序盤の戦いにおいて、タイタン戦は互角。
戦車戦は終始相手の聖グロに圧倒される形
となった大洗と聖グロの戦い。
しかし大洗チームは地の利がある大洗町の
市街地に逃げ込む事で一旦は聖グロチームを
撒くことに成功。そんな中で奇襲をしかけた
明弘の狙撃で聖グロの戦車一輌を撃破。
奇襲を警戒した智はダージリンへアドバイス
を出し、部隊を集結させた。
そして、そこにアトラスとオーガが襲い
かかって来た。
「北側より敵タイタン2機が接近中!」
その敵襲に、隊長である啓吾が対応する。
「1番機3番機!俺を基点にフォーメーション
アローヘッド!」
「「了解っ!」」
啓吾の指示に従い、イオン3機が、啓吾の
2番機の後ろ、左右に展開。3機で三角形を
描くように布陣する。
対してアトラスとオーガは、オーガを先頭に
縦一列に並んで突き進んでくる。
「まずは前方のオーガだっ!奴のパワーと
重装甲は厄介だっ!先に潰すぞ!」
「「了解っ!!」」
啓吾の判断に従い、スプリッターライフルを
構えるイオン3機。
彼の判断は正しい。オーガは重量級で、
パワーは第1世代とは言えイオンを超える。
接近戦に持ち込まれれば、まず間違い無く、
ボッコボコにされる。
だがオーガは重量級らしく足が遅い。
だから接近される前に、射撃で撃破しようと
するのは間違っていない。そして何より
イオンにはヴォーテックスシールドが
あるのだから、射撃のアドバンテージ自体
はイオン側にあった。
『『『ドドドドドドドッ!』』』
放たれる光弾の雨。
だが……。
それもオーガが展開した『青い渦巻状の
シールド』、つまりヴォーテックスシールドに
よって防がれてしまった。
「ッ!?奴もヴォーテックスシールドか!」
啓吾が忌々しげに呟く。
現在世界各地で運用されている第2世代の
タイタンに対して、アトラス達第1世代と
BT、つまりバンガード級の第3世代は、ある
一点において勝っている点がある。
それは、タイタン用兵装を任務に応じて
付け替える、言わば装備の換装が出来る事だ。
第2世代のタイタン達は、戦闘で使用する
武装を予め決定されており、基本的に
他機種の武装を使う事は推奨されていない。
対して、第1世代のタイタンとバンガード級は
状況に応じて武器を換装出来るようになって
おり、状況に合わせて武装を交換できる。
この武器交換という汎用性においては、
第2世代は、第1世代やバンガード級の
タイタン達よりも劣っているとも言える。
これは第2世代タイタンが、部隊での運用を
考えて設計されているからだ。それぞれに
与えられた長所を生かすための事だが、
それ故に、器用さ、運用の柔軟さと言う意味では
第1世代のアトラス達に軍配が上がる。
そして、だからこそオーガは、イオン達と
違ってヴォーテックスにエネルギーを割ける
のだ。
何とかイオン3機からの射撃でオーガの
ヴォーテックスシールドをオーバヒート
させて一時使用不可まで追い込んだが、
その時には既に近距離まで近づかれていた。
「和紀っ!」
「はいっ!」
央樹の合図に答え、和紀のアトラスがオーガ
の後ろから飛び出し、転がって建物の影に
隠れると、そこから上半身とキャノン砲だけ
を覗かせ、狙うは纏まっていた聖グロの
戦車チーム。しかも今和紀が狙っているのは
ダージリンの乗るチャーチルだ。
「ッ!?狙いは戦車かっ!」
それに気づいて智は咄嗟にアトラスと聖グロ
戦車チームの間にイオンをスラスターで
割り込ませ、ヴォーテックスシールドを展開
した。
放たれたセミオートキャノンの炸裂弾が
シールドに捕らわれふわふわと浮かぶ。
「ちっ」
和紀は小さく舌打ちをすると素早く建物の
影にアトラスを屈ませた。
直後にイオンのシールドが解除され、
戻ってきた砲弾が、アトラスの隠れていた
建物に命中し爆発、半壊させてしまう。
「やっぱりフォートレスの異名は伊達じゃ
無いかっ!」
「俺の防御を抜けると思うなよっ!」
アトラスとイオンの中で叫ぶ和紀と智。
一方、和紀と同じように建物の影に
飛び込んだオーガが、肩から無誘導のロケット、
『ロケットサルヴォ』が横薙ぎに放たれ
将と啓吾のイオン、更にその近くにいた
マチルダ1輌に向かってくる。
「くっ!」
咄嗟に将がイオンのヴォーテックスで
サルヴォを受け止めたが、逸れたロケット
が民家に命中し爆発。辺りに煙りが立ちこめ、
タイタンと比べて視認性の低い戦車はこれだけ
で周囲の状況が分かりにくくなる。
「奴ら、最初に戦車チームを潰すつもりかっ!」
啓吾は和紀達の狙いを察し、オーガに攻撃させ
