転生してもハンターだった件   作:邪神イリス

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炎の魔人降臨

 

 

 町に戻りながら全員の自己紹介をし、今、冒険者の3人組のギド、カバル、エレンは串と皿を持って1枚の鉄板を囲んでいた。

 

 

 ひょいっぱく。

 

「あーーーーーー!ギド、ひどーーい!よくも私のお肉を!!」

 

「食卓とは戦場なんでやすよエレンの(あね)さん。」

 

 するとエレンはカバルに近づき

 

「いいわよぅ。じゃあカバルのもらうから。」

 

 カバルがじっと見つめていた肉を食べた。

 

「ギャーーーーーーーーーー!丹精込めて育てた俺の肉がーーーーー!!」

 

 しかしまぁ、何というか・・・・

 

「・・・賑やかな連中だな。」

 

「そうだな・・・・ん?」

 

 あれ?何か近くから肉や山菜とは違う物が焼けるような音が・・・・

 

「スライムさんスライムさん。焼けた鉄板触れてるよ?」

 

「ーーーーーーっ!!」

 

「おい、大丈夫か?リムル。」

 

「溶けるかと思った・・・・」

 

 そう言いながらリムルはお茶を飲む。見たところ、目立った外傷も無さそうだしよかった。しかし、何で触れていた当人がそれに気づかなかったんだ?普通は熱さで気付くだろうが・・・・

 

「溶けなかったところをみると、熱に対する『耐性』があるのかな?

 

「「耐性?」」

 

「異世界から渡ってくる者はその際に強く望んだ能力を得る。それが『スキル』だったり、『耐性』だったりするの。」

 

 へぇ。つまり、リムルはその熱に対する耐性を持っていたから鉄板が熱くなかったのか。

 

《解。個体名:リムル=テンペストは『熱変動耐性』を所有しています》

 

 俺の場合はどうなんだ?

 

《解。個体名:ジン=テンペストは耐性を所持しておりませんが、スキル『竜戦士』でモンスターに変身してる場合や防具を装備している時は耐性を得ることが可能です》

 

 なるほどな。耐性の強さはモンスターによって変わるしなぁ。使い勝手が良いのだか悪いのだか・・・・ま、俺が上手く使えばいいだけか。

 

 俺がそうやって耐性に関する説明と考察をしていると、リムルが耐性を得た経緯を話だした。

 

「俺、前世は刺されて死んだんだけど。」

 

 リムルがそう言うと、シズから驚いたような雰囲気を感じた。

 

「その時に、背中が熱いとか血が抜けて寒いとか考えてたから、それで手に入れたんだろうな。」

 

「へぇ・・・・ジンさんはどうなんですか?」

 

「俺か?・・・・俺は君達とは別の世界の出身なのは言ったと思うが、俺はそこでとあるモンスターと戦ってな。その時の傷が原因で死んで、この世界に来たんだよ。耐性は特に会得はしてないな」

 

「そっか・・・・2人とも大変だったんだね」

 

「まぁな」

 

「まぁ、特に悔いもなかったし、大丈夫さ。強いていうのなら行きたい所があったぐらいかな」

 

 俺がそう言ったあと、3人で揃ってお茶をずずっ・・・っと飲む。

 

 因みに冒険者3人組は肉をかけて取っ組み合いをしている。

 

「そう言うシズさんこそ、苦労したんじゃないのか?」

 

 リムルがシズにそう問いかけはじめる。

 

巨大妖蟻(ジャイアントアント)との戦いの時に炎を操っていたみたいだけど、あれはこっちに来る時に望んで得た力なのか?」

 

「・・・・いいえ、違う。炎は私にとって呪いだから」

 

「呪い?・・・どういうことなんだ?」

 

 するとシズはお茶を入れたコップを机に置き、仮面を外して語りはじめる。

 

「私が元の世界で最後に見た光景は辺り一面の炎」

 

「とても怖い音が鳴り響く中、住み慣れた町は紅蓮に染まっていた」

 

「・・・・もしかして、空襲か?」

 

「多分、そう。東京大空襲って言われてるんでしょ?私の教え子・・・その子も日本出身なんだけど、歴史の授業で習ったらしいね」

 

「2人とも、その空襲というのは何だ?」

 

「ああ、そっか。ジンは日本出身じゃないから知らなくて当然か」

 

 俺は2人から空襲と彼等の世界の悲惨な歴史を簡潔にだが説明してもらった・・・シズにとっては、つらい記憶だっただろうが。

 

「そうか・・・俺の世界でも小競り合いは定期的に起きることはあるが、まず関わる事はないし、デカい戦争なんざ俺が生まれるずっと前に起きて以降なかったからな」

 

「ジンのいた世界には人類共通の脅威がいたからだよな?」

 

「まぁな。それでも仲が悪い所はあるが、モンスターという存在がいる以上戦争なんかやっていたら血の臭いにつられてやって来るだろうからな・・・それで、シズはその空襲が原因で転生してこっちの世界に来たのか?」

 

「ううん。私は死んでないよ」

 

 何?いや、だがリムルの話などから計算すると、転生ではなく転移で来たとするなら若すぎないか?

