転生してもハンターだった件   作:邪神イリス

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初陣

 

 

「こ、こいつら、自分の仲間を喰ってやがる・・・・」

 

仲間の死体に群がり、貪るように死体を食べ始めるオーク。

その姿を見たリザードマン達に動揺が広がる。

 

歴戦の勇士であるリザードマン戦士団にとっても、忌避すべき光景。

 

一人の戦士がその光景に怯え、後ずさった瞬間、その一瞬の隙を見逃さず、オーク兵がその戦士の足を掴んで自分達の方に引き寄せた。

 

「うわあああぁっ!?た、助けてくれええっ!ガ、ガビルさm、ぎゃああああっ!!」

 

そのままリザードマンはオーク兵に飲み込まれ、生きたまま四肢を裂かれ、喰われて殺された。

 

「退却だ!急げ!」

 

仲間の断末魔を聞きながらも、乱れてしまった陣形を整えるため、ガビルは一時後退を指示した。

 

 

 

しかし・・・・・・

 

 

 

「ガビル様!回り込まれちゃったよ!」

 

「なに!?」

 

ガビルが指示した時には、すでに手遅れだった。オーク軍は先程までとは打って変わった素早さで左右に展開し、リザードマンの戦士団を包み込んでしまい、退路がなくなってしまった。

 

「(何が起こった!?明らかに奴らの動きが素早くなっている・・・!!・・・・ん?)」

 

ガビルが迫りくるオークの手足をよく見ると、先程までとは明らかに違う特徴が出来ていた。

 

「(馬鹿な!?オークの身体に水かきと鱗だと!?それではまるで・・・・まるで我らと同じではないか!?)」

 

そう、それはまさしくリザードマンの特徴であった。

 

「ガビル様!さっき仲間が1人喰われた!」

 

「然り。そこから奴らの動きが変わった!」

 

「(まさか・・・・・・喰うことによって我らの能力を・・・!?)」

 

ガビルは知らなかったが、それこそが『飢餓者(ウエルモノ)』の能力の一つ、『食物連鎖』だった。

ある程度の割合で喰った相手の能力・身体的特徴を吸収し、自らの支配下にある者へと還元(フィードバック)させるのだ。

群れであると同時に一個の個体でもある。牙狼族の性質とは異なるが、群体と化すことも『飢餓者』の特徴であった。

 

だからこそ、リザードマンの首領は戦死者が出る事を極端に嫌っていたのだ。

 

「(くそ!このままでは全滅だ!一度立て直す必要がある!)密集隊形!ゴブリン隊を中央に、隙無く固まれ!ゴブリン隊を守りつつ、オークの包囲を突破する!」

 

リザードマン戦士団は一斉に防御態勢を取った。

 

「(我らだけなら逃げ切れたかもしれないが、ゴブリン共をここまで連れて来た事が裏目に出てしまったか・・・!)」

 

そしていよいよ、包囲網を突破する為に動き出そうとした時だった。

 

オーク軍の先頭に、一際大柄なオークが姿を現した。

 

黒い全身鋼鎧(フルプレートメイル)を纏い、右手に両刃斧、左手に大盾を装備しているそのオークは、圧倒的な存在感を持っていた。

 

「(なんと凄まじい妖気であるか!!間違いない。奴がそうだ!)そこのオーク!」

 

ガビルは声を張り上げ、その大柄なオークを呼び止めた。

 

「一目見てわかったぞ。貴様が豚頭帝であるな?我が名はガビル!リザードマンの首領である!我輩と一騎打ちを「(ロード)ではない」・・・・・は?」

 

名乗りを上げようとしたガビルだったが、その大柄なオークにあっさり否定されてしまい、思わず呆気に取られてしまった。

 

「我は豚頭将軍(オークジェネラル)豚頭帝(オークロード)様の腹心の1人だが、強さでは足元にも及ばぬよ」

 

豚頭将軍(オークジェネラル)と名乗ったオークの言葉に、ガビルは絶句した。

 

「(オークロードではない・・・?これほどの力を持ちながら、足元にも及ばぬだと?では・・・・・一体どれほどの化物だというのだ。本当のオークロードは)」

 

「一騎打ちだったか?面白い。受けてやろう」

 

「・・・・・・感謝する」

 

ガビルは、その言葉を聞いて覚悟を決めた。

 

自分が死ぬ事に対してではない。このオークに背を向ける事は、同胞を見捨てる事と同義であるからだ。

 

「では、参る!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(―――なんということだ・・・・・)」

 

リザードマンの首領は、ソウエイの言葉を思い出していた。

 

「(『背後にも気を付けろ』・・・あれはこういった事態になることを警告していたのだ。ガビル(あやつ)にもっと、オークロードの恐ろしさを語って聞かせておくべきだった・・・・)」

 

正確には、話していなかった訳ではなかったが、具体的な恐怖の逸話を話していなかったのだ。これは、首領自身が過去の話として重要視してなかった為でもあった。

 