まいと牽制のスプリッターライフルを放つ。
咄嗟に建物の影に隠れるオーガ。
と、その時。
『ガガガガガガッ!』
「ぐっ!?」
啓吾のイオンに背後から衝撃が走った。
咄嗟に振り返りながらヴォーテックス
シールドを展開する啓吾。
見ると、背後から明弘のストライダーが
接近してきていたのだ。
「くっ!将っ!ストライダーだっ!こいつは
俺がやるっ!お前はオーガを頼むぞっ!」
「り、了解っ!」
これでタイタンは再び3対3だ。
啓吾はヴォーテックスで受け止めた
チェーンガンの銃弾を跳ね返す。しかし
明弘のストライダーもスラスターを
吹かして建物の影に飛び込み、これを
避けた。
そうして始まるタイタン同士の銃撃戦。
いや、砲撃戦。
オーガのロケットが住宅街諸共爆撃し、
チェーンガンが穴を開け、キャノンが
壁を吹き飛ばし、イオンのライフルが
建物や壁を燃やしていく。
そして、そんな砲撃戦の中で戦車たちはと
言えば、タイタン達に踏み潰されない
ように味方タイタンの後ろで待機する事しか
出来ない。
そもそも最高速度で言えばタイタンよりも
戦車の方が速い。だが、それは平野部など
の場所に限る。市街地での戦いならば、
機動性で言えばタイタンの方がその柔軟性
から戦車よりも素早く動ける。
更に高い身長と上半身に集中する武装から
タイタンは戦車に対して、撃ち下ろしが
出来る一方、この市街地では戦車が
動き回るタイタンを狙って砲撃するのは
色々無理があった。
「歯痒い物ですわね。私たちも、支援の
1つでも出来れば……」
ダージリンのチャーチルは家屋の影に
隠れていた。そんな中で、砲声を聞きながら
僅かに眉をひそめるダージリン。
と、その時。
『ドゴォォォォォンッ!!』
彼女達の戦車の近くに砲弾が落下し爆発した。
『流れ弾?』
ダージリンは、最初そう考えた。近くで
タイタン合計6機が砲撃戦を繰り広げて
いるのだ。まして相手側の大洗タイタン部隊
は実弾兵装。だからこの爆発に対して
ダージリンは最初、そう考えた。
しかし直後に、『ある事』を失念していた
自分に内心怒りを覚えながら無線機に
呼びかけるダージリン。
「各車、すぐさま周辺を警戒しなさい。
周辺に大洗の戦車部隊が潜んで居る
可能性があります」
ダージリンの指示に従い、すぐさま
見える範囲で索敵を行う各車の車長。
すると……。
「ッ!ダージリン様っ!敵の89式
中戦車を発見っ!7時の方角ですっ!」
あるマチルダの車長の1人が、家屋の影
からこちらを狙う89式を発見した。
その報告を受けて、ダージリンは静かに
唇を噛んだ。
『私としていた事が、失念していましたわ。
今はタイタンと戦車の混合試合。
大洗のタイタン部隊に意識が行くあまり、
戦車チームの事を忘れてしまうなど』
だがそれは仕方の無い事かもしれない。
何せ、タイタンと戦車が一緒に戦う試合など、
前例がなくこれが初めて。これまで敵の
全てが戦車という、言わば1つの種類に
限定されていたのに対し、この試合は
戦車とタイタンの双方に気を配らなければ
いけない。だが、最初からいきなりそれが
出来るのか?と聞かれれば首をかしげるだろう。
初めて、となれば出来ない事もある。
まして敵、つまり大洗戦車チームははっきり
言って、脅威と感じなかった。初戦で
ほぼ圧倒していた事が、逆に彼女達への
認識や注意を甘くしてしまった。
とは言え、それはダージリンに対して何の
慰めにも言い訳にもならない。
そして現状、聖グロの戦車チームの居る地点
から12時の方角ではアトラス&オーガが
イオン2機と戦闘中。
背後から奇襲してきたストライダーも、今は
彼女達から見て3時の方角で啓吾のイオンと
戦闘中だ。
そして更に7時の方角から現れた89式中戦車。
これで聖グロチームは、実質的に三方向から
囲まれた形になる。
『してやられましたね。奇襲対策として
密集していたのが裏目に出た形となって
しまった、と言う事ですか。ここは、
現状からの脱出を最優先するべき。
定石で行けば、唯一敵影の無い9時の
方角へと移動するべき。ですが、相手も
それを理解しているとしたら、伏兵を
潜ませている可能性も。ここは……』
「各車、及びタイタン部隊の各員へ。
戦車チームはこれより6時の方角へ
転進。89式の攻撃を掻い潜り突破。
現状の包囲網を離脱します。タイタン部隊
は引き続き、敵タイタン部隊をお願い
できますか?」
『了解しました。タイタン部隊はお任せを』
ダージリンの言葉に部隊長である啓吾が応える。
「各機っ!タイミングを見計らって牽制射っ!
