ガールズ&パンツァー+ボーイズ&タイタン   作:ユウキ003

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今回は前回よりほぼ進んでません。ほぼほぼイオンの解説会みたいなものです。


第4話 作戦会議

「作戦会議だ」

 

和紀のその言葉で、急遽生徒会室に集められた

戦車道の部員達とパイロット3人。

最初桃は、会議と聞いて各戦車の車長たち

だけで良いだろう、と言ったのだが……。

「そうかもしれんが、相手はタイタンだ。

 ただでさえタイタンは戦車の天敵みたいな

 ものだ。だからこそその脅威度をしっかり

 と共有しておきたいんだ」

桃の発言にそう返す和紀。

 

「と言う訳で、まずタイタンについて軽く

 話しておきたい。現在世界中で活動する 

 タイタンは、主に3つの世代に別れる。

 『第1世代』と言われる最初期のタイタンが、

 俺達の乗るアトラス、オーガ、ストライダー

 の3機だ。次に、この3機から派生した

 合計6機のタイタン。それが『第2世代』。

 そして、ラスティモーサ先生の乗る

 BT、バンガード級が『第3世代』だ」

「へ~。あれ?でもそしたら3人の乗ってる

 タイタンって、古いの?」

ポツリと呟くみほ。

「まぁ、古いと言えば古いが。だがそれは

 今は良い。問題は相手のタイタンだ。

 第2世代のタイタンは、第1世代の3機

 をベースに発展した機体だ。そもそも

 タイタンはその重さから、重量級、

 中量級、軽量級の3種類に大別される」

「例えば俺のストライダーなら軽量級。

 和紀先輩のアトラスなら中量級。

 央樹先輩のオーガなら重量級。って

 感じにね」

和紀に次いで補足説明をする明弘。

 

「問題は、敵の主力のイオンだ。

 清水先輩、明弘お願いします」

「あぁ」

「はいっす」

和紀が声を掛けると、央樹が部屋の明かりを

消して、明弘がカーテンを閉め切った。

部屋を暗くし、事前に用意していたスクリーン

とプロジェクターを使って画像を見せる

和紀。

 

そこに映し出されたのは、角張った胴体

が特徴的なタイタンだった。

 

「中量級タイタン、『イオン』。これが

 恐らく連中の主力となるタイタンだ。

 タイタンの武装は約5つ。これは

 俺達のアトラスなんかも変わらない。

 まずはその手に持つメイン武装。

 次に肩などに装備されているサブ兵装。

 主に防御用の装備であるアビリティ。

 タイタン各機で設定されている、

 『コアアビリティ』という技。

 そして何より、タイタンという巨体」

「それは、どういうことでありますか?

 巨体が武器とは」

と、挙手をしながら首をかしげる優花里。

 

「タイタンはデカいし硬い。だから最悪、

 パンチでだって相手のタイタンや戦車

 を破壊出来る。また、人と同じ動き

 が出来るから、掴む、投げるなどの

 動作も出来る。戦車の場合、タイタン

 と接近戦になったら、それこそ

 踏み潰されるかパンチで装甲ベコベコ

 に凹まされるかひっくり返されるか。

 或いは砲身を掴まれてひん曲げられるか

 って事だ」

和紀の発言に、戦車に乗る彼女達は驚き

身震いしている。

 

あのサイズの巨人が何発も拳を自分達

目がけて振り下ろしてくるかもしれない

と考えれば、ゾッとするだろう。

 

「ちなみに、我らのパイロット達の

 タイタンはどのような武装で戦うのぜよ?」

そう問いかけてきたのは歴女チーム

の1人、『おりょう』だ。

「俺達のタイタンの武装は、基本的に

 実弾兵装だ。俺のアトラスは40ミリ

 のセミオートキャノン。明弘の

 ストライダーはチェーンガン。

 先輩のオーガはロケットランチャーだ。

 更にサブとして誘導弾ミサイルや

 ロケット弾で武装している。まぁ

 そっちは、恐らく詳しい事を言っても

 分からない奴が多いようだから、今は

 説明を省く」

 