「(・・・いや、今更そんなことを言っても詮無きこと。今は儂のすべきことを考えるべきだ)」

 

現在、首領や親衛隊長たちがいる部屋は、非戦闘員である女子供老人を避難させるために用意されており、後ろには、万が一の為の脱出用の通路があった。

今のうちに少しずつでも非戦闘員は脱出させておくべきだろうが、森へ逃げたとしてもオークに発見されるのは時間の問題。

 

それ以前に、無事に逃げおおせれたとしても、今後の生活が成り立つとは思えない。

 

故に、首領は逃げ出せと言う命令が下せないでいた。

 

「!首領、通路の先から血の匂いが・・・・」

 

「・・・・来たか」

 

突如、通路から漂い始めた血の匂い。つまりそれは、通路に展開している部隊が何かと交戦しているということ。

 

首領はその事を予測しており、冷静に状況を分析していた。

 

「親衛隊長、よく聞け。そなたに密命を与える」

 

首領が親衛隊長にそれを伝え終えるとほぼ同時に、通路の入り口に巨大な手が掛かった。

 

「こぉんなとこに隠れていやがったかぁ、トカゲ共めぇ」

 

現れたのは、黒い鎧を纏った、オークジェネラルだった。その後ろには、他にもオークの兵士が10匹程控えていた。

 

「女子供は下がっておれ!」

 

首領と共に、戦士達がオークの前に立ちふさがる。

 

「無駄だよぉ。どうせ全員オークロード様への供物となるのだぁ!!」

 

オークジェネラルが巨大なバトルアックスを振り回し、近くにいたリザードマンの戦士を一撃で葬る。

 

首領は倒れた戦士の槍を拾いながら、親衛隊長にアイコンタクトを送る。

 

「(行け!)」

 

「・・・ッ!!」

 

親衛隊長は頷くと、避難通路から外へ走り出した。

 

「品のない豚の割にはなかなかに手応えがありそうではないか。相手にとって不足無し!」

 

首領は手にした槍を握り締めると、オークに向けて突進していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーク達との決戦の舞台となる湿地帯へと、町を出発してから三日が経った。嵐牙狼族(テンペストウルフ)炎牙狼族(インフェルノウルフ)のお陰で、今のところ道のりはかなり順調だ。この調子で行けば、遅くとも明日の昼過ぎ頃までには目的地に到着出来るだろう。

 

「リムル。日もだいぶ暮れてきたし、今日はこの辺で野営にしよう」

 

「そうだな」

 

俺の提案にリムルが同意し、進軍を中断して皆で野営の準備を始める。

 

今回連れて来たメンバーは、ベニマル。ハクロウ。シオン。ヒヨ。アワナミ。先行して偵察中のソウエイ。それにランガにエンカと、ゴブタを隊長とした、狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)100組だ。因みにシュナやリグルド達には村を任せてある。

 

40万もの軍勢を相手にこの戦力は少ないだろうが、なにも真っ向から全ての敵を相手取るわけではない。

俺とリムルの狙いはオークロードただ一人。ベニマル達にはそこまでの梅雨払いをしてもらうつもりだ。

 

それと、リムル達はシュナやクロベエ達が用意してくれた新しい武器や服を着ており、俺もいつでも戦闘が出来る様に、レウスSシリーズと飛竜刀【藍染】を装備している。

 

『リムル様。ジン様』

 

皆と共に野営の準備を進めていた時、ソウエイから俺とリムルに『思念伝達』が届いた

 

『ん?なんだ、ソウエイ』

 

『オークの動きか何かを掴めたのか?』

 

『いえ、交戦中の一団を発見しました』

 

交戦中の一団?

 

『詳しく教えてくれ』

 

『はい。片方はリザードマンの首領の側近。交渉の折に見かけた覚えがあります。もう片方はオーク達ですね。上位個体と思しき一体と、その取り巻き50体ほどです。どうやら自分の力を誇示するつもりのようで、上位個体が1人でいたぶっています』

 

『そのオーク達にお前は勝てそうか?』

 

『容易いことかと』

 

リムルの問いに即答するソウエイ。しかし、簡単に言いすぎではないだろうか。まあ、ソウエイの実力なら本当に可能だろうけど。

 

『よし分かった。首領の側近がやられそうになったら助けてやってくれ。俺達も今からそちらに向かう』

 

『御意』

 

さてと、これで何か状況がわかればいいんだが・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャリィィィィン!!