 

「炎の中を必死に逃げ回っていた時、私はある男に召喚されたの。でも男が本当に召喚したかったのは別の誰かだったみたいで、とても落胆した様子だった」

 

「だから、すぐ私に対する興味を失ったようだったけど、ふとした気紛れからか、彼は私に炎の精霊を憑依させたの」

 

「それは炎を操る力をくれたけれど・・・同時に呪いでもあったの。この力・・・炎のせいで、私は大切な人達を失ってしまったから・・・・」

 

 その時のシズが脳裏に描いたのは、この世界に来て初めてできた友である1人の少女と1匹の魔物であった。

 

「だからかな・・・人と親しくなるのは少し怖かったんだけど」

 

「やっぱり仲間っていいね。最後の旅で楽しい人達と出会えたもの。彼らはお互いを信頼してるし、遠慮なく喧嘩もするし。いい冒険者だよ。ちょっと危なっかしいけどね」

 

 そう言ってシズは微笑み、カバル達に目を向ける。

 

 ちょうどエレンが鉄板の上に残った最後の肉を手に取り勝ち誇っていた。絶望した表情のカバルとギドだったが、リグルドがおかわりを持ってきた瞬間にすぐ復活した。

 

 それにしてもだ。戦争の最中に人違いでこの世界に飛ばされた挙句に呪いなんかまでかけられて、今は楽しくもどこか危なっかしい仲間たちをフォローして・・・苦労なんて言葉では纏めきれないような人生を送っているようだが、少なくとも、今は幸せなようだ。

 

 俺達はもっと彼女の話を聞きたいと思い、腹ごなしも兼ねて散歩に行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ・・・・」

 

 俺達はいま、リムルとシズはランガに、俺はエンカの背にそれぞれ乗り、森の中を駆け抜けていた。

 

「すごい速いね。聞いた事はないけど、嵐牙狼族(テンペストウルフ)炎牙狼族(インフェルノウルフ)だっけ?」

 

「そうだよこっちがランガで」

 

「この子がエンカだ」

 

「ランガ、エンカ、ご主人達をちゃんと守るんだよ」

 

「無論です。我が主達の朋友よ」

 

「それこそが、私達の使命ですから」

 

「はぇ〜〜・・・・」

 

「どうかしたのか?」

 

 リムルが後ろにいるシズに声をかける。

 

「うん。町で出迎えてくれたホブゴブリンのリグルドさんも、このランガやエンカも流暢に話すなぁ・・って」

 

 そう言ってシズが思い出すのは、自分達がリムルとジンに案内されて町についた時に出迎えてくれたとても体格の良いホブゴブリン。その特徴的な肌の色などがなければ、ホブゴブリンとは分かりにくかっただろう。

 

「魔物が喋るのは珍しいのか?」

 

 俺がそうシズに聞く。

 

「すごくね。でも、それ以上に魔物が町を作ってることに驚いたけど」

 

「俺達の町は気に入ってもらえたかな?」

 

 リムルがそう聞くと、

 

「とっても」

 

 シズさんは笑顔を浮かべながらそう言った。

 

 こんな風に褒められると、皆で頑張っている甲斐があるというものだ。

 

「そうだ!面白いものをみせてやるよ」

 

 何かを思いついたのか。リムルはそう言うと、俺とシズと『思念伝達』で意識を繋げる。

 

「今から俺の記憶の一部を見せるけど・・・・見えるか?」

 

「ん?・・・あぁ、何か見えてきたな。」

 

 「うん・・・えっと、誰かの部屋?」

 

 少しずつリムルの記憶が見えて机や椅子のような物が見え、その机の上に乗せてある薄い黒い板にエルフみたいな女性が浮かび上がった瞬間だった。

 

「ちょっ!間違った!今のなし!!」

 

 急にそう言って記憶のイメージを消した。

 

「綺麗だったよ?」

 

 シズがそう言う。何も変な所はなかったがなぁ・・・・・

 