そう言うと、和紀は視線をスクリーンに

向けた。

 

「改めて説明すると、このイオンは 

 戦車にとって天敵とも言えるタイタンだ。

 その理由は、そのチートみたいな防御 

 アビリティと、圧倒的な威力、射程、

 弾速、精度を誇るサブ兵装にある。まず、

 イオンの主武装は、フルオートの

 エネルギーライフル、『スプリッター

 ライフル』。こいつは高温のエネルギー弾

 を連射してくる。その威力は数発で

 戦車の装甲を融解させてくる」

そう説明する和紀の後ろでは、イオンの

スプリッターライフルを発射する映像が

流れていた。

 

「更に、このライフルは銃身を展開する事

 で横一列、同時に3発のエネルギー弾

 を発射することが出来る」

「えぇっ!?そんなことまで出来るの!?」

「でも、エネルギーを分割するんだから、

 威力は落ちるよね?」

驚く沙織に、みほはポツリと呟くように

答えた。

 

「あぁ。みほの言うとおり。一発の威力は

 通常時より劣る。だが、この3発を同時に

 当てる事で低下した分の威力を補う。

 つまり、3発全て当るのはヤバいって

 事だ。……だが、イオンの本当の恐ろしさ

 はこんなものじゃない。本当に恐ろしい

 のはそのサブ兵装と防御アビリティだ。

 まずは防御アビリティの方から説明する」

 

和紀がそう言うと、明弘が次の動画を流し

はじめた。

 

そこには、イオンが左手から水色の波動の

ようなものを展開する映像が映っていた。

「あれは……」

女子達の誰もがその動画に釘付けだった。

麻子も動画を見ながら呟いている。

「あれは『ヴォーテックスシールド』。

 イオン最強の盾とも言うべき技だ。この 

 シールドの最大の能力は、シールドで

 受けた実弾。銃弾だろうが砲弾

 だろうがミサイルだろうが、全てを受け止め

 相手に跳ね返す事が出来る」

それを証明するかのように、動画が動き出し、

無人機から放たれた数多の銃弾やロケット砲

の砲弾を受け止めると、シールドを解除し、

無人機達に撃ち返してしまった。

 

和紀の言葉に、一瞬の静寂。直後。

「「「「「はぁぁぁっ!?」」」」」

女子達の大半が驚いて悲鳴のような声

を上げてしまった。

「えっ!?そ、そんな事出来るの!?」

「あぁ。出来る」

驚く沙織に和紀が答えた。

 

「このヴォーテックスシールドは、物理的

 な弾丸を捕らえ、相手に撃ち返す。

 当然、戦車の砲弾もな。まず、この点

 で戦車の天敵なんだよ。戦車の主砲は

 連射が出来ないだろ?このシールドは

 タイタンのエネルギーを消費して

 使われるが、戦車が一発撃って次に

 撃つくらいの時間があればエネルギー

 はある程度回復する。更に数で

 押し込もうと撃ちまくれば、今度は

 砲弾の雨が一斉に襲いかかってくる

 って訳だ」

「そ、それじゃあ戦車の攻撃なんて

 殆ど効かないじゃん」

沙織の言葉に、殆どの女子達は俯いている。

 

「これはイオンの盾だ。そしてイオンには、

 メインのスプリッターライフルを超える

 威力を持つ矛もある。それがこれだ」

彼がそう言うと、動画が動き出し、今度は

左肩背部に搭載されていたパーツが稼働。

起立すると数百メートル離れた地点に

置かれた、戦車のスクラップに狙いを定めた。

 

そして光が瞬いたかと思った次の瞬間には、

スクラップに大きな穴が開いていた。

 