戦車チームを撃たせるなっ!」
「「了解っ!」」
啓吾の指示を聞き、スプリッターライフルの
弾倉をリロードしたイオン3機は、タイミングを
見計らい、攻撃に出た。
『『『ドドドドドドドッ!!!!』』』
放たれる光弾の雨に、オーガ、ストライダー、
アトラスは建物の影に隠れた。
「今ですっ!」
「各車、迅速に移動しなさい」
啓吾の言葉と、ダージリンの指示を聞いた
チャーチル、マチルダが動き出した。
「く、来るっ!アタック行くよっ!」
それに対して車長の典子の指示の元、89式が
砲撃を行うが、砲弾は空しく家屋に命中するか、
距離があるため装甲に弾かれてしまう。
更に……。
チャーチルが89式の前を通過する際。
『ドォォォォンッ!』
その主砲が火を噴き、89式に直撃した。
至近距離からの砲撃で車体が一瞬浮く89式。
そして一拍の間を置き、白旗が上がる。
「ご、ごめんなさいっ!Bチームやられ
ましたぁっ!」
「分かりました。その場を動かないで下さい」
典子の通信を聞いて答えるみほ。
『やっぱりそっちに行かれちゃったか。
でも、『予定通り』』
と、小さく笑みを浮かべるみほ。
そして……。
89式を突破した4輌が包囲網を抜けるため
とにかく前へ前へと走っていた。だが……。
『ドォォォンッ!』
最後尾を走っていたマチルダが、突如側面から
放たれた砲撃を喰らい撃破されてしまった。
「ッ!?」
慌てて後方を確認するダージリン。
「アンブッシュ、ですって」
彼女が呟くと、車高の低さを生かして
家屋同士の間に隠れていたⅢ突が家屋の
迷路の中に消えていく。
そう、みほはダージリン達が敢えて
89式の包囲を突破すると読んでいたのだ。
ちなみに、唯一空いていた9時の方角には
みほ達が待機していた。
「こちらCチーム!マチルダ1輌撃破っ!」
「分かりました。じゃあ、作戦を第2段階へ
移行します。Cチームは、さっきお話しした
場所で待機していて下さい」
「了解っ!」
Ⅲ突の車長であるエルヴィンと通信をし、
指示を出すみほ。
そもそも彼女は、ダージリン達が防御を
固めたのを、偵察に出ていた明弘から聞き、
更に和紀達と話し合って次の作戦を
決めた。
ただでさえ数も練度も不利な状況で、
彼女が考えたのは犠牲覚悟で相手の数を
とにかく減らす事だ。
和紀達は言わば、その作戦のための囮だ。
そして、マチルダ1輌撃破の報告は智達
にも届く。
「くっ!?将っ!お前は戦車チームの
援護に行けるかっ!?」
通信機に向かって叫ぶ智。しかし……。
「ダメですっ!うぐっ!こっちも砲撃で
釘付け状態ですっ!」
何とか央樹のオーガと撃ち合いながらも
叫ぶ将。
「先輩はっ!?」
「すまんがこっちもまだ掛かりそうだっ!
こいつチョロチョロとっ!」
更に3年の啓吾も、速度を生かして
動き回る明弘のストライダーに苦戦していた。
イオンは、その性質上ヴォーテックスを機体
の前面にしか展開出来ない。なので全力で
移動するとなると、相手に防御の無い背面を
晒すことになる。そうなれば良い的だ。
「くっ!?なら、まずは目の前のこいつをっ!」
智のイオンがスプリッターライフルを放つ。
だが、アトラスも負けじと走り回りながら
キャノン砲で応戦してくる。
「みほ達の所へは行かせるかっ!」
そうして、男達はそれぞれの仲間である
少女達のために、戦う。
一方、更に1輌が脱落した聖グロ戦車チーム。
これでタイタンはお互い3対3。
戦車は2対3と言う展開だ。
だが、地の利は大洗側にあり、更に車高の
低いⅢ突は奇襲などにうってつけの戦車だ。
とは言え……。
『相手も、そうそう同じ手が通じる程
素人じゃない。きっと、すぐに対策を
講じてくる。進路を予想してⅢ突を
配置する?ううん。先に見つかれば
Cチームがやられる可能性もある。
せめて、相手側を引っかき回せる存在、
囮のような物があれば……』
そう考え、みほはハッチから体を
乗り出して周囲を見回していた時。
「……え?」
彼女の視界に、こちらに向かってくる
金色の車体が映り込んだ。