 

 

「かはっ!」

 

持っていた槍で攻撃を受け止めようとした親衛隊長だったが、オークジェネラルの半月刀はそれをあっさりと切り裂き、そのまま親衛隊長を吹き飛ばした。

 

「(なんてパワーだ・・・!この傷は・・・致命傷か・・・・)」

 

親衛隊長は自分の死を覚悟した。

 

「おい、なんだよ。もう終わりかぁ?つまらんな」

 

オークジェネラルは倒れ伏す親衛隊長を見下ろし、ニヤニヤと笑みを浮かべながら、剣先で軽くつつく。

 

「もう殺っていいんじゃないすか?」

 

「は、早く喰いてぇよ」

 

取り巻きのオーク達の声が聞こえてくる。

 

「飽きてきたってよ。そろそろ〆時みたいだな」

 

「(父上・・・・兄上・・・・・申し訳ありません。私はもうここで・・・・)」

 

目を瞑り、親衛隊長は最期の瞬間を待つ。だがその時────

 

「な、なんだ貴様は!?突然現れやがって、獲物の横取りでもしようってのか!?」

 

親衛隊長が目を開けてみると、そこにはソウエイの姿があった。

 

「ソウエイ殿・・・・」

 

「勝手に死なれては困る。リムル様たちがお前に事情を聞きたいそうだ」

 

「そこをどけええええ!!」

 

オークジェネラルは半月刀を振るってソウエイに斬りかかる。しかし、それよりも速くソウエイは二振りの忍者刀でオークジェネラルを切り裂いた。

 

「ぐああああああああっ!!!」

 

親衛隊長が啞然とする中、ランガとエンカの影移動でやって来たジンとリムルが親衛隊長に近寄る。

 

「大丈夫か?君がリザードマンの首領の側近だな?」

 

「え、えぇ・・・」

 

「これを飲め。大丈夫、回復薬だ」

 

リムルが親衛隊長に回復薬を飲ませる。すると、一瞬で怪我が治る。

 

「これは・・・!?致命傷だと思ったのに・・・あなた達は一体・・・」

 

「俺はジン=テンペストだ」

 

「で、俺がリムル=テンペスト。リザードマンとの同盟のため、会談に参加するべくここに来た。よろしくな」

 

「・・・っ」

 

「それでソウエイ。上位個体のオークはまだ生きてるのか?」

 

「はい。何かしら情報を持っているかと思い、急所は外しました」

 

「さすがソウエイ、わかっているな」

 

オークジェネラルは深手こそ負っていたが、ソウエイの言う通り、まだ息があるようであった。

 

「それじゃあ、ちょっと話を聞いてみるか」

 

そう言ってジンはオークジェネラルに近寄り、尋問を開始しようとするが。

 

「ぐぐぐ・・・あえて急所を外しただと?負け惜しみを・・・・・」

 

立ち上がったオークジェネラルは半月刀を構えて妖気を立ち昇らせる。

 

「貴様程度の非力な腕ではこの俺には通じぬだけよ。主の手前、格好つけたかったのか?残念だったな!オークロード様より授かったこの偉大な力を前に貴様らは敗北────「痴れ者め」は?」

「あ、おい。そいつからは情報を────」

 

オークジェネラルがベラベラと喋っているところへ、ソウエイが止める間もなくシオンが大刀を振り下ろす。

 

「リムル様たちを前に不敬ですよ!」

 

その言葉と共に一閃が放たれて轟音が響き、オークジェネラルは跡形も残さず消滅した。

 

「リムル様、ジン様!愚か者に罰を与えておきました!」

 

「お、おう・・・ありがとう・・・(愚か者はおまえだってのもーーーっ!)」

「(姉さん・・・・)」

「(うーむ、本人に悪気がないのが何ともな・・・・)」

 

褒めてほしい雰囲気と表情をするシオンに、リムル達は内心頭を抱える。

 

リムル達がオークジェネラルに対して何もしなかったのは、ベラベラと喋らせて少しでも多くの情報を引き出したかったからなのだ。それを邪魔された上に、貴重な情報源を殺してしまったのだ。

 

「・・・・はっ!!気を付けて!まだヤツの取り巻きが───!」

 

あまりの突然の出来事の連続に啞然としていた親衛隊長だったが、ハッとして危険を知らせようとするが・・・・

 

「手応えががなさすぎで御座る」

 

「暇つぶしにもならなかったぜ」

 

既に取り巻きはベニマル、ヒヨ、ハクロウ、ゴブタの四人が殲滅していた。

 

「(この方達ならば・・・・)」

 

親衛隊長は首領からの密命を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そなたに密命を与える。こうなった以上、我らの滅亡は避けられんだろう」

 

「だが、身内の過ちに他を巻き込むわけにはいかん」

 

「お前はソウエイ殿を探し、この事を伝えるのだ」

 

「お前の双肩に、リザードマンの最後の意地と誇りが掛かっている・・・・頼んだぞ・・・娘よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(言いつけに背くことをお許しください、父上!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願いがございます!」

 

突然、親衛隊長が(ジン)たちに平伏して来た。

 

「どうか、わが父たる首領と、兄たるガビルをお救い下さいませ!!」

 

かなり切羽詰まった様子だ。

 

「ふむ。理由を聞こうか。何かあったのか?」

 