それだけで女子達はざわめく。

「な、何あれ。何なのあの威力。って言うか

 撃ってから命中するまで、殆ど間

 無かったよね?」

周りの感想を代弁するように語る沙織。

「そうだ。あの威力、弾速、射程、精度こそが、

 イオンの持つ矛。防御のヴォーテックス

 シールドと対を為す『レーザーショット』

 と言う攻撃兵装だ。メインのスプリッター

 ライフルもそうだが、光学兵器。つまり

 ビームなんかは大気の影響を受け、

 ある一定の距離まで進むと急速に威力が

 衰え消える。が、逆にその距離の中で

あれば、どんなに離れていようが距離

に関係無く、レーザーショットの威力

は同じだ。そして最も厄介なのが、

この武器の射程と、その命中精度だ」

「射程と精度?なぜだ?」

首をかしげる麻子。

 

「レーザーショットは光学兵器だから、

 狙った地点に向かって真っ直ぐ飛ぶ。

 砲弾みたいに風や重力の影響を

受けないからな。更にその射程は、

さっき見て貰った通りだ。遠距離から

一撃で戦車に当ててただろ?

 つまり、イオンにとって戦車は良い的

 なんだよ。例えばイオンに対して

 停止した状態で射撃したとする。

 イオンはシールドで砲弾を受け止め、

 レーザーショットのカウンタースナイプ

 で一撃必殺。と」

「そんな事が出来るんですか!?」

優花里は興奮と驚きが混じった様子で聞き返す。

 

「あぁ」

するとそれに答えたのはラスティモーサだった。

「実際、この戦い方は対テロ大規模作戦、

 オペレーションフリーダムでイオン

 乗りのパイロットがよく使った手だ。

 この手で多くの戦車を撃破したのは、 

 俺の知人にたくさんいる」

従軍経験があるような彼の説明に、

女子達が戸惑っていると……。

 

「ラスティモーサ先生はその作戦、

 オペレーションフリーダムの

 最前線で戦ってたパイロットなんだよ。

 だから戦い方については、この中の

 誰よりも詳しいんだよ。つまり、

 正真正銘戦争を生き抜いた、そして

 実戦を経験した百戦錬磨のエースパイロット」

「えぇっ!?そうなのでありますか!?」

明弘の言葉に、特に驚いたのは優花里だ。

他の女子達も、同じように驚いている。

まぁ、身近な人間が戦争を経験している事

なんてそうそう無いのだから仕方無いのかも

しれない。

 

「もう昔の話だ。それより、話をイオンに

 戻そう。今見て貰った通り、イオンは

 射撃戦闘に特化した機体だ。今和紀が

 説明したライフル、シールド、レーザー

 の他に、イオンにはレーザーワイヤー

 感知式の設置型トラップがある。

 それと、一番厄介なのが、コアアビリティだ」

 

「こああびりてぃ、って何ですか?」

彼の言葉に首をかしげたのは、1年生

チームでM3の操縦士をしている

『阪口 桂利奈』だ。

「お前達に分かりやすく言うと、必殺技

 みたいなものだな。明弘、レーザーコア

の動画は出せるか?」

「はいっす」

そう言うと、映像が切り替わり、イオン

が映し出された。

「例えばイオンの場合、胴体部のカメラ

 から高出力のレーザーを発射する」

彼が説明すると、実際に、彼の後ろの

スクリーンに映っていたイオンが胴体部

から赤い熱線を放ち、その先にある

何十と言う数の厚い鉄板をぶち抜いた。

 

その光景に、女子達は皆唖然とした表情を

浮かべる事しか出来なかった。

「こいつは一瞬で戦車を撃破できるだけの

 技だ。もちろん試合では精々、ポインター

 レベルの光を照射するだけだろう。実際、

 タイタン同士での模擬戦もそうだからな。

 ……だが、この技の元々の威力を考える

 と、戦車の場合喰らっただけで撃破扱いは

免れないだろう」

 