一方、包囲網を脱したダージリンは市街地を
慎重に、音を響かせないようにゆっくりと
索敵を行いながら移動していた。
「いかがいたしますか?ダージリン様」
オレンジペコは隊長である彼女に問いかける。
「……油断が無かった、と言えば嘘になって
しまいますね」
「え?」
「大洗の戦車チームの事です。正直、相手の
タイタン部隊の動きの派手さと初戦、こちら
がほぼ圧倒していた事から、きっと私も
心のどこかで彼女達を侮っていたのでしょう。
私もまだまだですね」
そう言って苦笑を浮かべるダージリン。
しかし……。
「まぁ、だからといって負ける気はありませんが」
彼女は表情を引き締めながら、思考を巡らせる。
『幸いまだ数ではこちらが有利。敵タイタン
部隊は、彼等に任せるとして。私たちは
同じ敵戦車部隊に専念する他ない。
あと向こうで残っているのはⅢ号突撃砲と
Ⅳ号だけ。先に潰すべきは車高の低さなど
から奇襲や待ち伏せに長けたⅢ号。
ここは密集隊形のまま索敵前進しつつ
Ⅲ号を優先的に……』
と、その時。
『ドォォォォォンッ!』
彼女達の近くに砲弾が落ちた。
「ッ!?」
『仕掛けてきたっ!?まさか数の不利を
覆すために!?』
練度や数の不利を補うために待ち伏せを
してくるだろうと考えていたダージリンの
考えが外れた。
すると、マチルダから通信が届いた。
『敵車両発見しましたっ!しかし、
38(t)ですっ!あの金色のっ!』
その内容は、完全にダージリンの意識外
の物だった。
『そうでしたわね。38(t)は履帯を破壊した
だけで完全に撃破した訳ではありません
でしたわ。ならば……』
「各車、迎撃しなさい」
咄嗟に指示を飛ばすダージリン。
そんな中で……。
「見つけた見つけたぞぉっ!喰らえぇっ!」
桃は明らかに悪役がしそうな笑みを浮かべ
ながら引き金を引いた。
しかし放たれた砲弾はチャーチル達の傍の家屋
を破壊しただけだった。
「桃ちゃんここで外す?」
「桃ちゃん言うなっ!」
と、そんなやり取りをして居たのも束の間。
『『ドドォォンッ!』』
チャーチルを護衛していたマチルダ2輌に
より砲撃が、突撃して来た38(t)に見事
命中。
「や~ら~れ~た~」
これで38(t)も完全撃破となり、杏の
間延びした悲鳴が車内で響く。
突然の奇襲にも聖グロは驚く事無く
対応した。だが……。
『ドォォォォンッ!』
その時、38(t)が来たのとは全く逆の方向
から響いた砲撃音。
そして放たれた砲弾は、奇しくもチャーチル
を守る形となっていたマチルダ1輌に命中し、
これを撃破した。
慌てて背後を確認するダージリン。見ると、
近くの家屋の影にⅣ号の姿があった。
『まさか、味方を囮にっ!?』
今の攻撃は、38(t)を完全な捨て駒扱いにした
作戦だ。まさかの作戦に驚くダージリン。
ちなみにだが、今の作戦を思いついたのは
みほではない。
~~少し前~~
「えっ!?生徒会チームが生きてたっ!?」
和紀は相変わらず智のイオンと撃ち合いながら
みほからの通信を聞いていた。
『う、うん。それでこれから一緒に相手を
攻撃しよう思う。だから念のために
連絡をと思って』
「了解したっ!こっちは今も絶賛撃ち合い
の真っ只中だっ!」
通信機に叫びながら、建物の影から出て
キャノン砲をぶっ放すアトラス。
と、その時和紀はある事を思いついた。
「そうだみほっ!作戦を思いついたっ!」
『え?』
「38(t)を囮にするんだっ!どのみち、
河嶋先輩の砲撃の腕じゃ相手に当てる
のは無理だっ!囮か壁役に使った方が
まだ役に立つだろうっ!」
と、(結構失礼な事を)叫ぶ和紀。
「う、うん。分かった。やってみる」
正直、みほは囮という単語にあまりいい顔
はしなかったが、戦闘のプロである和紀の
意見もあって、囮作戦を敢行。
見事相手の1輌を撃破したのだ。
これで、戦車もタイタンも、お互いに同数
となった大洗と聖グロ。
そして……。
「よしっ!和紀っ!明弘っ!ここから
一気に状況を変えるぞっ!」
「「了解っ!」」
「将っ!先輩っ!奴らに動きがあります!