「・・・・兄ガビルが謀反を起こし、父を幽閉したのです。兄は自らの力でオーク軍を退けるつもりです。ですが・・・兄はオークロードの力を甘く見ており、このままでは敗北し、リザードマンは滅亡することになるでしょう・・・・」

 

「虫のいい話であることは重々承知しております。しかし!力ある魔人の皆様を従えるあなた様方の慈悲にすがりたく!どうか・・・何卒我等をお救い下さい!!」

 

必死に懇願する親衛隊長。その顔には涙が流れている。

 

そんな彼女にシオンが近寄り、肩に手を掛ける。

 

「よくぞ申しました!リムル様とジン様の偉大さに気づくとは・・・貴女は見所があります。貴女の希望通り、リザードマンは救われるでしょう」

 

「え、でも・・・リムル様とジン様はまだ何も・・・・」

 

おいおい・・・・それでいいのかシオンよ・・・・見ろ。アワナミもあきれた様子で頭を抱えてるじゃないか。

 

「姉さん・・・勝手に決めないでください」

 

「何を言っているんですか?リムル様とジン様の力があれば、オーク如き簡単に蹴散らせるではないですか」

 

いや、確かにさっきの連中程度なら軽くやれるから、それはそうなんだけどな?

 

「まぁ、元々オークと戦うつもりだったから仕方ないか・・・」

 

「そうだな。えっと・・君は首領の娘さんだっけ?」

 

「は、はい!」

 

リムルの言葉にコクコクと首を縦に振る。

 

「では、君を首領の代理と認める」

 

「ここで同盟を締結することに異論はあるか?」

 

「い、いえ!異論など!」

 

「なら決まりだな。同盟は締結された。リザードマンの首領の救出はソウエイ。お前に任せるぞ」

 

「御意」

 

リムルに命じられると同時に、ソウエイは影移動でその場から消える。

 

「さて、俺達は湿地帯に向けて進軍を続けるぞ!」

 

「「「「おおーっ!!!!」」」」

 

こうして、リザードマンとの同盟が交わされた。

 

戦場である湿地帯に到着するまで、もう間もなくである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、森のとある場所に、二つの人影があった。

 

「よっしゃ!よっしゃ!いい感じに計画が順調に運んどるなぁ!なぁ?ゲルミュッド様!」

 

「うむ」

 

一人は、ガビルと話していた道化の男、ラプラス。もう一人は、ペストマスクのような仮面にシルクハットを被った男、ゲルミュッド。

 

ゲルミュッドの手には、人の頭ほどの大きさの水晶玉があり、そこには戦場の様子が映し出されていた。

 

この水晶玉は視覚共有して映像を映し出す高価な魔法道具(マジックアイテム)であり、それぞれにオークジェネラル三体を登録し、戦場の様子を盗み見していたのである。

 

豚頭帝(オークロード)の出現は予想外だったが、同時に幸運だった。豚頭帝(我が子)が森の覇権を手に入れる日も近いだろう・・・!そうすれば俺の野望も「なかなか楽しそうな話をしていますね」!?な、何者だ!」

 

突然背後に現れた人物に驚きながらも、即座に攻撃体勢に移る二人。

 

「わたくしの名はトレイニー。この森での悪巧みは見逃せません」

 

そこに現れたのはトレイニーだった。

 

「こりゃヤバいでゲルミュッド様。森の管理者(ドライアド)や」

 

「何だと!?」

 

ゲルミュッドは思わず後退る。

 

「御名答。それで、何を企んでいるのか話してくださいませんか?」

 

「いやーその辺は守秘義務とゆうか・・・・」

 

笑みを浮かべて問い掛けるトレイニーに断ろうとしたラプラスだったが・・・・・・

 

「そうですか。では、もう用はありませんので、森を乱した罪としてあなた方を排除します」

 

「はぁ!?」

 

「精霊召喚:風の乙女(シルフィード)

 

トレイニーは羽の生えた女性の姿をした風の精霊、シルフィードを召喚する。

 

「待て待て待て待て!気が早すぎやろ!?」

 

「断罪の時を罪を悔いて祈りなさい。大気圧縮断裂(エアリアルブレード)!!」

 

慌てるラプラスを無視して、トレイニーは無慈悲に命令を下す。

 

精霊と同化したことで無詠唱で瞬間的に発動した魔法により、大気の断層が2人を包み込む。

 

「ちょ!マジかいな!」

 

ラプラスは寸でのところでゲルミュッドを庇うが、代償に右腕を切り飛ばされる。

 

「お、おい腕!!」

 

「めっちゃくちゃしよるなアンタ。問答無用かいな・・・・・・まぁ、後はもう成り行きを見守るだけやし、ワイらはお暇させてもらうわ。ほな、サイナラ!!」

 

ラプラスは煙玉を使い視界を奪う。

 