ラスティモーサの説明に、彼女達は軽く

絶望しかけていた。なにせ相手が

チート級の防御技と攻撃力を持っている

のだからしょうがない。

そんな現実に周りが項垂れている事に、

みほは何とかしようと考えた。

 

「ね、ねぇ和紀君?そこまで分かってる

 のなら、対策とかあるの?」

「ん?まぁな。……イオンには今言った

 ように多くの優れた装備があるが、

 それゆえに弱点も大きいんだ」

「弱点?」

みほが首をかしげる中、弱点という言葉に

生徒達も僅かに下げていた視線を上げた。

 

「そう。イオンのレーザーショット。

 ヴォーテックスシールド、そして

 ライフルの3Wayショット。これは同じ

 ジェネレーターからエネルギー供給を

 受けているんだ。こいつは駆動用バッテリー

 とは別口なんだが、例えばレーザー

 ショット1発だけでエネルギーの60%

 を消費する。更にエネルギー回復までには

数秒の時間を要する。更に、レーザー

ショットを撃った直後のエネルギー量は

精々40%。イオンは攻撃を受けた場合

残りの40%でシールドを展開しなきゃ

いけない。だがその消費量は大きい。

数秒でエネルギーが切れ、イオンは

シールドもレーザーショットも使えなくなる。

あと、さっき話したトラップもこの

エネルギーが無いと展開出来ない場合

がある。

まとめると、レーザーショットには

連射が効かない。エネルギーを使い切る

とイオンにはライフルと格闘以外の攻撃

手段が無いんだ。更にさっきいった

レーザーコア。これはコアの発動から

レーザーの照射まで1秒のタメ時間と、

そのために赤いレーザーが胴体部に収束

する予備動作がある。……熟練パイロット

なら、この予備動作とタメ時間の間に

障害物などに隠れるなどして攻撃を避ける。

更にレーザーコア発動中はダッシュや

スラスターを使ってのステップ移動が

出来ないと言う欠点がある」

と、粗方の弱点を説明する和紀。

 

「んでさぁ」

その時、しびれを切らしたのか杏が

声を上げた。

「あんた達には勝てる自信があるの?」

どこか鋭い視線。そしてその質問は、

ここにいる女子全員が聞きたい質問だ。

そして更に言えば、彼女達はYESの

返事を望んでいた。

 

「……前提条件として」

和紀はそう切り出して話し始めた。

 

「相手のタイタンが俺達と同数。

 あるいはそれ以下であれば、勝利の

 可能性はある」

「どうして?」

「これまでに話した通り、イオンには

 戦車を一撃で、それも遠距離から撃破

出来るだけの兵装がある。となれば、

一緒に戦う俺達パイロットとタイタンの

最優先目標は、イオンの攻撃から戦車

を護る。或いは、その意識を自分達に

向ける事で戦車から注意を逸らす事だ。

となると、最低でも俺達3人で相手

出来る数。それは同数である3機まで

だ。それ以上となると、阻止は簡単

じゃないからな」

「でも、どうするの?そんな凄い装備

 がたくさんあるのに、どうやって

 戦うの?」

 

沙織の問いかけは至極真っ当な物だ。

あれだけの装備を見せられれば、誰

だって萎縮してしまう。

「それについては、接近戦しかない」

「接近戦?と言う事は、格闘戦とか?」

「そうだ。みほが今言ったように。

 俺達3機は敵イオンに対して近接戦闘

 を仕掛ける。明弘のストライダーは

 軽量級だからイオンよりも機動性が

 高いし、清水先輩のオーガも重装甲

 だから多少の被弾は物ともしないし、

 パワーもイオンより上だ。シールドも

 機体の全方位に展開出来るわけじゃ

 ないから、ストライダーなら

 背後を取ってからの射撃も有効だ。

 パワー自慢のオーガなら、敵

タイタンの腕を引きちぎる事だって

出来る」

 