警戒をっ!」
「「はい(あぁっ)っ!」」
砲撃戦を繰り返していた6機のタイタン。
しかし、その膠着状態も終わりが来た。
まず、明弘のストライダーが啓吾のイオン
に突進していった。
「血迷ったかっ!」
啓吾はそう叫びながらイオンの必殺技、
コアアビリティを発動させた。
『レーザーコア、オンライン』
電子音声がコクピット内部に響き渡り、
カメラアイから三方に伸びる赤いレーザー
サイトが、レーザーコアの発動をストライダー
に知らせる。
そして……。
「やっぱりそう来るよねぇ!」
明弘は、温存していた電気スモークで自機、
ストライダーの機体を隠すと同時に、同じ
ようにコアアビリティを発動させた。
『ダッシュコア、オンライン』
そしてコアアビリティを発動したストライダー
は、驚異的な速度でもって市街地を駆け抜ける。
「ちっ!合わせて来たかっ!」
それを追うように放たれる赤熱の奔流、
レーザーが市街地を焼き払うが、しかし
追いつけない。旋回速度が遅いためだ。
ダッシュコア発動中のストライダーの
移動速度は、はっきり言って全タイタンと
比べてもぶっちぎりのトップだ。
そしてそのストライダーが向かった先が……。
「ッ!?将っ!そっちにストライダーが
向かったぞっ!」
「えっ!?」
オーガと撃ち合っていた将のイオンの所
だった。
「こ、こいつっ!?」
『レーザーコア、オンライン』
咄嗟に将は機体を振り向かせ、レーザー
コアでストライダーを狙撃しようとした。
装甲の薄いストライダーならば、レーザー
コアで装甲値を削りきり、撃破扱いにする
事は出来る。
だが、それは妨害者がいなければ、の話しだ。
「おぉぉぉぉぉぉっ!!!」
『ドゴォォォォォォンッ!』
そこにスラスターを吹かして突進してきた
オーガのタックルが命中する。
「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!」
吹き飛ばされ、倒れた将のイオン。そして
目標を外れて放たれたレーザーコアが、
無情にも空を切り裂くだけに終わって
しまった。
更に……。
「追い打ちさせてもらうよっ!模擬戦
でも、俺等パイロットなら、これくらい
当たり前だろぉっ!」
「悪く思うなよっ!」
倒れたイオンにオーガのロケットと
ストライダーのチェーンガン、更に
オーガのロケットサルヴォ、ストライダー
の『クラスターミサイル』が炸裂する。
タイタン2機による集中砲火。それは、
ただでさえ戦闘でダメージが蓄積されていた
イオンを撃破するには、十分だった。
『パッ!』
各部から煙を吹き出すイオンの一部から、
白旗が揚がりこれで撃墜判定となった。
「よしっ!これで1機撃破っ!」
明弘はコクピットの中で獰猛な笑みを
浮かべた。だが……。
「ちっ!こうなれば……!行くぞ!」
『了解。レーザーコア、オンライン』
智のイオンが、和紀のアトラスがリロードの
ために建物の影に隠れたタイミングでレーザー
コアをオンラインにした。
それに気づいた和紀は、身を乗りだそうと
していたアトラスを建物の影に隠した。
だが直後、彼は疑問に思った。
試合での使用を想定し、レーザーコアの威力
は実戦レベルよりもかなり抑えられている。
なので建物に隠れれば防ぐ事は出来る。
命中時にのみ、実戦レベルでの威力が
入った、と言う『想定で』タイタンや
戦車がダメージを負うように考えられている。
つまり和紀のアトラスが建物の影に隠れた
時点で、アトラスに向けてレーザーを撃つ
のは無意味に近い。よしんば牽制には
なったとしても、それではコアアビリティの
無駄遣いのような物だ。
そして、そこまで考え、和紀は相手の狙いを
察知した。
「明弘っ!先輩っ!逃げろぉっ!」
咄嗟に通信機に向かって叫んだ和紀。
「ッ!?」
「え!?」
咄嗟にヘッドスライディングのように建物の
影に隠れるオーガ。しかし明弘のストライダー
は対応が遅れてしまい、更に……。
『ダッシュコア、オフライン』
ダッシュコアが終了してしまった。そして……。
『ヴァァァァァァァァァァァッ!』
放たれた赤熱の奔流。それは……。
明弘のストライダーを捉えた。
「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?!?」
レーザーコアを受けて震えるストライダー。
そして将のイオンがそうであったように、
戦闘で少なからずダメージを負っていた
ストライダーは、数秒の照射を受け、撃破
扱いとなって全身から白煙を吹き出しながら
その場に膝を突いた。
「くっ!?明弘がっ!」
「やむを得ないかっ。和紀っ、少なくとも相手
はこれでコアアビリティを使い切ったっ!