巧妙にも様々な脱出手段を用意していたらしく、煙が晴れたときには2人の姿はなかった。

 

「逃げられましたか・・・・・・・・状況は思わしくありません。リムル=テンペスト。ジン=テンペスト。豚頭帝(オークロード)の討伐。信じていますよ」

 

2人が消えた場所を見ながら、トレイニーは一人呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リザードマンが圧倒的に不利だな。シミュレーションゲームなら詰んでいるぞ。コレ」

 

「そうだな・・・・ところでリムル。そのシミュレーションゲームってのはなんだ?お前の世界にあった何かか?」

 

「あぁ・・・それはまた今度教えるよ」

 

湿地帯に到着した(リムル)達は、上空から戦場を見下ろしていた。いやぁ、『大賢者』さまさまだな。こんな簡単に空を飛べるようにしてくれるなんて。

因みにジンも、俺が吸血蝙蝠(ジャイアントバット)の羽を部分擬態しているように、着ている鎧と同じ赤い鱗の生えた翼を広げて飛んでいる。

 

さて、こんな絶望的な状況でもリザードマンが全滅していないのは、ひとえにガビルが頑張っているからだろう。

 

部下達を奮い立たせながら、果敢にオークジェネラルとの一騎打ちを行っている。ただのお調子者だと思っていたが、なかなかどうして、いい根性をしているじゃないか。

 

だが、オークジェネラルとは地力の差が大きいようで、徐々に追い詰められている。

 

「エンカ。ランガたちと一緒にガビルの救援を頼む。そろそろ持たなそうだ」

 

ジンがエンカに念話で指示を飛ばす。これでガビル達は大丈夫だろう。

 

『リムル様。それでは俺たちは好きに暴れさせてもらいますよ?』

 

俺の思案をよそに、ベニマルが念話で聞いてきた。

 

『ああ。任せる。お前ら達の力をみせつけてやれ』

 

『了解!』

 

俺の言葉に嬉しそうな返答が届き、5人は一斉にオークへと向かって行く。

 

後は首領のほうだけど・・・・まぁ、ソウエイに任せておけば大丈夫だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおっ!!」

 

劣勢の中、ガビルはオークジェネラルを相手に挑み続ける。

 

渦槍水流撃(ボルテクスクラッシュ)!!」

 

ガビルの持つ水渦槍(ボルテクススピア)が、回転しながら水の竜巻を発生させ、オークジェネラルへと突き進む。

 

「ふん!」

 

対するオークジェネラルはバトルアックスから逆回転の竜巻を発生させて相殺する。

 

混沌喰(カオスイーター)!!」

 

オークジェネラルから禍々しい妖気(オーラ)が実体化して、ガビルへと襲い掛かる。

 

「(コイツら・・・吾輩を喰おうというのか・・・・!)」

 

ガビルは実体化した妖気の攻撃を躱しながらオークジェネラルへと一気に加速して迫る。

 

「でりゃああああああ!!」

 

しかし、渾身の一撃は盾であっさりと受け止められ、逆に反撃を受けてしまう。

 

「ぐあっ!!」

 

吹き飛ばされたガビルだったが、なんとか受け身を取る。

 

「この程度か? 蜥蜴は地面に這い蹲っているのがお似合いだ。死ねぇ!」

 

そこへ、オークジェネラルがトドメを刺そうとバトルアックスを振り下ろす。

 

「よっと!」

 

その時、突然現れた黒い影が、振り下ろされた斧を止める。

 

「ぬぅ! 何奴!」

 

突然の攻撃に驚くオークジェネラル。

 

助けられたガビルの目に飛び込んできたのは、自分を負かしたホブゴブリン、ゴブタだった。

 

「貴殿は・・っ!あの村の真の主ではないか!?」

 

「(・・・・・主?何言ってんすかこの人)」

 

ゴブタが呆れた表情になるのも無理はなかった。

 

「もしや、助太刀にしてきてくれたのであるか?」

 

「あれは、狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)の隊長、ゴブタだ」

 

「!?牙狼族のっ・・・!」

 

続いて現れたのは、ランガとエンカの二頭だった。

 

「我が名はランガ。こっちは妹のエンカ。リムル様とジン様の命により、助太刀に来た」

 

「いかにしてここまで・・・・・・」

 

「影移動です。学んでないのですか?」

 

呆れた表情を浮かべるエンカ。

 

そんな彼らをオークジェネラルは少しばかり警戒する。

 

「グググ・・・・リムル?ジンだと?何処の馬の骨かは知らないが、邪魔をするなら容赦は──」

 

突然、轟音と共にドーム状の黒い炎がオーク軍の一部を包み込む。

 

「おおっ!!始まったっすね」

 

その光景を見ていたゴブタが吞気にそう呟く。

 

「(何が起きた!?リザードマンの大魔法か?蜥蜴ごときが多人数による儀式魔法を使えるとは・・・!早々にケリをつけ、あの大魔法を操る者共を始末せねば!)」

 