その答えは、彼女達にとって心強い物

だった。

「だが、この作戦には問題がある。それは

 俺達が敵のタイタンに掛かりっきりになる

 って事だ。当然、俺達には戦車チームを

 支援するだけの余力はない。そうなれば、

 当然敵の戦車チームを対応するのは、

 お前達自身だ」

「つまり、この試合は、タイタンVSタイタン

 と戦車VS戦車。って事だね」

みほの言葉に和紀が静かに頷いた。

 

「もちろん、相手のタイタンを片付ける

 事が出来れば、俺達も戦車チームを

 支援する事が出来るし、そうなれば

 戦車チームがピンチでも逆転する事も

 夢じゃない」

その言葉に、女子達は安堵の笑みを浮かべる

のだが……。

「最も、相手がそれをさせてくれる

 くらいなら良いんすけどねぇ」

明弘の言葉で、その表情は戸惑いのそれ

に変わってしまった。

 

「え?そ、それってどういうこと?」

「……聖ゲオルギウスには、エースがいる」

戸惑う沙織の言葉に応えたのは央樹だった。

 

「学院のパイロット育成科2年。本名は、

『結城 智(さとし)』。イオンのヴォーテックス

シールドを巧みに使いこなして味方や

自分を守り、反撃のレーザーショットを

使った一撃は、命中率90%以上を誇る

防御と狙撃の天才。既に未来のエース

パイロットとしても注目されおり、

仮想空間での他校の育成科との練習試合

ではかなりの成績を収めている。

そして、その高い防御能力と狙撃能力

から、『フォートレス』。要塞の異名を

持っているパイロットだ」

「聖グロリアーナがパイロットを招集すると 

 なると、そのフォートレスも十中八九

 呼ばれるだろう。それに、敵は奴だけ

 じゃない。部隊長クラスのパイロットを

 投入してくるはずだ。相手は一筋縄で

 はいかないだろう」

央樹の言葉に続き、そう語る和紀。

 

「正直、パイロットとしてはっきり

 言わせて貰えば、戦車チームは

 練度もスキルも経験も、全て向こう

 より劣っている。俺達がそれをカバー

 しようにも、恐らく敵タイタンとの

 やりあいでそっちをカバー出来る

 可能性は極端に低い。ましてや、

 前置きしたが、俺達で阻止出来る

 タイタンはせいぜい同数の3機。

 それ以上が来てしまった時点で、

 恐らく俺達の敗北は決定されたと

 言っても良いだろう」

 

敗北の可能性が高い、と言われ彼女達は

皆意気消沈としている。

「ちょっとちょっと~。最初っから

 気分下げるような事言わないでよね~」

だが、そんな中でも杏はどこか楽天的だ。

「気分を害するようで悪いが、俺は

 現実的な話をしている。試合だろうが

 何だろうが、そこで物を言うのは経験

 と技術だ。今からではその差を埋める

時間が無い。そして、だからこそ相手の

 大きさを、ここにいる全員に共有して

 欲しかった。相手は強豪だ。もし、 

 本気で勝ちに行きたいんだとしたら、

 最低限、自分が格上の相手に挑むんだと

 言う認識と、絶対に油断しない事を

 肝に銘じて欲しい」

そう言うと、和紀は明弘と央樹に

お願いしてスクリーンを閉じ、カーテンを

開けて貰った。

 

その後、当日の集合時間が告げられ、麻子

が止めそうになる等のハプニングが

あったが、みほや沙織の説得もあって

彼女の離脱は回避された。

 