一気に攻めるぞっ!俺は敵隊長機をやるっ!」
「了解っ!だったら、フォートレスは俺がっ!」
2人のタイタンが、猛然と駆け出した。
そして……。
『シールドコア』
オーガのコアアビリティが……。
『ダメージコア』
アトラスのコアアビリティが……。
『『オンライン』』
発動する。
「来るかっ!」
啓吾はオーガを迎撃する為にレーゼーショット
を放つが、それをヴォーテックスで防ぎ、
逆にロケットサルヴォや4連ロケットの
ロケット弾を放つ。
だが、イオンもそれをヴォーテックス
シールドで受け止め、オーガに返した。更に
進行方向上に設置式のトリップワイヤーを
設置するが……。
『ドドォォォォンッ!』
「ッ!?こいつっ!?」
オーガはそれらを機体のシールドで受け止め
ながらも前進をやめない。シールドコアの
アビリティでオーガのシールドは増加
している。だからこそ、こんな無謀な
前進も出来るのだ。
そして……。
「おぉぉぉぉぉっ!」
オーガの体当たりが啓吾のイオンに襲いかかった。
「ぐっ!?」
しかし、それでも啓吾のイオンはオーガの
タックルを僅かに後退りながらも受け止めた。
「そうそう何度も、倒されてたまるかっ!」
そして、左手でオーガを押さえ付けながら
右手のスプリッターライフルの銃口をオーガに
突き付ける。が……。
「ここからは、純粋な削り合いだっ!」
オーガもロケット砲をイオンに突き付けた。
そして機体が接触した事で、接触通信が
行われ、2人の声が通信機越しに聞こえる。
「この距離なら、シールドは使えまいっ!」
「ッ?!こいつ自爆覚悟でっ!?くっ!?
負けるかぁぁぁぁぁっ!」
咄嗟にライフルの引き金を引く啓吾。
「こっちの、台詞だぁぁぁぁぁっ!」
『ドドドドドドドドッ!』
『ドドドドォォォォォォォンッ!!!』
爆炎がオーガとイオンを包み込む。
一方、アトラスとイオンは……。
家屋を盾にしながらもイオンと距離を詰める
アトラス。
と、その時。
『シールドエネルギー、残り30%を切りました。
回避を提案します』
アトラスのアドバイスが和紀の耳に届く。
「いやっ!奴に時間を与えたらレーザーコアを
また使われるっ!ここは、一気呵成に
詰めるぞアトラスッ!」
『了解』
アトラスは射撃を行いながらイオンと距離を
詰める。
「やはり接近戦で来るかっ!」
フォートレスの異名を持つ智の精密射撃が
ジワジワとアトラスのシールドを削っていく。
だが、トリップワイヤーを仕掛けようが、
アトラスはそれを破壊し今も前進を続ける。
「ならば……っ!」
近づかれる前にシールドを削り取ろうと、
智のイオンがレーザーショットの狙いを定める。
だが……。
「ここで使うっ!」
和紀は咄嗟に、防御アビリティの一つである
『パーティクルウォール』を展開。そして
直後にレーザーショットが放たれるが、これを
ウォールが完全に防いだ。
「っ!?まさか合わせたのかっ!?」
「伊達に、ナンバーズの教え子じゃないんだよぉ!」
和紀のアトラスがウォールを突き抜けイオンに
突進する。
そして、智のイオンはトリップワイヤーと
レーザーショットを使った事で、もう攻撃用の
エネルギーがほぼ残っていなかった。
そこに撃ち込まれるキャノンの砲弾。更に
放たれたミサイル、『スレイブド弾頭』が
着弾する。
『ドドォンッ!ドォンッ!』
「ぐっ!?」
イオンの周囲で炸裂する砲弾。
そして炸裂によって発生した砂煙が一瞬、
イオンの視界を覆う。
「おぉぉぉぉぉぉっ!」
そして、それを超えたアトラスがイオンに
タックルをかました。
更に左腕をイオンの右脇の下に回し、その
右腕をロックし、そしてキャノン砲を腰部背面
に一旦マウントすると、右手でイオンのカメラ
部分を押し込んでいく。
更にスラスターを吹かしてイオンを押し込むアトラス。
民家に激突し破壊しようがそのまま突き進む。
「ぐっ!?ぐぅっ!?こいつっ!」
「こっちにも、負けらんない理由がある
んでなぁっ!」
接触通信に向かって叫ぶ和紀。
「負けられないのは、こちらも同じだっ!」
だが、智もただやられっぱなしではない。
『ドゴォンッ!』
咄嗟に足でアトラスを蹴飛ばしたのだ。
「ぐぅっ!?」
蹴飛ばされ、吹っ飛ぶアトラス。だが
散々引き回された結果か、イオンを
蹴った反動でバランスを崩して倒れた。
しかし2人はすぐさま愛機の武装をチェック
し立ち上がった。
そして、すぐさま睨み遭う2人。
だが……。
「すまん智っ!やられたっ!」
直後智の耳に啓吾の報告が届いた。
すぐさま視線を巡らせる智。見ると、
かなり離れた場所で啓吾のイオンが白旗
を上げ、シールドの削り合いに勝利した
オーガが移動を開始していた。
「くっ!?まさか先輩がっ!」
『だがオーガの様子からして、もう
ダメージは相当なはずっ!だがっ!』
今、智の前にはアトラスが居る。
下手に背中を見せればやられる。
それは智にも分かりきった事だった。
一方、みほ達とダージリン達の戦車チームは、
お互いの事を考え、動けずにいた。
みほ達は不意の遭遇戦を。
ダージリン達は待ち伏せを。
それぞれ警戒していたのだ。
この住宅街では、下手に移動すると至近距離
でばったり遭遇、なんてのもありえる。
しかしみほ達にはそれに対して咄嗟に
対応するスキルがあるかどうか怪しい。
一方のダージリン達は待ち伏せに適した
Ⅲ突を警戒して不用意に動けなかったのだ。
と、その時。
『ダージリン様っ!敵タイタンが1機、
そちらに向かいましたっ!今すぐ退避をっ!』
出方をうかがっていた所に智から届いた
悲報とも言うべき報告。
「ッ。分かりました。各車、ここは一旦
移動し、フォートレスのイオンと合流します」
「よろしいのですか?それだと、
フォートレスと戦闘中のタイタンに
狙われる恐れが……」
と、ダージリンに問いかけるオレンジペコ。
「それは最も。ですが、戦車のみでタイタン
と戦うのは自殺行為に等しい物。違くて?」
「いいえ」
彼女の言うとおり、戦車2輌で倒せる程、
タイタンは弱くない。如何にダメージを
負っているとはいえ、だ。
ならば智のイオンと合流する、と言う考え方
は間違っていない。
そして、それはみほが読んでいた事だ。
『ドォォォンッ!』
「ッ!」
移動しようとしたチャーチルの近くに砲弾が
命中する。
そして、チャーチルとマチルダの移動を阻む
ように家屋の影からⅢ突とⅣ号が姿を見せる。
「無理に当てる必要はありませんっ!