そう考える、オークジェネラルがゴブタ達へと振り返ると・・・・・

 

「なにぃ!?いつのまに増えた!?」

 

少し目を離した隙に、『影移動』で移動した狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)が勢揃いしていた。

 

「ええっと、ガビルさんでしたっけ?さっさと態勢を立て直して、防御陣形を整えるっすよ」

 

「う、うむ。わかったのである。しかし・・・・あの黒い炎は一体・・・・」

 

「心配ないっすよ。オイラも初めて見たけど、味方の術っすから」

 

その黒炎の発生源には、5つの人影が、オーク達の前に現れていた。

 

「き、貴様ら何者だ!?」

 

「覚えていないのか?非道いな。里を散々喰い散らかしてくれたじゃないか」

 

その中の一人、ベニマルがオーク達を見据えて、不敵な笑みを浮かべる。

 

「その角・・・まさかオーガか!?」

 

「どうかな?今は少し違うかもしれないな。もう一度言う。道を開けろ豚共。灰すら遺さず消えたくなけらばな」

 

その言葉とともにベニマルは再び黒炎を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、そんな状況下でも、オークジェネラルは冷静であった。

 

「フハハッ!トカゲ共を助けに来たようだが、無駄なこと!貴様らは所詮、ゴブリンに犬畜生!どこぞの木っ端魔物の配下が加わったところで、豚頭帝様に勝てるわけがないのだ!!」

 

「何だと!」

 

リムルとジンを木っ端呼ばわりされて、ゴブタ達がキレる中、静かに怒りを露わにする二頭が居た。

 

「では見せてやろう・・・!」

 

「後悔しても遅いですからね・・・?」

 

ランガとエンカが力を解放すると、同時に空に暗雲が垂れ込める。

 

そして、激しい雷鳴が鳴り響くと共に、巨大な竜巻と黒い稲妻が発生。

さらに、青い火の粉が舞ったかと思うと、地面に着火し、青い炎の柱が吹き上がる。

 

『黒稲妻』と『風操作』を併用したランガの広範囲攻撃技『黒雷嵐』と、名付けにより会得した、『炎妃龍 ナナ・テスカトリ』のヘルフレアの劣化版を使えるエクストラスキル『蒼炎』と『炎熱操作』を組み合わせた連携による、エンカの広範囲攻撃技『咲き乱れる炎(ヘルフレアウォール)』。

 

二つの合わせ技により、オーク達はこれまでの自分達の立場とは逆に次々に殺戮されていく。

 

「バカな・・・!」

 

驚愕するオークジェネラルだったが、次の瞬間には、周囲のオーク兵達諸共、その肉体を焼き尽くされていた。

 

その一部始終を見ていたリムルは、あまりの規格外さにドン引きし、逆にジンは、更なる力を手に入れた二頭に関心の表情を浮かべていた。

 

 

 

ウォーーーーーン!!!

 

 

 

天まで届く程の遠吠えを上げると、二頭の身体は先程までより一回り大きくなり、角が二本に増えていた。

 

黒嵐星狼(テンペストスターウルフ)』と、『蒼炎華狼(インフェルノブロッサムウルフ)』である。

 

その姿と威圧感は、『飢餓者』の影響によって心が鈍化しているオーク兵たちですら、恐慌状態に陥ってしまうほどであった。

 

「よく見ましたかオーク共」

 

「これが貴様らが木っ端と侮った御方の力の一端だ」

 

「(もう吹っ飛んじゃったすけどね、オーク達・・・・)」

 

『おい、ゴブタ!』

 

ゴブタが内心でそう呟くと同時に、ベニマルからの念話が入る。

 

『あ、なんすか?』

 

『まだオーク共を全滅させたわけじゃないぞ。ランガとエンカの姿にビビっている今が好機だ』

 

「『了解っす!!』ガビルさん!左右からオークの残党を片づけるっすよ!」

 

「心得た!」

 

そのままゴブタ達は、オーク軍との乱戦を繰り広げ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、世話の焼ける。そら」

 

ベニマル達もまた、次々とオーク兵を殲滅していた。

 

「やっぱり手応えのある奴はいないな。どうする?あとはゴブタ達に任せるか」

 

「ほっほ、御冗談を。リムル様とジン様の華々しい勝ち戦の最初の一戦目」

 

「調子に乗るナ!」

 

油断していると判断したオークの1人が、ハクロウへ背後から斬りかかる。が・・・・

 

「!こいっ―――!」

 

 

 

 

パァンッ!!

