夢は想起さんにそう言うと、そのまま宴会会場へと移動して行きました。
「さ、私達も行きましょうか」
「あ、うん」
その後を追う様に私達も歩き出しました。
……それにしても、外の世界のルールは私達の年では飲んでは駄目なのですか。勉強になります。今後、想起さんの過去に触れない範囲で外の世界の事を少しずつ聞いていきましょう。
〜レティシアside〜
「……」
私は少しボーッとしている。
……別にボーッとしてても良いでしょう?こうしたい日だってあるのよ。
私が自分の持ってる盃の中を見れば、全く量が減っていない。
……まあ、食欲が無いだけなのだけれど。
「……紫、居るんでしょ?」
「あら、暴露た?……どうしたのよ、レティシア。何か考え事?口調も素に戻ってるわよ?」
……考え事、ね。
「……別に、何も」
「……」
紫から嘘付くなって視線を浴びせられている。……はぁ。
「……ただ単に、外の人間も、此処の人間も、あんまり変わってないと思ってね」
やっぱり、私は人間が好きで、人間が嫌いだ。
私にとって、人間は『食料』。だから、私は人間を好きでいれる。
……この思考は可笑しいのでしょうけど、普通でしょう?こんな矛盾の一つや二つ。
例えば、動物が好きな人間が、動物を世話する仕事に就いて言うことを強制的に利かせるのと同じよ。
私は、自分の『食料』になってくれる人間を『愛している』。だから、絶滅しないように色々と手回ししているけれど、時々、思う時がある。
人間なんて消した方が良いのではないかと、ね。
まあ、そんな事をすれば、この幻想郷は終わりで、レミィ達も終わっちゃうからしないけれどね。
「……」
「ねえ、紫。人間は私達の存在を認めない。外の世界なんてそれが顕著に出てる」
その証拠に、黒漆さんは自分の異能の所為で人から迫害された。
「……貴女は何が言いたいのかしら?」
「……いえ、ごめんなさい。忘れて頂戴」
私の頭でも、あんまり整頓しきれていない。
……それにしても、あの二人は本当に似てるわね。
生き方も、性格も。
「……さて、私は帰るわ」
「あら?貴女にしては珍しいじゃない。レティシア。貴女の家族を置いて帰るなんて」
「久し振りに力を出した反動よ。歳は本当に取りたくないわね。今は疲れてるから、このまま帰って休むわ。それじゃあね」
私は紫にそう言って紅魔館へと戻ることにした。
……本当に、久し振りすぎて反動が大きかったのかもしれないわね。
こんな考え、何時もの私ならのらりくらりと交して言わなかったはずなのに。
「……はぁ」
私はいつの間にか溜息を吐いてしまっていた。