清水先輩のオーガが合流するまで、ほんの少し
の時間稼ぎが出来れば大丈夫なのでっ!」
「了解っ!」
みほの指示にエルヴィンが答える。
「各車迎撃をっ!突破しますっ!」
対して、ダージリンも周囲に指示を出し、突破
を試みる。
『ドォンッ、ドォンッ!』
『ドォンッ!』
砲声が住宅街に響き渡るが、車体の半分以上を
家屋に隠しているⅣ号と、微妙に前進と後退を
繰り返して狙いを絞らせまいとするⅢ突。
『こうなったら、私達が盾になりますっ!
その間にダージリン様達は突破して下さいっ!』
「……お願い」
時間が無いため、これ以上釘付けになるのは不味い。
そう考えた最後のマチルダの車長は、
ダージリンに無線でそう伝えると走り出し、
その後ろにチャーチルが続く。
そして、前進するマチルダは、Ⅲ突に向かって
突進すると激突。
「「ってぇっ!」」
直後、マチルダの車長とⅢ突のエルヴィンが
異口同音の叫びを放ち、そしてほぼ同時に
砲弾が放たれた。
『『ドドォンッ!』』
放たれた砲弾で砂煙が上がる。そして数秒して
煙が晴れると、そこには白旗の揚がった
マチルダとⅢ突の姿があった。
それでも何とかⅢ突を抜け、更にそのまま
Ⅳ号の前を通過するチャーチル。
「ッ!?抜かれたっ!?」
車長用のハッチから身を乗り出しながらも
驚くみほ。
「このまま、フォートレスとの合流を」
そして、ダージリンが指示を出そうと
した、が……。
『ドォォォンッ!!』
直後、チャーチルの至近距離にロケットが
続けて命中した。
「くっ!?」
ガクガクと揺れるチャーチルの車内で、
ダージリンが手にしていたカップが
滑り落ち、カップが床に落ちて割れて
しまう。
そして、それと同時にチャーチルからも
白旗が揚がった。
みほはロケットが飛んできた方向へと目を
向ける。そこに立っていたのは、既に
ボロボロながらも毅然とロケット砲を
構えたオーガだった。
『これで、戦車部隊は全滅だ』
無線機を通して聞こえる央樹の声にみほが
安堵した、その時。
『ビシュゥッ!』
「ぐぅっ!?」
オーガの背中に、レーザーショットが命中し、
そしてそれによって限界を迎えたのか、
オーガが地に膝を突き、白旗が揚がる。
慌てて視界を巡らせた、彼女の視線の先
には、Ⅳ号を見つめる智のイオンの姿が
あり、そしてイオンの構えるライフルが
Ⅳ号を狙っていた。
慌てて車内に戻ったみほ。するとそれを
合図にするかのように、高温の光弾数発が
Ⅳ号に降り注ぎ、そして、それによってⅣ号は
撃破扱いになったのだった。
これで、残ったのはお互いタイタンが1機ずつだ。
数分前、智のイオンと和紀のアトラスが睨み
あっていた。
だが、そんな中でも状況は変化し、残っていた
マチルダとチャーチルが撃破されると、
智はイオンに内蔵されている電気スモークを
周囲に放射してアトラスからのロックオンと
その視界を遮った。
「ッ?!させるかっ!」
咄嗟に相手の位置を探るための砲撃を行う
アトラス。だが、煙を突き抜けた攻撃は、
イオンのヴォーテックスによって返され
アトラスに命中してしまった。
「ぐっ!?クソォッ!」
そして、爆発でアトラスが数秒バランスを
崩し、立ち直る間にレーザーショットで
オーガを。ライフルでⅣ号を撃破してしまった。
これで、残っているのはイオンとアトラスのみ。
両者はしばし睨み遭った、直後。
「ッ!」
和紀のアトラスが前に出た。
智は冷静にイオンのスプリッターライフルで
狙いを定める。そして放った。
だが……。
「ッ!?何!?」
アトラスはそれを手にしていたキャノン砲を
盾にする事で防いだのだ。まさかの防御に
彼が驚いた一瞬の隙に、アトラスは今の攻撃
を受けて撃破判定を受け、使い物にならなく
なったキャノン砲をイオンに投げつけた。
「ッ!?」
それを咄嗟に左手で防ぐイオン。だが、