その後、桃が考えた作戦を聞いていた

女子とパイロット達だが……。

「相手を甘く見すぎだ」

桃の立てた作戦を、央樹はそう一蹴

した。

「何だと清水っ!私の作戦に不満が

 あるとでも言うのかっ!」

「Y字型の地点に敵を誘い込もうと言う

 事と高低差を利用する事は評価に

 値する。が、相手は浸透強襲戦術を

 得意とするグロリアーナだ。 

 そもそも浸透戦術は敵の攻撃を

 受けつつそれを回避して敵の後ろに

 回り込むような戦術だ。となれば、

 相手側はこの程度のキルゾーン

 突破など造作も無いだろう。

 和紀、お前はどう思う?」

「……はっきり言わせて貰うと、

 相手チームは易々とキルゾーンを

 突破。両サイドから侵攻しチームを

 左右から包囲。そのまま何も対処

 出来なければ、恐らくそこで全滅

 でしょうね」

「だろうな。明弘はどう思う?」

 

「う~ん。この作戦をマシにするんだと

 したら、敢えてキルゾーンを突破

 させ、周囲から上がってくるところを

 俺等の梱包爆弾、『サッチェル』で

 吹っ飛ばすってのはどうです?」

「だがそれだと俺達が戦車チームと

 共に行動するしか無いな」

明弘の言葉に、和紀は顎に手を当てて

考えた。

 

やがて、彼はみほへと視線を向けた。

「みほ」

「えっ?はいっ」

「お前なら、グロリアーナの戦車チーム

 とどう戦う?とりあえず、敵タイタン

 の事は考えなくて良い。純粋に、

 敵戦車チームへの対処を考えて欲しい」

「えっ!?わ、私が?」

「この中で、戦車道の経験があるのは

 みほだけだ。俺達も軍事関係の

 教練を受けているとは言え、戦車の

 運用については殆ど知識が無い。

 だからこそ、この中でおそらく一番

 戦車を知っているであろうお前に

 聞きたいんだ」

「え、えっと。……もし、仮にだけど。

 敵のタイタンを考慮しなくて良いの

 なら、私達が取るべき行動は攪乱と

 陽動を使って相手の戦車を孤立

 させ、1輌ずつ撃破していくべきだと

 思う。そして、出来る事なら障害物

 の多い、うん。市街地なんかで戦うと

 良いかも。こっちの戦車の事を考える

 と、相手戦車の装甲を抜くには最低

 でも100メートル以内に接近しないと

 無理だから」

「市街地での待ち伏せか。確かに、平野部

 などで相手と打ち合うよりかは、まだ

 勝機があるな」

「じゃあ、こんなのどうです?河嶋

 先輩の作戦を第1段階にして、そこで

 相手を撃破出来れば良し。もしダメ

 だったら速やかに地点を放棄。

 敵包囲を脱出し市街地戦に移行。

 って感じで」

みほの作戦に頷く和紀。更に、そこに

提案する明弘。

 

「で、問題は、この部隊を誰が指揮

 するかだな」

央樹はそこにいる全員を見回しながらそう

問いかけた。

「え?それは清水先輩とかが指揮を執る

 んじゃないんですか?」

彼に問いかけるみほ。

「それは無理だな。俺は精々、タイタン部隊

 の指揮官だ。戦車関係に関しての指揮は、

 戦車道履修者の中で決めてくれ」

央樹の言葉に、女子達は皆、ひそひそと

話を始めた。

そんな時。

 

「個人的には……」

和紀が口を開いた。

「俺は戦車道履修者であるみほを推したい。

 経験の意味から言っても、この中では一番

 あるわけだからな」

「えぇっ!?わ、私っ!?」

驚き自分自身を指さすみほ。

「確かに。俺も賛成っすね。戦車道

 を知らない人がリーダーやるよりかは、

 勝率も上がると思いますし」

「そうだな。俺も戦車チームの隊長には

 西住を推したい」

更に明弘と央樹もみほを推した。

 

それもあり、周囲の女子達もみほが

リーダーになる事に賛同気味だ。

「じゃあとりあえず、隊長には

 西住ちゃんって事で~!」

そう言うと、静かに手を叩く杏。更に

周りの女子達も拍手を送り、これで

みほの戦車チーム隊長が決定した。

 