「見せたかったのはこっちだ」

 

 リムルがそう言うと、見えてきたのは一面焼け野原で瓦礫があちこちにある街のような場所。さっきリムル達が言っていた空襲とやらによる物だろうと想像できた。しかし、徐々に道が整備された物に変わっていき、露店が建てられ、しばらくすると巨大な塔が建てられたりしていき、人々は皆笑顔を浮かばている。

 

 イメージの中は夜に変わったが、街の明かりは夜なのに昼間だと勘違いしてしまうほどに照らしていた。

 

「すごい・・・・・」

 

「これがリムルが生きた世界か・・・・」

 

 俺とシズは思わずそう呟いた。

 

「俺も全部を自分で見たわけじゃないけどな。戦争が終わって、皆で復興して、経済も発展していったんだ」

 

「そっか・・・・こんなに綺麗になったんだね・・・・お母さんにも見せてあげたかったな・・・・」

 

「シズ?」「シズさん?」

 

「ううん。何でもない」

 

「とりあえず。俺はこっちでも同じように皆で楽しく暮らせる町を作りたいと思っている。それに向かって俺達も頑張っているんだ」

 

「こんな物を見せられたら、目指さない訳にはいかないな。これからも友として協力させてもらうぜ。リムル」

 

「おう。よろしくな!」

 

「そうだ。シズ。良かったらまたこの町に遊びに来てくれないか?」

 

「え?」

 

「そうだな。同郷のシズさんにここを第二の故郷と思ってもらえたら俺も嬉しい」

 

「・・・・ありがとう。きっとお邪魔する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リムルとジンに再来を約束した瞬間だった。

 

 

 ドクン!

 

 

 

 シズの心臓が大きく鼓動する。

 

(そんな・・・・まさか、もう!?)

 

「そういえば、シズさんを召喚したのって誰なんだ?」

 

「そういえばそうだな。人1人を別の世界から呼び出すなぞ、1人の人間でできるものではないはずだが・・・・」

 

「あの人は・・・・」

 

 シズは2人に心配をかけまいと、焦りを顔に出さないように質問に答える。

 

「この世界の頂点の一角・・・魔王、レオン・クロムウェル」

 

「「魔王!?」」

 

 その名を聞き、2人は驚愕の声をあげる。

 

(いるとは聞いていたが、思わぬところで名が出たな。しかもイケメンそうな名前だしムカツク)

 

(ヴェルドラの話では30人の魔法使いが3日もかけて召喚は行うとのことだったから1人でやる時点でどんな奴だと思っていたが・・・・まさか魔王だったとは・・・・)

 

 2人がこんな事を考えているうちにも、シズの心臓の鼓動はどんどん強く、激しくなっていく。

 

(早すぎる!!このままだと2人を巻きこんでしまう。早く離れないと・・・・)

 

 

 ドクン!

 

 

 しかし、すべて遅かったのだ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、シズ。さっき『最後の旅』だと言っていたが、あれってどういう・・・・シズ?」

 

 最初に異変に気付いたのは長年のハンター生活で勘が冴えていたジンだった。

 

「ランガ、エンカ、止まってくれ。リムル、シズの様子がおかしい」

 

「え?ちょっ、シズさん大丈夫か?顔色が・・・っ」

 

 その時だった。止まったランガから降りて顔を俯けていたシズはいきなりリムルをランガからはたき落す。

 

「!?」

 

「リムル!」「「主よ!」」

 

 急いでジン達はリムルの傍に駆け寄る。

 

「俺は平気だ。それより・・・」

 

「ああ。シズ・・一体どうしたんだ・・・・」

 

 リムル達が見る中、シズが立ち上がり、頭に乗せていた仮面が落ちる。

 

《 《対象の魔力が増大しました。警戒してください》 》

 

 2つのスキルは、それぞれの主人に警戒を呼びかけると同時に、シズを中心に炎が噴き上がる。

 

 彼女の眼は、赤く染まり、その瞳は白くなっていた。

 

(なんだよ、その殺気は・・・・)

 

(瞳といい、この膨大な妖気といい、さっきまでとはまるで別人じゃねぇか)

 

「おおい!リムルの旦那ー!ジンの旦那ー!」

 

 そこにカバル達三人組が町に方から駆けつけて来た。

 

「さっきなんかすげぇ火柱が見えたけど・・・げ!?あれ・・・シズさんか?何がどうなって・・・・・」

 

「・・・・ん?」

 

「どうしたのギド?」

 

「シズ・・・・シズエ?シズエ・イザワ?え、まさかあの・・・??」

 

 

 ・・・・・クイッ

 

 ボゴオオオオオオッ!