ぶつかった衝撃で一瞬動きが鈍った隙に、
アトラスがイオンの懐に潜り込んだ。
「おぉぉぉぉぉっ!」
そして、振るわれたアトラスの腕がイオン
のライフルを大きく弾き飛ばした。
更に振るわれた拳が、イオンの反撃に使おう
としていたレーザーショットを破壊する。
「くっ!?このぉっ!」
携行武装が無くなった智は咄嗟にアトラスに
殴りかかる。
『ドゴォォンッ!』
爆音を響かせながら一歩、アトラスが下がるが……。
「おらぁぁぁぁぁっ!」
反撃に繰り出された拳が逆にイオンに命中し、
2歩下がらせた。
そこからは巨人同士の殴り合いだ。
爆音が響き渡るその戦いぶりを、みほや
ダージリン達。更に機体から出た央樹や明弘、
啓吾や将。更にスクリーン越しに多くの
観客達が、見つめていた。
そして……。
『『ドゴォォォォンッ!!』』
クロスカウンターが決まり、お互いに
蹈鞴を踏むアトラスとイオン。
そして、2機のコクピットの中では盛大に
アラームが鳴り響いていた。今、不意に
攻撃すればカウンターを貰って撃破扱い
になる事は、和紀も智も知っていた。
とは言え、今更ここで止まっていても
試合は終わらない。
だからこそ、2人のたどり着いた結論は、
同じだった。
彼等はすぐさまタイタンの脱出装置を
作動させた。
直後、天高くタイタンから打ち上げられる
和紀と智。
彼等はすぐさま、手にしていた武装、
和紀は『R―201』を。
智は『G2A5』、いわゆるマークスマンライフル
に分類される武器を構えた。
『ダダダダダっ!』
『ダンダンダンッ!』
放たれた試合用のペイント弾。すると……。
『『ベチャッ!』』
それが当ったのはお互いの武器だった。
「「ッ!?」」
神の悪戯、とでも呼べそうな自体に流石の
2人も驚き、一瞬動きが止まる。
そしてその間に2人は着地し、武器を
捨てた。そして……。
『『ダダッ!!』』
ほぼ同時に駆け出した。それも、相手に
向かって。
『『シャッ!!!』』
そしてお互いのナイフを抜き、斬りかかる。
しかしナイフ同士がぶつかり合い、火花
が散る。
そこからは、もはや達人級の格闘戦だ。
相手のナイフを逸らし自分の拳やナイフで
致命傷を与えようとするが、どうやら格闘戦
のレベルは拮抗しているのか、お互い有効打
を繰り出せずに居た。
そして、お互いの左手が、お互いの右手に
あったナイフを弾き飛ばした。
だが、それでも2人は一瞬、刹那の合間に
思考し、そして、次の一手を繰り出した。
『『ジャギッ!!!』』
お互いのピストル、P2016を相手の頭に
突き付けあい、そして……。
『『パンッ!』』
引き金を引いた。
『『ビシャッ!!』』
と同時に、放たれたペイント弾が2人の
ヘルメットをピンク色で汚す。
そして、2人はまるで固まったかのように、
その場で動かなくなった。
だがそれは観客たちも同じだ。
「ど、どっちだ?どっちが勝ったんだ?」
「殆ど同時に見えたぞ?」
観客達が審判の判定を待つ間、ヒソヒソと
話をしている。
そして、更には例の3人組もだ。
「今の、殆ど同時でしたよね、先輩」
「あぁ。問題は、戦車道の審判がどう判断
するか、だが、恐らくは……」
と、1人が呟いていた時。
『え~審議の結果、最後は相打ちと判断し、
結果、この試合は引き分けとしますっ!』
唐突にスピーカーから聞こえた話に
観客達が驚いている中、彼はただ1人、
『やっぱりな』と言わんばかりの表情を
浮かべた後、2人を連れてその場を後にした。
こうして、大洗と聖グロの練習試合は、
『引き分け』という形で終了したのだった。
第7話 END
投稿が遅くなり失礼しました。
最近、APEXにドはまりしてまして……。
まぁ言っても運が良ければチャンピオンになれる
程度の腕前なんですが。
感想や評価、お待ちしてます。