それに戸惑っているみほ。

「がんばってよ~。勝ったら素晴らしい

 商品上げるから」

「え?何ですか?」

商品、と言う言葉に柚子が首をかしげる。

 

「干し芋3日分!」

対して杏の出した褒美に、パイロットや女子達

は苦笑を浮かべていた。

「あの、もし負けたら……」

すると、そこに声を掛けたる典子。

 

「大納涼祭りであんこう踊りを踊って貰う

 かな~?」

「「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」」」

杏の言葉に、転校してきた為にあんこう踊り

を知らないみほと、同じく県外からの

入学組であった明弘と和紀は首をかしげる。

しかし残りのメンバーと央樹は皆、顔を

青くしていた。

 

「あ、杏。それは、その、余りにも罰が 

 大きすぎる気がするのだが……」

「そう?」

央樹の言葉に首をかしげる杏。

しかしその周囲では女子達が央樹の言葉

に頷いていた。

 

「……良く分からんが、どうやらみほは

 負けられないようだな」

「み、みたいだね」

首をかしげる和紀と、冷や汗を浮かべるみほ

だった。

 

 

その後、作戦会議も一通り終了した一同は

解散となって、パイロット組も、もう遅い

ので今日は早めに下校となった。

 

そして、みほは沙織達と別れ、今は和紀と

一緒に並んで歩いていた。

 

「試合、勝てるかな?」

そんな中で、ぽつりと言葉を漏らしたみほ。

「和紀君たちが言ってた感じだと、相手の

 パイロットとタイタンも強そうで。

 戦車チームの方も、強豪のグロリアーナ

 だし。それに……」

技術の差は、そう簡単には埋められないから。

 

そう呟こうとしたみほ。だったが……。

「大丈夫だ」

「え?」

和紀の言葉に、みほは首をかしげながら彼

の方に視線を向けた。

 

「確かに相手は強い。戦車も、タイタンも、

 パイロットも。だが、だからと言って

 最初から負ける事ばかり考えていては、

 本当に負ける。勝機も逃す。

 ……あの時、俺は女子達みんなに色々

 酷な事を言ったかもしれない」

相手のタイタンの戦闘力もそうだが、彼女達

の技術が劣っている事を、和紀は突き付けた。

あの時杏が言ったように、それは気分を

下げるような発言であった。

「そんな事無いよ。和紀君は本当の事を

 言っただけでしょ?」

「あぁ。……だが、それでも、せめて

 理解はして欲しかった。戦いは

 楽でも甘くも無い。性能や技術が

 全ての世界であり、油断や楽観は、

 時に大きな代償を支払う。だからこそ、

 嘘や楽観的な発言は出来なかった」

 

そこまで呟くと、和紀は足を止めた。更に

みほも足を止め、彼の方へ振り返る。

 

「タイタンは俺達で何とかする。そして、 

 できる限り戦車チームもサポートする。

 ……俺達だって、サラサラ負ける気はない。

 勝つぞ。この試合」

「うん。そうだね」

和紀の言葉に、みほは笑みを浮かべながら

頷く。

 

「勝とうね、試合」

「あぁ」

 

和紀は頷くと、拳を差し出した。みほは

しばしそれを見つめた後、彼女は笑みを

浮かべながら同じように拳を差し出し、

それをコツンとぶつけ合った。

 

 

そして、古き陸の王者と、新しき陸の王者

が共に戦う日がやってきた。

 

それは、新たな歴史の1ページの始まり。

 

鉄の巨人に乗り戦う男達と。

 

鉄の獣に乗り戦う乙女達の。

 

認識の違いからお互いすれ違いながらも、

共に戦う事を決めた者達の物語が、

今正に加速しようとしていた。

 

     第4話 END

 




次回から聖グロ戦です。お楽しみに。

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