 

 

 するとシズは指を上に向けて曲げると、彼女が立っている場所を中心に小規模な爆発と火柱が立ち、ジン達は先程まで立っていた所から更に後ろに退避して炎を避ける。

 

 そして、その炎を見てギドは確信した。

 

「ま、間違いありやせん。彼女は『爆炎の支配者』シズエ・イザワ。その身にイフリートを宿す最強の精霊使役者(エレメンタラー)でやす・・・・!!」

 

「イフリートぉ!?Aランクオーバーの精霊じゃねーか!!」

 

「冗談でしょ!?伝説的英雄じゃない!!」

 

 三人がぎゃーぎゃー騒いでいる中、ジンが気になる事を言っていた。

 

(『相棒』。精霊ってなんだ?)

 

《解。精霊とは、世界に漂う自然エネルギーの欠片が寄り集まり、自我を持った存在です。現在個体名:シズエ・イザワがやどしている炎の巨人(イフリート)は、火属性の精霊の中でも上位に位置する精霊です》

 

(なるほど。理由はわからないがそのイフリートの力を放ち、シズは全力で俺達を殺す気になっているということか。そうなると村やリグルド達もそうだが、カバル達も危険だな)

 

「三人とも、ここは俺達に任せてここから逃げ「そんな訳にはいかねぇよ」・・・!」

 

 ジンが三人に逃げるよう言おうとするが、カバルがそれを止める。

 

「あの人がなんで殺意剥き出しにしてんのか知らねーが」

 

「あの人は俺達の仲間でやすよ」

 

「ほっといて逃げるなんてできないわよ!」

 

(・・・・・・彼女が言ってた通り、いい仲間達のようだな)

 

「わかった気をつけろよ」

 

 リムルは三人にそう伝えておく。

 

(さて、どう彼女を止めたものか・・・・・・・)

 

 ジンがそう思いながら背中に『狐刀カカルクモナキ』を顕現させ、構えた時だった。

 

「・・・・・・ハナ・・・・レテ・・・」

 

「「「「「!!」」」」」

 

「オサエキレナイ・・・・ワタシカラ・・・ハナレテ・・・・・」

 

 そう言うシズの背後に炎を纏った男がぼんやりと浮かび上がり始めた。

 

(抑えきれない・・・・?)

 

(そういえばシズさんは呪いだと言っていたけど・・・・)

 

(ひょっとして・・・・)(まさか・・・・!)

 

《解。現在、個体名:シズエ・イザワの意思に反して、魔力が急上昇しています》

 

《よって、個体名:シズエ・イザワと同化しているイフリートが、主導権を取り戻そうと暴走していると推測できます》

 

 彼等にとって最も頼れるスキル達が、主の求める答えを導き出す。

 

「なるほど・・・・」

 

「やはりそうか・・・・・心配するなシズさん。あんたの呪いは俺達が解いてやる」

 

「だから・・・後は任せてくれ」

 

 素早く動けるようにリムルとジンはそれぞれランガとエンカの背に乗りながらそう言う。

 

「・・・・オ・・・ネ・・ガ・・・イ・・・・・・」

 

 2人のその言葉を信じ、シズが目を瞑る。

 

「勝利条件は、イフリートの制圧とシズさんの救出だ」

 

向こう(モンスターハンターの世界)にいた頃の古龍討伐戦と比べたらまだ簡単な方さ。絶対に助けるぞ」

 

「はは・・・まさか、過去の英雄と戦う日が来るようとはね・・・・」

 

「人生、何が起こるかわかりやせんね・・・」

 

「「・・・・・・行くぞ・・・!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 どうも、邪神イリスです。

 ようやく地位向上編で個人的に1番盛り上がる所に入れました。感想で言われていた「オリ主空気じゃね?」を払拭できるように頑張ります。

 というかあれなんですよね。原作読んだりしていたらわかると思うんですけど。リムルってマジで万能すぎるんですよね。うちのオリ主は戦闘関連ならかなり活躍できるんですが、さすがにあの魔鋼を使った剣の量産なんて真似はできませんしね。家だって簡易的なテントぐらいしか作ったことないですし、回復薬は・・・・・材料さえあればいけるかな?まぁ、この辺りは現在要検討中です。

 原作死亡キャラも展開によっては生きれるなら生き残らせるか、原作通り死なすかも悩みどころです・・・・


 さて、次回はいよいよイフリート戦。ちゃんとした戦闘描写ができるよう頑張らせていただきます。

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