 

 

 

 

ハクロウは仕込み刀で軽々と受け流し、オーク兵を切り刻む。

 

「我らが活躍せぬわけにはいきますまい?」

 

「ですね。すぅっ―――!」

 

シオンは剣に有り余る闘気を纏わせ、振り下ろすと、その衝撃だけで前方にいた数十人のオーク兵が吹き飛んだ。

 

「では、兄上。拙者とアワナミは、向こうのオークを始末してくるで御座る」

 

「ああ。頼んだぞヒヨ」

 

「承知!いくで御座るよ、アワナミ」

 

「ええ!」

 

槍使いであるヒヨは動きを阻害しないように足を守るための軽鎧をスカートのように身に着け、胸周りにも、腕の動きを阻害しないような防具を着けている。そして、腰には短めの日本刀を差しており、長い髪をポニーテールにして纏めていた。

 

アワナミは近接格闘を得意としているため、両腕にガントレットを、両脚には軽くて頑丈なソルレットを装着している。服装はシオンと同じパンツスーツで、色が淡藤色となっている色違いバージョンであった。

 

二人は、それぞれ別の方向に飛び出すと、ヒヨはオークの一軍に狙いをつけ、勢い良く地を蹴る。

 

「ふっ!」

 

短い呼気と共に、突き出された槍は、一瞬前まで確かにそこに居たオーク兵の心臓を正確に貫いていた。

そして、そのまま穂先を回転させると、横に薙ぎ払うように槍を引き抜く。

 

血を吹き出して倒れるオーク兵。

 

だが、それを確認する事なく、即座に次の標的へと鋭い視線が向けられたと思うと、喉笛を斬り裂き絶命させる。

 

すれ違いざまに的確に心臓や喉を貫き、斬り裂いていくヒヨ。

 

その光景を見た他のオーク兵達は、慌てて逃げ出そうとするが、既に遅かった。

 

逃げる先には、ヒヨの相棒であり護衛役でもあるアワナミが立ち塞がり、その拳を振り下ろしていた。

 

「ぐべぇ!」

 

ドゴッと音を立てて地面にめり込むオーク兵。

 

「逃がさないわよ。覚悟しなさい」

 

「オーガ風情が!」

 

怒りの形相を浮かべたオークが、手にした斧を振るうが、その攻撃はアワナミに掠る事すら無かった。

ヒラリと身を翻して避けるアワナミ。そのまま、お返しとばかりに強烈な回し蹴りを放つ。

咄嵯に盾で防御するオークだったが、逆に盾ごと一撃で全身の骨を砕かれ、絶命する。

 

シオンの妹であるアワナミは、里では腕相撲で勝てなかったのがシオンだけという程の怪力の持ち主。

 

一発一発に殺意を込めたその一撃は、まさに必殺。たとえ鎧を着ていようが、盾を構えようが、まともに当たれば、並大抵の存在では即死は免れないという威力を誇る。

 

鬼人達にとって、既にオーク兵達など、障害にすらなっていなかった。

 

さらに、そこへ、リムルからの『思念伝達』で俯瞰情報を得たベニマルが中心となって指揮を行っている。

 

圧倒的だったはずのオーク軍は、見る間に数を減らしていった。

 

一方、首領が戦っている部屋には、ソウエイが到着していた。

 

「来てくれたのか・・・ソウエイ殿・・・・!」

 

槍も折れ、ボロボロの状態の首領に、ソウエイが歩み寄る。

 

「父上!」

 

そこへ、親衛隊長も駆け寄り、リムルから預かった回復薬を与える。

 

「傷が・・!しかし、何故ソウエイ殿が・・・」

 

「同盟は締結された」

 

「!?それはどういう・・・」

 

「私を首領の代理と認めてくださったのです。援軍は来ます。まだ諦める時ではありません!・・父上!」

 

「何と・・・!(リザードマンは・・・助かるのか・・・!?)」

 

驚愕に目を見開く首領。

 

そんな中、ソウエイの背後から襲い掛かろうとする豚頭将軍(オークジェネラル)に気付く。

 

「!!、ソウエイ殿!(しまった!オークジェネラルが!使者殿を死なせたとあっては、先方の主殿に顔向けできん!!この身を盾にしてでも―――!)」

 

慌ててソウエイを庇おうとする首領だったが、ソウエイは余裕の態度で、後ろ指でオークジェネラルを指差す。

 

「心配はいらない。既に動けなくしてある」

 

見ると、オークジェネラルは武器を構えた態勢で動きを止めており、よく見れば、細い糸がオークジェネラルの体に巻き付いていた。

 

その光景に思わずポカンとしてしまう首領。強力なオークジェネラルが成す術もなく動きを止められたのだから、無理もないだろう。

 

「しかし、残念だ。何か情報を引き出せないかと思っていたが、コイツには情報共有の秘術がかけられているようだな」

 

進化して会得したソウエイが持つエクストラスキル『観察眼』は、魔素の僅かな揺らぎも捉え、相手の能力や状態を把握する事が出来るのだ。

 

「手の内を晒してこちらの情報をくれてやる義理はない。とはいえ・・・このまま殺すのではもったいない・・・・そうだな。お前には伝言役を頼もうか」

 

そこへ、オークジェネラル配下のオーク10体がソウエイへと殺到する。

 

だがソウエイは慌てる様子も無く、右手を軽く振って、ネルスキュラの糸を組み合わせて強度が上がった、細く張り巡らされた『粘鋼糸』でオーク達の体を絡め取ると、そのまま鎧ごと斬殺した。

 

「ぐべっ!!」

「うぎっ!」

 

断末魔の叫びを上げることすら出来ず、崩れ落ちるオーク達。

 

その光景に、息を飲む首領と親衛隊長。

 

「(あぁ・・・儂の判断は・・・この同盟を受け入れるという判断は正解だった)」

 

オークを蹂躙するソウエイの姿を見て、それを実感する首領。

 

そして、その場にいたオーク兵を全滅させたソウエイは、オークジェネラルに歩み寄りながら、オークジェネラルを通してこの光景を見ているであろう存在に告げた。

 

「さて・・・見えたか?オーク共を操る者よ。次は貴様の番だ。オーガの里を滅ぼし、鬼人を敵に回したこと。せいぜい後悔するがいい」

 

直後、オークジェネラルは跡形もなくバラバラに切断された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ共が!役立たずめ!!」

 

その豚頭将軍(オークジェネラル)を通して戦況を見ていたゲルミュッドは、オークジェネラルが死亡したことで見えなくなった水晶玉を、激情のままに地面へと叩きつける。

 

「(鬼人だと!?ゲルドには俺の名付けを断りやがったオーガ共の里を真っ先に襲わせたが、まさか生き残りが進化したとでもいうのか!?それにあの獣だ!ジュラの森にあんな化物がいたなど聞いてないぞ!!俺の知らぬところで一体何が起こっているというのだ!!)」

 

中庸道化連との契約は終了しているため、後は自分一人で何とかするしかない。いくつかのイレギュラーこそあったが、計画の完了まで目前だった。それが、一時間足らずで一気に瓦解してしまった事に、激しい怒りと焦りを感じる。

 

「(まずい・・何とかしなければ!!もしも計画が潰れてしまったら・・・!このままでは俺が・・・・・俺があの方に殺されてしまう!!)」

 

そう考えたゲルミュッドは飛行呪文を唱えると、形振り構わず湿地帯へと向けて高速で飛翔した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲルミュッドが飛び立ってすぐの頃、とある城の豪華な部屋で、一人の男が、ワインを片手に外の景色を眺めていた。

 

「いやー、まいったまいった。いきなり人の腕を斬り飛ばすとか、非常識な姉ちゃんやで」

 

その声を聞いた男は笑みを浮かべると、振り向きながら声の主に語りかけた。

 

「笑わせるな。その程度、君にしてみれば大したことはないんだろう?――――――ラプラス」

 

そこには、トレイニーに片腕を斬り飛ばされたはずのラプラスの姿が、五体満足な様子で立っていた。

 

「まぁな。せやけど、懐の水晶が割れたらどないしよかと思たわ」

 

そう言いながら、ラプラスは懐から一つの水晶玉を取り出す。

 

「それは困るね。私もそれを楽しみにしていたんだ。だけど、君が不覚を取るなんて、万が一にも有り得ないだろう?」

 

「買いかぶりすぎや。ワイだってたまにはミスくらい犯すんやで。それよりホレ。視覚の主はゲルミュッド。そろそろクライマックスやで」

 

「見せてもらおうか」

 

男が水晶玉を見ると、そこには、一体のオークが映し出された。

 

「これは豚頭皇帝(オークロード)か」

 

「せや、湿地帯のど真ん中や」

 

「ということは、ゲルミュッド自ら戦場に降り立ったという事か。手出しは厳禁だというのに、使えん奴だ」

 

「まぁまぁ。お、ホラもう2人出て来たで」

 

ラプラスに促され、男が視線を向けると、水晶玉に映っている映像が切り替わり、2人の魔人・・・リムルとジンが映し出された。

 

「・・・・・前言を撤回しよう。ゲルミュッドのおかげで、面白いものがみられそうだ」

 

男は先程までとは打って変わって、楽し気な表情を浮かべる。

 

「へーえ・・・・十大魔王が人柱。『人形傀儡師(マリオネットマスター)』クレイマンに、そこまで言わせるとはねぇ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 




どうも、お久しぶりです。邪神イリスです。

大変遅れて申し訳ございません。
大学に入学してからバイトなどで忙しかったり、執筆のモチベーションが下がったりと中々書くことができないでいましたが、最新巻発売と映画公開決定などでやる気を出して頑張りました。

さて、遂にリムル&ジン勢が参戦です。
個人的にジンに一掃してもらったりするよりも、ちゃんとベニマル達の活躍シーンがあった方が良いと思い、こんな形になりました。

次回はいよいよ、オークロードとの決着です。
しっかりと戦闘シーンを描けるように頑張りたいと思います。
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